教育基本法の精神そのものである


 在宅教育(ホームスクール)は、教育基本法に矛盾するところはまったくありません。むしろ教育基本法の理念を生かそうとするものです。

第1条は、教育の目的を定めています。人格の完成が中心におかれています。わたしたちが在宅教育をする目的も、子供の人格の完成です。他に書かれた教育の目的は、すべて人間としてあたりまえのことです。
 第一条に、学力が含まれていないことも注目すべきです。学力は人格の完成の一部と考えるべきで、それ自体を目的とすべきではありません。

 なお、本来、教育の目的を国家が定めるのは不可能です。それは、憲法が国の目的を定めることができないのと同じです。教育は、人間であることのすべてを含み、大人が言葉で考えることのできることを超えています。教育は、法律の外側で、人々の善意の結晶として担っていくものです。
 第1条は尊重されるべきですが、実際の社会でさまざまな教育が行われていることから考えて、法律による各家庭の教育への関与は、監禁、虐待などの人権侵害に限定されるべきです。

第2条 【教育の方針】
 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

 これは、ホームスクールの薦めと考えられるほどです。

第3条の機会均等について。
 ホームスクールは学校ではありませんので、誰かの入学を拒否するようなことはありません。しいて言えば、きょうだいで差別しないということになるでしょうか。
 私たちは、第3条に従って、在宅教育が差別されないことを求めることができます。
 学校に子供が合わない場合は、私たちは第3条に従い子供に教育の機会を作るために、ホームスクールをするしかなくなります。


第4条の義務教育は、教育の義務を言っています。就学を定めたものではありません。
 諸先進国においては、公立学校以外の教育もホームスクールも義務教育としているのが普通です。

第5条の男女平等は、すでに当たり前になっている世の中です。

第6条の学校教育は、「法に定める学校」について言っているものなので、在宅教育は関係ありません。

第7条 【社会教育】
 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならな
い。

 ありがとうございます。

第8条、政治教育。
 子供が社会で健全に生きていけるように、「良識ある公民たるに必要な政治的教養」を身に付けさせるのは当然です。

第9条、宗教教育
 「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位」を尊重するのは、当然のことです。
 宗教を持つ家庭が、その信条に従って子供を育てることは古今東西に渡り自然なことです。

 なお、政治教育、宗教教育について、国際人権規約(A規約)第13条第3項は、保護者が「自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由」を保障しています。これは、マイノリティを保護したり、全体主義を防ぐためです。日本は批准しています。
 政治、宗教に関し、家庭での教育が制限されるのは、良識から判断して、子供が一般社会で生きていくのを阻害する場合だけと理解すべきです。

第10条 教育行政
 「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」
 戦後、この条文が作られた時、「不当な支配」が、国家支配と官僚支配を意味することは自明のことでした。


もどる