長崎原爆松谷訴訟


厚生省は11月20日長崎原爆松谷訴訟の福岡高裁判決を不服として福岡高裁に上告の手続きをしました。


上告の理由は以下の通りです。

・原爆症認定の要件である起因性について、福岡高裁判決は相当程度の蓋然性で足りるとしていることが、国としては承服しがたいこと。

・福岡高裁判決は原告の原爆症の起因性の判断にいたる専門的知見の採否に問題があると考えられること。


厚生省が11月20日、長崎原爆松谷訴訟について上告訴したことについて、日本被団協は21日、声明を発表し、小泉純一郎厚生大臣に送りました。

声  明

 厚生省は、11月20日、長崎原爆松谷訴訟について、福岡高裁の判決を不服として最高裁に上告した。

 11月7日の判決以来、厚生大臣に対して、「福岡高裁判決に従え」「上告するな」「松谷英子さんをこれ以上苦しめるな」という声を寄せた、全国の人びとの願いを無視しての上告であった。

 われわれ全国の被爆者は、この不当な上告に対し、激しい怒りをもって抗議する。

 松谷英子さんを原爆症と認定すべきであることについては、長崎地裁と福岡高裁が、二度にわたって、明快に、判決しているところである。

 厚生省はこれまでの被爆者行政を反省し、福岡高裁の判決にしたがい、松谷英子さんをただちに、原爆症と認定すべきである。  しかるに、厚生省は最高裁に上告することによって、認定を拒んだ。これは被爆者・松谷英子さんの苦しみをさらに続けさせ、大きくさせることである。

 しかも上告理由は、原爆による人間被害を、被害の実態から見ようとするのではなく、科学的にも未解明・未確定の数量を絶対的尺度として決めつけようとする、冷酷・非情なものである。

 われわれ被爆者は、こうした厚生省の上告に断固抗議し、ただちに上告を取り下げるよう要求する。

                                1997年11月21日

日本原水爆被静醂協議会


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