クラシック演奏会 (2004年)


2004.12.26 Hungarian State Opera House (Budapest)
1. Tchaikovsky: The Nutcracker

 今度は昼のマチネーに4歳の娘を連れてオペラ座初トライです。バルコニーの席で少々 遠かったものの,最前列だったので障害物なくステージ全体を見渡せました。娘が途中で 飽きてぐずぐず言い出すのではないかとちょっと危惧していたのですが,ディズニーの 「ファンタジア」で知っている曲が多かったので幸い大人しく見ていました。ただ,やは り子供には長すぎたのか,肝心の第3幕では半分以上寝ていましたが。


2004.12.15 Hungarian State Opera House (Budapest)
Valeria Csanyi (Cond), Vasili Vajnonen (Dir),
Anna Tsygankova (Maria), Tamas Solymosi (Nutcracker), Bela Erenyi (Drosselmeier),
Richard Toth (Counselor Stahlbaum), Eszter Kovacs (Mrs. Stahlbaum)
1. Tchaikovsky: The Nutcracker

 オペラ座の最前列真正面という席を初めて体験しました。最前列と言っても間にオケ ピットがあるのでステージまでにはある程度距離があり,近すぎてかえって見にくいとい うことは全然ありません。ステージやメイクのディテイルに至るまで十二分に堪能させて もらいました。この席はなかなか良いなあ。ヒロインの女の子(夢の世界に入る前の子役 の方)が指先の仕草の一つ一つまで本当に優雅で美しく,やはり日本人との間には生まれ ながらにして越えがたい壁があるのをひしひしと感じました。なお,この日は氷の精の一 人に日本人バレリーナが出演していたそうで,そのこともあって現地駐在の日本人が多数 見に来ていたのですが,ぐっと目を凝らしてみても私にはどの人が日本人か結局わかりま せんでした。


2004.12.09 Academy of Music (Budapest)
Roberto Minczuk / Hungarian National Philharmonic Orchestra
Szatmari Zsolt (Cl-2), Tamas Sandor (Fg-2)
1. Faure: Pelleas et Melisande - suite
2. R. Strauss: Duett concertino
3. Tchaikovsky: Symphony No. 6 in B minor (Pathetique)

 ブラジル出身の気鋭の若手指揮者ミンチェクはここの常任コチシュよりもさらに上を行 く快速あっさりぶりでした。ムラヴィンでもここまで速くないぞ,というほどぶっとばし た「悲愴」は,悲愴感を感じさせない健全,健康的なチャイコフスキーで,最近はこうい うスタイルがアメリカでは受けているのかもしれないなあと思いました。今度ハンガリー に来たときはバルトークをやってみたらよいかも。


2004.12.06 Budapest Convention Centre (Budapest)
Semyon Bychkov / Cologne Radio Symphony Orchestra
Hungarian National Choir
Children's Choir of the Hungarian Radio
Brigitta Svenden (Ms)
1. Mahler: Symphony No. 3

 ビシュコフは近年この曲を得意レパートリーとしているようで,世界各国ツアーの先々 で取り上げているようですが,確かに評判通り非常にスケールの大きい感動的な名演でし た。特に第1楽章,マーラーの中でも私の一番好きな曲の一つなのですが,途中でじわー とこみ上げてくるものがありました。ケルン放送響も,こんなに「よく鳴る」オケだとは 知りませんでした。まあしかし,聴く度に思うのですが,これほど不経済な曲もそうない でしょうな。ギネスブックにのるほど長大なくせに合唱団の出番はほんの5分だけ。終楽 章,退屈そうな児童合唱団がちょっとかわいそうでした(居眠りしている男の子もいまし た)。


2004.11.29 Hungarian State Opera House (Budapest)
Rico Saccani / Budapest Philharmonic Orchestra
Adele Anthony (Vn-1)
1. Beethoven: Violin Concerto in D major
2. R. Strauss: Eine Alpensinfonie

