ドワーフクエスト
第七章 バーミル・スラルレオの真実
「バーミル・スラルレオ」


●バーミル・スラルレオの住人
*やっとの思いでバーミル・スラルレオに辿りついた一行を出迎えたのは、巨大な虫だった。

フンディン: !
フンディン: この!


*虫を倒してあたりを見回す。間違いなくバーミル・スラルレオなのだろうが、想像していたものとはまるで違うようだ。整形された巨大な地下洞窟ではある。しかしそこには巨大な虫とその活動の跡や、恐らく閉鎖時に崩されたのだろう崩落の跡、廃棄された品物の成れの果てが散らばっている。

フンディン: く…

スキールニル: 無事か

フンディン: バーミル・スラルレオは使われなくなってから
フンディン: すっかり廃墟と化しているみたいだね
フンディン: こんな生き物まで潜んでいるなんて…

スキールニル: 亡者がひしめくよりはありがたいぜ

フンディン: この穴…
フンディン: まだ新しい

スキールニル: 何の穴だろう
スキールニル: 巣穴か?

フンディン: 虫が…どこかから入ってきたみたい

エル: 地蟲のたぐいかな

フンディン: この大きさなら一人ずつなら通れそうだ

スキールニル: 虫がうじゃうじゃいたりしないだろうな

アル: しかし橋が壊れてるんじゃ

フンディン: ?

スキールニル: ホントだな


*入り口のホールの正面は地下水脈を利用したらしい深い堀になっており、中央部へと四方から橋が伸びている。中央部の島のようになっている部分は美しいカーブを描くアーチがあり、そのアーチの上も水が流れていたようだ。きっと美しかったに違いないそこは、今は虫の巣の一つになっているようだ。封鎖され、長い年月を経た今、ここの住人は彼らなのだ。

フンディン: ほんとうだ
フンディン: あの橋、崩れたのは最近みたいだ

スキールニル: 人為的なものかもしれないぜ

エル: ふうむ


*スキールニルは橋を調べる。(判定に成功)橋は老朽化のせいもあるが、原因は虫に食い破られたせいだと思える。

スキールニル: あの蟲の所為みたいだ
スキールニル: だいぶ古いし
スキールニル: 昔みたいに泳いでわたるってわけには
スキールニル: 行かないようだ

*泳いでる最中に襲われた場合、前回の様子だと確実に危険だからという判断。特に渡ろうとしている先が虫の巣になっていれば当然、軽装で泳いで渡るのは危ないとわかる。

フンディン: 昔ってほどじゃないけどね…

スキールニル: だいぶ昔のような気がするな

フンディン: 仕方ない

スキールニル: 穴にもぐるか

フンディン: この穴をくぐって何とか向こう側へ渡る道を探してみるしかなさそうだ


*この入り口のホールからは本来、中央の庭園(?)へと進む橋と西側へと向う通路があった。しかし現在、橋は落ちていて通路は崩落してしまっている。つまり先に進む手がない。

スキールニル: 名案てほどじゃないが他に方法もない

アル: かさかさって音がしてる
アル: 俺にはあの虫の歩く音に聞こえるな


*穴に聞き耳を立てていたアルが(判定の必要もなく成功だが、一応判定はしてもらって)虫の動く音を聞いた。

フンディン: …

スキールニル: やれやれ
スキールニル: 俺から入ろう
スキールニル: いくぜ


*スキールニルは穴に潜り込んだ。穴の中はなんとか通れる広さだが、とても盾や武器は使えそうに無い。使えるとすれば小型武器しかない。

スキールニル: ちっ

アル: 気をつけて

フンディン: そういえば短剣があった
フンディン: 少し魔法がかかっているから、これなら…


*続けてフンディン、エル、アルと入っていく。

フンディン: スキーニー、ちょっと顔蹴らないでよ!

スキールニル: あーこれお前の顔か

フンディン: 髭にドロがついた…

エル: 背負い袋がでかすぎるな

アル: きっとスキールニルの剣もつっかえてるんだろうな

スキールニル: ちい蟲が!

フンディン: なに? なにかいたの?


*スキールニルは穴で遭遇した虫を倒した。

スキールニル: 蟲はどうにか駆除したよ
スキールニル: なんとか進めそうだぜ

フンディン: なんか変な液が上から降ってきたんだけど・・
フンディン: ぺっ、ぺっ

スキールニル: あーそれね

フンディン: これもしかしてスキーニーが切ったアレ?

