コアイベント「夜の笛」


001【石津/初対面】

 見知らぬ少女は、ずっと下を見ている。

[選択1-1]
 (自己紹介する。)
 萌は、小さくうなずくと、走っていった。

[選択1-2]
 (虫を見るような眼で見る。)
 少女は、下を向いたまま、こちらが気味悪がって離れるまで、じっとしていた。


【本田/石津に優しくしてやってくれ】


002【石津/一方そのころ】

 好きになれば好きになるほど、ちゃんと喋ることが出来なくなる。
 緊張すると、好きになると。
 シャワーを頭から浴びながら、呆然と自分の全身を映す萌。
 あの人を思って、
 何かを喋ろうと、口を動かす。
 萌は、泣きながら喉を押さえた。
 声を出そうとして、意味不明の音を上げる。
 かきむしり、血を出す喉。
 背中にシャワーが当たった。


003【石津/話せない】

 萌は、しゃべれなくて、喉に手を当てている。
 気持ちの悪い声を出して、そして哀しくなって、走っていった。


【NPC/いじめられ証言】

※どれか1つしか聞けない。


004【石津/話せないなら】

 萌は、しゃべれなくて、喉に手を当てている。
 気持ちの悪い声を出して、そして哀しくなって、走っていった。

[選択1-1]
 (ほっとく。)
(そのまま終了)

[選択1-2]
 (腕をつかむ。)
 萌は下を向いたまま、目を思いっきりつぶっている。
 泣きながら逃げようと、細い腕に力を込めた。

[選択2]
 (筆談って手もあるよ。) / (しゃべる練習でもしようか。)
 萌は、びっくりして顔をあげた。
 まじまじと笑っている○○を見る。
 そんなことは、考えたこともなかった。
 もう駄目だと、ずっと思っていたのだ。
 萌は、じっと○○を見て、こくんとうなずいた。
 顔を赤らめて、もう一度、うなずいてみせた。
 萌にとって、それはどんな魔法より偉大な発見だった。
 嬉しすぎて、ちょっと泣けた。


005【石津/夜の笛〜第1夜】

 どこからか、優しい笛の音が聞こえる。
 …笛? …違う。なんだ…。
 心優しいその音に心惹かれていると、
 そのうち、曲は唐突に鳴り止んだ。
 人影が、遠ざかっていった。


006【石津/夜の笛〜第2夜】

 一人の少女が、屋根の上で黒い月と青い月を眺めながら座っている。
 萌が、猫を傍らにおいて指を動かしていた。
 何もない空間の空気が揺れ、音楽が奏でられている。
 …不意にこちらを振り向いた。

[選択1-1]
 (ほっとく。)
 (※へ続く)

[選択1-2]
 (呼び止める)
 萌は、脅えた目で、こちらを見た。
 いじめられると思ったようだ。

[選択2-1]
 (不思議な曲…綺麗。)
 萌は、足を止めて、なにかを言おうとした。
 結局何も言わず、指を震わせて音楽を奏でる。
 萌は、こちらを見て、下を向いた。[イベント終了]

[選択2-2]
 (やっぱりこいつ人間じゃない。)

 萌は、そのまま走っていった。
 ゆっくりそれを追いかける猫が、非難がましい目つきで、こちらを見ていった。


007【石津/夜の笛〜第3夜】

 一人の少女が、屋根の上で黒い月と青い月を眺めながら座っている。
 萌が、猫を傍らにおいて指を動かしていた。
 何もない空間の空気が揺れ、音楽が奏でられている。
 萌の隣に、座った。
 萌は何も言わずに、音楽を鳴らしている。
「…夜は…好き…。誰も…私を…いじめに……こないから…。
 …ちゃんと…話せないからって…、…笑われることも…ないの…。
 …伝説が…あるのよ…。
 …青い月から…死を告げる…舞踏が…来るの。
 …全ての…悲しみに…終わりが…来るように、…意味ある生があるために…死がいるのよ。
 …その舞踏は…やさしい…のよ…。
 …だから…、みんなが…いやがることを…
 …自分で行うことを…決めたのよ…。
 …私…ね…、はやく…自分の…順番が… …来ると…いいな…。」
 萌はそう言うと、顔を赤らめた。


他人のコアイベント関連


008【石津/来須について】

「…来須には…強力な呪いがかかっているわ…。
 …その血を…絶やすために…、呪いが…
 …かかってる…。
 …だから…人を好きに…なることは…ない…。」


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