オーディオ日記 第51章 行く道は果て無く(その4)2021年1月18日


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プレイバックスタンダード:

我がオーディオ環境で音楽再生における「プレイバックスタンダード」と成り得るPCオーディオ、あるいは究極なるデジタルトランスポートを求めて早幾年月。構成などを含めてふらふらとし続けているのは結局これで決まり!というものにまだ出会えていないからだとの思いがある。当然音については自分としては唯一無二の究極でなければならないし、超極楽の操作性、そしてそれがPCオーディオであるならば鉄壁の安定性を伴っていなければならない。

ある意味伴侶選びと一緒のようで理想が高い(?)ほど出会いの可能性は低くなろう。だが、人生にもしなくても良い妥協としなければならない妥協がある。オーディオにもひたすら信じて細い一筋の道を迷い迷い進んだ結果、手にできるかも知れない音がある。

デジタル音源の再生にはそれがどのような機器であろうとある種のプロセッサーの類が必要であるのだが、そのハードウエア自体、あるいはそのプラットフォーム上で動くソフトウエアによって音が変わる、ということは最早否みようがない。だが処理能力が関係するのか、あるいは演算アルゴリズムにって影響を受けるのか、未だその真実たるところは何なのか当方には分かっていない。

最終的には自分の環境で試してみなければ、総合的な良否、音の良し悪しを語ることはできない。そしてそこには自分の好みも自らの総合的なオーディオ環境も密接に絡んでくる。それ故にあれこれと情報のアンテナを張り、これはというポテンシャルを持つものへのチャレンジを続けなければならない。

デジタル音源を聴くという上で、汎用性を考慮したPCをベースとしたアプローチが正しいものなのか今でも定かではない。そしてその中でもラズパイというコンパクトで廉価で余分と思われる機能を大胆にそぎ落としたような機器が適しているのかどうかも判ってはいない。しかし自分なりに理屈を付け、何らかの可能性を見出せるのでは、と思い続けてきた。

同じプラットフォームであってもソフトウエア的なアルゴリズムによって音が異なることもまた事実なのだが、多くの場合そのアルゴリズムは公開されないか、あるいは仮に公開されたとしても理解でき得る範疇のものかとなると当方の知識では全く心許ない(音を良くするという多くのオーディオ技術と同じ?)。もちろんいろいろな音を良くする為の仮説があって、それがあながち的外れではないことも様々な経験から実感してきた。

だが、最上究極に至る道は容易くはない。それはハードウエアを製作する側、ソフトウエアを開発する側にとっても同様であろう。より良い音へと昇華させ煮詰めていくには多大なコスト(時間、労力、アイデアなど)が掛かるものなのだ。利用者である当方もまた単に使うということだけではなく、取捨選択から始まり環境整備、ノウハウの蓄積が不可欠だと考えている。

現時点では朧気ながらではあるが、目標とするような姿が見えてきたと云って良いかも、と思い始めている。究極の、と決して云い切れるものではないのだが、当面のプレイバックスタンダード、あるいは今後音を比較するための標準原器としても成り立つものだと考えている。それはラズパイをベースとして永年研鑽が続けられてきた Symphonic-MPD の新しい構成、AoE(Audio over Ethernet)である。このAoEもベータ版として登場してから改良が重ねられ、現時点ではベータ11と大分進化してきた。今般のベータ11ではバックエンド(ラズパイ4)側の受信インターバルをチューニング要素として制御できるようになったのだが、当方環境ではこれが存外の効果。インターバルを短く設定し、高頻度(従来比2倍)かつ小容量で音源データを受信するスタイルとし、これにより負荷は若干高くなってしまうと思われるのだが音へのインパクトが良い方向で出ている。

このAoE構成においてベターと思ったフロントエンド(送り出し側)は実はラズパイではない。amdのCPUを搭載したPCである。このPCで稼働させているのはlightMPD X86_64_upnpgw_aoe(donuts_shop73バージョン)で、ラズパイ4のバックエンドと対で稼働できるようにlightMPDにAoE対応を施したもの。このフロントエンドとなるPCはAudio用PCとして工夫しながら組み立ててJPLAY FEMTO等で数年に亘り使用してきたものなのだが、AoE環境に適合するようにCPUクロックの見直し(1.6GHz定速にクロックダウン)やmpdのバッファー設定などいろいろ弄りながらチューニングを続けてきた。

それが今回のベータ11との組み合わせで、何ともベストマッチではないか?と思わせられる音を提示してくれるようになった。フロントエンドPCならびにバックエンドラズパイ4にはいろいろな電源系ノイズ対策が施されていることも功を奏しているのかもしれない。だが、これらは明白な根拠がある訳でもないし因果関係がきちんと把握できているということでもない。フロントエンド側としてはラズパイ4よりも高めのCPUクロックとなっていることも関係、影響あるかもしれないとは考えているのだがさほど自信があることでもない。あるいはまたフロントエンドとしている方のもう一台のラズパイ4は電源系対策が未対応なので、これを施すことによって変化があるかもしれない。

何にしてもかってない程納得の音。重心の低さと厚みの上に優雅で繊細な弦が乱舞する。広がりを維持しつつその震えが分かるほどに煌めく金管の咆哮。空気を切り裂いて凛と沁み通っていくトライアングル。演奏空間の透徹さ自然さは比類が無い。

大言壮語なのか気の迷いか、錯覚か。茫洋としてその答えは定かではない。だが、ここで聴ける音楽は幻ではなく現実でもある。オーディオファイルとして待ち望んだ見果てぬ夢のほんの僅かな一瞬なのかもしれないが、、、

(注釈)
バックエンド :音源データを受信し出力デバイスに送り込むだけの機能に特化したもの
フロントエンド:選曲、再生指示などのUIやデータ変換など音楽プレーヤ機能に特化したもの


                 4way MW16TX構成の設定暫定値(2021年1月11日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.7 +0.0 -10.5 +5.5
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -3.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.7 84.5 83.5 81.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

250
250

1400
1400

3150
3550

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -10.0 +28.0 -40.0 +26.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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