スキールニル: 体液

フンディン: うえっ

スキールニル: いやメイスでつぶしたから
スキールニル: 肉・・って言うかそんなのも混じってるかも

エル: 斧が引っかかった


*穴はまだ続いているようだ。それまで中腰で歩けた広さだったが、それも難しくなり這って進む。

フンディン: だからスキーニー
フンディン: 蹴らないでよ!

エル: わざとかね

スキールニル: いや悪い

フンディン: …

スキールニル: あんまりわざとじゃないよ


*ついに上に出る穴を見つけた一行はそこから上に出るが…

フンディン: うわ
フンディン: げほげほ


*そこにいたのはスタグビートル。悪臭を放つ巨大な虫だ。あまりの臭気にアルとスキールニルは行動不能になってしまった。

フンディン: く…
フンディン: 動きを良く見れば・…


*が、フンディンの活躍で撃退した。

フンディン: はあ…はあ…
フンディン: アルドリックさん!

エル: 兄者

フンディン: しっかり

アル: くっ

フンディン: スキーニーも…

エル: なんやら焦点が合ってないぞ

フンディン: 大丈夫?
フンディン: 少し休もう
フンディン: とりあえず虫はいなくなったみたいだから…

アル: 頭をかまれた

フンディン: 薪はまだ残っていますか?

エル: 少し痩せてよかったんじゃない

フンディン: 虫除けに火を炊こう

アル: 相手が虫じゃなぁ


*フンディンは火をおこす。

フンディン: ファイアビートルの仲間だから…
フンディン: あんまり火は関係なかったかも…
フンディン: 少し休むよ


●探索
*休んだ一行は、虫の食い破った穴から通路に出た。どの辺りかはわからないのでそのまま探索しかない。

エル: どうした、兄者

フンディン: アルドリックさん…

アル: 風が通ってる気がしたから
アル: 扉だ


*アルの見ているほうを見ると、上に向う階段の先に扉がある。階段を上がって、フンディンが扉を開ける。

フンディン: *ごくり*
フンディン: ……
フンディン: …?

スキールニル: 広いもんだ


*扉の先は広いホールになっている。中央付近にはテーブルやカウンターのようなものもあった。

フンディン: この辺りは…
フンディン: もともと取引の場所に使われていたのかな

アル: かもな

エル: そうかもね

スキールニル: たぶんそうだな


*あながち間違ってなくて、ここは取引をする人たちが宿泊する宿の入り口であり、商談にも使える酒場にもなっていた場所である。

フンディン: うわ
フンディン: 蜘蛛の巣が…


*奥に入る通路の入り口付近には蜘蛛の巣が張り巡らされている。ちなみに、そちらは宿の部屋があったほうだ。

スキールニル: 金貨が500もあったぞ

フンディン: 誰かが忘れていったのかな?

スキールニル: 妙な短剣もな

アル: 鑑定成功だ

フンディン: 持っておきます

アル: あぁ


*この金貨と短剣は、宿屋の主人が持ち出しそこねたもので宿の売上金と護身用の魔法の短剣である。

フンディン: 上…?

*このホールからは、宿の施設である部屋(蜘蛛の巣が張ってあるほう)とさらに階段で上に行く事ができる。階段の先は扉になっている。一行は(明らかに敵がいると思われる)奥を避けて上に行く事にした。

フンディン: !

*階段の先、扉を抜けると広い部屋になっており、中央が格子で仕切られている。(格子は現在、壊れてしまっている)そして、1体のアイアンゴーレムがホコリを被っていた…

フンディン: ま、まだ…生きてる…?

*アイアンゴーレムは一行を認めると、関節を軋ませながら立ち上がった。周囲を埃が舞う。

古びたアイアンゴーレム: トレードセンターへようこそ…。ここは登録された商人の方のみ立ち入りを許可されております。登録証を提示してください。

アル: 登録証ねぇ

フンディン: 取引場なのか


*もちろんフンディンは登録証など持っていないので…

フンディン: 間違えました。すぐに出て行きます。

古びたアイアンゴーレム: 警告します!すぐにこの場から退出してください。1分以内に退出されない場合、あなたに攻撃する事を私は許可されています!

