ドワーフクエスト
第七章 バーミル・スラルレオの真実
「秘密の神殿」


●強欲の神殿

フンディン: !

エル: ひょえー
エル: 立派だな


*梯子を降りた先は、しっかりと石を組んで作られた室内になっていた。上にあった神殿とよく似た作りだが、雰囲気はまるで違う。なにより、そこにあるものが違った。

フンディン: これは…

スキールニル: なんだか気色悪い祭壇だな

フンディン: もしかして…
フンディン: “アバソールの財布”?!
フンディン: 話にはきいたことがあるけれど…
フンディン: まさかこんな


*炎に焼かれて黒ずんだ祭壇の上には、オークの死体があった。腹を開かれ、そこにはすでにいくつかの装飾品や名工の手による品物が詰められている。しかも古いものではない。誰かが今も、このアバソールの神殿を使っており、儀式の準備を進めているのだ。

スキールニル: エル
スキールニル: 斧が落ちてる

エル: うん
エル: ああ

スキールニル: 錆ひとつ無いぜ

エル: 魔法がかかってるな
エル: おお
エル: 見た目より軽くて使いやすそうだ

アル: 何か書いてあるな


*死体を見ないようにして祭壇を調べていたアルが、何か書いてあるのを見つけた。そこにはドワーフ語でこう書かれている。

「捧げよ。さらば導かれん。

 あるいは汝、約束されし者ならばその血を示せ。」


スキールニル: 意味がわからん

フンディン: これはさ、スキーニー
フンディン: スキーニーもアバソールの名前は知っていると思うけど
フンディン: 偉大なる貪欲の王アバソールの信者が
フンディン: こうして我々ドワーフの敵の胸を裂いて
フンディン: 宝石を詰めるんだ
フンディン: アバソールへの奉げものとしてね

スキールニル: 聞いたことはあるが
スキールニル: まさかそんなこと本気でやるやつがいるとはね


*デュマイソンの神殿に隠された真の神殿がここ、アバソールの神殿だったのだ。大ギルフォス達が流浪の生活を送っていた時、彼らを導いたのがアバソールだった…つまり、ここが彼らの神殿なのだ。

エル: 兄者、どうしたんだ

アル: いや
アル: その死体が臭くて…

エル: そうか

フンディン: アルドリックさん…
フンディン: もうこれだけ黒コゲなら臭いはしませんよ…
フンディン: 奉げよ、されば導かれん

スキールニル: いくら邪悪でも神は神

アル: フンディンの斧でも詰めてみたらどうだい?

スキールニル: 触らぬ神にたたりなし


*この祭壇の部屋を見渡すと、扉など部屋から出るものは(上に戻る以外に)見当たらない。祭壇には不気味な"アバソールの財布"が準備されている。部屋には他に、先ほどスキールニルが見つけてエルが手に取った魔法の斧と同じく魔法の品と思われるダガー、それに宝石の詰まった袋が置かれている。

フンディン: きっとこの宝石だ
フンディン: これを奉げよっていうことじゃないかな…
フンディン: でもそのあとの一節はどういうことだろう
フンディン: 「あるいは汝、約束されしものならばその血を示せ」…?

スキールニル: さっぱりわからん

アル: ギルフォスの事だったりしてな


*そのとおり。正確にはこの神殿を築いたアバソール信者なら誰でもいいのだが、現在生存が確認されているのはギルフォスとオーレンだけなので正解と言える。

スキールニル: それはどうだかわからんけどね

フンディン: …


*フンディンは(顔をしかめて)宝石を"アバソールの財布"に入れると、祭壇にたいまつを近づけてみる。だが、何も起こらない。

フンディン: …

スキールニル: よくもまあ死体の腹の中探る気になるな

フンディン: …
フンディン: どういうことだろう…

アル: さぁな…
アル: さっき誰か短剣を拾わなかったか?

スキールニル: アレか

フンディン: はい

エル: あったね

フンディン: これで何かが変わるとも…
フンディン: 思えませんが


*ダガーも入れてみる。が、何も起こらない。正解を言うと、足りない。

フンディン: 約束されし者…

スキールニル: 死体だから効果ないんじゃないの
スキールニル: もう捧げられてるんだろその死体の魂は

エル: なんか意味があるものなのかねぇ


*考えてからフンディンは、自らの腕を軽く切って血を垂らしてみる。

エル: わ
エル: お前何やってんだ、フンディン

フンディン: なにも… 起きないか
フンディン: 上で見た残っていた本の中に
フンディン: そういうようなことが書いてあったんです
フンディン: だからドワーフの血のことを示しているのかと

エル: これ
エル: ねじこんでみたら


*言いながらエルは拾った魔法の斧を入れてみる。突然、祭壇が炎に包まれて神殿を閃光で照らす。アバソールは奉げ物を受け取った。

フンディン: !

