「被団協」新聞 2000.4月

主な内容 
1面 「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」 伊東壮代表委員死去  NGOフォーラムに提言  
  被団協の書簡に各国より返信  
2面  臨界前核実験に抗議  北朝鮮から被爆者実務代表団  「いまできることを」外山雄三 核かくしかじか
3面  原爆裁判 松谷署名50万に  3.1ビキニデーに1,600人
4面 相談の窓


つたえよう ヒロシマ ナガサキ 新たに48氏が賛同

 「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」のよびかけ人事務局団体は3月10日、記者会見を行ない、20世紀の最後の年にあたり、核兵器廃絶を求める「被爆者の声を 国連へ 世界へ」という新しい呼びかけが2月に出たことを発表しました。
 また、このよびかけに賛同した48氏の名簿も発表しました。
 会見には、全国地域婦人団体連絡協議会、日本青年団協議会、日本生活協同組合連合会、原水爆禁止世界大会実行委員会、日本被団協からは藤平典事務局長と小西悟事務局次長が出席しました。
 「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」のよびかけは、97年6月に71氏の連名でなされ、これを契機に「原爆と人間展」が国内各地で開催され、世界41カ国にも普及されています。
 新たな賛同者には、日本原水協の赤松宏一代表理事、原水禁国民会議の岩松繁俊議長、タレントの大橋巨泉、料理人の周富徳、歌手の南こうせつ、俳優の吉永小百合の各氏らがふくまれています。



核廃絶を優先課題に−日本被団協 NGOに提言

 5月にニューヨークで開かれるNGOミレニアムフォーラムにむけて、日本被団協は、つぎの三項目が国連に提出されるアジェンダ(課題)に反映するよう、文書で2月に申し入れました。
 @21世紀の平和実現にとって核兵器廃絶こそが緊急の課題であり、最も優先して討議されるよう要望する。
 A広島、長崎と世界の核被害者の実態を調査、公表し、人権侵害として国連人権委員会に提訴し、関係国に被害者救済措置を迫ること。
 B核兵器による威嚇と使用は条件なしに違法とする絶対的違法説に立つことを声明すること。



日本被団協からの書簡に各国から返信

 日本被団協は昨年11月に、国連総会で審議される新アジェンダ連合提出の核兵器廃絶決議案に賛成するよう、131カ国の元首と小渕恵三首相に書簡を送りました。
 この書簡には九カ国から返信があり、核廃絶決議案は111カ国の賛成で可決されました。反対国は13カ国に過ぎませんでした。しかし日本政府は、棄権しました。
 つづいて今年1月、日本被団協は、新アジェンダ連合案の提案国になった53カ国と、反対した13カ国に新年のメッセージを送りました。
 これには8カ国から返信がありました。ジャマイカ国からは「(核兵器廃絶への)あなたの願いを共有したい」という丁重な返書が届きました。



臨界前核実験に抗議

 アメリカ政府は3月23日未明(日本時間)、1997年7月以来10回目の臨界前核兵器実験をネバダ核実験場の地下でで強行しました。
 日本被団協はこれに抗議し、24日午前、東京の被爆者ら13人でアメリカ大使館に出向き、クリントン大統領あての抗議文 を手渡し、「核実験やめよ」「核兵器なくせ」と、怒りの唱和をたたきつけました。
 東友会は、伊東壯会長を殺したのは原爆だとの怒りを込めた抗議文を手渡しました。
 報道によると、今回の実験では、使用した核物質の名前や量を非公開にするなど、従来よりも秘密主義の傾向を強めているということです。
 広島、長崎では、県被団協が抗議声明を出し平和公園で座り込み。福岡市原爆被爆者の会はアメリカ領事館に抗議文、熊本県被団協は辛島公園で座り込み抗議しました。



北朝鮮から被爆者実務代表団が来日

 北朝鮮に住む被爆者の初の公式来日を歓迎する「朝鮮被爆者実務代表団”歓迎の夕べ”」が、3月1日夜、全国町村会館で行なわれました。
 来日したのは李明国団長ら7人で、被爆者は、長崎で被爆した田順玉さん(64歳)1人でした。
 ”歓迎の夕べ”には、代表団受け入れの中心となってきた在日本朝鮮人被爆者連絡協議会の李実根会長、野中広務自民党幹事長代理、村山富市元首相、土井たか子社民党党首ら民主、公明、共産の各党代表が参加。超党派の歓迎となりました。
 李団長らの話では、北朝鮮には「反核平和のための朝鮮被爆者協会」があり、李団長は非被爆者で協会の理事。協会に現在登録している被爆者は1,301人。被爆者掘り起こしを始めたのが92年で、登録を開始した95年当時は274人でしたから、かなり掘り起こしが進んでいます。
 今回の訪日は、現地での被爆者医療のための研修が主目的で、広島赤十字原爆病院などで、医師が研修をうけ、7日に帰国しました。



原爆裁判の勝利めざし、決起集会

  最高裁判所、大阪高裁、札幌、東京、大阪、長崎各地裁で続いている原爆裁判の「勝利をめざす決起集会」が、3月15日、東友会主催でエデュカス東京で行なわれました。
 会場には、東京と首都圏の被爆者103人、支援の28団体の代表ら154人が参加。
 裁判の原告も長崎の松谷英子さん、札幌の安井晃一さんが出席。入院中の東数男さんは写真とメッセージで参加。在外被爆者の裁判は、東京の被爆者が報告しました。
 飯田マリ子東友会事務局長は、6件もの原爆裁判が続いているのは、国=厚生省が原爆被害の実相を正しく見ず、原爆犠牲のがまんを強いる「受忍」行政をしているからだと指摘し、被爆者への国の償いをさせるため、裁判勝利に全力をあげると決意をのべました。
 記念講演にたった池田眞規弁護士は、「伊藤サカエさん、伊東壯さんは、アメリカの原爆で殺されたのだ」とのべ、日米両政府に責任をとらせようと、力強く結びました。
 集会は、「原爆裁判勝利をめざす東京の会」の結成を確認、アピールを採択、松谷訴訟の歌「私は歩いていく」を全員で合唱して閉会しました。

松谷署名 50万人を突破

  原爆松谷裁判ネットワ−クは3月22日、最高裁判所に16,546人の請願署名を提出しました。
 これで、「上告棄却」を求める個人署名は、累計で50万533人となりました。
 この日の書記官要請にはキリスト教矯風会など9人が参加、「50万人を超えたことを直視し、一日も早く判決を」と強く要請しました。

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