「被団協」新聞 1999.5月


1面 ハーグ世界市民平和会議 冷たい「原爆症」認定 
2面 「原爆と人間展」普及 新ガイドライン関連法案に思う-投稿 
3面 広島の原爆資料館、公式図録刊行 被爆体験集各地で出版 「在外被爆者」問題
4面 相談のまど 


核兵器のない21世紀めざして79人 ハーグで世界市民平和会議

 20世紀最後の大規模な国際的平和集会となる「ハーグ世界市民平和会議」が、5月12日から15日まで、「戦争のない21世紀をもとめる」を合い言葉に、オランダ・ハーグで行なわれます。

 会議は国際平和ビューロー、反核国際法律家協会、核戦争防止国際医師会議、世界連邦などのNGO(非政府組織)国際組織がよびかけ、オランダ政府が後援するものです。

 日本被団協は、被爆の実相普及、核兵器廃絶運動をいっしょにすすめている「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」の事務局を構成する日本生協連、地婦連、日本青年団、原水禁世界大会実行委員会、宗教NGOとともに共同代表団(全体で79人)をつくり、17人で参加します。

 ハーグでは、全体集会や、核軍縮や非核地帯などにかんする分科会に参加します。

 核兵器がもたらした被害を世界的に明らかにするため、特別セッション「世界の被ばく者の証言と核兵器廃絶へのとりくみ」も行なわれます。ここでは、日本の被爆者、在韓被爆者、マレーシア、ポリネシア、アメリカ、カザフスタンの核実験被害者がそれぞれの被爆体験を証言します。

 「原爆と人間展」パネルや原爆資料展も随所で開催されます。

 オランダ・レジタンス博物館との懇談も予定されています。

 会議終了後は、4班で行動します。@ウイーン・アウシュビッツコース。Aウイーン・ザルツブルグコース。Bロンドンコース。C新しくハーグ=ブリュッセル2,000年平和行進が加わりました。派遣募金を訴えています。

 ハーグ世界市民会議では、次の柱で討論が行なわれます。

【会議】のテーマ  戦争のない21世紀をもとめて

1 核兵器の廃絶をふくむ軍縮

2 国際人権法、人道法および諸機関の強化

3 武力紛争の予防および平和構築をふくむ紛争の平和的解決

4 戦争の根本的原因および平和の文化


1人認定 3人を却下 − 冷たい「原爆症」認定

 原爆症の認定申請が理由もわからないまま却下され、異議申立を行なっても何年も放置されていた人たちのうち、4人にたいする決定が、4月に送られてきました。

 徳田次迪さん(67歳)は、広島東白島中町で被爆。「下咽頭癌、胃癌」での認定申請が却下されました。咽頭癌手術のため声をだして話すことも働くこともできず、独り暮らしで、「何とか認定を」の思いで弁護士の援助をうけて異議申立を行ないました。この過程で被爆者手帳記載の「被爆距離2kmは間違いで、正確な被爆距離は1.65km」であることがわかり「記載事項の訂正」を行ないました。その結果「胃癌は、被爆地点・被爆状況から見て、放射線に起因する可能性は否定できない」と、却下処分が取消され、「原爆症認定」となりました。

 東数男さん(71歳)は長崎市大橋町1.3kmで被爆。肝機能障害での認定申請が却下され異議申立。このたび「肝障害の原因はC型ウィルスであり、被曝線量はC型肝炎ウィルスに対する免疫力の低下や感染の成立に影響を及ぼすものではない」と棄却。認定申請以来5年後の再却下に、東さんは「裁判する」と怒りを表わにしています。

 片野光雄さん(82歳)は広島楠木町2kmに8月6日夜に入市。耳下腺癌の認定申請が却下。異議申立も棄却されました。 山崎竹雄さんは広島皆実町2kmで被爆。食道癌の認定申請が却下。異議申立も棄却されました。異議申立から4年以上経ち、本人はすでに死亡。


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