オーディオ日記 第39章 扉を叩け、開け(その7)2016年11月 3日


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やるべきこと、できること、全てではないが自分なりの見直しをあれこれ行ってきた中で、少しづつではあるが当方のオーディオシステム構成も安定してきたと思う。現時点では喫緊で変えなければならないと思うような機器はないこともあって、あとは如何に使いこなし熟成させていくか、ということがこれからの目標であろう。

一方で、ある程度バランスも取れ音も纏まったかと思うとまたまた欲が出て来ることも人情かもしれないのだが、音楽の「響き」や「音色」についてもっと追求してみたくなるのだ。ただここで重要なことは、これは機器やシステムの設定に依存するという問題ではなくて、部屋、リスニング環境そのものに手を付けていかねばならないということでもあるのだ。

当方のリスニング環境はリビング兼用のためそこそこの広さはあるのだが、マンションのため天井が低いという致命的な(?)欠点がある。また、遮音は全く意識されていないので外部騒音の侵入もあるし、床の強度も足りないと思う。機器のレイアウトも横長配置ではなく、設置場所の制限から縦長配置である、等々。そこそこの音量で音楽を楽しむ分にはあまり問題はないのだが、時に爆音にまみれてみたい、というオーディオファイルなら誰しも(?)が夢見るはずの願望もある。

これらを一挙に解決するのは唯一専用に設えたリスクニングルームなのであるが、無いものねだりをしても仕方のないことなので、まずは現状において響きや音色の観点からどのようなアプローチを行えば良いのか改めて試行錯誤してみたい。整音グッズ(反射、拡散、吸音、調音パネルの類)の導入も過去に検討したことはあるのだが、異様なものはあまり部屋には置きたくないという希望もあって試聴したりはしたのだが実際には手を付けてこなかった。(それ以前にやるべきことがたくさんあって、それらを優先してきたという言い訳も、、、)

だが現実として、響きの良さ、というものを部屋に対して後付けで実装できるものなのだろうか。近くに試聴室があることもあって、AGS(日本音響エンジニアリング、Acoustic Grove System)というものも研究してみたことはあるのだが、なるほどと思う効果も感じられる一方であまりの価格の高さに手を出せず、ということもあった。

現状の部屋、という制約、制限の中で、一次反射や残響時間の調整も含めて果たして「響き」や「音色」の改善、というものがそもそも追求可能なのか、まだ解は見えていない。かなりの回数の測定を行ってきた結果として部屋固有のピーク、ディップもある程度ながら把握(若干の定在波の影響もある)できているのだが、イコライザに頼る補正では響きや音色の改善には結びつかない、ということももう充分判ってきた。

うつらうつらとモーツアルトを聴きながら、さあどうしよう、とは思うのだが、音楽の心地良さに浸ってなかなかアクションには結びつかない、、、

閑話休題:課題曲について

いろいろなチャレンジの果てに、設定を含めてシステムが落ち着きを見せ始め、秋の日々を音楽鑑賞三昧で送っている。多くはクラッシック系の音楽であるが、時に女性ボーカルもはずせない。お気に入りの歌手はそれほど多くはないのだが、、、

そんな中で最近女性ボーカル再生における課題曲としている曲がある。以下のの2曲は元々はtakeさん邸のオフ会の時に聴かせていただいたものであるが、その後もいろいろなオフ会にてこの曲を再生してもらって我が家のシステムとの比較をしてみている。いずれも最新の高音質録音を謳ったものではないが音楽としてのクォリティも高く、音楽としてどのように提示されるか、ということ自体が課題なのだ。ここでは、周波数特性、位相、タイムアライメント云々などということは忘れなければならない。

なお、takeさん邸のシステムはAccutonのダイアモンドツィータとダイアモンドミッド、それにFPS、Audio Technologyのウーファという垂涎の4wayマルチ構成であり、また石井式の専用リスニングリームと相俟ってここで再生されるこの2曲も再生の理想型に近い。



ひとつは寅さんの妹のさくら役で知らない人のいない倍賞千恵子。当方にとっては「歌手」としてはあまり馴染みのない人であるのだが、「まるで映画のひとこまのように」というアルバムの中から「PEU(プー)」という曲。この曲の当方の課題ポイントは、控えめで仄暗く秘めやかなピアノの伴奏から始まり、歌の前にナレーションが入るのであるが、その台詞、「サンタンデールの、、、」というたったそれだけのフレーズでシステムの持つ表現力が把握できてしまうと思わせるほど魅力的なのだ。このフレーズだけで真に「ぞくっと」鳥肌が立つような気配にならなければ我がオーディオシステムの再生能力は合格ではない。声の魅力だけではなく、録音におけるリバーブの使い方が非常に上手であると云えるかもしれないのだが。歌が始まるとやがて劇的な高まりを見せる部分があり、ここで声そのものや音楽が飽和してしまうようなら全く論外になってしまうほど難しく厳しい部分もある。

二つ目はこれも多くに人がご存知のカーペンターズ「Singles 1969-1981」から「Sing」で、おそらく聴いたことがないという人はいない(?)であろうと思う程の名曲である。1970年代の録音と思うが、録音のみならず音楽の持つ素晴らしさがここにある。豊かでのびやかなカレンの歌が自然に、かつ魅力的に始まる。この曲での当方の課題は、この部分と中盤から入ってくる子ども達の合唱のところ。雰囲気が良く解像度も高い録音であるのだが、バックコーラスとして子ども達がやや後方にズラッと並んで歌っている風景がその人数も含めて心象できねばならない。また一人ひとりの声、そして楽しそうに歌っている様子までが把握できてはじめて合格なのである。これは簡単そうで難しい、、、

我がシステムはこの表現ができるほど熟成してきているであろうか。時に何とかここまで来た、と思うこともある。だが、音楽そのものの持つ魅力を掛け値なし、全開で感じさせてくれるほどにはまだまだ至っていないとも思う。

4way構成の設定備忘録(2016年11月3日現在)

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
パワーアンプでの
入力絞り
dB -3.0 0.0 -10.0 -7.0
設定値
SP側での
アッテネーション
dB 0.0 0.0 -12.0 0.0
L-PAD抵抗
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0 +3.0 +7.0
Analog Att
OFF
スピーカーの
出力(想定)
dB 94.0 90.0 91.0 93.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

400
400

800
800

6300
6300

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-48 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 27 37.5 0 37.5 相対位置と
測定ベース
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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