とかなんとか言いながら、しっかり一緒に入ってたりします。・・・風呂。
そういえば最初の日も一緒に入ったな、朝に。一緒に風呂に入るのが好きなんだろうか?
湯船の上には泡がもこもこと浮いていて、それはそれで面白い。
「子規くんはスポーツするの?」
バスタブの中で向かい合いながら尚也が聞いてくる。俺は泡を握って遊びながら、尚也を見返した。
「スポーツ?・・・うーん、スポーツかぁ・・・。スケボーとか好きだけど、別に部活でっていうのは・・・。中学の時はバスケ部だけど、今はもうやってないし。尚也は?」
「俺は、ダイビングかな。といっても16で始めたから、たいしてキャリアがあるっていう訳でもないけど。中学と高校ではテニス部だったよ」
ダイビングにテニス?どっちも続けるには金がかかりそうだなぁ。
「ダイビングって、スキューバ?スカイ?」
答えの分かってる質問。ダイビングという言葉で、あの写真の男の子の顔が頭をよぎった。あれ、誰なんだろう?
「スキューバ。スカイの方は、まだやったことないな」
そんな俺の気持ちには気付かずに、尚也がお湯の調節をする。ちゃんと俺の好みを覚えてるんだなぁ。ぬるめにしてるよ。
聞いてもいいのかな?あれは誰?・・・って。今なら、自然な流れって奴になるのかな?
でもなんだろう。・・・聞くのが、怖い。聞いてはいけないような気が・・・する。
「尚也ぁ・・・・」
「なに?」
バスタブのへりに肘を突き、正面から俺を見返す。浮かべた微笑みは、いつもと変わらない。
でも、やはり俺は質問をぶつけられずに視線を逸らした。
「どうしたの?」
尚也の方に伸ばしている脚を引っ張られて、身体が尚也の方に寄る。さすがに泡で隠れているけどお互い素っ裸なわけで、ちょっと俺はドキッとした。
「な・・・なんでもない」
バッ・・バカ!それ以上近づくなよ!あっ!だ・・・抱きしめやがった・・・。くは〜!!
みるみるうちに相手の術中にはまっていく自分が口惜しくもあり恥ずかしくもあり、俺はついつい顔を背けてしまう。すると尚也が俺の顔を覗き込んで言った。
「本当に子規くん可愛い」
「バッ!・・・」
さすがにこれは声に出た。俺の叫びが風呂場に反響する。なんでこいつはいちいち俺のことを可愛いとか言うんだよ!!
「いただきまーす」
にっこり笑って、怒鳴ろうと半開きの俺の口唇に尚也が口を重ねる。口唇が触れて、俺思わず後じさる。尚也、逃げる俺の口唇を追いかける。再び口唇が触れて、また俺は後じさる。そしてまた尚也が俺の口唇を追いかけて、俺の背中がバスタブの端っこに触れた。
「さて、次はどこに逃げる?」
楽しげに尚也が言って、俺は俯く。別に、そこまでして逃げたかったら最初っからここに入ってないでしょ。
そんな気持ちを、ぶーっととがらせた口唇で表現。尚也はふてくされた俺の頬に口唇を寄せると、俺を抱きしめながら言った。
「あははは。アヒル」
どうせ俺はアヒルですよ〜ん。ガアガア。
「ん・・・っ」
不意打ち。いきなり舌が入ってくる。脇の下に入れられた尚也の腕が、きつく抱きしめてくる。バスタブの中ですべるから、自然と俺も尚也にしがみついてるし。
「・・・・・・っ・・・」
指先に尚也の肩甲骨のカタチを感じながら、目を閉じる。暑い所為もあって、息・・・苦しいよ。口唇から、全部吸い込まれていきそう。そんな・・・尚也のくちづけ。
頭の芯がぼーっとしていく。やっぱり、こいつ・・・上手いと思った。
「・・・・・っはぁ・・・」
口唇を離されて、半開きの目で尚也を見上げる。座ってるからいいものの、俺きっと腰抜けてるんだろうなぁ。
「のぼせた?」
「ん・・・ちょっと・・・」
俺の言葉を聞くと、尚也がバスタブの栓を抜く。勢いよくお湯が減り始め、俺はもたれかかるように尚也の胸に額を乗せた。
「あつ・・・・・・」
意識が朦朧としはじめる。俺は小さい時からすぐに湯あたりをした。でも、今の状態ははっきり言って何が原因なんだかよくわからない。俺は尚也に体重を預けたままぐったりと目を閉じた。
「大丈夫?」
静かな尚也の声。お湯が残り少なくなったところで、尚也がシャワーを取って水ともお湯ともつかない温度の水を足の方にかけてくれる。火照った身体には程よい冷たさ。
「あ・・・気持ちいい・・・」
俺は言いながら薄目を開ける。尚也は少し心配そうに俺を見ていたが、俺と目が合うとにこっと笑った。
「手も出してごらん。かけてあげるから」
尚也が言って、俺が素直に手を出す。やっぱり気持ちいい。頭もすっきりしてくるし。
「ばばっと身体にかけちゃってくれてもいいなぁ」
「だめだよ。こういうのは身体の末端から徐々にやっていかないと、結構心臓に負担かけることになるからね」
尚也はちょっと真剣に言うと、俺の身体を背中から抱く。顔のすぐ横に顔があるよ。うわっ!またなんか急に恥ずかしくなってきたぞ。身体についた泡も、もはや風前の灯火。・・・って、言葉の使い方間違ってる??
