2004.12.26 Hungarian State Opera House (Budapest)
1. Tchaikovsky: The Nutcracker
今度は昼のマチネーに4歳の娘を連れてオペラ座初トライです。バルコニーの席で少々遠かったものの,最前列だったので障害物なくステージ全体を見渡せました。娘が途中で飽きてぐずぐず言い出すのではないかとちょっと危惧していたのですが,ディズニーの「ファンタジア」で知っている曲が多かったので幸い大人しく見ていました。ただ,やはり子供には長すぎたのか,肝心の第3幕では半分以上寝ていましたが。
2004.12.15 Hungarian State Opera House (Budapest)
Valeria Csanyi (Cond), Vasili Vajnonen (Dir),
Anna Tsygankova (Maria), Tamas Solymosi (Nutcracker), Bela Erenyi (Drosselmeier),
Richard Toth (Counselor Stahlbaum), Eszter Kovacs (Mrs. Stahlbaum)
1. Tchaikovsky: The Nutcracker
オペラ座の最前列真正面という席を初めて体験しました。最前列と言っても間にオケピットがあるのでステージまでにはある程度距離があり,近すぎてかえって見にくいということは全然ありません。ステージやメイクのディテイルに至るまで十二分に堪能させてもらいました。この席はなかなか良いなあ。ヒロインの女の子(夢の世界に入る前の子役の方)が指先の仕草の一つ一つまで本当に優雅で美しく,やはり日本人との間には生まれながらにして越えがたい壁があるのをひしひしと感じました。なお,この日は氷の精の一人に日本人バレリーナが出演していたそうで,そのこともあって現地駐在の日本人が多数見に来ていたのですが,ぐっと目を凝らしてみても私にはどの人が日本人か結局わかりませんでした。
2004.12.09 Academy of Music (Budapest)
Roberto Minczuk / Hungarian National Philharmonic Orchestra
Szatmari Zsolt (Cl-2), Tamas Sandor (Fg-2)
1. Faure: Pelleas et Melisande - suite
2. R. Strauss: Duett concertino
3. Tchaikovsky: Symphony No. 6 in B minor (Pathetique)
ブラジル出身の気鋭の若手指揮者ミンチェクはここの常任コチシュよりもさらに上を行く快速あっさりぶりでした。ムラヴィンでもここまで速くないぞ,というほどぶっとばした「悲愴」は,悲愴感を感じさせない健全,健康的なチャイコフスキーで,最近はこういうスタイルがアメリカでは受けているのかもしれないなあと思いました。今度ハンガリーに来たときはバルトークをやってみたらよいかも。
2004.12.06 Budapest Convention Centre (Budapest)
Semyon Bychkov / Cologne Radio Symphony Orchestra
Hungarian National Choir
Children's Choir of the Hungarian Radio
Brigitta Svenden (Ms)
1. Mahler: Symphony No. 3
ビシュコフは近年この曲を得意レパートリーとしているようで,世界各国ツアーの先々で取り上げているようですが,確かに評判通り非常にスケールの大きい感動的な名演でした。特に第1楽章,マーラーの中でも私の一番好きな曲の一つなのですが,途中でじわーとこみ上げてくるものがありました。ケルン放送響も,こんなに「よく鳴る」オケだとは知りませんでした。まあしかし,聴く度に思うのですが,これほど不経済な曲もそうないでしょうな。ギネスブックにのるほど長大なくせに合唱団の出番はほんの5分だけ。終楽章,退屈そうな児童合唱団がちょっとかわいそうでした(居眠りしている男の子もいました)。
2004.11.29 Hungarian State Opera House (Budapest)
Rico Saccani / Budapest Philharmonic Orchestra
Adele Anthony (Vn-1)
1. Beethoven: Violin Concerto in D major
2. R. Strauss: Eine Alpensinfonie
音楽監督リコ・サッカーニの下ではブダペストフィルのサウンドが果たしてどこまで変わるのか,非常に楽しみでした。結論から言うと,やはり音の雑さは変わりがなかったものの,表情付けの繊細さは多少気合いが入っていたように感じられました。音楽監督のニラみというのはなかなか効果があるようです。またこの日の選曲はなかなか実演で聴ける機会が少ないアルプス交響曲だったので貴重な体験でした。
