LAO AVIATION
空港の入場ゲートから滑走路を歩いてプロペラ機に乗り込んだ。意外なことに飛行機の搭乗者は現地の人が多く、僕の隣もラオス紳士だ。乗客達はみんなで菓子を回しあったりして、なかなか和やかな雰囲気の旅立ちである。前の方は欧米からのツアー客だ。祈ってるぞ、おい。…飛行機は日本の外務省から注意喚起がでている乗り物なのである。でもとにかく今は人を不安にさせるのはやめてくれ。僕はいま一度シートベルトと気を引き締め、ついでにライフジャケットの在処を確認しておいた。
ぼよんほよん、ぼよんほよん、ブボボボボーという音を出してプロペラが回りだす。ノロノロと滑走路を走り出す。そして離陸。大きな揺れもなく、じつに見事でスムーズな飛び立ちであった。しばらくすると、離陸が成功した喜びか欧米人はハイタッチしあっている。いちいちおおげさな連中だ。とりあえず、今回は心配するようなことはなにもなかったと伝えておきたい。
水平飛行にうつると、乗務員から機内サービスとして香水おしぼりとアメが一つもらえた。ちょっとしたサービスでもラオス航空なだけにうれしさ倍増である。
しばらく外の風景を眺め楽しんでいると、突然、窓の上の隙間から、シャーという音とともに白い物が吹き出してきた。なんだ、なんだ、なんなんだ。この飛行機、雲が漏れてきてるのか。前の方では欧米人が雲をかき分け騒いでいるではないか。やっぱりあぶないというのは噂通りだったのか。冗談じゃない。…でもこれは、冷房用の冷気であると事前にWEBで情報を得ていたので、自分は余裕でいられた。まったくあの連中は、人をいちいち心配にさせる。見ている方も気が疲れるので、ぜひオーバーなアクションはやめていただきたい。
そんなことしているうちにもう着陸。滑走路が短いのであろう、前につんのめりそうな程の急ブレーキをかけて飛行機は無事ルアンプラバン空港に到着した。フライトの約1時間、僕が一人で一喜一憂している間も、隣のラオス紳士はまったく動じていなかった。さすがラオス人、いかなる時も冷静かつ素朴である。とりあえず、窓から見えるラオスの山並みやメコンの流れはすばらしいので、これだけは見ておいて損はないと伝えておきたい。ただし私はよく見てなかったので、詳しい報告を求む。
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