本田「おーし、それじゃあHRを…。」
坂上「すみません、今回は私が直接話します。」
本田「おわっ?」
坂上「すみません。
先ほど、九州中部戦域の全軍に指令が下りました。最重要命令コードです。
幻獣の正体、幻獣のオリジナルが眠る古代遺跡が、熊本城の地下で発見されました。」
司令「ほんとう…ですか?」
坂上「はい。かなり大規模な、ね。
なんであそこに古代の山城があったか、学者先生の謎も解けたというところです。
我が小隊、以下、10個の小隊、および自衛軍がこれを防衛するために緊急配備されます。」
司令「熊本全軍の10分の1を、ですか。」
坂上「必要なら半分を突っ込むことになるでしょう。
今回は、それだけの価値があります。
明日の早朝から警備に入ります。
本日の授業は全部休止、戦闘準備を開始してください。」
※司令が不在の時はバグでフリーズします…。
善行「やれやれ。大変ですね。
熊本城と言ったら複雑な地形です。
通常の戦車部隊ではなく、人型戦車を装備する我々が最終防衛線でしょう。
覚悟しておきますか…。」
滝川「く、くそ、どうせそんなところだと思ってたぜ。俺はどーも、敵の動きがあやしいって思ってたんだ!」
遠坂「…まいったな…。
いや、こちらの話です。」
坂上「…それにしても、今朝、突然準竜師が連絡してきた時には驚きました。
あの一族は、一々秘密が好きですね。
まあ、青も信用していないということか。」
本田「今回は本物だな。
あの一族が、あれだけ必死に急いでいるのは見たことがない。」
石津「…芝村さん…から…聞いたわ…。
…がん…ばって…。」
加藤「熊本城って、あの地味な城? へぇ。
たしかに、大事な物守るには、あそこしかないって気はするわー。ベタベタやけど。」
森「これは、大変になりそうですね…。
急いで整備しなきゃ。」
狩谷「く、くそ、なんだって?
僕は聞いてない…。
奴等め…。」
瀬戸口「初耳だな。
そんな重要な機密なら、秘密のままやった方が安全のような気もするが…。」
若宮「…大変なことになりましたな。
まあ、我々人類のために、やれるだけのことをやりましょう。」
壬生屋「幻獣の、オリジナル…?
じゃあやっぱり、幻獣ってクローンなのでしょうか。」
原「忙しくなるわね。
先生はこの戦いに予備士魂号全部を使っていいって…。激戦よ、次は。」
ののみ「みんな、さわいでるねぇ。」
来須「…。」
準竜師「いかがでしょうか。
場所としては最適かと思いますが。」
市長「…しかしだね。
…あそこには文化財がいっぱいあるんだよ。」
準竜師「市民の財産と命ほどの価値はないかと思いますが。」
市長「そりゃそうだが…なんとかならんかな。
第6世代なんだろ? 君たちは。」
準竜師「都合のいい時だけ大人扱いですか。
…無理でしょうな。二つに一つだ。
市を全滅させるか、花見の名所が一つなくなるか。」
市長は苦悩するように手を組んで顔に当てた。
市長「市政始まって以来の決断だよ、これは。」
準竜師「英断ですよ。市長。」
さらりと言い直した準竜師の顔を見ながら、市長は頭の中で次の選挙のことを考えていた。
計算はあっさり出たようだった。
市長「…市民と話をしたい。」
準竜師「県民テレビでよろしいですか。」
市長「たのむ。
必要な犠牲とはいえ、市民にはわかってもらわなくてはならん。」
準竜師「…その言葉はこれから死ぬ将兵に言ってください。」
市長「…わかっとるよ。
私もあの焼け野原で育ったんだ。
分かってるつもりだ。
いつのまにか忘れていたがね。
準竜師の肩が動いた。