話は前後しますが,ベートーヴェンの独奏Adele Anthonyはタスマニア出身の若手女性バイオリニストだそうですが,私はてっきり東南アジア系の人かと思いました。穴がなくソツない演奏でテクニックは十分だと思いましたが,それほど強い印象は残らなかったです。
2004.11.26 Hungarian State Opera House (Budapest)
Gergely Kaposi (Cond), Judit Galgoczy (Dir),
Andras Kiss Kaldi (Count Almaviva), Klara Kolonits (Countess Almaviva),
Zita Varadi (Susanna), Peter Kalman (Figaro), Laszlo Jekl (Bartolo),
Jutta Bokor (Marcellina), Laszlo Beothy-Kiss (Basilio), Eva Varhelyi (Cherubino)
1. Mozart: Le Nozze di Figaro
オーソドックスな演出ではあるのですが,舞台装置が何か貧相でがらんとしていて夢に欠けました。あいかわらずオケは上手でないものの,歌手のレベルは総じて高かったです。フィガロはハマリ役だと思いました。ケルビーノはEurythmicsのAnnie Lennoxを彷彿とさせる男装の麗人のような外見で,合っていると言えば合っているし,違うと言えば違うし,なかなか評価が難しいです。
2004.11.12 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs (Cond), Balazs Kovalik (Dir-1), Gyula Harangozo (Choreography-2)
Peter Fried (Bluebeard-1), Andrea Melath (Judit-1),
Dolores Castillo (Girl-2), Zoltan Nagy, Jr (Mandarin-2)
1. Bartok: Bluebeard's Castle
2. Bartok: The Miraculous Mandarin
指揮は現代物やモダン演出の時には必ずと言ってよいほど借り出されるJanos Kovacs。案の定,昨年と比べて「青ひげ」の演出がよりモダンなものにガラリと変わっていました。舞台に雛壇(まさに「雛壇」と呼ぶにふさわしい形状でした)を組んでオケを配置し,一番奥にはPink Floydのライブのような巨大な円形の照明,指揮者の真上には45度の角度で鏡,歌手の二人は普段オケピットのある場所の上にわざわざやぐらを組んで,しかもそこに水など張り貯めて,相当いっちゃってる演出でした。隣りに座ったフランス人は「パリではこんなシンボリックな演出ばかりなんだ」と大いに喜んでいましたが,私には理解不能でした。去年の方が全然良かったよー。
一方の「役人」の方は昨年と全く同じ演出にほっと一安心。ただ,官吏役がよく見ると中国人に見えずいかにも西洋人という顔立ちだったのと,少女役があまりにおばさんだったのがちょっといただけませんでした。
2004.10.13 Erkel Theatre (Budapest)
1. Mozart: Die Zauberflote (The Magic Flute) (Hungarian version)
すいません配役表紛失しました。エルケル劇場のマジャール語版子供向け「魔笛」ですが,第二幕がシンボリックで変でした。特にエンディングはタミーノとパミーナがいきなり年を取り,二人で静かに老後を過ごすような終わり方で,セットからして何か「2001年宇宙の旅」を連想させるものでした。夜の女王,パパゲーノ共に歌はイマイチでちょっと期待外れでした。
2004.10.11 Hungarian State Opera House (Budapest)
Ken-ichiro Kobayashi / Budapest Philharmonic Orchestra
1. Dvorak: Symphony No. 8 in G major
2. Glinka: Ruslan and Lyudmila - overture
3. Rossini: William Tell - overture
4. Verdi: La forza del destino - overture
5. Wagner: Die Meistersinger von Nurnberg - prelude to Act 1
コバケンはハンガリーでは知らぬ者はいないほどの超人気指揮者です。客層は日本人観光客だらけかと思いきや,ほとんどハンガリー人で超満員,日本人などほとんど見かけませんでした。何でも地元での人気があまりに高いので外国人はなかなかチケットが買えないそうです。
