「被団協」263号−2000.12月

主な内容
1面 京都原爆訴訟勝利 在外被爆者問題説明懇談会  ロシアの臨界前核実験に抗議   
2面  「21世紀 被爆者宣言」(第2次案)
3面  長崎のNGO集会  20世紀に思う−ジェームス三木 核かくしかじか
4面 相談のまど

京都原爆訴訟も勝利確定

 「原爆松谷裁判」の最高裁の勝利につづいて、11月7日「京都原爆訴訟」も大阪高裁で勝利判決をかちとりました。厚生省側は上告期限ぎりぎりまで検討しましたが上告できず、判決が確定しました。申請から15年目の勝利確定でした。
 「京都原爆訴訟」は、広島で爆心から1.8キロの船舶通信隊講堂で被爆した高安九郎さん(仮名=74歳)が、肝機能障害(C型肝炎)と白血球減少症での原爆症認定を1985年に申請。これが却下されたため88年12月に京都地裁に提訴、98年12月全面勝利の判決をかちとりました。しかし、国側が控訴したため大阪高裁で審理が続けられていたものです。
 判決は、白血球減少症について「高度の蓋然性をもって放射線起因性が認められる」として原爆症と認定。肝機能障害については、ウイルスによるものだからというだけで原爆症と認めませんでした。一審判決にあった損害賠償については却下しました。
 日本被団協は判決確定で声明を発表、「現行の原爆症認定制度の違法な運用を直ちに改めよ」「被爆者がガンになった場合は原爆症と認定せよ」と要求しました。
 高安さんは11月22日、肝臓がんの病床から日本被団協に電話をかけてきて、「今日が人生の最高の日です」と喜びをかみしめていました。  原爆裁判



在外被爆者問題 説明懇談会−国会議員13人参席

 「日本で受給した健康管理手当は、外国にいっても継続支給を」と、11月13日午後、衆院第一議員会館会議室で「在外被爆者問題 説明懇談会」が開かれました。
 会には、韓国原爆被害者協会から李鳳儀会長と大阪、長崎で裁判中の郭貴勲さんと李康寧さん、アメリカ原爆被爆者協会から友沢光男会長、在ブラジル被爆者協会から森田隆会長と森田綾子事務局長、日本被団協からは藤平典代表委員と田中煕巳事務局長ら被爆者と、在韓被爆者支援の活動をしている市民団体、衆参両院議員、議員秘書など70人が参加しました。
 会では、「厚生省の局長通達で手当が打ち切られるのは納得できない」など在外被爆者から訴えがあり、国会議員からは、「議員懇談会をつくって対応したい」など積極的な意見が出されました。

 参席した国会議員と秘書 (敬称略)
議員
*公明党 斉藤鉄夫
*民主党 今井澄、葉山峻、田中甲、家西悟、金田誠一、原口一博
*共産党 瀬古由起子
*社民党 中川智子、金子哲夫、大島令子、阿部知子
*二十一世紀クラブ 宇田川芳雄
秘書(議員名)
 自民党 谷畑孝/民主党 竹村泰子/自由党 佐藤公治/共産党 小池晃、畑野君枝/社民党 中西績介、北川れい子、菅野哲雄、田英夫



ロシアの臨界前核実験に抗議
 
 ロシア原子力省は11月3日、ノバヤゼムリア核実験場で、10月20日と27日、臨界前核実験を連続しておこなったと発表しました。ロシアの臨界前実験は、これで通算7回目。
 日本被団協はこれに抗議し、東京、神奈川の被爆者とともに16人で11月7日、ロシア大使館に出向き、プーチン大統領あての抗議文を渡し、ロシア語で書いたプラカードをかざし、抗議の唱和をぶつけました。また、今年5月のNPT再検討会議で行なった「核兵器廃絶への明確な約束」を実行せよと迫りました。
 広島、長崎、三重、奈良、熊本などの被団協も抗議の声明をロシア大使館に送りました。


長崎のNGO集会に3800人

 今世紀最後のNGO(非政府組織)集会となる「世界NGO会議 核兵器廃絶 地球市民集会ナガサキ」が、11月17日から20日まで開かれました。
 集会には海外16カ国と国内のNGO関係者がかけつけ、開会総会は1000人、閉会総会は700人、四日間でのべ3500人の参加となりました。
 この集会は、長崎市、ナガサキ平和推進協会、日本被団協や個人資格のNGO代表などで実行委員会をつくり、準備してきました。
 参加者は、「ヒバクシャフォーラム」「核爆発のない核実験」など10の分科会で意見を交わし、自主企画の討論会、展示などで、「核兵器のない21世紀への挑戦! 長崎を核戦争被爆最後の地に」と論じあいました。
 集会は、「核兵器禁止の国際会議を開け」などを世界に訴える長崎アピールを採択しました。

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