だったらどうにかせんかと思っているようだった。
それに気付かないかのように、大きくため息をつく市長。
市長「…70年も見ていた風景がなくなるんだ。
感傷もするさ。…だが、もういい。
どうせ西南戦争で主要な部分は壊れてるんだ。
もう一度くらい、壊れてもいいだろう。」
準竜師「戦うために城は作られているんですよ。
せいぜい過去の遺産とやらを今に生かしてやりましょう。」
市長「うむ。…あそこは北側が弱いぞ。
どうするつもりだ。」
準竜師「4個中隊を置く予定ですが。
…詳しいですな。」
市長「言っただろう、70年見てきたと。
あのあたりは庭のようなものだ。」
準竜師「…。」
市長は、遠い目をすると自分の頬を叩いて準竜師を見た。
市長「私もモッコスのつもりだ。やる時にはやる。
将兵には、派手に壊してこいと言ってやってくれ。選挙のことは気にしなくていい。」
準竜師はどういう表情をしていいか迷ったが、とりあえず敬礼してみた。
どうせ、すでに避難はかなり進んでいた。
単なる儀式とやらにも付き合ってやる余裕が出来ていた。
準竜師「結界機の用意をしろ!」
部下「住民避難は現時刻までに9割8分以上が完成します。」
九州軍総司令「残りは?」
部下「…旧市庁舎の一部の人間と、消防署の連中が残ってます。議員も居るようです。」
準竜師「なんで残るんだ。」
部下「…最後の一人が避難するまで、逃げる訳には行かないと言っています。自分たちは公僕だと。」
消防署の人たちも。
火事を消すのが仕事だからとか言っています。」
九州軍総司令「…ふ、第4世代にも、まだましな奴等が残って居たと言うことか。…いいわ。
一部隊つけて好きにさせなさい。」
部下「はっ。」
九州軍総司令「次。」
部下B「…誘導路、ほぼ固まりました。」
九州軍総司令「…囮は?」
部下B「全部隊が志願していますが。」
準竜師「たわけと言ってやれ。
一番生き残る可能性があるのは?」
九州軍総司令「5104小隊ね。あそこは錬度が高いわ。」
準竜師「了解した。そこに命じろ。
成功したら全員昇進だ。」
部下B「はっ。」
九州軍総司令「…真打は、どう?どこを当てるの?」
準竜師「あの地形を生かしきれるのは、熊本中どこを探してもあの部隊しかない。」
九州軍総司令「やれるの?」
準竜師「…やらなければ負けるだけだ。会長。」
九州軍総司令「そうね。分かったわ。
5121に、今日中に美味しいものを送ってあげて。」
司令「ここに居る全員が揃うのは、これが最後かもしれません。」
司令は、そう言って部下を見回すと口を開いた。
司令「…だからどうしたと、私は思います。
ここに居るのは仲間達です。
死のうと、生きようと。
同じ時を生きて、同じ未来のために、同じ敵と戦う仲間です。
…だから、私は生きろとは言いません。
立派に戦ってくださいと言います。
その後生き残るかどうかは、どこかのだれかが決めるでしょう。
…ここで勝てば、被害は最小限で抑えられる。
だから、勝ちましょう。
それでたくさんの人命が守られる。
以上。
…臨戦準備は夜明け、5時21分とします。」
司令は、笑って腕をまっすぐ伸ばすと親指を立てた。
全員が親指を立てる。
司令「戦闘準備開始。
全士魂号、クールよりホット!」
…そろそろだな…。
整備主任「整備、出来ました。」
司令「了解した。
全機体、ウォーミングアップ!」
整備主任「全機体ウォーミングアップ!」
司令「準竜師から前もって命令があった。
敵は北側から来る!
我が小隊はこれを正面から迎撃!
いけ!」
ののみタイプ「聞こえますか?