さて演奏の方はと言えば,いつにも増して雑な音に雑なアンサンブル,こりゃー選曲から言ってもほとんどリハしてないな,と伺わせるものでした。ドボ8は結構甘く見られがちな曲ですが,この曲を本当にスケール大きく最後までしっかり聴かせる演奏というのにほとんど出会ったことがありません。それでもさすがは「炎のコバケン」,この貧弱なオケでもなんとか巨匠風のスケール感を最後まで保っていました。後半は気恥ずかしくなるような序曲名曲集でしたが,隣りのおじいさんなどは演奏終了後に感動のあまり涙を流していましたから,この選曲もそれなりに成功だったのではと思いました。私はオケの力不足がどうにも気になって,そこまで感動はできなかったですが…。
アンコールではコバケン自らハンガリー語で挨拶し,超大げさにテンポをゆさぶったハンガリー舞曲第5番を聴かせていました。会場はいっそう盛り上がり,皆幸せそうな顔で帰っていったのが印象的でした。
2004.10.08 Hungarian State Opera House (Budapest)
Ervin Lukacs (Cond), Kalman Nadasdy (Dir),
Tunde Franko (Mimi), Zsuzsanna Csonka (Musette), Peter Kelen (Rodolfo),
Robert Rezsnyak (Schaunard), Viktor Massanyi (Marcello), Andras Palerdi (Colline)
1. Puccini: La Boheme
あまり好きなオペラではないので特に深い印象もないのですが,ミミのいかにも薄幸そうな雰囲気と歌い方がこのオペラに良く合っていました。セットでは特に第3幕の雪景色の場面が,青を貴重にしたたいへん美しいもので感心しました。なお,休憩は各幕間ではなく2幕と3幕の間のみに入っていました。
2004.10.01 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs (Cond), Viktor Nagy (Dir-1), Peter Kalmar (Dir-2),
Janos Gurban (Michele-1), Eszter Sumegi (Georgetta-1), Janos Bandi (Luigi-1),
Gabor Garday (Gianni Schicchi-2), Anna Herecznik (Lauretta-2), Tamas Albert (Rinuccio-2)
1. Puccini: Il Tabarro
2. Puccini: Gianni Schicchi
プッチーニ「三部作」から「外套」「ジャンニ・スキッキ」のみでの上演です。3本立てだと私には長すぎるのでこの方がベターです。好き嫌いで言うと「外套」の方が静寂でありながら一貫してドラマチックで,たいへん良かったです。「ジャンニ・スキッキ」は登場人物も多く派手な展開になりますが,舞台上がごちゃごちゃとして整理されていなくて,集中力に欠ける演出と演奏に思えました。
2004.09.15 Hungarian State Opera House (Budapest)
Peter Oberfrank (Cond), Balazs Kovalik (Dir),
Annamaria Kovacs (Mother), Daniel Vadasz (Son), Eva Balatoni (Neighbor),
Attila Reti (Leonardo), Szilvia Ralik (Bride)
1. Szokolay: Vernasz (Blood Wedding)
スペインの戯曲をもとにしたソコライ・シャーンドールのオペラで,息子の婚約者のかつての恋人は自分の夫ともう一人の子供を殺した犯人の親類,という何だかよく分からない設定で悩む母親の話。ハンガリー産オペラの例にもれず,ストーリーも音楽もひたすら暗いですが,演出にメリハリが効いていて意外と退屈しませんでした。この日は英語字幕があってテキストがリアルタイムでわかったのも良かったです。まあでも,ハンガリー以外ではまず上演されないんだろうなあ。
2004.06.24 Hungarian State Opera House (Budapest)
Valeria Csanyi (Cond), Laszlo Seregi (Dir)
1. Mendelssohn: A Midsummer Night's Dream - Ballet
ご存じメンデルスゾーンの劇音楽「真夏の夜の夢」をベースに3幕のバレエに仕立てたものです。途中コサックのような民俗舞踊が所々に挿入され,全体のボリュームはかなり水増しされています。かと思えば,最も有名な「結婚行進曲」はずたずたに短縮されちゃっていたし,よくわからんです。民族舞踊はオケの生演奏ではなくてテープ伴奏だったのがちょっと違和感ありました。最後に妖精がひもを引っ張って「カチッ」と舞台の電気を消し,それまでのいたずらを水に流して(もみ消す,とも言う)幕となる演出が大いにウケていました。
2004.06.17 Hungarian State Opera House (Budapest)
Domonkos Heja (Cond), Balazs Kovalik (Dir),
Silvia Munteanu (Princess Turandot), Andrea Lory (Liu), Csaba Airizer (Timur),