「このまま洗ってあげる」
で、ボディーソープなんか出されちゃって。
わわわっ!手で泡立てたの・・・ぎゃっ!その手でそんなところ触んないで!
「ちょ・・・尚・・っ・・・・」
ぜってーこいつ確信犯!!!黒くて先の尖ったしっぽが生えてるに違いない!!
奴は俺の太腿を撫で、その手を胸の方に上げてくる。あえてそこには触れないところが、また逆に俺にその存在を意識させた。
「やっ・・・」
胸をつままれ、身体をよじる。手の滑りがいいもんだから、なんか変な感じ。
ぬるぬると這い回る尚也の手に、俺の身体は面白いほどに反応した。
「あっ・・・くすぐった・・・」
すっきりしてきた筈の頭に再びかかりはじめる靄。頭の中に心臓があるみたい。半開きの口唇には、再び尚也の口唇が重ねられ、俺は首を捻って尚也の舌に応える。その間にも、おあずけをくらってた場所に、尚也の手が伸びた。
「んっ・・・・んんっ・・」
足の先までもしびれさせる感覚。俺は思わず、俺の身体を挟み込む尚也の膝に手をかける。
困るくらいに気持ちが良い。一緒に風呂に入る利点ってこういうことなのかな?
「あんっ・・・」
自分のものとは信じられ無いほど甘い声。尚也の右手は前でそれを握ったまま、左手が後ろに回されて・・・。
「っ・・・ん・・や・・・」
ぬるりと、差し入れられる指。そんなにすんなり入るなって俺!と自分に突っ込みを入れたりして。でも、すっかり身体の方はほどけてしまってるというか、拒んでないよーという気を出してしまってる訳で、我ながら恥ずかしい。
耳たぶを噛まれて、尚也の吐息が聞こえる。あ、やっぱり尚也も息が熱い。なんか一人で興奮してるんじゃなくって良かったな、なんて思ってしまう。盛り上がるんなら、一緒に・・・がいいなぁ。やっぱり。
「ん・・あ・・・っ・・・や・・やだ・・」
「やだ?」
前も後ろも良いようにされながら、思わず漏らした言葉に尚也が聞き返す。子供をあやすような尚也の言い方に、またドキドキした。
「だって・・それ以上・・・っ・・されたら・・・」
そう。あまりにもあっさりゴール目前全力疾走。今にもゴールのリボンを胸で切りかねない。しかもこんなんで一番にゴールしても、あまり嬉しくなかったりする。
「いいよ。・・・何度でもしてあげるから」
「ばっ・・・そういう・・・ことじゃ・・・」
立てられた尚也の右の膝に体重を預けて、震えるような感覚に耐える。特に後ろの方。なんでこんなにくるんだろうってほど、やばい感じ。
前の方だって、もはや元気いっぱいでどうしようもない。
「我慢しなくていいよ」
って、手のスピード早めんなっつーの!!このいけず!!
