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結婚披露宴における写真撮影テクニック -機材-


最初に

披露宴での写真撮影と言われるとまず頭に浮かぶのが、「どんな機材で臨もうか」ということでしょう。描写のすぐれた高級レンズを持っていくべきだと思われがちです。でもちょっと待ってください。結婚式や披露宴での写真撮影は、誰のための写真撮影でしょうか。たとえ高価な機材で撮影したとしても、依頼した本人達が気に入らない写真を撮ってはただの失敗写真です。重たい機材に振り回されて、せっかくのシャッターチャンスを逃してしまっては最悪です。極端なことを書きますと、多少ぶつけても気にならないような機材で撮影すると、思い切った撮影もできます。レンズの描写性能自体よりも、扱いやすく、使い慣れていることに重点を置いて、レンズを用意するように心がけましょう。

カメラ・レンズについて

では「機材は何でも宜しい」では困りますよね。そこで筆者の利用している機材を紹介しながら、機材について考えてみましょう。暗いところでの撮影が多くなるので、明るい(大口径の)ズームレンズも確かに良いですが、機動性にすぐれた小型軽量のズームレンズや50mm、85mmといった単焦点レンズも相応しいと思います。35mm一眼レフカメラを2台用意し、1台には35mm-105mm程度をカバーするズームレンズもう1台には、50mmF1.4、50mmF1.8、85mmF1.4、85mmF1.8といった明るいレンズを用意しておくと、色々なシチュエーションに対応できますし、暗いところでの撮影にも便利です。

2001年現在販売されているAF一眼レフ用交換レンズの中から、適当なズームレンズをピックアップしてみます。

キヤノンEF 28-105mm F3.5-4.5 II USM - 
キヤノンEF 28-135mm F3.5-5.6 IS USM手ブレ補正機能
ミノルタAF Zoom 24-105mm F3.5-4.5(D) - 
ニコンAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF) - 
ペンタックスFA ZOOM 28mmF4-105mm F5.6[IF] - 
シグマ28-105mmF2.8-4 ASPHERICAL大口径(明るい)レンズ
シグマ28-105mmF3.8-5.6 UC-III ASPHERICAL IF軽量・コンパクト
シグマ28-135mm F3.8-5.6 ASPHERICAL IF MACRO - 
タムロンSP AF 24-135mmF/3.5-5.6 AD ASPHERICAL [IF] MACRO - 
タムロンAF 28-105mmF/4-5.6 [IF] - 
トキナーAF205 28-105mmF3.5-4.5 (IF) - 

このクラスのズームレンズはさほど大きくもなく扱いやすいです。広角側が28mmまであると祝宴の時に円形テーブルを撮影するのに都合が良いですし、100mm程度の望遠があればケーキカット、円形テーブル越しのキャンドルサービス等の撮影でも十分です。また、これらのズームレンズは50cm程度まで接写できるようになっています。これは披露宴会場内の花や飾りといった小物を撮影するのに便利でしょう。

上記以外にも各社から28-80mmの軽量コンパクトなズームレンズや28-70mmF2.8といったスペックの大口径レンズも販売されています。望遠側が70mmですと、ちょっと足りない場合があるかも知れませんので、このような時は望遠側を補うレンズを用意しておきましょう。望遠側は85mm〜90mm程度まであると便利です。この85mm前後が必要な理由の一つはキャンドルサービスのところで述べます。大口径レンズは、より高速なシャッタースピードで撮影でき、手ぶれを防ぐことができますが、大口径ズームレンズは大きく、重いため機動性・携帯性が悪くなります。いずれがよいのかは一概には言えませんが、フラッシュを利用するのでしたら大口径レンズでなくてもかまいません。上記のズームレンズの中で、結婚披露宴での撮影に大変便利なのが、キヤノンのEF 28-135 F3.5-5.6 IS USMです。このレンズの手ぶれ補正機構が、結婚披露宴のような比較的暗い場所での撮影で、威力を発揮することでしょう。また、望遠側も135mmと十分であり、この一本だけで撮影できそうです。ニコンユーザーの筆者は、この機能を利用できないのが本当に残念でなのですが、EOSユーザーの方はぜひ使いたいレンズでしょう。

