9月28日、日本被団協はこのたびのテロ攻撃を糾弾し軍事力による「報復」に反対する声明を出しました。全文は以下のとおりです。

2001年9月28日
日本原水爆被害者団体協議会
声  明

 アメリカでの同時多発テロ糾弾、軍事力による「報復」反対、平和的解決を求める

  
 われわれ被爆者は、多数の市民をいわれもなく巻き添えにし、幾千の生命を奪ったこのたびのテロ行為を怒りを込めて糾弾する。
 われわれは、このたびの一連のテロ行為によって命を落とされた人々に心から哀悼の意を捧げるとともに、負傷者、遺家族、友人など、多くの犠牲者が心身の傷から一日も早く回復されることを祈る。
 いかなる理由があろうとも、テロ行為は容認できるものではない。不特定多数にいきなり暴力を加え、大量無差別に殺傷するという行為は、人道に対する卑劣きわまる重大な犯罪である。平和的共存は人類にとっての不可侵の大原則であり、この原則を侵すならば人類生存の基盤は損なわれる。それゆえわれわれは、戦争に反対し、一切のテロ行為を憎む。
 アメリカ政府とその周辺で、テロに対する「報復」が叫ばれ、「拠点」といわれる地域への武力攻撃の態勢がととのえられている。日本政府は、この計画にいち早く全面的支持を表明し、「後方支援」の名目で戦闘用艦船を出動させた。
 われわれは、人類史上初の核兵器攻撃という反人道、残虐行為の生き残りとして、「報復」という思想そのものに反対である。いわんや、被爆国日本政府が、アメリカの「報復」に協力するなどということは、絶対に許せない。もしも、ある不当な行為に「報復」がゆるされるならば、それは永遠の悪循環を生み、地球と人類を救いようのない破局に追い込む危険をはらんでいる。
 われわれは、アメリカ政府と日本政府に対し、性急な行動を戒め、以下の諸点について再考することを要望する。
1.「報復」の思想を捨て、テロの「拠点」への武力攻撃、武力による威嚇の計画をただちに放棄すること。

2.核兵器を使わないこと、威嚇の手段としても用いないこと。

3.テロに対しては、これを糾弾する世界世論をつくりあげ、あくまでも平和的手段で対抗し、国際法に照らして裁く道を追求すること。

4.日本政府は、日本国憲法の立場に立ち返り、世界世論を平和解決の方向へ導くために全力をつくすこと。
  日本は、アメリカの軍事行動に協力しないこと。「周辺事態法」の発動、同法の拡大解釈、「見直し」ないし「新法」制定をやめること。


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