オーディオ日記 第50章 幸せのひと時(その14)2020年10月30日


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これはもう充分かも:

現状の構成がそこそこに詰まってきたように思えたので、次のステップとしてホーンドライバー(Sony SUP-T11)を中高域に使用するもうひとつの構成でのテストを開始した。

ユニットの位置関係から言えば、今までのSB Acoustics(ミッドロー)、Accuton(ミッドハイ)、Scanspeak(ハイ)という構成はこの三つのユニットがインライン配置なので、比較的音は纏まり易いと思う。だが、ホーンドライバーを使用する構成はユニットの位置が左右、そして前後に離れているために設定の難易度が格段に上がってしまう。しかし、エンクロージャやスペースなどの制限からこれは如何ともし難く、ある程度の妥協を覚悟して臨まなければならない。いすれにしてもデジタルチャンデバによるタイムアライメント調整ができなければ実質音を纏めることはほぼ不可能な配置だとは思う。

また音の飛びという観点からホーンドライバーは大きな振動版面積で前方に音を飛ばすFPSとの組み合わせの方が一般論的には好ましい組み合わせかもしれない、と予測もしてみる。

各ユニットの現状の配置:
SB Acoustics MW16TX

タイムアライメンや出力レベルは測定しながらそこそこで設定は完了するのだが、やはりポイントとなるのはミッドロー帯域としてのSB Acousticsユニットの受け持ち周波数。このユニットの音抜けの良さや反応の速さを生かそうと思うと、従来からのミッドロー帯域(200Hz~800Hz)を少し広げてみたくなるのは当然なのかもしれない。この周波数帯域はほぼボーカルの中心領域であり、音楽を構成しその性格を決めることになる。その役割にこのユニットは良く応えてくれている。音の素直さは期待以上と云っても良いかも。

そこで、第一段階としてミッドローとしての受け持ち帯域を思い切って1120Hzくらいまで上げてみた。だが、これはちょっと落ち着きがなくなるか、、、1000Hzに下げ、更に900Hzにしてみた。やはりミッドハイユニットとのクロスオーバー周波数はあまり上げず900Hzくらいまでに留めておいた方が心地良いのかも。そこで、一旦上は900Hzとして下の帯域を180Hz、160Hz、140Hzと徐々に下げてみた。これは先の構成での実験でもあまり下げると音楽の下支えや量感など物足りなくなるので中域の抜けの良さやすっきり感とのトレードオフとなるかもしれない。当方としてとりあえずぎりぎり許容できるのは160Hz位か。そこで、ミッドローとしての受け持ち周波数を160Hz~900Hzに固定して、多様なジャンルの音楽を聴き始める。

声の帯域が中心の受け持ちとなるので、ボーカルのプレゼンスが明確である。160HzまではSony SUP-L11が受け持っているので、ふくよかさを削ぎ落としてしまうほどではないがややすっきり感が増すのは確か。一方で、ここがこの構成のポイントでもあるのだが、ホーンドライバーとのつながりも案外と悪くはない。800Hzよりもむしろ900Hzとした方がどうも繋がりも自然である。この辺りは、ユニット配置などの課題もあるので、若干高めの方が好ましく感じるのかもしれない。

総じて、音楽のレスポンスがスムーズであまり気になるような反応は出さない。ホーンドライバーとは音の飛びの感覚が異なるのでミッドハイ側の出力レベルは僅かに落とした方がベターかも。この部分を比較すればやはりFPSの音の飛びには敵わないようにも感じる。しかし、音の鮮度感やシャープさ、という点に注目すればSB Acousticsも悪くないし、何より質感が高い。女性ボーカルの声の表現に関しては艶があるのに素直なので、このホーンドライバーとの組み合わせの方が好みだな~という感じでもある。これはこれでもう充分かも。Textreme、案外やるじゃないか!

ボーカルやインストルメンタル系を一通り聴いた後、クラシック系を聴き始める。鮮度感が裏目に出る事は無く、存外に弦も瑞々しく漂ってくれる。 オーケストラの低域も思ったほど痩せた感じにはならない。とにかく質感が高くヒステリックな感じは全く無いので、これならばクラシック系の音楽も充分に合格だと思う。FPSをミッドローとして使用した場合と比せば僅かに音の濃さが醸し出されてくるようでこの点も好ましい。ただ、気分的にはミッドローとしては16.5cmサイズのユニットではなく、19cmサイズのユニットの方が低域側の再生能力(と余裕)があって特にオーケストラ再生などには良いんじゃないかな~という気持ちが改めて出てきてしまう。

現状はまだこのCarbon Textremeの19cmユニットは手に入らないのであるが、最終バージョンの構成としては19cmサイズで行ってみたくなる。現在のユニットはボーカル専用でも良いかもしれないし、場合によっては小型2wayとして有効利用するアイデアもあろうというもの。スピーカーエンクロージャも自作の実験的なものではなくフィンランドバーチ材などを使ってちゃんとしたものを用意したくもなるのも自然な流れ。

左様に、そこそこ納得とは思いながらも、いやまだまだ先があると考えてしまうのは一体どうしたことか。オーディオは何処まで行けば果てがあるのだろうか。今この構成で聴ける音楽も充分に幸せであるというのに。懸案のモーツアルトも楚々として悪くないのに、、、

そういう想いに浸りつつ、ふと気が付いたのはユニットの位置。もしホーンドライバーとの組み合わせがベターであるなら、この構成では鳴らさないAccutonのユニットをどけてみたらどうなるのか? このユニットがあるために、SB Acousticsのユニットの位置がちょっと低いのだ。スピーカースタンドを従来の70㎝の高さのものに戻して、そこにこのミッドローユニット、その上にScanspeakを置く構成にしたら、耳の高さとの関係が改善される。160Hz~900Hzというのはやはり音楽の中心となる帯域なので、何らかのインパクトはないだろうか?

正直スピーカースタンドから変えるのは案外と面倒で、このような対応をしてしまうと、Accutonをミッドハイ帯域に使う構成にすることもすぐには出来なくなる。だが、、、当然ながら「もっと良くなるのでは?」という誘惑に古来オーディオファイルは勝てた試しがないのだ。当方とて同じ。

暫定での高さ合わせ:ちょっと危なっかしい
SB Acoustics MW16TX


                 4way MW16TX構成の設定暫定値(2020年10月22日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Accuton
C51
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 93.0 (+3.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.0 +0.0 +2.7 +6.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -3.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.0 84.5 80.7 82.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

180
180

800
800

2800
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 0.0 +35.0 +29.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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