なお、筆者の場合はボディーはNikon F80D(フラッシュ内蔵)、F90Sの2台、レンズは35-70mmF2.8、85mmF1.8の2本をメインに使用しています。85mmF1.8はノーフラッシュ撮影でも利用しています。この85mm F1.8というレンズは画角が披露宴のキャンドルサービスでの撮影に適しているだけでなく、明るいため高速シャッターをきれる、暗いところでもファインダースクリーンを確認しやすい、軽量コンパクトである(ほとんどのズームレンズより小さく軽い)など、利点も多いです。暗めのズームレンズしか使用したことのない方は、ぜひ一度使用してみて下さい。ただし、このような大口径レンズでは、被写界深度が極端に浅くなります。特に新郎新婦入場等の時にはピントに気を付けて下さい。

フィルムについて

会場内では暗い場所での撮影が多くなりがちですので、ISO感度400のネガを利用するようにしましょう。やはり、リバーサルフィルムよりも、現像・プリントの手軽さやプリントの時に露出の過不足をある程度補正できるといったメリットを考えるとネガの方が便利です。必要本数は時々によって異なりますが、筆者の場合、披露宴では平均2枚/分を目安にしています。2時間程度の披露宴なら36枚撮りフィルムを5本〜6本です。フィルムに関しては多くて困ることはありません。普通は会場内の売店などで購入もできますが、肝心なときに切らせてしまわないよう、多めに用意し、必ずポケットに1本、2本入れておくように心がけてましょう。披露宴での撮影では撮影に集中するあまり、フィルムの残り枚数の確認がおろそかになりがちです。いざというときにフィルム交換が必要にならないようにフィルムの残り枚数には気を配り、タイミングを見計らって(フィルムが途中でも)交換しましょう。以後は、ISO感度400のネガを利用することを前提に書いてきます。

フラッシュについて

最近のAF一眼レフカメラはフラッシュ内蔵の機種が多く、また披露宴では至近距離での撮影が多く、内蔵フラッシュで十分なように思えます。しかし、内蔵フラッシュはフードなどでケラれることがある、充電時間がかかる、多用するとカメラの電池の消耗が早い、といった短所もあります。フラッシュを多用するならガイドナンバー30(35mm、ISO感度100)以上の大型のフラッシュを別途用意しておいた方が良いでしょう。ガイドナンバーが30以上ですと、天井でのバウンスが可能であったり、絞りを5.6とか8まで絞っても十分に光が届くので便利です。フラッシュ使用時はカメラの露出モードをマニュアルにし、シャッタースピードを1/125sや1/250s(カメラによって同調速度が1/125sより遅い場合もあります)、絞りを5.6程度で露出を固定し、TTL自動調光するのが便利です。もちろん、プログラムモードでも撮影できますが、プログラムモードではシャッタースピードが1/60sになる場合があります。スポットライトが当たっている人物は意外と明るく(ノーフラッシュ撮影を参照)、このようにシャッタースピードが遅いと、人物が動いたときにぶれて写ることがあります。このようにネガフィルムを使う分には、絞りを固定してTTL自動調光することで問題なく適正露出の写真を撮影することができます。なお、カメラを縦位置にしてフラッシュを使用する場合、フラッシュの影が目立ってしまいます。このような場合には、影を消すためのスレーブストロボやストロボ光を和らげるためのデフューザを用意しておくと良いでしょう。

電池について

フィルムと同様、電池も予備を必ず持参して下さい。充電式電池の場合は前日までに必ず充電しておきましょう。筆者はフラッシュをほとんど使用しないのですが、万が一、カメラ本体の電池切れた場合を考えて、予備電池に加えフラッシュを持っていきます。このフラッシュの電池をカメラ本体の電池に代用できるためです(Nikon F90、フラッシュ共に単三電池四本使用)。なお、アルカリ電池は低温に不向きです。寒い時期に野外での撮影がある場合にはリチウム、ニカド、ニッケル水素電池を使用するなど、気を付けて下さい(筆者はまだ経験していませんが、スキー場での挙式という例もあります)。

