在宅ケアって なに?
在宅ケアと在宅療養支援診療所に関する疑問、質問にお答えします
興味のある方は 在宅ケアノートもどうぞご覧ください(看護を志望している人達向けです)
平成18年4月
在宅療養支援診療所とは何ですか?
回答者 松村 剛(医師 つばくろ在宅ケアクリニック)
在宅療養支援診療所は、平成18年度の医療保険制度の改正により新しく設置され、これからの在宅ケアと在宅医療の中心的役割を担う診療所とされています。
在宅療養支援診療所の要件としては、以下の項目があります。
1.保険医療機関たる診療所であること
2.当該診療所において、24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置し、そ の連絡先を文書で患家に提供していること
3.当該診療所において、又は他の保険医療機関の保険医との連携により、当 該診療所を中心として、患家の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保し、往 診担当医の氏名、担当日等を文書で患家に提供していること
4.当該診療所において、又は他の保険医療機関、訪問看護ステーション等の 看護職員との連携により、患家の求めに応じて、当該診療所の医師の指示に基づき、 24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保し、訪問看護の担当看護職員の氏名、担当 日等を文書で患家に提供していること
5.当該診療所において、又は他の保険医療機関との連携により他の保険医療 機関内において、在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体制を確保していること
6.医療サービスと介護サービスとの連携を担当する介護支援専門員(ケアマ ネジャー)等と連携していること
7.当該診療所における在宅看取り数を報告すること
平成18年4月
どうして在宅療養支援診療所が必要なのですか?
回答者 松村 剛(医師 つばくろ在宅ケアクリニック)
在宅で療養する医療が必要な人とその家族が、不安なく毎日を過ごすためには、医療機関による切れ目のない細やかな支援体制が必要です。
しかし、既存のほとんどの病院や診療所では、事実上、24時間体制で細やかな医療的ケアを提供することはできませんでした。
そのために、在宅で必要な医療とケアが必要な時に提供されず、しかたなく不必要な入院や施設入所を余儀なくされる人が大勢います。
このような不便を解消し、安心して在宅で過ごすことができるできるように、また、家族に看取られてその人にふさわしい最期を迎えることができるように、機動力のある24時間体制を備えた在宅療養支援診療所が必要とされているのです。
平成18年4月
在宅ケア、在宅医療とは何ですか?
回答者 松村 剛(医師 つばくろ在宅ケアクリニック)
在宅ケアとは、自宅または希望する家などに居て、自力での生活が困難な療養者が、家族、介護職、医療職、福祉職、ボランティアなどの協力や支援により、希望する生活をすることを可能にするための手段です。
在宅医療とは、在宅ケアの一部であり、医学的管理、医療処置が必要な自宅療養者のために、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士などが連携、協力して、自宅での療養を支援する手段です。
平成18年4月
在宅ケアを受けられるのはどんな人ですか?
回答者 松村 剛(医師 つばくろ在宅ケアクリニック)
在宅ケアを受けているのは、自ら在宅ケアを希望する、寝たきりの人や寝たきりではないが、自力での外出や通院が困難な人です。
その原因として、
1.慢性の病気 (脳出血、脳梗塞、神経病、心臓病、呼吸器病、消化器病など)
2.脊椎や下肢の骨折
3.痴呆症
4.うつ病、精神障害
5.骨、関節の変形性疾患
6.老衰
などがあります。この他にも、
7.常に点滴、チューブなどの医療器具をつけている
8.介護保険で要介護度3以上
9.現在入院中でも、病状が安定している
10.癌のために余命6ヶ月以内と考えられる
人などが在宅ケアを受けています。
平成18年4月
実際にどんな事をしているのですか?
回答者 松村 剛(医師 つばくろ在宅ケアクリニック)
原則として、計画的に月2回またはそれ以上訪問して診療をします。
療養者の重傷度に応じて、必要な訪問回数が多くなります。
この他に、急な発熱など症状が変わったときには、電話連絡していただければ、必要に応じて助言したり往診したりします。
受け持ちの療養者に対しては、24時間365日休みなく対応しています。
連携先の病院に対しては、随時、療養者の情報を提供しています。

また、訪問看護ステーションの看護師と連携して協同でケアを行なうこともあります。
病状が急変して、入院治療が必要な状況の場合には、相談の上、連携先の病院または、希望の病院があれば紹介します。

これまでに、以下のような状態の人の医療、処置、管理、検査を実際におこなっています。
     在宅酸素吸入
     経鼻栄養チューブ
     胃ろう
     中心静脈への点滴注射管理
     点滴注射
     気管切開チューブ
     膀胱カテーテル

     痰の吸引
     褥創(床ずれ)処置
     自己注射(インスリン等)
     自己導尿指導
     膀胱ろう

     自宅での看取り

     服薬指導
     退院前カンファランス
     癌の緩和ケア
     痴呆療養指導
     療養指導(リハビリ含む)
     ケアマネージャーへの情報提供
     訪問看護指示書作成
     介護保険の主治医意見書作成

     血液検査
     血液ガス検査
     尿検査
     超音波検査
     心電図検査

現在のところ、以下の状態の人の医療、処置、管理は対応できません。
     在宅人工呼吸
     在宅血液透析
     在宅腹膜透析
     15歳以下の小児医療
     著しい精神障害
     レントゲン検査
誠に申し訳ありません。
平成18年4月
今までのお薬はもらえるのですか?
回答者 松村 剛(医師 つばくろ在宅ケアクリニック)
薬は変わりなくもらえます。
また、症状に応じて調節しますので、薬が飲みにくければ遠慮なくおっしゃってください。
インスリンなどの注射薬や、外用薬、点眼薬、麻薬、経腸栄養剤、中心静脈栄養の輸液なども処方できます。
実際には、自宅に訪問した際に、処方箋を発行しています。
4日以内にその処方箋を持って、かかりつけの調剤薬局でお薬を受け取っていただきます。
薬局に薬を取りに行けない場合には、自宅まで無料で配達してくれる薬局を手配できます。