Andras Molnar (Kalaf), Istvan Roka (Altoum)
1. Puccini: Turandot
つっこみどころ満載の「ナンチャッテ中国」テイスト爆発な演出でしたが,音楽に力があるのでそれほど気にはなりませんでした。まあ,蝶々夫人などで「ナンチャッテ日本」を見せられたらそれなりには気になるんでしょうけど。それにしても派手な曲に派手な演出,濃いい展開,見終わったころにはどっと疲れが出る曲ですねこれは。ただ,来シーズンにはエルケルに落ちてしまうので,何とか滑り込みでオペラ座で見れて良かったです。
2004.06.13 Barbican Centre (London)
Bernard Haitink / London Symphony Orchestra
1. Mahler: Symphony No. 6
ロンドン出張のおりに当日券を求めてボックスオフィスに行ったところ,無情にもすでにソールドアウトとのこと。しかし世の中捨てる神あれば拾う神あり,たまたま私の後ろに並んでいた現地駐在日本人の方がちょうど行けなくなったチケットを払い戻しに来ていたところで,親切にも声をかけていただいて絶好の席を売っていただきました。超ラッキー。
さて今やすでに長老組の一員であるハイティンクですが,この日はまたたいそう重厚なマーラー6番を聴かせてくれました。ロンドン響は持ち前のパワーとヨーロピアンテイストをいかんなく発揮し,重厚な中にも華やかさをちりばめて,懐の深いところを見せていました。ハイティンクの指揮にはみじんの迷いも感じられず,巨大な建造物を目の前に突きつけられたような感覚をおぼえました。ラストも衝撃力抜群で,ロンドン響はやっぱり凄いなあ,と感動することしきりでした。
2004.06.08 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs (Cond), Janos Szikora (Dir),
Szilvia Ralik (Salome), Jozsef Hormai (Herodes), Bernadett Wiedemann (Herodias),
Janos Gurban (Jochanaan), Denes Gyulas (Narraboth)
1. R. Strauss: Salome
やはり難曲だからなのか,オケはいつになく気合いの入った演奏でした。サロメは神経質そうなところは良かったですが,表現がちょっと平板なのでしょうか,途中間延びを感じるところもありました。この人身体があまり柔軟ではなく,「7つのヴェールの踊り」は美しさにもエロチックさにも欠け,ちょっといただけませんでした。まあバレリーナではなく歌手なのだからしょうがないか。ヨカナーンの首はよくできていました。実を言うと私は長いオペラは苦手で,この「サロメ」くらいの長さが私的にはグッドです。(根性なさ過ぎ?)
2004.05.28 Budapest Convention Centre (Budapest)
Ivan Fischer / Budapest Festival Orchestra
Richard Goode (P-1)
1. Bartok: Piano Concerto No. 3
2. Mahler: Symphony No. 9
オケの実力はピカ一と評判の高い祝祭管をようやく聴くことができました。なにしろこのオケの国内での人気は群を抜いていて,ウィーンフィルのように定期会員になってシーズンチケットでも買わない限りなかなかチケットが取れないのです。
バルトークは冒頭からもう非常に美しい演奏でした。フィッシャー/祝祭管は決して惰性で流さず,しっかりと緊張感を保ちながらも重厚になりすぎず,なかなかうまい伴奏だなあと感じました。メインのマーラーも隅々まで気を配ってじっくり進行するタイプの演奏で,このフィッシャーというひとの勉強熱心ぶりは想像に難くありません。最後のアダージョまで緊張した空気は保たれ,終わってみればあっと言う間に時間が過ぎていった感じです。
返す返すも残念なのは,2004/05のシーズンチケットを,発売日の朝一から3時間並んで,結局買えなかったこと…。
2004.03.30 Academy of Music (Budapest)
Zoltan Kocsis (P-2) / Hungarian National Philharmonic Orchestra
1. Smetana: The Bartered Bride - overture
2. Mozart: Piano Concerto No. 27, K. 595
3. Mahler: Symphony No. 1
「巨人」は「花の章」付きでやっていたなあ,くらいしか後の印象が残らないさらっとした演奏会でした。最後でホルンが立ち上がっていたかどうか忘れてしまうくらい。(多分立ち上がってなかったような気がします。)オケは迫力があったし,決して悪い方の部類ではなかったのですが,ずいぶんと空虚な演奏という印象だけが残りました。コチシュは指揮活動よりもっとピアノに専念した方がよいのでは,と思うのは私だけでしょうか?