アル: うわ

エル: うへぇ

スキールニル: うお


*突然の炎の閃光に眼を閉じた一行。そして眼を開くと…

●アバソールの求めしモノ

*光が収まり、再び周囲が闇に包まれたので、アルは手をどけて目を開いた。そこは小さな部屋になっており、先ほどの部屋とは別の部屋だとわかる。周囲には誰もおらず、自分1人がここにいる。目の前には石版が立っており、そこにはこう刻まれている。

「審判の間
 答えよ、さらば道は開かれん。
 我が教えに背くならば、地に落ち朽ちるのみ。」


アル: 答えよ?
アル: どういう意味だろう?

*部屋には他に扉しかない。アルは扉を開いて次の部屋に進む。その先も同じような部屋で何もなく、ただ扉があるだけだ。アルが扉に手をかけると鍵が掛かっている。そして頭に何者かの声が響く…。

「答えよ。世界に満ちる富を得る資格があるのは何者か?」

アル: ドワーフ

*扉がすっと開いた。続けて次の部屋へと進む。またもや同じような部屋で、扉の前まで進むと声が響く…。

「答えよ。富を手に入れるために殺し奪った者は悪か?それともそれを手に入れる資格があったからこそ行った正当な行為か?」

アル: …
アル: その資格があったから、正当な行為である。


*アルの答えは正解である。しかしアルはこの場を切り抜けるために正しいと思える答えを言っているだけ…つまり本心ではない。

アル: うわっ!
アル: あああああぁぁぁぁぁ・・・・


*今度は扉が開くかわりに、足元がぱっくりと開き、アルは闇の中へ落ちていった。

スキールニル: ・・・今何か・・・気のせいか

*スキールニルもまた、アル同様に1人で別の部屋にいた。部屋には扉が一つあるだけで、他には石版が一つ立っているだけだ。石版にはこう刻まれている。

「幻夢の間
 導かれし者よ、我を目指して進め。
 恐れるならば、地に落ち朽ちるのみ。」


スキールニル: ・・・・

*スキールニルは扉を開けて進む。すると薄暗い部屋には財宝の山がある。そこにはゴブリンがおり、その宝と先に進むための鍵は彼のものであるとわかる…スキールニルはいつか夢でこのような状況にあった事を思い出した。そして今、夢と同じようにスキールニルは選択するしかない。殺して奪うか、止めるか。

スキールニル: おい
スキールニル: 鍵を渡せ


*しかし、不思議な力が二つの選択肢しかない事をスキールニルに理解させる。スキールニルはゴブリンに近づくと、一刀のもとに斬り捨て鍵を奪った。だが財宝には手をつけず次の部屋に進む。次の部屋に進む前にスキールニルにはわかっていた事だが…やはり夢と同じように今度はオークがいる。仕方なくスキールニルはオークを斬り、鍵を手に入れた。そして次の部屋には…やはり同じ状況でエルフがいた。夢では、スキールニルはここで引き返したために闇の中に落とされてしまったのだが…

スキールニル: うーむどうしたものか
スキールニル: 鍵を貸してくれたら金を出してもいいぞ・・・
スキールニル: ていっても無駄か


*やはり、スキールニルは引き返した。後ろを向いて一歩踏み出すとそこには何の抵抗もなく、開いた穴の中にスキールニルは落ちていった…。

エル: 兄者達は??

フンディン: ここは…

*フンディンとエルの二人は同じ部屋に移動させられていた。

エル: 建物の感じはさっきと変わらないな
エル: 近いんじゃないか、さっきの祭壇と
エル: ん??


*部屋には石版があり、こう刻まれている。

「侵入者はこの場で朽ちよ。進むは地獄なり」

エル: 進は地獄・・・

フンディン: …
フンディン: でも…進むしかないですよ

エル: 兄者とスキールニルを探そう


*エルが扉を開けると、隣の部屋には武装したスケルトンが待機していた。すぐさま二人に襲い掛かる! だが二人はなんとか撃退する事ができた。

フンディン: いたた…

エル: ・・・

フンディン: すこし・・…休みます
フンディン: もう包帯も残ってない

エル: 困ったな
エル: 俺もだ
エル: 二人が気になるけれど、休むしかないな


*休んでいる間、部屋を調べる。やはり、先に進む扉が一つあるだけで何もない。そして扉には…

エル: フンディン
エル: 罠だ

フンディン: 罠…ですね

エル: ・・・

フンディン: 行くしかない

エル: 呪文も無い、アイテムも無い、歌も歌えない
エル: どうにもならんぜ

フンディン: こんなことなら…
フンディン: スキーニーみたいに
フンディン: 投げ斧を持ち歩いて置くべきだったなあ


*ともかく、罠があるのはわかっても解除する技術がないので、エルがクロスボウで扉ごと罠を破壊する事にした。仕掛けのあたりを集中的に攻撃していると、やがて扉は壊れた。

フンディン: ふう
フンディン: …


*フンディンは隣の部屋の様子をうかがう。…何もないようだ。奥には先に進む扉がある。

エル: フンディン

フンディン: 前へ出ないで!


