国・厚生労働省は韓国人被爆者・李康寧さんに対する長崎地裁の判決を不服として福岡高裁に控訴しました。
 これに対し、日本被団協は事務局長談話を発表しました。
 12月26日付の声明もご参照ください。


韓国人被爆者李康寧氏の控訴についての談話
2002年1月8日
日本被団協事務局長田中熙巳


  坂口力厚生労働大臣は、韓国人被爆者李康寧氏にたいする健康管理手当の支給にかかわる2001年12月26日の長崎地裁判決を不服として、本日福岡高裁に控訴した。
 昨年6月1日には、大坂地裁が郭貴勲氏の同趣旨の主張をみとめて国に対し不払い分の健康管理手当の支払いを求めた判決を下したが、厚生労働大臣はこれに対しても不当な控訴で応えた。
 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律には、居住地による支給条件の差別の規定はなく、被爆者が国外に居住することをもって受給の権利を奪うことは、法の趣旨に反する不当な行為である。
 われわれは、国が大阪地裁、長崎地裁の判決を尊重し、ただちに二つの訴訟の控訴をとりさげ、両名にたいし健康管理手当の不払い分を支払うことを要求する。
 被爆者はどこに住んでいようと被爆者であることに変わりはない。国はすべての被爆者に援護施策がおよぶよう、現行法を国家補償の法律に変えることを、ここに改めて要求する。  「被団協」新聞2002.2月


2001年12月26日
  在外被爆者にたいする差別に抗議し、
    長崎地裁判決に従い差別是正の措置を要求する声明
                       日本原水爆被害者団体協議会
                                                                     代表委員  坪井 直 
                                                                     代表委員  山口 仙二
                                                                     代表委員  藤平 典
                                                                     事務局長  田中 煕巳

 長崎地裁は12月26日、韓国人被爆者・李康寧訴訟について、健康管理手当の不支給分の支払いを命ずる判決を言い渡した。6月1日の大阪地裁・郭貴勲訴訟判決につづく、原告勝訴の判決である。
 日本被団協はかねてから、「被爆者はどこにいても被爆者であり、居住地によって差別をすることは不当」として、在外被爆者にも、健康管理手当などの諸手当を平等に支給するよう政府に求めてきた。大阪地裁と長崎地裁の両判決は、われわれの主張が正当であることを追認するものである。
 しかし政府は、24日に発表した予算案で、在外被爆者を引き続き差別する措置をとりつづける態度を明らかにした。これにたいして在外被爆者がいっせいに抗議声明を出したのは当然である。
 坂口厚生労働大臣がつくった「在外被爆者に関する検討会」ですら、「居住地によって援護に程度に差があるのは不合理」と答申している。政府予算案は、この答申さえも無視している。いったい何のための「検討会」だったのか。
 日本被団協は、在外被爆者を差別しつづける政府・厚生労働省の態度に強く抗議する。
 国・厚生労働省は、長崎地裁判決に控訴することなく、また、大阪地裁判決に対する控訴を直ちに取り下げ、両判決にしたがって、在外被爆者への平等な措置を明確にする予算案に、直ちに組み替えることを要求する。  「被団協」新聞1月


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