 音楽監督リコ・サッカーニの下ではブダペストフィルのサウンドが果たしてどこまで 変わるのか,非常に楽しみでした。結論から言うと,やはり音の雑さは変わりがなかった ものの,表情付けの繊細さは多少気合いが入っていたように感じられました。音楽監督の ニラみというのはなかなか効果があるようです。またこの日の選曲はなかなか実演で聴け る機会が少ないアルプス交響曲だったので貴重な体験でした。
 話は前後しますが,ベートーヴェンの独奏Adele Anthonyはタスマニア出身の若手女性 バイオリニストだそうですが,私はてっきり東南アジア系の人かと思いました。穴がなく ソツない演奏でテクニックは十分だと思いましたが,それほど強い印象は残らなかった です。


2004.11.26 Hungarian State Opera House (Budapest)
Gergely Kaposi (Cond), Judit Galgoczy (Dir),
Andras Kiss Kaldi (Count Almaviva), Klara Kolonits (Countess Almaviva),
Zita Varadi (Susanna), Peter Kalman (Figaro), Laszlo Jekl (Bartolo),
Jutta Bokor (Marcellina), Laszlo Beothy-Kiss (Basilio), Eva Varhelyi (Cherubino)
1. Mozart: Le Nozze di Figaro

 オーソドックスな演出ではあるのですが,舞台装置が何か貧相でがらんとしていて夢に 欠けました。あいかわらずオケは上手でないものの,歌手のレベルは総じて高かったで す。フィガロはハマリ役だと思いました。ケルビーノはEurythmicsのAnnie Lennoxを彷 彿とさせる男装の麗人のような外見で,合っていると言えば合っているし,違うと言えば 違うし,なかなか評価が難しいです。


2004.11.12 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs (Cond), Balazs Kovalik (Dir-1), Gyula Harangozo (Choreography-2)
Peter Fried (Bluebeard-1), Andrea Melath (Judit-1),
Dolores Castillo (Girl-2), Zoltan Nagy, Jr (Mandarin-2)
1. Bartok: Bluebeard's Castle
2. Bartok: The Miraculous Mandarin

 指揮は現代物やモダン演出の時には必ずと言ってよいほど借り出されるJanos Kovacs。 案の定,昨年と比べて「青ひげ」の演出がよりモダンなものにガラリと変わっていまし た。舞台に雛壇(まさに「雛壇」と呼ぶにふさわしい形状でした)を組んでオケを配置 し,一番奥にはPink Floydのライブのような巨大な円形の照明,指揮者の真上には45度の 角度で鏡,歌手の二人は普段オケピットのある場所の上にわざわざやぐらを組んで,しか もそこに水など張り貯めて,相当いっちゃってる演出でした。隣りに座ったフランス人は 「パリではこんなシンボリックな演出ばかりなんだ」と大いに喜んでいましたが,私には 理解不能でした。去年の方が全然良かったよー。
 一方の「役人」の方は昨年と全く同じ演出にほっと一安心。ただ,官吏役がよく見ると 中国人に見えずいかにも西洋人という顔立ちだったのと,少女役があまりにおばさんだっ たのがちょっといただけませんでした。


2004.10.13 Erkel Theatre (Budapest)
1. Mozart: Die Zauberflote (The Magic Flute) (Hungarian version)

 すいません配役表紛失しました。エルケル劇場のマジャール語版子供向け「魔笛」です が,第二幕がシンボリックで変でした。特にエンディングはタミーノとパミーナがいきな り年を取り,二人で静かに老後を過ごすような終わり方で,セットからして何か「2001 年宇宙の旅」を連想させるものでした。夜の女王,パパゲーノ共に歌はイマイチでちょっ と期待外れでした。


2004.10.11 Hungarian State Opera House (Budapest)
Ken-ichiro Kobayashi / Budapest Philharmonic Orchestra
1. Dvorak: Symphony No. 8 in G major
2. Glinka: Ruslan and Lyudmila - overture
3. Rossini: William Tell - overture
4. Verdi: La forza del destino - overture
5. Wagner: Die Meistersinger von Nurnberg - prelude to Act 1