*部屋に入ろうとしたエルを押し戻そうとして、フンディンは部屋に入ってしまった。途端に床が輝き、何かの魔力を放つとフンディンはその場に動けなくなってしまった! 部屋の四角にはスケルトンが現れ、矢を射ってくる。

エル: うへ
エル: フンディン!

フンディン: く…
フンディン: そこ…床が辺です


*フンディンは盾と武器を使い、ひたすら矢を防ぐ。敵はフンディンのみを狙っているようだ。エルがクロスボウで援護する。

フンディン: …くっ・・

エル: うう
エル: 我らが英雄のピンチだ


*やがてフンディンを縛っていた魔力が尽きたのか、再び動けるようになり、なんとかスケルトンを倒す事ができた。二人は次の部屋に進む。

フンディン: またか…

*次の部屋にも、何もいない。フンディンが慎重に足を踏み入れると…前の部屋と同じ罠が発動した。今度は動けないフンディンに対してスケルトンたちはレイ・オブ・フロストのような冷気で攻撃してくる。しかし…

フンディン: オッドアイ…

*オッドアイは冷気と熱、対極に位置する二つの力に対する防御を持っている。スケルトンたちの冷気による攻撃はオッドアイによって防がれた。再び動けるようになってから、なんとか二人はスケルトンを撃退したが…

フンディン: …

エル: く
エル: まいったぜ、こりゃ

フンディン: 少し…休みます…

エル: ああ

フンディン: 立ってるよりは…まだ…


*フンディンは座り込んでしまった。体力、気力ともに限界に近い。このような部屋が延々と続くのであれば、それはまさに最初の扉に書かれていたとおりだ…。

フンディン: この神殿…
フンディン: いったい…
フンディン: これを


*フンディンは先ほどのスケルトンが落とした鍵を差し出す。が、

エル: フンディン、鍵だ

*エルも見つけていた。

フンディン: こっちにもありました

*何かの気に中てられたのか、ゆっくり休むこともできないので二人は次の部屋へと進む。次の部屋には下へと向う階段と扉が見えた。そしてスケルトンが待ち構えている。階段の入り口には鍵が付いているのが見えるが…

フンディン: 逃げましょう

エル: わかった

フンディン: 相手をする必要はない
フンディン: 扉の鍵をあけてください


*フンディンがスケルトンを防いでいる間に、エルはさっき拾った鍵を試してみる。予想が的中して、扉が開いた。二人はすぐにそこに飛び込むと鍵を下ろし、階段を駆け下りていった。

●救出

エル: はあはあ

フンディン: …
フンディン: ここは…
フンディン: 牢獄?


*階段を下りきって、二人は息も整わないまま顔を上げる。まっすぐに石造りの通路が伸びており、両側には鉄格子の付いた扉が並んでいる。近くのものを覗き込んで見ると…突然、骨だけになった指がめちゃくちゃに伸びてきた。慌てて飛び退る。スケルトン(?)は部屋に閉じ込められているらしく、出てこないが扉を激しく叩いている。老朽化した扉はこのままでは壊れるかもしれない。

フンディン: この亡者…
フンディン: 上にいた者達とは…違いますよ

エル: 確かに

フンディン: 閉じ込められていたように見える

エル: ドワーフには見えないな


*二人はそこを後にして、一部屋ずつ覗いてみる。すると…

フンディン: !

アル: フンディン!

フンディン: アルドリックさん!

エル: まぼろしか?

アル: それにエルも

フンディン: 足は見えますが…
フンディン: ちゃんと二本

エル: 本物だよ、わかってる

アル: 良かった
アル: もう2度と会えないかと思ったよ


*フンディンが手持ちの鍵を試していると扉が開いた。部屋の中はアルだけのようだ。

フンディン: どうやってここに?

アル: 教えに答えきれなかったんだ

フンディン: 教え??

アル: あぁ
アル: 試されてたようだった

エル: ???

フンディン: 何の話をしているんです?