2004.03.24 Budapest Convention Centre (Budapest)
Rafael Fruhbeck de Burgos / Filarmonica Arturo Toscanini
Hungarian National Choir
Szilvia Ralik (S), Bernadett Wiedemann (A), L'udovit Ludha (T), Istvan Racz (B)
1. Verdi: Requiem (staged performance)
指揮は最初ロストロポーヴィチの予定だったのですが,いつの間にかフリューベック・デ・ブルゴスに変更になっていました。ただの「ヴェル・レク」ではなく“stagedperformance”と称する一風変わった演奏会でした。オケの背後に半透明のスクリーンがあり,よく目を凝らしてみるとスクリーンに白塗りの顔がたくさん浮かび上がって見え,たいへん気色悪かったのですが,実はスクリーン背後に押しやられた合唱団なのでした。演奏が始まるとそのスクリーン上には幾何学模様や十字架にはりつけられたキリストなどの画像がゆっくりと次々に映し出されます。これがまた普段より暗い会場の照明と相まって実に眠気を誘い,途中で何度か意識を失ってしまいました。演奏への集中力を散漫にするくらいしか能がなかったので,私にはむしろ映像などない方がよかったです。
2004.03.18 Erkel Theatre (Budapest)
Gergely Kesselyak (Cond), Miklos Szinetar (Dir),
Eva Panczel (Carmen), Attila Wendler (Don Jose), Andras Kiss Kaldi (Escamillo),
Andrea Lory (Micaela), Bela Szilagyi (Dancairo), Miklos Kiraly (Zuniga)
1. Bizet: Carmen
大がかりな舞台装置にたくさんのエキストラ,エルケルにしてはがんばっていると最初は思いましたが,よく考えるとエルケルの方が演出がオーソドックス寄りなので装置もいきおい大規模になるのは納得できるかなと。やはりカルメンはお馴染みの曲が次から次へとこれでもかと出てくるので楽しいです。前に座っていたおねーちゃんは退屈していた様子で,幕間休憩後にはいなくなっていましたが(おかげで我々はラッキー)。ちなみにフランス語の原語上演でした。
2004.02.12 Hungarian State Opera House (Budapest)
Domonkos Heja (Cond), Vagyim Milkov (Dir),
Yuri Marusin (Hermann), Tamas Busa (Tomsky), Bela Perencz (Yeletsky),
Eva Bartori (Liza), Tamas Daroczi (Tchekalinsky), Laszlo Szvetek (Sourin),
Annamaria Kovacs (Countess), Rita Revesz (Paulina)
1. Tchaikovsky: Pique Dame (Queen of the Spade)
「スペードの女王」は5年前にパリのバスティーユ・オペラ座で初めて見ましたが,その時は非常にシンボリックな意味不明すれすれの演出で正直言ってさっぱりわけがわからなかったので,まずはオーソドックスな舞台を見てみたいとずっと思っておりました。配役の名前を見たところ主役のヘルマンがロシア人,あとは皆ハンガリー人のようです。パリで見たときも主役はやはりロシア人を呼んで来ていましたので,ネイティブでないと難しい役なのかもしれません。しかしこの日のヘルマンは歌い方がねちねちと,ちょっと粘着質だったので長丁場聴くにはつらく,私の好みではありませんでした。それを除けば概ね満足がいく好演で,ようやくこのオペラの本来の姿がわかりました。
2004.01.30 Academy of Music (Budapest)
Serge Baudo / Hungarian National Philharmonic Orchestra
Sylvie Brunet (S-2)
1. Honegger: Symphony No. 5
2. Ravel: Scheherazade
3. Berlioz: Symphony Fantastique