 コバケンはハンガリーでは知らぬ者はいないほどの超人気指揮者です。客層は日本人 観光客だらけかと思いきや,ほとんどハンガリー人で超満員,日本人などほとんど見かけ ませんでした。何でも地元での人気があまりに高いので外国人はなかなかチケットが買え ないそうです。
 さて演奏の方はと言えば,いつにも増して雑な音に雑なアンサンブル,こりゃー選曲 から言ってもほとんどリハしてないな,と伺わせるものでした。ドボ8は結構甘く見られ がちな曲ですが,この曲を本当にスケール大きく最後までしっかり聴かせる演奏というの にほとんど出会ったことがありません。それでもさすがは「炎のコバケン」,この貧弱な オケでもなんとか巨匠風のスケール感を最後まで保っていました。後半は気恥ずかしくな るような序曲名曲集でしたが,隣りのおじいさんなどは演奏終了後に感動のあまり涙を流 していましたから,この選曲もそれなりに成功だったのではと思いました。私はオケの力 不足がどうにも気になって,そこまで感動はできなかったですが…。
 アンコールではコバケン自らハンガリー語で挨拶し,超大げさにテンポをゆさぶった ハンガリー舞曲第5番を聴かせていました。会場はいっそう盛り上がり,皆幸せそうな顔 で帰っていったのが印象的でした。


2004.10.08 Hungarian State Opera House (Budapest)
Ervin Lukacs (Cond), Kalman Nadasdy (Dir),
Tunde Franko (Mimi), Zsuzsanna Csonka (Musette), Peter Kelen (Rodolfo),
Robert Rezsnyak (Schaunard), Viktor Massanyi (Marcello), Andras Palerdi (Colline)
1. Puccini: La Boheme

 あまり好きなオペラではないので特に深い印象もないのですが,ミミのいかにも薄幸 そうな雰囲気と歌い方がこのオペラに良く合っていました。セットでは特に第3幕の雪景 色の場面が,青を貴重にしたたいへん美しいもので感心しました。なお,休憩は各幕間で はなく2幕と3幕の間のみに入っていました。


2004.10.01 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs (Cond), Viktor Nagy (Dir-1), Peter Kalmar (Dir-2),
Janos Gurban (Michele-1), Eszter Sumegi (Georgetta-1), Janos Bandi (Luigi-1),
Gabor Garday (Gianni Schicchi-2), Anna Herecznik (Lauretta-2), Tamas Albert (Rinuccio-2)
1. Puccini: Il Tabarro
2. Puccini: Gianni Schicchi

 プッチーニ「三部作」から「外套」「ジャンニ・スキッキ」のみでの上演です。3本 立てだと私には長すぎるのでこの方がベターです。好き嫌いで言うと「外套」の方が静寂 でありながら一貫してドラマチックで,たいへん良かったです。「ジャンニ・スキッキ」 は登場人物も多く派手な展開になりますが,舞台上がごちゃごちゃとして整理されていな くて,集中力に欠ける演出と演奏に思えました。


2004.09.15 Hungarian State Opera House (Budapest)
Peter Oberfrank (Cond), Balazs Kovalik (Dir),
Annamaria Kovacs (Mother), Daniel Vadasz (Son), Eva Balatoni (Neighbor),
Attila Reti (Leonardo), Szilvia Ralik (Bride)
1. Szokolay: Vernasz (Blood Wedding)

 スペインの戯曲をもとにしたソコライ・シャーンドールのオペラで,息子の婚約者の かつての恋人は自分の夫ともう一人の子供を殺した犯人の親類,という何だかよく分から ない設定で悩む母親の話。ハンガリー産オペラの例にもれず,ストーリーも音楽もひたす ら暗いですが,演出にメリハリが効いていて意外と退屈しませんでした。この日は英語字 幕があってテキストがリアルタイムでわかったのも良かったです。まあでも,ハンガリー 以外ではまず上演されないんだろうなあ。


