平成12年10月15日掲載

 しんまちびじつかん

 

骨太な裸婦照る秋の美術館

にんにく臭い蝶いる秋の美術館

原色や滅ぶというも夢の秋

裸婦は肥え低血圧の葦は枯れ

美術館戸越しの湖の風も秋

描かれし栗の歳月攻める紙魚

原色の脈動小旅はじまりぬ

絵に痴れて蒼白に出づ秋天下

ループタイ男を絡め取る秋日

焼肉に痴れて芸無き秋の蝿

玲瓏とおむすびころりん秋高し

錆び向日葵男の匂いふと放ち

薄野を出てコスモスへ飼われ犬

茸山にテープ万巻張られけり

人声の峰から谷へ茸日和

 

昭和63年11月「坩堝」所載

 

 

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