シェヘラザードのSylvie Brunetは見た目も歌も非常に華やかなソプラノでした。休憩後には私の二つ隣りの席に座ってメインの幻想を聴いていたのでちょっとびっくりしました。その幻想はまるでミュンシュ/パリ管のようなノリノリの演奏だったので,国立フィルがここまでできるのかと,これまたびっくり。さすがフランス人の指揮と言うか,音は厚いが重くはならず軽やかで柔らかさを心がけた演奏になっていたように思います。アンコールはなかったのですが演奏後の拍手がなかなか鳴り止まず,最後にはボドが茶目っ気たっぷりにお寝んねのポーズをしてもう帰りたいそぶりを見せていました。
2004.01.22 Hungarian State Opera House (Budapest)
Gergely Kaposi (Cond), Miklos Szinetar (Dir),
Eva Bartori (Fiordiligi), Andrea Ulbrich (Dorabella), Istvan Kovacshazi (Fernando),
Bruno Licio (Guglielmo), Csilla Otvos (Despina), Csaba Otvos (Don Alfonso)
1. Mozart: Cosi Fan Tutte
ブダペストのオペラ座はオーケストラのレベルはまあまあ,歌手のレベルは総じて良さそうなのですが,女性陣が声量だけでなく身体もボリュームのある人ばかりなのが,時々ちょっと醒めてしまいます。まあ,私は詳しくないですが,ブダペストだけではないのかも知れませんが。この日はぽっちゃりながらもキュートな女性陣とカツラ姿が非常に怪しい男性陣のからみがコミカルで良かったです。演出も特に奇をてらったものではなく好感が持てました。
2004.01.08 Erkel Theatre (Budapest)
1. J. Strauss II: Die Fledermaus (The Bat) (Hungarian version)
ブダペスト第2のオペラ座,エルケル劇場に初めて行きました。演目は新年らしく「こうもり」。しかし,何か変だと思いきや,歌手がみなマジャール(ハンガリー)語で歌いしゃべっているのでびっくり。来るまで知らなかったのですが,エルケル劇場は国立歌劇場よりもファミリー向けで,多くの演目がマジャール語版で上演されるようなのでした。それを除けば歌手はしっかりしていたし,セットや演出も無難に良くできていたのでなかなか楽しい好演でした。
2003.12.08 Hungarian State Opera House (Budapest)
Janos Kovacs / Budapest Philharmonic Orchestra
Choir of the Hungarian State Opera House
1. Kodaly: Summer Evening
2. Beethoven: Symphony No. 9 in D minor
ブダペストフィルはハンガリー国立歌劇場お付きのオケで,ウィーンにおけるウィーンフィルのようなものと言えば聞こえは良いですが,そのあまりに雑な演奏に最初は耳を疑いました。音色はとことん汚く,繊細な弱音など全く聴かれず,縦の線も非常にいいかげん,アンサンブルでは日本のプロオケの方が数十倍ましです。もちろん管楽器,特に金管などは日本人にはない馬力があり,個人芸ではなかなか魅せる瞬間もあるので,総合力としての評価は人それぞれかもしれませんが,私は正直言ってあきれました。これで国立フィルや祝祭管よりずっと高いお金取ってるんだからなあ。
2003.06.27 Philharmonie am Gasteig (Munich)
Mstislav Rostropovich / Bavarian Radio Symphony Orchestra
Vadim Repin (Vn-1)
1. Tchaikovsky: Violin Concerto in D major
2. Tchaikovsky: Symphony No. 5 in E minor
ミュンヘン出張中にあったので聴きに行きました。バイオリンのレーピンはめちゃめちゃテクニシャンでしたが,ちょっと演奏が平板で起伏に欠けるようにも思えました。アンコールで弾いていたソロの小曲(すいません,タイトルわかりません)が,すっかりリラックスしていてむしろ良かったです。チャイ5はかつて相当聴き込んだ曲にもかかわらずロストロポーヴィチのは聴いたことがなかったのですが,かなり個性的,もっと言えば全くイロモノな解釈にあっと驚きました。この人も老境に入ってますます盛んというか,やりたい放題の境地に至ってしまったのでしょうか。だとすればまだまだこの先楽しみですね。それにしてもこのホール,何でこんなにいびつな形をしているんだろう?