2004.06.24 Hungarian State Opera House (Budapest)
Valeria Csanyi (Cond), Laszlo Seregi (Dir)
1. Mendelssohn: A Midsummer Night's Dream - Ballet

 ご存じメンデルスゾーンの劇音楽「真夏の夜の夢」をベースに3幕のバレエに仕立てた ものです。途中コサックのような民俗舞踊が所々に挿入され,全体のボリュームはかなり 水増しされています。かと思えば,最も有名な「結婚行進曲」はずたずたに短縮され ちゃっていたし,よくわからんです。民族舞踊はオケの生演奏ではなくてテープ伴奏だっ たのがちょっと違和感ありました。最後に妖精がひもを引っ張って「カチッ」と舞台の電 気を消し,それまでのいたずらを水に流して(もみ消す,とも言う)幕となる演出が大い にウケていました。


2004.06.17 Hungarian State Opera House (Budapest)
Domonkos Heja (Cond), Balazs Kovalik (Dir),
Silvia Munteanu (Princess Turandot), Andrea Lory (Liu), Csaba Airizer (Timur),
Andras Molnar (Kalaf), Istvan Roka (Altoum)
1. Puccini: Turandot

 つっこみどころ満載の「ナンチャッテ中国」テイスト爆発な演出でしたが,音楽に力が あるのでそれほど気にはなりませんでした。まあ,蝶々夫人などで「ナンチャッテ日本」 を見せられたらそれなりには気になるんでしょうけど。それにしても派手な曲に派手な演 出,濃いい展開,見終わったころにはどっと疲れが出る曲ですねこれは。ただ,来シーズ ンにはエルケルに落ちてしまうので,何とか滑り込みでオペラ座で見れて良かったです。


2004.06.13 Barbican Centre (London)
Bernard Haitink / London Symphony Orchestra
1. Mahler: Symphony No. 6

 ロンドン出張のおりに当日券を求めてボックスオフィスに行ったところ,無情にもすで にソールドアウトとのこと。しかし世の中捨てる神あれば拾う神あり,たまたま私の後ろ に並んでいた現地駐在日本人の方がちょうど行けなくなったチケットを払い戻しに来てい たところで,親切にも声をかけていただいて絶好の席を売っていただきました。超ラッ キー。
 さて今やすでに長老組の一員であるハイティンクですが,この日はまたたいそう重厚な マーラー6番を聴かせてくれました。ロンドン響は持ち前のパワーとヨーロピアンテイス トをいかんなく発揮し,重厚な中にも華やかさをちりばめて,懐の深いところを見せてい ました。ハイティンクの指揮にはみじんの迷いも感じられず,巨大な建造物を目の前に突 きつけられたような感覚をおぼえました。ラストも衝撃力抜群で,ロンドン響はやっぱり 凄いなあ,と感動することしきりでした。


2004.06.08 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs (Cond), Janos Szikora (Dir),
Szilvia Ralik (Salome), Jozsef Hormai (Herodes), Bernadett Wiedemann (Herodias),
Janos Gurban (Jochanaan), Denes Gyulas (Narraboth)
1. R. Strauss: Salome

 やはり難曲だからなのか,オケはいつになく気合いの入った演奏でした。サロメは神経 質そうなところは良かったですが,表現がちょっと平板なのでしょうか,途中間延びを感 じるところもありました。この人身体があまり柔軟ではなく,「7つのヴェールの踊り」 は美しさにもエロチックさにも欠け,ちょっといただけませんでした。まあバレリーナで はなく歌手なのだからしょうがないか。ヨカナーンの首はよくできていました。実を言う と私は長いオペラは苦手で,この「サロメ」くらいの長さが私的にはグッドです。 (根性なさ過ぎ?)


