オーディオ日記 第35章 賢者の導き(その8) 2015年 4月 6日


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ケンさん スペシャルバージョンのUSB DDC/DACが我が家にやってきた。これで音の出口のみならず、入り口部分もやっと揃った。このDDC/DACはPCMtoDSDならびにDSD対応ができるのでトータルな音がどう仕上がっていくか、楽しみと期待は尽きない。

USB DDC/DAC:左側はVoyageMPD用のALIX3D2と専用電源


このUSB DDC/DACは(製作者であるケンさんからの受け売りであるが)、FPGAをベースにしたDDCとES9018Sを使用したDACをI2S接続したもの。基板はいずれもエレクトロアート製。大きな特徴はPCMtoDSDとDSDネイティブの両方に対応していることである。PCMtoDSDは44.1K~192KのPCM信号を5.6MHz/11.2MHz(切換可能)のDSDに変換する。DSD信号は2.8MHz、5.6MKzを入力することができる。もちろんPCM信号を無変換でS/PDIFで出力することも可能だし、PCM信号のままD/A変換することもできるなど、いろいろと試したいと思っていたことがすべて可能な仕様となっている。また、非常に強力な電源(トランスを3個搭載)となっており、DDC/DACとしては異常とも云える位に重量がある。正にケンさん渾身の力作である。

送り出しは、 audiofunさん 特製電源にサポートされたALIX3D2ベースのVoyageMPD、WindowsベースではBug Head (Infinity Blade SQ)、JRMCを想定している。持っているDSD音源はそれほど多くないが、Bug Headも既にDSD対応されているので、Bug Headで再生するDSDも楽しみのひとつ。早速それぞれの環境でデバイス認識・再生確認を行ったが、USB Audio Class2.0に係わるような問題は全く無し。

今回このような仕様のUSB DDC/DACを製作していただいた目的は、基本以下の2点であるが、
1.PCM音源のPCMtoDSD変換対応(先にKORG DS-DAC-10では音質的に不首尾に終わっている)
2.DSD音源のNative再生
大きな背景事情としては、現状デジチャンにPCM信号をインプットする構成のため、4wayマルチアンプシステムでは後段に8chマスターボリュームを必要とすること。なおかつ、その8chマスターボリュームを調達することができておらず、暫定構成で我慢している状況にあること。上記2点に関して納得できる音となれば、USB DACからプリアンプ(今まで休眠していたC-290Vの復活となる)を経由して、デジチャンにはアナログ入力という、これまでやむにやまれぬ「音」の事情から避けてきた構成とすることができるのだ。もちろん、アナログ再生においても基本同じ仕組みでシンプルに対応できることになる。

一方、FPSとベリリウムツィータを新たに加えた4wayのスピーカー構成も試行錯誤しつつ納得の境地に至りつつある。まだまだゴールは見えていないが4wayに移行して良かったと心底思える調整・仕上がりである。やはりスピーカーはユニットの実力(と当然ながら使いこなし)がダイレクトに音に現れてくるのだ。なお、4wayの設定ではツィータを当初の目論見通り4KHzとするものと、2.5KHzから使うというスタイルとの2種類で行くこととした。後者の設定は実は想定していたものではないが、このベリリウムツィータの実力が如何なく発揮され、その気持ちの良い音がとても堪能できるのだ。

当初の目論見:
1.LOW    SONY SUP-L11     ~224Hz
2.MID-LOW  FPS          224Hz~900Hz
3.MID-HIGH SONY SUP-T11     900Hz~4KHz
4.HIGH   Scanspeak D2908    4KHz~

もうひとつの設定:
1.LOW    SONY SUP-L11     ~224Hz
2.MID-LOW  FPS          224Hz~800Hz
3.MID-HIGH SONY SUP-T11     800Hz~2.5KHz
4.HIGH   Scanspeak D2908    2.5KHz~

なお、いろいろなテストを開始するに際して、従来の中途半端な構成をUSB DAC、プリアンプ、デジチャン、パワーアンプというスタイルに組み直した。このためデジチャンにPCM信号を入れるという構成との比較はできない。この点少し悩んだが、現状の暫定スタイルにプリアンプを加えたような屋上屋を重ねた構成では真の音を確認できないと考え、思い切ってストレートな構成とした。プリアンプ(C-290V)はこのところアナログ再生におけるフォノイコ機能以外はお役御免状態だったので、しっかりと通電を行い、本領発揮してくれるように期待。

まずはシンプルで使い勝手の良いVoyageMPDから試聴開始。D/A変換はPCM信号のままで行わせる。これは最初に原点となる音をしっかりと確認してからでないと、この後の判断が難しくなると考えたため。いつものデモ的に使っている音源を聴く。

・・・・・・何だか、これで充分・・・・

改めてC-290Vというプリアンプの音の良さも実感できるのだ。もちろん4wayでユニットを入れ替えた効果もあると思うのだが、前段がしっかりとしてくれば、デジチャンにはデジタル信号入力がMUST、とは云いきれなくなる。元々アナログ再生においてはデジチャンにアナログ信号を入力しており、それでもアナログの良さは実感できていたこともある。もちろん、このUSB DACの音の安定感、良さの貢献との相乗効果と思う。もしかしたら何だか遠回りしてきたのだろうか。いや、喩えそうであっても、今ここで鳴っている音は以前では得られなかったものだ。悪戦苦闘をしてきた経験とより良いユニット、装置・電源の入手があって初めて実現できるものだ。これならば、8chマスターボリュームの悪夢から逃れられるかもしれない。

この先PCMtoDSDとの比較やDSD音源でさらにじっくりと煮詰めて行きたいと思うが、今はこの構成で再生される音楽をとにかく楽しんで聴きたい、とそう思わずにはいられない音なのだ。一人ではとてもここまでは辿り着けなかった。オーディオ仲間の暖かいアドバイス・支援、ならびにこれらの装置・電源を製作いただいた方々に深く謝する次第である。


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