「被団協」288号 2003.1月

主な内容
1面 郭貴勲さんの勝訴が確定 原爆症認定第3次集団申請
2面  核兵器使うないっせい行動   核かくしかじか
3面  原爆症認定裁判  人生かけて訴える
4、5面 2003年新春座談会
7面 吉永小百合さんの原爆詩朗読がビデオに 各都道府県だより
8面 相談のまど

郭貴勲さんの勝訴が確定

 在外被爆者にも平等に「原爆被爆者に対する援護に関する法律」の適用を求めていた韓国人被爆者・郭貴勲さん(78)の控訴審判決で大阪高裁は12月5日、郭さんの訴えを認め、国側の控訴を棄却しました。
 判決は、援護に関する法律に「国籍条項を置かなかった以上、適用対象となり得る外国人が日常の生活関係において日本に居住も現在もしないことは通常予想される事態である。したがって、その合理的解釈に当たっても、『被爆者はどこにいても被爆者』という事実を直視せざるを得ないところである。控訴人らの主張は採用できない」と明快に述べました。
 原告の郭さんは、判決直後の記者会見で、「日本の司法は生きていた。うれしい」と全身で喜びを表わしました。
 日本被団協は、ただちに判決を支持し、上告するなの行動を展開。厚生労働省との交渉、要請行動を行ないました。
 国は、上告期限の19日までに「これ以上争うのは適当ではない」と、最高裁への上告を断念。判決を受け入れました。国は他の在外被爆者裁判も争うのをやめる見通しで、在外被爆者にとって大きな前進です。日本被団協声明



原爆症認定第3次集団申請

 12月6日、原爆症認定の第三次集団申請が行なわれ、14都府県の84人が申請書を提出しました。
 今回は新たに岐阜、福井、京都、兵庫、福岡の五府県が集団申請に加わり、このほか、宮城、東京、千葉、神奈川、長野、広島、長崎、熊本、鹿児島の9都県からも申請しました。
 7月の一次、9月の二次と合わせて、申請者は223人となりました。
 7月以前やいっせい申請日以外に申請した人を含めると、現在28都道府県でこの運動がとりくまれています。

 第3次集団申請では、福岡県から初めて34人が申請しました。夏から「被団協」新聞読者を中心に申請者発掘のための調査を行ない、その結果今回の大量申請につながりました。申請者は入市被爆者6人のほか、1km以内の人が5人、1.1kmから1.5km被爆の人が11人など現行の認定審査方針でも認定される可能性のある人も多く、この運動が現行制度を活用することにもつながっていることが明らかになっています。
 一方、7月の申請に対して、却下通知が相次いでいます。審査が迅速になっていることは確かですが、きわめて機械的な審査で、申請した被爆者をがっかりさせています。「却下」に対しては弁護士や被爆者の会の役員を中心に、異議申立ての準備を進めています。

法律家検討会 提訴時期など議論

 12月15日、第3回の集団訴訟法律家検討会が東京で開かれ、各地の弁護士、日本被団協の役員ら28人が参加しました。
 会議では、提訴の時期をいつ頃にするか、提訴者の範囲、モデル訴状の検討などが話し合われました。
 提訴の時期については、今年5月下旬から6月上旬に広島、長崎、東京で同時に提訴することが議論され、被団協や支援組織とも協議をして早急に結論を出すことになりました。


核兵器つかうな 被団協がいっせい行動

 日本被団協がよびかけた「アメリカの核使用計画に抗議する全国被爆者いっせい行動順間」の12月6日、各地で街頭宣伝行動などが行なわれました。
 東京・渋谷では、日本被団協と東京、千葉、埼玉、神奈川など首都圏の被爆者組織が共同して行動。被爆者と支援者ら約40人が参加し、寒空の下、「世界のどこにも核兵器を使うな、すべての核兵器を廃絶せよ」と書いたチラシ配布、ブッシュ米大統領と小泉首相あての要請ハガキへの記入と投函や、東・安井両裁判の支援署名などを呼びかけました。
 受け取ったチラシを読み、すすんで署名をしにきた女性は、「修学旅行で広島に行ったことがあります。国が先頭になって核廃絶を訴えるべきなのに、それをやらないどころか、被爆者をいまだに苦しめているのが許せません」と語り、募金もしてくれました。
 1時間の行動でしたが、用意したチラシ1000枚をほぼ配り終え、被爆者のパワーを発揮しました。


原爆症認定裁判  

安井原爆裁判 
 安井原爆訴訟の第17回口頭弁論が12月16日、札幌地裁で開かれました。
 国側証人として千葉大学教授の伊藤晴夫氏(泌尿器科)が出廷し、放射線と前立腺がんの関係について証言。証人は、まったく影響を受けないとはいえない、積極的に影響を否定している論文はないと答えました。
 次回口頭弁論は3月10日です。
 
東原爆裁判
 東京の東数男さんが肝機能障害で原爆症認定を求めている東裁判の第17回口頭弁論が12月18日、東京地裁で開かれ、支援者ら95人が傍聴しました。
 この日は、弁護団から、沢田昭二名古屋大名誉教授と斉藤紀医師の二つの「意見書」が提出されました。次回は2月3日午前10時。公正裁判要請の署名は累計7万。

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