2004.05.28 Budapest Convention Centre (Budapest)
Ivan Fischer / Budapest Festival Orchestra
Richard Goode (P-1)
1. Bartok: Piano Concerto No. 3
2. Mahler: Symphony No. 9

 オケの実力はピカ一と評判の高い祝祭管をようやく聴くことができました。なにしろ このオケの国内での人気は群を抜いていて,ウィーンフィルのように定期会員になって シーズンチケットでも買わない限りなかなかチケットが取れないのです。
 バルトークは冒頭からもう非常に美しい演奏でした。フィッシャー/祝祭管は決して 惰性で流さず,しっかりと緊張感を保ちながらも重厚になりすぎず,なかなかうまい伴奏 だなあと感じました。メインのマーラーも隅々まで気を配ってじっくり進行するタイプの 演奏で,このフィッシャーというひとの勉強熱心ぶりは想像に難くありません。最後のア ダージョまで緊張した空気は保たれ,終わってみればあっと言う間に時間が過ぎていった 感じです。
 返す返すも残念なのは,2004/05のシーズンチケットを,発売日の朝一から3時間 並んで,結局買えなかったこと…。


2004.03.30 Academy of Music (Budapest)
Zoltan Kocsis (P-2) / Hungarian National Philharmonic Orchestra
1. Smetana: The Bartered Bride - overture
2. Mozart: Piano Concerto No. 27, K. 595
3. Mahler: Symphony No. 1

 「巨人」は「花の章」付きでやっていたなあ,くらいしか後の印象が残らないさらっと した演奏会でした。最後でホルンが立ち上がっていたかどうか忘れてしまうくらい。 (多分立ち上がってなかったような気がします。)オケは迫力があったし,決して悪い方 の部類ではなかったのですが,ずいぶんと空虚な演奏という印象だけが残りました。 コチシュは指揮活動よりもっとピアノに専念した方がよいのでは,と思うのは私だけで しょうか?


2004.03.24 Budapest Convention Centre (Budapest)
Rafael Fruhbeck de Burgos / Filarmonica Arturo Toscanini
Hungarian National Choir
Szilvia Ralik (S), Bernadett Wiedemann (A), L'udovit Ludha (T), Istvan Racz (B)
1. Verdi: Requiem (staged performance)

 指揮は最初ロストロポーヴィチの予定だったのですが,いつの間にかフリューベック・ デ・ブルゴスに変更になっていました。ただの「ヴェル・レク」ではなく“staged performance”と称する一風変わった演奏会でした。オケの背後に半透明のスクリーン があり,よく目を凝らしてみるとスクリーンに白塗りの顔がたくさん浮かび上がって見 え,たいへん気色悪かったのですが,実はスクリーン背後に押しやられた合唱団なのでし た。演奏が始まるとそのスクリーン上には幾何学模様や十字架にはりつけられたキリスト などの画像がゆっくりと次々に映し出されます。これがまた普段より暗い会場の照明と相 まって実に眠気を誘い,途中で何度か意識を失ってしまいました。演奏への集中力を散漫 にするくらいしか能がなかったので,私にはむしろ映像などない方がよかったです。


2004.03.18 Erkel Theatre (Budapest)
Gergely Kesselyak (Cond), Miklos Szinetar (Dir),
Eva Panczel (Carmen), Attila Wendler (Don Jose), Andras Kiss Kaldi (Escamillo),
Andrea Lory (Micaela), Bela Szilagyi (Dancairo), Miklos Kiraly (Zuniga)
1. Bizet: Carmen

 大がかりな舞台装置にたくさんのエキストラ,エルケルにしてはがんばっていると最初 は思いましたが,よく考えるとエルケルの方が演出がオーソドックス寄りなので装置もい きおい大規模になるのは納得できるかなと。やはりカルメンはお馴染みの曲が次から次へ とこれでもかと出てくるので楽しいです。前に座っていたおねーちゃんは退屈していた様 子で,幕間休憩後にはいなくなっていましたが(おかげで我々はラッキー)。ちなみに フランス語の原語上演でした。