今、そちらの私と、精神回線を繋げました。
どうぞ。」
坂上「今回は本部から私がオペレートします。
敵の数は第一波は20。
全部で300はいます。
我が軍の包囲援軍が来るまで、持ちこたえて下さい。」
ののみタイプ「なお、今回の戦闘では、数機ですが予備士魂号に乗り換えることが出来ます。
御武運をお祈りします。」
[舞「敵の中に突っ込んで全開射撃する。」
速水「分かった。
無茶をするから、気を失わないでよ!」]
善行「善行です。B地区に敵が出ました。
そこを放棄してB地区に回ってください。」
滝川「…ここを捨てたら天守閣まで一直線ですよ!」
善行「知った上で言っています。」
舞「滝川、行くぞ。善行は賭けに出た。」
滝川「…死なないで下さいよ。」
善行「言いませんでしたか。
私は孫を持つまで死にません。
あと50年はありますよ。」
壬生屋「瀬戸口くん…。」
瀬戸口「命令は聞いたな。急いでB地区に行くんだ。」
壬生屋「…はい。」
善行「岩田君、ののみさんを連れて後方に。」
岩田「フフフ、分かりました。いきますよ。」
ののみ「…。」
瀬戸口「行くんだ。岩田、連れて行け。」
岩田「言わなくても連れて行きます。…お元気で。」
善行「また会いましょう。」
岩田は薄く笑うと、ののみをかついで走っていった。
遠坂「オペレーターの仕事を手伝います。
大丈夫ですよ。彼女は。絶対に死なない。」
瀬戸口「…信じさせてもらおうか。」
遠坂「ええ、信じてください。
私の勘は、良くあたるんです。」
[善行帰還等で、上記メンバーのうち誰かが欠けている場合のみ 「司令」は当時の司令NPC]
準竜師「俺だ。どうやら城の南側が破られた。時間稼ぎは終わりだ。
作戦の最終段階に移行する。」
坂上「ここを突破されたら、遺跡まで一直線ですが…?」
準竜師「ああ、あれか。あれは、嘘だ。お前達の小隊はB地区に移動。
ここの敵を全滅させろ。行け。」
坂上「生徒になんて伝えればいいんですか…。」
準竜師「ここで戦いに勝てば、どの道戦争は大きく人類側に傾く。結果は同じだ。
嘘でも真実でもな。部下に命令を。」
坂上「私は、教育者のつもりです。軍籍にはありますが、ね。
生徒達に前進を。…聞こえるか。」
司令「はっ。」
坂上「5121はB地区へ移動。現時刻を持って全滅戦に移行する。」
司令「はっ。小隊前進! 行け!」
※NPC名は当時の職業関係なく固定の可能性が高いです。セリフ提供者の所では瀬戸口は整備士だったそうなので。
瀬戸口「味方! 到着しました!」
準竜師「またせたな。」
善行「本当に
すぐにも攻撃を始めてください。」
準竜師「了解した。
…前座にしてはよくやったと誉めておく。
好きな物を陳情するがいい。」
善行「生き残った時に考えますよ。」
準竜師「そうか。では生き残るがいい。以上だ。」
坂上「お見事です。敵の掃討、終わりました。」
舞「…まだだ。友軍がいる限り、手を休めるわけがない。今回だけは、特にな。
これから戦闘を続行する。○○。
…われら芝村にとり、この戦場は故郷のようなものだ。我らは戦いの中で生を受け、戦いの中に死んで帰る。
好んではいないが、故郷であるに違いない。
なんとも心暖まる、我らの故郷だ。
我らは友も、恋人も、信頼も、ここで得た。
我らが選ぶ道は戦いの道。我らが戦っても死しても守るべき誇りは、そこにある。
万民のために、我らは最前列で戦おう。
だが、お前までつきあう必要はないぞ。
○○。
地獄は我らの故郷なれど、そなたは違おう。」
[選択1-1]
(つきあいます。)
舞「…そうか。
よかろう。そなたは我が一族だ。
思えば私も拾われた時は芝村ではなかった。
私は芝村に生まれたのではなく、芝村になったのだ。
そなたもそうであると嬉しい。
我らの伝説は言う。竜はただのトカゲだが、空を飛ばねばならぬから、空を飛ぶ。
火を吹かねばならぬから、火を吹く。
最強でなければならぬから最強なのだと。
トカゲは、全ての不可能を可能にしても、やらねばならぬことがあったのだろう。
不可能を可能にしよう。
そうすれば、多くの者を助けられる。
ゆくぞ。○○。」
[選択1-2]
(すまない。)
舞「…。
別に気にする必要はない。
我らの誇りは、そなたの誇りとは違う。
ではな、○○。
そなたとは話があった。
運がよければ、そなたと今一度話そう。」
舞は笑うと、颯爽(さっそう)と歩いて行った。
それが、彼女の姿を見た最後だった。
準竜師「俺だ。
敵は多いぞ。
舞「見えておる。」
準竜師「それだけだ。」
舞「分かった。
生きて居ればまた会おう。」
準竜師「そうしよう。
連絡を終る。」
舞「…今のか?
