クラシック演奏会 (2003年)


2003.12.08 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs / Budapest Philharmonic Orchestra
Choir of the Hungarian State Opera House
1. Kodaly: Summer Evening
2. Beethoven: Symphony No. 9 in D minor

 ブダペストフィルはハンガリー国立歌劇場お付きのオケで,ウィーンにおけるウィーン フィルのようなものと言えば聞こえは良いですが,そのあまりに雑な演奏に最初は耳を疑 いました。音色はとことん汚く,繊細な弱音など全く聴かれず,縦の線も非常にいいかげ ん,アンサンブルでは日本のプロオケの方が数十倍ましです。もちろん管楽器,特に金管 などは日本人にはない馬力があり,個人芸ではなかなか魅せる瞬間もあるので,総合力と しての評価は人それぞれかもしれませんが,私は正直言ってあきれました。これで国立 フィルや祝祭管よりずっと高いお金取ってるんだからなあ。


2003.06.27 Philharmonie am Gasteig (Munich)
Mstislav Rostropovich / Bavarian Radio Symphony Orchestra
Vadim Repin (Vn-1)
1. Tchaikovsky: Violin Concerto in D major
2. Tchaikovsky: Symphony No. 5 in E minor

 ミュンヘン出張中にあったので聴きに行きました。バイオリンのレーピンはめちゃめ ちゃテクニシャンでしたが,ちょっと演奏が平板で起伏に欠けるようにも思えました。ア ンコールで弾いていたソロの小曲(すいません,タイトルわかりません)が,すっかりリ ラックスしていてむしろ良かったです。チャイ5はかつて相当聴き込んだ曲にもかかわら ずロストロポーヴィチのは聴いたことがなかったのですが,かなり個性的,もっと言えば 全くイロモノな解釈にあっと驚きました。この人も老境に入ってますます盛んというか, やりたい放題の境地に至ってしまったのでしょうか。だとすればまだまだこの先楽しみで すね。それにしてもこのホール,何でこんなにいびつな形をしているんだろう?


2003.04.28 Musikverein, Grosser Saal (Vienna)
Mariss Jansons / Wiener Philharmoniker
1. Franck: Symphony in D minor
2. Debussy: Prelude a l'apres-midi d'un faune
3. Respighi: Pini di Roma

 ウィーンフィルの正規の演奏会を楽友協会ホールの良い席で聴いてみたい,という積年 の願いがようやくかない,それだけでも感無量です。激しく情熱的なフランク,ウィーン フィルの特質が十分活かされた渋い「牧神の午後の前奏曲」,トランペットを客席や背後 にも配置しド派手な大音響空間を演出した「ローマの松」,その考え抜かれたプログラム とヤンソンスの多彩な指揮ぶりにいたく感銘を受け,最後はじーんと涙を禁じ得ませんで した。心から聴けて良かったと思える演奏会でした。


2003.04.27 Wiener Staatsoper (Vienna)
Peter Schneider (Cond), Adolf Dresen (Dir)
Christian Franz (Siegmund), Matti Salminen (Hunding), Alan Titus (Wotan),
Deborah Voigt (Sieglinde), Luana DeVol (Bruennhilde), Jane Henschel (Fricka)
1. Wagner: Die Walkure

 念願のウィーン国立歌劇場再訪です。舞台はちょっと遠いものの音響は抜群のParterre 席を今回も何とかゲット。ワーグナーのオペラは初めてだったのですが,いやー,長い長 い。単に時間的長さだけでなく,いちいち独白のアリアが延々と続くのには,オペラがあ まり得意でなくドイツ語もわからない私にはちょっと辛かったです。各席にポケコンサイ ズの対訳字幕表示機が装備されていたのですが,舞台が全般的に暗めなわりには液晶画面 が明るすぎて,上演中頻繁に見るのがためらわれました。何にせよ私にはワーグナーは もったいないということがわかったので,次はもっと短くてわかりやすいやつにしよう。


2003.03.30 Budapest Convention Centre (Budapest)
Peter Eotvos / BBC Symphony Orchestra
Markus Stockhausen (Tp-2)
1. Eotvos: zeroPoints (Hungarian premiere)
2. Eotvos: Jet Stream for trumpet and orchestra (Hungarian premiere)
3. Debussy: Jeux
4. Debussy: La Mer

 ハンガリー出身の作曲家であり指揮者でもあるエトヴェシュの凱旋公演になるのでしょ うか。ハンガリー初演となる最初の自作自演2曲はどちらも大編成オーケストラ曲で打楽 器も満載,モロ好みではありますが,曲自体は正直私には理解不能でした。トランペット はあのシュトックハウゼンの息子だそうです。後半は「遊戯」と「海」のドビュッシー 2本立てでしたが,前半戦から見るにどんなに尖った演奏になるのかと思っていましたら, 想像していたよりもずっと叙情的な演奏で肩透かしをくらいました。


2003.03.27 Academy of Music (Budapest)
Zoltan Kocsis / Hungarian National Philharmonic Orchestra and Choir
Sylvie Sulle (Ms), Guy Flechter (T), Jean-Philippe Courtis (B)
1. Berlioz: Romeo et Juliette

 ベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」の実演を初めて聴きました。この 曲にはあまり馴染みがないので語ることもそうないのですが,比較的合唱を前面に立てて テクストを重視した解釈だったような気がします。終わってみれば合唱が独唱とオケを凌 駕していた印象が強いです。


2003.03.23 Hungarian State Opera House (Budapest)
Kolos Kovats (Bluebeard-1), Judit Nemeth (Judith-1)
1. Bartok: Bluebeard's Castle
2. Bartok: The Miraculous Mandarin

 ハンガリー国立歌劇場名物のバルトーク2本立て。3階ボックスの3列目という席だった ので(500円位)舞台全体は見渡せず。「青ひげ公の城」は極めてシンプルでシンボリッ クな舞台装置,太め過ぎるユディットに,一気に眠気を覚えます。が,最後の扉が開く段 になってにわかに舞台上に「動き」が出てきて,なかなか一本筋の通った演出と最後には 納得。
 「中国の不思議な役人」はニューヨークの裏町風舞台にウエストサイド物語風振り付け, しかしまあこれでも世界的潮流から言えば十分オーソドックスな方なんでしょうね。まさ にキョンシーな中国官吏が笑えました。


2003.03.21 Academy of Music (Budapest)
Sir Neville Marriner / Danubia Youth Symphony Orchestra
Barnabas Kelemen (Vn-2)
1. Britten: Four Sea Interludes
2. Walton: Violin Concerto
3. Elgar: Enigma Variations

 1年前に聴いたときは普通のアマチュアオケ以上の感想は持たなかったのですが,指揮 者が変わればこうも変わるのかと,見違えるような反応の良い立派なオケに。ヴァイオリ ンのケレメンはハンガリー若手No. 1の実力者で,すでに国内では十二分な人気と名声を 獲得しており,その類まれなるテクニックと豊かな表情が観衆を楽しませてくれます。ま だまだ若いので,国内での人気に安住せず世界の大舞台に活躍の場を拡げて行ってくれる ことを願ってやみません。


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