フンディン: 出ましょう
フンディン: どこかに…残っているかも知れない


*まだ調べていない場所もある。一行は再びホールに戻り、さらにそこから通路まで戻る。通路を進むと、奥から上に行けるようだ。上に出ると、最初の堀があった階層の西側に出た。ここは西側からの入り口になっていたらしい。一行が入ってきた北側よりも広くなっている。

フンディン: …
フンディン: ここは…
フンディン: 行き止まり…
フンディン: 崩れたんじゃなくて、誰かが故意に塞いだみたいだ
フンディン: きっとここが閉鎖された時に…


*西側は完全に埋まってしまっている。大きさから言って、メインゲートの一つだったのだろうが…。

アル: 箱がいっぱいあるな

フンディン: 倉庫のようですね

アル: 罠もあるようだ


*近くには倉庫らしき場所もある。中にはまだ開けられていない箱がいくつもあるが、扉にも倉庫内にも罠が仕掛けられている。一行は危険を冒す必要はないと判断して倉庫には手をつけず先に進む。

フンディン: 虫がいる
フンディン: 気をつけて、スキーニー


*虫を倒しつつ、さらに探索は続く…

エル: イテテ

アル: 毒が…

フンディン: 大丈夫ですか?

エル: なんとか
エル: 少し気分が悪いけど

アル: 自然回復を待つしかないのか…

アル: 無理するなよ

フンディン: 少し休みましょう

アル: その方がいいな

フンディン: 無理は良くないです

アル: ハープの力で治ればいいのにな

エル: 腕次第さ

アル: 俺のは皆が腰抜かすからなぁ

フンディン: 同じ琴なのに
フンディン: どうして…??

エル: 歌はうまいのにな

アル: さぁねぇ

フンディン: …
フンディン: そろそろ出発しましょう


*探索を続ける一行は、さらに下層へと続く小さな扉を見つけた。大きな荷物の運び出しには使えそうにないので、通路かもしくは個人的な取引をする人のための出入り口か…

フンディン: ここ…
フンディン: 下に続いているみたいだ

スキールニル: 降りるしかないか

フンディン: ただ…
フンディン: 上の階にもまだなにか手がかりが残っているかも知れない
フンディン: 一応調べてから降りよう
フンディン: どこにどんな手がかりがあるか見当もつかない状況だし…


*一行は引き返して、宿屋の奥(蜘蛛の巣があったほう)を調べる事にした。

アル: 蜘蛛いそうだよなぁ

フンディン: ねばねばする・・


*蜘蛛の巣を予備の武器で処理しながら進む。どうやらまっすぐな通路で、両側に扉が並んでいる。(宿屋の部屋が並んでいるわけだが)

フンディン: …

*ひとまず、一部屋ずつ調べてみる事にしてドアを開く。部屋の中は一般的な客室といった作りだ。ベッドにテーブル、クローゼット(だったもの)がある。詳しく部屋を調べようとした時、半透明の影がフンディンに襲い掛かった!

フンディン: !

*慌てたエルがミラーハープを奏でると…

エル: ??
エル: くもが怖がってるぞ

アル: 蜘蛛の霊みたいだな


*レイススパイダーなのでダメージを受けた。一行はレイススパイダーを撃退することが出来たが、アルが最後にレベルドレインを受けてしまった。

アル: くっ
アル: 最後っぺか
アル: くそっ

フンディン: 引出しには何が?

エル: くすり
エル: そいつが一個

フンディン: アルドリックさん
フンディン: どうぞ

アル: 悪いな

スキールニル: あの蜘蛛なかなか死なないな


*すでに死んでいるしね…。

フンディン: インゴットだ
フンディン: おいていくのは勿体無い気がするけど…

アル: 重そうだな

スキールニル: ただの鉄みたいだぞ

フンディン: そうだけど材料にはなるよ

アル: 流石鍛冶屋だね


*一行はさらに探索を続ける。一番奥の通路の行き止まりは崩されている。実はここには、かつて裏口があった。正面のほうから出入りできない客のためのものだ。その行き止まりの手前の部屋を開けてみると…