フィルタについて

通常はスカイライトやUVカットなどのフィルタを常用していると思いますが、特に凝った演出をしたいのなら、クロスフィルタやソフト・フォギーフィルタなどを用意してみましょう((株)ケンコーハクバ写真産業(株)、マルミ光機(株)などから販売されています)。

筆者も、クロスフィルタを使用したこともありますが、撮影結果を予想しづらく(効果がほとんどなかったり、逆にクロスが入りすぎたり、ゴーストのようなものが入ったりで)、最近は使用しておりません。クロスフィルタにも4本線のもの(クロススクリーン)、6本線のもの(スノークロス)、8本線のもの(サニークロス)等ありますが、スノークロスあたりが、クロス線の入り具合もうるさくなく適度で良いかと思います。また、教会では(十字架にかけて)クロススクリーンを使うのも凝った演出です。クロスフィルタは、光源が明るいほど、シャッタースピードが低速なほどその効果が現れます。1/30や1/60程度のシャッタースピードならロウソクでも効果があります。1/125より高速なシャッタースピードあるいはフラッシュ使用では効果が薄くなります。このような特殊効果は個人の好みが分かれるところです。新郎新婦の好みを打ち合わせ時にでも確認しておくのが良いでしょう。

ソフト・フォギーフィルタを使用すると、ウエディングドレスやケーキのような白いのものディテールがとんでしまったり、AFがうまく動作しなかったりすることがあります。また、忙しい撮影の中で、フィルターを取り付けたり、外したりするのは面倒です。せっかくのシャッターチャンスを逃しかねません。そこで、(株)ケンコー等から販売されているSQフィルターを用意しましょう。このSQフィルターとは通常のねじ込み式の円形フィルターではなくて、100mm×125mm角程度の四角いフィルターです。本来はホルダーに取り付けて、普通の円形フィルターのようにレンズに取り付けて使用する物です。これをホルダーには取り付けずに、必要なときだけポケットから取り出してレンズの先端につけて撮影します。これなら必要なときにすぐに対応できます。

筆者の場合は、ノーフラッシュで撮影する関係上、C12(ブルー系)フィルタを用意しています。

一脚について

三脚の出番はほとんどありませんが、一脚なら三脚ほど機動性を失うことなく手ぶれを防ぐことができるので、スローシャッターに自信のない方は用意しておいても良いかと思います。筆者もノーフラッシュの時の手ぶれを防ぐ目的で一脚を使用したことがありますが、入場やキャンドルサービスの時は新郎新婦を追いかけなければならないので、やはり手持ちよりは機動性が悪くなり不便でした(椅子にぶつけたり、引っかけたりします)。

一脚を床に対して垂直に立てて使用すると、カメラの上下のぶれは抑えることができますが、前後左右にはわずかに動いてしまいます。この、前後左右の揺れを抑えるため一脚をカメラ前方に斜めに出し(カメラ部分が自分の方に倒れてくる状態にし)、撮影者は両足をわずかに開いてカメラのもたれ掛かるようにします。つまり、一脚と撮影者の両足で擬似的に三脚を作ることになります。この方法はぶれを抑えるのにはかなり有効です。ただし、機動性は多少悪くなります。なお、この前後左右の揺れを抑える目的で、二脚という物が(株)ケンコーから発売されているようです。また、一脚にカメラを取り付ける場合、クイックシュー(ハクバ写真産業(株)などから販売されています)を使って、カメラを素早く脱着して手持ちにできるようにしておくと便利です。このとき、筆者のようにクイックシューの金具で爪をはがすような怪我をしないよう気を付けて下さい。最近、筆者は一脚を使用していません。


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