平成12年10月15日掲載

  「特別寄稿作品」

   小 町 糸

        石坂 亜以子(岳同人)

やや甘き縫い目に愁い落し文

返り花乾き切ったる墨池かな

煮凝りや今日の思考のありったけ

狐火やひとりあるけば消ゆる橋

神鶏の遠出している木の芽晴

草の餅肩揚げ取れし頃の雲

風薫る小町糸なら通るめど

軒菖蒲むかしの神の来給いぬ

河骨の眉根やわらぐとき咲けり

糸蜻蛉直感という水を汲む

 

 

 

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