エル: なんだあれ

アル: 最悪だな

スキールニル: でかい蜘蛛だな


*でかいというか巨大な蜘蛛が部屋の中に巣を張っている。奥には卵の塊も見えた。どうやらこいつがここの蜘蛛たちの女王というわけだ。

フンディン: …
フンディン: でもこれを放っておくと
フンディン: きっと卵を産むよ

スキールニル: 出てくる気はないようだけどな


*しかし、どんな手がかりがあるかもしれない。一行はスパイダークイーンを退治する事にした。

アル: ふう

フンディン: 特に手がかりはなし…か
フンディン: …

スキールニル: この箱・・・

アル: 罠だなぁ

フンディン: 黒光りしてる


*部屋の中には黒い石で作られたような頑丈な箱がある。フンディンはこの箱を作っている材質を見るのは始めてだった。つまり逆に、地上のものではないかもしれないという予測も立つわけだ。

フンディン: もしかして…これって
フンディン: うっ


*罠も構わず開けてしまうフンディン。

アル: おいおい

エル: ・・・

スキールニル: うお

フンディン: !!
フンディン: すごい!

アル: 通行証でもあったか?

フンディン: アダマンタイトだ

スキールニル: ほう

フンディン: お師匠様から話でしか聞いたことがなかったけれど
フンディン: 間違いないよ!


*と興奮するフンディンを他所に他のメンバーはあまり関心がないのかクローゼットの残骸などを調べている。

エル: これはこれは

スキールニル: なんだこりゃ

アル: ドュエルガーのローブか…


*アルの知識によるとドュエルガーがよく着ているローブだとわかる。こちらもかなりスルーされているが、これらはバーミル・スラルレオがアンダーダークの邪悪な種族とも取引をしていたという重要な証拠だ。もっとも、その証拠能力が現在も有効かどうかはかなり疑問だが…。

アル: 毒だな
アル: とにかく少し休もう

フンディン: うん…


*一行は宿を後にして酒場(だったところ)まで戻ってきた。

アル: どこかに司祭様でもいないもんかねぇ?

スキールニル: いてもあまりありがたい神の司祭じゃなさそうだ

アル: 間違いない

フンディン: …
フンディン: やっぱりこれ以外には特に収穫はありませんでしたね

エル: うーん・・・


*休んだ一行は仕方なく、倉庫を調べることにした。

アル: 罠に気をつけろ

*一行は倉庫の荷物を探る…。

フンディン: 包帯だけもらっていきましょう

スキールニル: ここにあっても仕方ない

フンディン: それはそうだけど…

スキールニル: ここも
スキールニル: 咳き込み粉

エル: それって香辛料詰め合わせだよ
エル: 食べる気はしないな

フンディン: ここにも

スキールニル: 結構な金が残ってる

フンディン: 都合よく浄化の巻物なんて…あるわけないか…

アル: そうだなぁ
アル: 期待はしてるけど

フンディン: !!!!!!
フンディン: み、み、みす、みす

スキールニル: なんだありゃ

エル: ???

フンディン: ミスリルのインゴットだ!!

アル: ほぉ

フンディン: すごい

エル: ふうむ

フンディン: これだけの量があれば武器一つくらいは作れる…かも
フンディン: *ごくり*

エル: 残してっちゃった訳はナンダロ


*フンディンはミスリルインゴットを荷物にしまった。こんなところに残されてしまうのも忍びない。一通り探索を終えた一行は、先ほど見つけた下への扉からさらに進む事にした。

●邂逅

フンディン: くう
フンディン: きりがない…

エル: 蟲だらけだ

フンディン: ずいぶん降りてきたみたいだけど

アル: 三層目くらいかな?


*途中の虫を退治しながら進んできた一行。そしてまた一つ扉を開けると…巨大なドラゴンが姿を現した。

フンディン: !!

アル: へっ?


*ドラゴンは動かない…。良く見ると精巧に作られた像だ。

アル: 像か…

スキールニル: すげえ

エル: ほー

スキールニル: 精巧だ


*べたべた触りながら像を見て回る。

アル: ここって
アル: あの地図にあった部屋じゃないか?
アル: 北が銀で
アル: 西が緑
アル: 南は紋章
アル: 東が宝石


*アルが熱心に地図を見ながら説明している。そしてエルが最初に気がついた。

エル: おやあ・・・

*東側の扉がゆっくりと開かれる。そして姿を現すのは漆黒の剣と鎧の…

アル: き…貴様


ギルフォス: …今もこの道を行くものがいようとは…

*現れたのはギルフォス。運命が導いた、この出会いのもたらす結末とは…。


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