2002(平成14)年9月6日
第2次原爆症認定集団申請にあたっての声明
日本原水爆被害者団体協議会

 われわれ被爆者は、本日、全国各地でそれぞれの都道県知事に対して、第2次の原爆症認定集団申請をおこなった。
 本日申請した被爆者は、7月9日の第1次申請にひきつづき、あらたに原爆症の認定申請を決意したもので、15都道県、63人に及んでいる。
 第1次の集団申請は報道機関の大きな関心を呼び、テレビや新聞を通して大きく報道された。これらの報道により、原爆が57年を経た今日もなお被爆者のからだを傷つけ、心を苦しめつづけていることがあらためて国民の前に明らかにされた。原爆に対する関心の風化に嘆き、苦しみにじっと耐えてきた全国の被爆者は勇気付けられた。原爆症認定制度を初めて知った被爆者もあらわれ、さまざまな問い合わせが、各県の被爆者の会、中央の相談所に寄せられ、申請希望者が続々と掘り起こされている。
 こうして、第2次申請に参加した被爆者の被爆状況、疾病の状況は第1次申請者と同様、これまでの厚生労働省の原爆症認定基準にとらわれずさまざまであり、多くは、これまで「認定申請しても却下される」と申請をあきらめていた人びとである。高齢化し、病弱化しているなかで、「もうこれ以上我慢できない」、「57年間かかえつづけてきた病苦が原爆によるということを国に認めさせたい」という思いで、集団申請・集団提訴運動に応えて申請に踏み切った人々である。
 われわれは、前回と同様、本日の申請者全員が、厚生労働省の「疾病・障害認定審査会原爆被爆者医療分科会」で「原爆症」と認定されることを期待する。しかし、アメリカの核兵器政策を容認し、原爆の被害を極力小さいもの、軽いものとみなすために、被爆の実相を直視せず、被爆者の苦しみを「原爆に起因する」と認めようとしない日本政府の政策のもとでの「原爆症認定審査」では、多くの却下処分が予想される。却下処分に対しては処分の取り消しを求める裁判を起こすことを決意して、集団申請に参加した被爆者も少なくない。いのちをかけた最後のたたかいだと決意を語る申請者もある。
 被爆者は自らの体験を通して、原爆の被害が放射線の被害に狭められるようなものでないこと。放射線の影響についても、「DS86」という被曝線量推定方式や「原因確率」という基準で求められるような単純なものでないことを知っている。
 集団申請・集団訴訟の運動は、原爆の被害が57年たったいまなお被爆者を苦しめつづけていることをあらためて国民に知らせ、被爆者行政を抜本的に変えさせるにとどまらず、世界に向かって核兵器の残虐性を訴え、日本の核兵器容認政策を変えさせ、核兵器廃絶の運動につないでいく全人類史的な運動でもある。「核兵器なくせ」、「ふたたび被爆者をつくってはならない」と考えるすべての人びとに、この運動への支援・協力を訴える。


 トップページ  「被団協」新聞2002.10月号  「被団協」新聞バックナンバー