オーディオ日記 第12章 次のステップへ(その3) 2000年 5月10日


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P-30の購入によって感じ始めていた低音の違和感がどうしても拭えず、また高域についても柔らかさは出ているのだが、聴き込むと切れ込みや繊細さが不足してどうしても納得しかねた。このまま使いつづけるのはどうしても我慢できないということで見切りをつけて4月24日の日曜日に購入したものを26日火曜日にはDP-90との交換を申し入れ、購入金額の差額だけで新宿店から無事取り寄せてもらえた。追金は71,000円程度であった。(185,000円が本来の価格。バランスケーブルを一緒に買ったため多少高くなった。)

DP-90はリモコン(これが使い勝手、質感とも最高であった。また、このリモコンにより 従来ディスプレイオフとなっていたDC-91の表示をオンにすることができた。やはり、こちらの方表示をオンとした方が気持ち良い。また、リモコンにて音量調節が可能であるのがまたうれしい)とSTリンクケーブル、バランスデジタルケーブル等の附属品完備。ただし、パネル左下に落下した時についたような傷があった。これには多少がっかりしたがやすりで丁寧に削ることにより、まあ何とか見栄えの問題は小さくなった。

さて、肝心の音であるが、こっこれは!? とにかくP-30の音とは雲泥の差がある。先にC-290Vを導入した時のように明らかに音のランクが違うと感じられる美音であった。まず音の透明度、高域の切れ込み、質感が申し分なく、高域にささくれた感じが一切しない。またボーカルも声の実在感と芯があり、リアリティが高い。低域についても良く締まり、豊かでP-30で感じた違和感など微塵もない。明確な理由は分からないが、P-30はDC-91との相性がどうも良くなかったではないか、としか言いようがない。やはり信頼のAccuphaseであろうか。AccuphaseがSONYのドライブを選択した理由はこういうことなのだろうか。確かにドライブメカはVRDSの方か良いようにも思えたが、そのような差は関係ないという感じである。 聴き始めは附属のSTリンクで行ったがバランスケーブルでも差はほとんど感じられない。その後もずっとSTリンクケーブルで使用している。(DP-90の出力はSTリンクであっても44.1KHzであった。この辺り、P-30とは設計時期が異なるためかもしれない) 今更ながらCDトランスポートによる音の違いがこれだけあるのかと、驚いてしまった次第である。 結果DP-90にして本当に良かった。

また、いろいろな条件が改善され、全体的に音が良くなってきていたのもこの差が明確に把握できるようになったためと考えられるが、何にしろ良かった。本当に、涙が出るくらいに。オーケストラなど楽器の数の多いものも良く分離して混濁感を出さずに再生するし、弦もきれ込みを失わずに良く漂い、決して聴き辛くはならない。ホールトーンやエコーの感じも非常に明確で良くなったし、何よりもボーカルの良さ(自然さ)が特筆に価する。
従来より結構気にしていた中島みゆきのボーカルのある種のささくれた感じも非常に小さくなって、納得ものである。ある意味ではやっとアナログを追いぬいたと云えるかもしれないが。また、低域についても非常に締まった感じでブーミーな印象は少ない。それでいて、ここぞ、という時には盛り上ってくれるうれしさ。ただし、全体のバランスが良くなったせいか、特定のソースのみゾクゾクっと来るような鳴り方はしない。どんなソースでも破綻なく、キチっと再生してくれる。 これがいわゆる普遍性という奴かもしれない。 従って、ここをこうしたい、あそこをこうしたい、というような感覚が聴いていてあまり起こって来ず、ひたすら気持ち良く?聴けてしまう。


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