平成12年8月11日掲載

 

「特別寄稿作品」 

は く れ ん

                     三井 重子

 

冬の木を伐る簡単なことでした

いつも手を動かし冬の山鳩よ

はくれん錆びてクイーンエリザベス

北風にも南風にもはくれん

山辛夷散り尽きてから立ち上がる

雀百まではくれんのひらひら

花びらと波とそんなに違わない

山法師人間聖書はしょりたり

花椎や白無垢のとき捨ててある

はんざきと同じ高さで流される

グァム島へ煙となって帆走す

永き日の雀の飲み食いなりけり

一と晩は一処にねむりみちおしえ

八月六日上の葉の影下の葉に


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