「東の虎」deッセイ
NO.5
トランジスター先生
中学1年生の時の担任の先生は女の先生で国語の先生でした。
その先生は、背が小さく良くしゃべる…まるで、「トランジスター・ラジオ」のようでした。 私は、その先
生によって人生で学ぶ大きな物を与えてもらったような気がします。
それまであまり好きではなかった国語も、その先生になってからは、なんとかなりそうな気がしました。特に
文法や漢文が好きになってきた自分に驚きました。毎日授業後も先生が文法を習いたい生徒を集め「未然、連
用、終止、連体…」とか、「み、み、みる、みれ…」と、大きな声を出して教えてくれました。勉強なんか大
嫌いの私でしたが、なぜか参加しました。 おかげで、文法がだんだん得意になっていきました。事実高校に
入ってからも古典だけは頑張りました。トランジスター先生は特別授業のことで他の先生や、校長から目を付
けられていたらしいです。でも、トランジスター先生は自分の意志で信念を持ち私たちに教えてくれました。
トランジスター先生は、いつも「本を読みなさい」と私たちに言っていました。私もその影響でかなり読んだ
つもりです。授業中も大きな声で一人一人の顔を見ながら納得のいくまで教えてくれました。トランジスター
先生は小田実の「なんでも見てやろう」と言う本をぜひ読みなさいと、すすめてくれました。たぶん、若い時
は「なんでも見てやろう」と言う、良い意味でのどん欲さ…好奇心を持てと言ったような意味だったと思いま
す。現在の私は(高校1年当時)「なんでも見てやろう!」という好奇心みたいなものはあるのですが、いつ
も中途半端になってしまい、トランジスター先生の意とは少々違うのが残念です。トランジスター先生はとて
も忙しい先生だったのですが、私たちのことを思って「班ノート」と言うノートを作ってくれました。「6〜
7人のグループで一つの班を作り、一日にあった出来事を班の一人が書き、その返事を先生が書き返してくれ
る」と言ったように…。書く方はまだいいのですが、先生にとっては毎日6〜7冊の班ノートを毎日読み、そ
の返事を書く! とても大変な仕事だったと思います。私たち生徒は先生の返事がとても楽しみで心待ちにし
ていたのです。でも、先生も人の子…時には3〜4日返ってこないこともありました。しかし、できるだけ先
生も一生懸命返事を書こうとしてくれたのがわかりました。今考えると、ただでさえ忙しい先生が生徒の書い
た文章を読み、いちいちそのことについて感想を書いてくれた事は本当にありがたいと思います。それだけ生
徒のことを思い親身になってくれる先生はいないと思います。卒業する時には一年生の時の班ノートをまとめ
「はなしの広場」という本を作って渡してくれました。
その中のひとつを…
9月5日
夏休みにシートン動物記を読んだ。一番良かったのは「大はい色ぐまの一生」だ。
ワーブはお母さんを黒クマに殺されて、兄弟と別れてしまうし、やまあらしにねどこをとられるし、
コヨーテにもいじわるされたりして、とてもかわいそうだ。いつも敵にいじめられているので、ひねく
れものになってしまったワーブは、わなにかかったが、落ち着いてかんたんにはずしてしまった。ワー
ブの毛がみんなぬけてしまって、またはえたころは、腕は大きく力強く、つめは長すぎるほどのびて、
たくましくなった。ワーブはいじめられたコヨーテにもうらみをかえした。「前はすごく大きく見えた」