2003.04.28 Musikverein, Grosser Saal (Vienna)
Mariss Jansons / Wiener Philharmoniker
1. Franck: Symphony in D minor
2. Debussy: Prelude a l'apres-midi d'un faune
3. Respighi: Pini di Roma
ウィーンフィルの正規の演奏会を楽友協会ホールの良い席で聴いてみたい,という積年の願いがようやくかない,それだけでも感無量です。激しく情熱的なフランク,ウィーンフィルの特質が十分活かされた渋い「牧神の午後の前奏曲」,トランペットを客席や背後にも配置しド派手な大音響空間を演出した「ローマの松」,その考え抜かれたプログラムとヤンソンスの多彩な指揮ぶりにいたく感銘を受け,最後はじーんと涙を禁じ得ませんでした。心から聴けて良かったと思える演奏会でした。
2003.04.27 Wiener Staatsoper (Vienna)
Peter Schneider (Cond), Adolf Dresen (Dir)
Christian Franz (Siegmund), Matti Salminen (Hunding), Alan Titus (Wotan),
Deborah Voigt (Sieglinde), Luana DeVol (Bruennhilde), Jane Henschel (Fricka)
1. Wagner: Die Walkure
念願のウィーン国立歌劇場再訪です。舞台はちょっと遠いものの音響は抜群のParterre席を今回も何とかゲット。ワーグナーのオペラは初めてだったのですが,いやー,長い長い。単に時間的長さだけでなく,いちいち独白のアリアが延々と続くのには,オペラがあまり得意でなくドイツ語もわからない私にはちょっと辛かったです。各席にポケコンサイズの対訳字幕表示機が装備されていたのですが,舞台が全般的に暗めなわりには液晶画面が明るすぎて,上演中頻繁に見るのがためらわれました。何にせよ私にはワーグナーはもったいないということがわかったので,次はもっと短くてわかりやすいやつにしよう。
2003.03.30 Budapest Convention Centre (Budapest)
Peter Eotvos / BBC Symphony Orchestra
Markus Stockhausen (Tp-2)
1. Eotvos: zeroPoints (Hungarian premiere)
2. Eotvos: Jet Stream for trumpet and orchestra (Hungarian premiere)
3. Debussy: Jeux
4. Debussy: La Mer
ハンガリー出身の作曲家であり指揮者でもあるエトヴェシュの凱旋公演になるのでしょうか。ハンガリー初演となる最初の自作自演2曲はどちらも大編成オーケストラ曲で打楽器も満載,モロ好みではありますが,曲自体は正直私には理解不能でした。トランペットはあのシュトックハウゼンの息子だそうです。後半は「遊戯」と「海」のドビュッシー2本立てでしたが,前半戦から見るにどんなに尖った演奏になるのかと思っていましたら,想像していたよりもずっと叙情的な演奏で肩透かしをくらいました。
2003.03.27 Academy of Music (Budapest)
Zoltan Kocsis / Hungarian National Philharmonic Orchestra and Choir
Sylvie Sulle (Ms), Guy Flechter (T), Jean-Philippe Courtis (B)
1. Berlioz: Romeo et Juliette
ベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」の実演を初めて聴きました。この曲にはあまり馴染みがないので語ることもそうないのですが,比較的合唱を前面に立ててテクストを重視した解釈だったような気がします。終わってみれば合唱が独唱とオケを凌駕していた印象が強いです。
2003.03.23 Hungarian State Opera House (Budapest)
Kolos Kovats (Bluebeard-1), Judit Nemeth (Judith-1)
1. Bartok: Bluebeard's Castle
2. Bartok: The Miraculous Mandarin
ハンガリー国立歌劇場名物のバルトーク2本立て。3階ボックスの3列目という席だったので(500円位)舞台全体は見渡せず。「青ひげ公の城」は極めてシンプルでシンボリックな舞台装置,太め過ぎるユディットに,一気に眠気を覚えます。が,最後の扉が開く段になってにわかに舞台上に「動き」が出てきて,なかなか一本筋の通った演出と最後には納得。
「中国の不思議な役人」はニューヨークの裏町風舞台にウエストサイド物語風振り付け,しかしまあこれでも世界的潮流から言えば十分オーソドックスな方なんでしょうね。まさにキョンシーな中国官吏が笑えました。
2003.03.21 Academy of Music (Budapest)
Sir Neville Marriner / Danubia Youth Symphony Orchestra
Barnabas Kelemen (Vn-2)
1. Britten: Four Sea Interludes
2. Walton: Violin Concerto
3. Elgar: Enigma Variations
1年前に聴いたときは普通のアマチュアオケ以上の感想は持たなかったのですが,指揮者が変わればこうも変わるのかと,見違えるような反応の良い立派なオケに。ヴァイオリンのケレメンはハンガリー若手No. 1の実力者で,すでに国内では十二分な人気と名声を獲得しており,その類まれなるテクニックと豊かな表情が観衆を楽しませてくれます。まだまだ若いので,国内での人気に安住せず世界の大舞台に活躍の場を拡げて行ってくれることを願ってやみません。