「やっ・・・はんっ・・・んっ・・・」
だ・・・だめ。もうキッツイってば。頭ん中真っ白。目の前も真っ白。俺は尚也の脚にしがみついて、思いっきり目を閉じた。
≠≠≠Maybe that's a lie.≠≠≠
時計を見ると深夜の3時。もちろんいまだにラブホ。寝てたんだー、俺。
ベッドの真ん中で尚也のお腹を枕に寝ているらしい。目の前に尚也の顔が見える。
あれから風呂場で一回。ベッドに戻って一回の計2回いたしてしまいました。トータルでイかされた回数を数えようとしたけど、悲しくなってくるのでやめた。だって本当に本気でしやがるんだもん、こいつ。初めてん時のことそんなによく覚えてないけど、ここまではきっとしなかったと思う。相当・・・本当に、かなり!!恥ずかしかったんだからな!!分かってんのかよ、尚也ぁ!
獅子丸はいつものごとくお隣りさんに預けてあるからいいけれど、やっぱり少し気になる。帰ったらたくさん抱っこをしてあげよう。
それにしても、本当に俺、なじんじゃってるなぁ。いいのかなぁ。尚也はいままでもこんな風に誰かと短時間でなじんじゃったりしてるのかなぁ?俺には初めてのことだから、よくわからないや。頭乗せてるから、尚也の身体の中の音まで聞こえるんだよ。そんなこと、両親以外の誰ともしたことないぞ。
俺はベッドの上で起き上がり、大きく息をついた。そして思い出す、父さんのこと、母さんのこと、サムのこと。
住所、聞けばよかったな。今マシューさんがどこでどうしてるのか、知りたい。とりあえず、追いかけられるところまで追いかけたい。そうしなくちゃ、父さんに会わせる顔も無い。そうだよ。父さん、尚也に金払ってるんだもん。無駄にしちゃいけない。
「どうしたの?」
少し眠そうな、尚也のかすれた声。尚也はベッドの上で顔を覆っていた俺を見て、寝返りをうった。
「起こしちゃった?」
「・・・ううん。なんか目が覚めた」
そういうのを俺が起こしたっていうんじゃあ?と思ったけど、どこか寝ぼけてるような尚也も面白い。
「眠れないの?」
「大丈夫。俺もなんか目が覚めただけだから。尚也、寝てていいよ」
「うん」
尚也は意識の半分はまだ寝てるらしく、呼吸も寝ている時のそれに近い。
「おやすみ」
「おやすみ・・・あ」
俺が隣りに横になると、尚也が声を上げた。
「何?」
「言い忘れてたけど・・・・」
目を閉じたまま、尚也が言いかける言葉に、俺は身を乗り出した。
「何を?」
「聞いといたから」
尚也って、寝ぼけてるとこんなふうになるんだなぁ。普段が普段だけに、ギャップが激しいぞ。
「何を聞いたの?」
「マシューさんの居所」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・えええっ!?」
思わずあげてしまった奇声。それにもへこたれずに尚也は寝ぼけモードで、今にも本格的に寝てしまいそう。
そう言えば、最後になにかサムと話してた。あの時に聞いたんだろうか?なんて、痒いところに手が届く奴!改めて俺は尚也を見直した。
「どっ・・どこにいるの?」
尚也の顔に顔を寄せて聞く。
「・・・・・・・」
・・・と、心地よい寝息が聞こえる。ちょ、ちょっと寝るのは待って。あと一瞬!!
「尚也・・・尚也ってば」
肩に手をかけて揺さぶる。すると、薄く尚也の目が開いた。
「何・・・?子規くん・・・寝させて」
「うん、寝てもいいんだけど、お願い。どこなのかだけでも教えて!」
「教える・・・?」
するとけだるく尚也の手が伸びてきて、俺の身体を抱き寄せる。なんだなんだ?
「ち・・・違う!尚也!そんなこと教えないで!」
手がやばい所に伸びてきて、思わず尚也の身体を押し返す。こいつ、まさか起きてんじゃないだろうなぁ。アヤシイ。
「教えて欲しいのは、マシューさんの居場所!どこ?」
「アメリカ・・・・東海岸。ワシントンD.C.」
・・・・・げ!マジ!?
俺は心の中で、思いっきりひっくり返った。
≠≠≠Maybe that's a lie.≠≠≠
というわけで、『多分、それは、嘘。』のサイト掲載はここまでです♪
続きは2001年冬発行の本『多分、それは、嘘。』の方でお楽しみ下さい。
さらにカットや、本のみ掲載のおまけ番外編もついて盛りだくさんになる予定です♪
どうぞよろしくお願いいたします。