2004.02.12 Hungarian State Opera House (Budapest)
Domonkos Heja (Cond), Vagyim Milkov (Dir),
Yuri Marusin (Hermann), Tamas Busa (Tomsky), Bela Perencz (Yeletsky),
Eva Bartori (Liza), Tamas Daroczi (Tchekalinsky), Laszlo Szvetek (Sourin),
Annamaria Kovacs (Countess), Rita Revesz (Paulina)
1. Tchaikovsky: Pique Dame (Queen of the Spade)

 「スペードの女王」は5年前にパリのバスティーユ・オペラ座で初めて見ましたが,そ の時は非常にシンボリックな意味不明すれすれの演出で正直言ってさっぱりわけがわから なかったので,まずはオーソドックスな舞台を見てみたいとずっと思っておりました。 配役の名前を見たところ主役のヘルマンがロシア人,あとは皆ハンガリー人のようです。 パリで見たときも主役はやはりロシア人を呼んで来ていましたので,ネイティブでないと 難しい役なのかもしれません。しかしこの日のヘルマンは歌い方がねちねちと,ちょっと 粘着質だったので長丁場聴くにはつらく,私の好みではありませんでした。それを除けば 概ね満足がいく好演で,ようやくこのオペラの本来の姿がわかりました。


2004.01.30 Academy of Music (Budapest)
Serge Baudo / Hungarian National Philharmonic Orchestra
Sylvie Brunet (S-2)
1. Honegger: Symphony No. 5
2. Ravel: Scheherazade
3. Berlioz: Symphony Fantastique

 シェヘラザードのSylvie Brunetは見た目も歌も非常に華やかなソプラノでした。休憩 後には私の二つ隣りの席に座ってメインの幻想を聴いていたのでちょっとびっくりしまし た。その幻想はまるでミュンシュ/パリ管のようなノリノリの演奏だったので,国立フィ ルがここまでできるのかと,これまたびっくり。さすがフランス人の指揮と言うか,音は 厚いが重くはならず軽やかで柔らかさを心がけた演奏になっていたように思います。 アンコールはなかったのですが演奏後の拍手がなかなか鳴り止まず,最後にはボドが 茶目っ気たっぷりにお寝んねのポーズをしてもう帰りたいそぶりを見せていました。


2004.01.22 Hungarian State Opera House (Budapest)
Gergely Kaposi (Cond), Miklos Szinetar (Dir),
Eva Bartori (Fiordiligi), Andrea Ulbrich (Dorabella), Istvan Kovacshazi (Fernando),
Bruno Licio (Guglielmo), Csilla Otvos (Despina), Csaba Otvos (Don Alfonso)
1. Mozart: Cosi Fan Tutte

 ブダペストのオペラ座はオーケストラのレベルはまあまあ,歌手のレベルは総じて良さ そうなのですが,女性陣が声量だけでなく身体もボリュームのある人ばかりなのが,時々 ちょっと醒めてしまいます。まあ,私は詳しくないですが,ブダペストだけではないのか も知れませんが。この日はぽっちゃりながらもキュートな女性陣とカツラ姿が非常に怪し い男性陣のからみがコミカルで良かったです。演出も特に奇をてらったものではなく好感 が持てました。


2004.01.08 Erkel Theatre (Budapest)
1. J. Strauss II: Die Fledermaus (The Bat) (Hungarian version)

 ブダペスト第2のオペラ座,エルケル劇場に初めて行きました。演目は新年らしく 「こうもり」。しかし,何か変だと思いきや,歌手がみなマジャール(ハンガリー)語で 歌いしゃべっているのでびっくり。来るまで知らなかったのですが,エルケル劇場は国立 歌劇場よりもファミリー向けで,多くの演目がマジャール語版で上演されるようなのでし た。それを除けば歌手はしっかりしていたし,セットや演出も無難に良くできていたので なかなか楽しい好演でした。


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