音源サーバーで遊ぶ(その2):
デジタルファイルである音源データを読み出す環境や仕組みによって再生音がどのようにインパクトを受けるのか、その理屈も含めて正確なところは今もって良く判っていない。NASからサーバーPCに移行したのはもう随分と前になるのだが、その時にいろいろと研究し実験もしてみた。その経験値を経て現在のメインサーバーの構成に至っているのだが、これが結果として正解なのか確たる自信がある訳ではない。
外部電源対応させたUSB3.0接続のSSDとこれをマグネットフロートに乗せたものを引き続き試しているのだが、印象としては悪くない。だが、本当に評価できるものなのかどうか半信半疑でもある。そこで、もうちょっとだけできることをやってみようと考えた。まずケースであるが、ありものを流用したので筐体はプラスチックでHDD冷却用のファンも付いている。流石にこれでは十全とは云えないので、アルミ筐体の3.5インチHDD用のケース(ファン無し)を急ぎ調達した。また、マグネットについても四隅で浮かせているものにセンター位置にもう1ペアーを追加して僅かにであるが更に浮上させてみた。電源は未だスイッチングアダプターのままなのでVitropermグル巻きを経由させてはいるが、、、
この状態で、メインサーバー(その他のサーバーも含む)と改めて聴き較べをしてみた。メインサーバーはPCとして種々の対策を行ってあるものだし、ネットワーク的にはSFP対応させてある。音源はNVMe(M.2 SSD)である。対するは外部電源仕様のUSB3.0接続のSATA SSDとマグネットフロートという組み合わせでネットワークを経由しない。音源は同じであったとしても対策としてのアプローチ手法は違う。次元の異なる対決?とも云えるだろうか。
どうせなら、、、とその他のサーバーも環境を変えたものをセットアップして見た。まずサブのPCサーバー(Arch Linuxである点はメインと同じ)では内蔵HDDとしてみる。ラズパイサーバーではUSB3.0 SSDの直挿しへ。この2パターンを加えた4つの構成の音源サーバーで較べてみることとした。
ネットワーク構成はこれらのサーバーを切り替えて比較試聴するために、少し構成を弄った。上流ハブから光ファイバー経由で終端ハブを用意して、ここにメインサーバー(SFPポートによるDAC接続)、サブサーバー(RJ-45)、ラズパイサーバー(RJ-45)の3構成をぶら下げた。これらのサーバーを切り替えてAuralic Aries S1にて再生する。なお、サーバー切替はリモコンソフト(Auralic Lightning DS)から簡単に行うことができるので確認し易い。
テスト時のUPnPサーバー構成:(若干環境を変えて試した。右はサーバー選択画面)
Auralic Aries S1上のLightning DS Serverを使用するケースでは音楽データはネットワークの介在無しなので、その点のインパクトがあるかもしれない、と一応は推測してみたのだが、、、何となくというレベルのアドバンテージは感じられる。一方でその他のサーバー間では厳密には差があるのかもしれないが、その違いをきちんとした言葉で表現し得る程の差異としては感知できない。無理やり言葉にしたとしてもそれが正しく判断できている証拠なのか、と自問してみればあまり自信はない。光ファイバーやハブなどのネットワーク的な対応をある程度は行ってきていることの恩恵で均一化されているのかもしれないし、そもそも「差など無い」のか。
ストレージからの読み出しあるいはネットワーク経由の伝送と音源データの受け渡し方法は確かに異なるのだが、そこに引き摺られて差があると感じること自体がプラシーボのようにも思えてきたりもする、、、つまりは絶対的な有利不利があると云えるほど明確には感知できていないのだと思う。
だが、オーディオというのは「気分的なものも含めて」音の良否の判断は付き纏うもの。音というのは摩訶不思議なもので、ある種メンタルな部分にも随分と影響を受ける。従って、微妙な差異であればあるほど、一定期間、かつ多様な音源をきちんと聴いた上で「好み」の方向を選択していかざるを得ない。
ストリーミングが主役になるに連れて、NASやサーバーPCによる音の差異、是非はひと頃ほど喧伝されていない。不可思議なほど高価なNASも今や市場を賑わせてはいない。代わりに今はネットワーク関連のデバイスが主役となっている。だが、これとて微妙以上の優劣を感じられないこともある。オーディオファイルに訴求する部分は大いにあるとは思うのだが、ネットワーク機器としての性能の差がそのまま「音の差」とはならない。
趣味の世界であるので、世間の情報を信じることは誤りとは思わないし、市場の動向もそれに左右される。売り手の都合ももちろんある。自分でも在るか無いかという微妙なところを含めて積極的にいろいろなアプローチを試してきたつもりである。そして、その結果をベースとして現在の機器構成が成り立っている。
一方で、理詰めで成り立っている音を聴きたい訳では無い。「凄い」と思わせるような音を聴きたい訳ではない。ただ単に美しい音楽を屈託無く楽しみたいだけ。率直に云えば電源系ノイズが~振動が~というような御託に振り回されたいとは思わない。オーディオという名を冠した理論的な裏付けに乏しい「オーディ用何チャラ」というようなモノについての囁きは欺瞞でしかないと思う点も多々ある。だが、それもこれも自分で実験し、試し、己の感性で評価するしかない。結局そこに行き着く。そしてそれは自己満足でしかないことだってある。
けれど今回のようなチープな実験からも得られるものはあると思う。自分にとって価値のある音はその仕掛けや機器の価格で決まってしまうものでもない。大切なことは探求の先にある美学や哲学という範疇のものなのかもしれない(やや大袈裟だが)。
今回の対応の最終的な結論はまだ出せていないが、引き続き検証する価値はあると認識した。それはAuralic Aries S1という機器とそこで稼動しているLightning DS Serverというソフトウエアの成せる技なのか、外部電源供給というスタイルのせいなのか、あるいはマグネットフロートなのか。もう少しやってみる必要はありそう、、、
それもこれも結局は「遊びの世界」なんだろうと思う。でも遊びでもいいんじゃないか? 良かれと思って自分であれこれ考えてみて工夫しつつ実験する。それが趣味の世界の醍醐味でもあろう。結果として納得できる音にほんの僅かでも近づけるのならば本望というもの。改めて自分のライブラリ音源を堪能しているのだが、これもまた音楽の宝石箱であると実感する。
|