我らの別れの挨拶だ。
我らは、詩的ではないからな。
…あの程度で、かまわんだろう。
……。
…正直に言えば、そなたがついてこないのではないかと、少々恐れていた。
そなたの勇気と、ばかさ加減を疑った、私を許すがいい。そなたは本当にばかなことを忘れていた。
ばかめ、ばかめっ。
…終ったら、殴るなり、なにをするなり、好きにせよ。そなたにはその権利がある。」
[選択1-1]
(好きにするって、ああいうのもいいのかな。)
舞「…ちょっとまて、なんだ、その笑いは。
ばかもの! よりにもよって戦闘中にヘンなことを考えるな!
ばか! 私を想像に出すなら、私に許可を求めろと言っているだろう!
敵がきたぞ! 続きは後だ!」
[選択1-2]
(カダヤってなに?)
舞「…きょ、兄弟だと言ったろう!
ばかもの! 敵がきた!いくぞ!」
※【舞/そなたをカダヤにする!】を経験していない時は、選択肢は出ず、「…ちょっとまて、なんだ、その笑いは。」の方がそのまま出て来ます。
司令「…勝ったな。」
準竜師「そのようだ。
ご苦労だった。
これで、戦争は人類有利に傾くだろう。」
司令「上は戦争を終らせてくれるでしょうか。」
準竜師「職業軍人が気にする必要はないな。
いや、お前は学兵だったか?」
準竜師「精々選挙権を持ったら、信頼できる人間に投票することだ。」
司令「自分が、政治家になる道もありますよ。」
準竜師「俺は国防族になるつもりはない。
今日はご苦労だった。以上だ。
勲章と全員昇進くらいは約束しよう。」
司令「ボーナスもなく…か。」
準竜師「ふっ。通信を終る。部下をねぎらってやれ。」
※善行が生存していて、中村・森・原がテクノオフィサーの時のみ。
恐らく、三番機が速水と舞であること。従って実質PC速水限定?(2周目でもOK)
速水「舞…この機体は駄目だ。…脱出する。」
舞「分かった。10秒まて。」
舞の身体は迅速に反応した。
操縦を現状のまま、ロック。
速水は士魂号を軽く叩くと、頭を下げた。
速水に助けられる様に、大破した士魂号を捨て、背中から出る舞。
士魂号のマズルフレアを背に、走り出す。
無人のまま射撃を開始する士魂号。
舞「森か。次の機体を準備するがいい。」
森「了解しました。」
速水「大丈夫?」
舞「私のセリフだ。怪我をするな。」
速水「…戦っている人間に無理じゃないかな。
その注文は。」
腰を折られ、爆発する士魂号。
自爆装置が働いたのか。
原がトレーラーを派手に振り回しながら、止めた。
原「急いで!」
速水「分かっています。いくよ、舞。」
舞「30秒で全部の起動チェックをする。
人工筋肉のウォームアップをしろ。」
速水「分かった。
トレーラーから転がり落ちた瞬間から戦闘に入る。」
舞「了解した。」
双眼鏡を覗きながら中村は叫んだ。
中村「速い! なんだ? あの速さは!
芝村どもが出ました!」
善行「…居るものだな。
組ませればその数よりも強くなる人間が。
前に出させろ!」
速水「…○○がやられた!」
舞 「○○が脱出するまで援護する!」
速水「分った!」
壬生屋「…今、新しい機体にたどりつきました。機動します!」
瀬戸口「壬生屋機が出る。援護してくれ。」
滝川「こちら滝川! 次の機体で出る! 持ちこたえてくれよ! みんな!」