エル: こっちは散々だったぜ

アル: と、とにかくスキールニルを探そう

フンディン: …

エル: フンディンが大怪我負ってるのに治す手段が無いんだ

フンディン: わたしは…だいじょうぶです
フンディン: 行きましょう

アル: あぁ


*3人になった一行が通路を歩いていると…格子窓の付いていない扉がある区画にやってきた。そのうちの一つが突然、ガンガンと音を立てる。中から叩かれているようだ。

エル: なんだかガンガンうるさいぞ

アル: こっちだ

エル: 構えろ

フンディン: もしかして
フンディン: スケルトンが?!

エル: 破ろうとしてる

フンディン: *ごくり*

エル: 逃げようか


*と、突然アルがリズムをつけて扉を叩いた。

フンディン: なんですか、それは?

アル: いや
アル: 知性のあるものなら
アル: 返してくるかな?って


*もう一度叩くアル。少し待ってみると、扉を叩き返してきた。

アル: どうやら
アル: 答えてるみたいだ
アル: 開ける方法はないのか?

フンディン: たぶん開きますよ


*フンディンが鍵を試すと、扉は開いた。

フンディン: ほら
フンディン: あっ!

アル: あら

フンディン: スキーニー!

スキールニル: ゾンビにしちゃ悠長だな

エル: よう

フンディン: どうやってこんなところに…?

アル: 多分俺と一緒だ
アル: 染まりきれなかったんだよな

エル: みんな怪我を負ってるな

スキールニル: アバソールだかだれだかしらないが
スキールニル: 神の意思にそわなかったようでな


*というわけで合流できた4人だったが、全員もはや限界に近い状態で休息が必要だった。エルの竪琴で多少回復した一行は、ひとまず階段まで後退して安全な部屋を探す事にした。

アル: しかし…このハープ思いっ切り役に立たないな…

フンディン: ア、アルドリックさんの竪琴と
フンディン: エルドリックさんの竪琴は別のものなんですか?

アル: 同じに見えるんだけどなぁ

フンディン: どうして違う効果が…

アル: さぁ?


*入り口付近で休めそうな部屋を見つけた一行は、そこで休息と治療を行なう。

フンディン: ともかく先へ進みましょう

アル: その前に休ませてくれ
アル: すまん

スキールニル: いや
スキールニル: 少し頭を冷やせたよ俺も

アル: 頭を冷やすか…ホントだな


*体勢を整えて、一行は再び通路に戻る。

エル: ひいい
エル: ホネだ


*通路には、扉を壊して外に出たのか、スケルトンがうろついている。スケルトンは一行を見つけると、光に誘われる虫のように飛びかかってきた。

スキールニル: 大丈夫かアル

アル: 大丈夫
アル: かすっただけだ

スキールニル: すまんもっとうまく食い止めるべきだった

フンディン: ……


*一行は、通路をうろつくスケルトンを倒しながら神殿地下を探索する。

スキールニル: よく動く骨だ
スキールニル: 油断もすきもあったもんじゃない

エル: お宝だ
エル: うわ!
エル: ごみみたいな物が入ってた

フンディン: ……


*探索を続けていると、エルが足跡を発見した。比較的、最近のもので間違いなくスケルトンのそれではない。一行が足跡を辿っていくと、部屋に辿りついた。扉を開けると…

フンディン: ぐっ

*中にいたゴーレムが襲い掛かってきた! 通常武器の効かない相手に苦戦する一行だったが、アルがマジックミサイルのスクロールを使ってなんとかゴーレムを倒す事が出来た。

エル: おおう

アル: この前の巻き物が役に立ったな

エル: 兄者、そんな魔法・・・
エル: すごいな

フンディン: ここは…

スキールニル: ち・・・

フンディン: 他の場所に比べると
フンディン: (誰かが使っていたのかな…?

スキールニル: 他と比べるとなんだって?

エル: 机とイスなんかあるしな

フンディン: 他と比べると荒れてないなあって

スキールニル: そういわれるとそんな気もするけど


*確かに、この部屋は最近使われているような印象を受ける。生活に必要な道具なども揃っているようだ。

フンディン: 鍵だ
フンディン: 開かないし… それに


*部屋にあった小さな箱に手を掛けてフンディンが言った。

スキールニル: 仕掛けがあるぞ

フンディン: うん
フンディン: 仕掛けた跡がある


*フンディンは盾を構えて箱を開ける。シュッと矢が飛び出したが、フンディンの盾に弾かれた。

エル: うわわ

スキールニル: おいおい
スキールニル: 無茶するなよ

フンディン: …
フンディン: これは…


*箱の中には地図が入っていた。内容は以下のとおり。

バーミル・スラルレオの地図らしいが全体のものではなく、どこか一部のもののようだ。地図自体はかなり古く、最近作られたようなものではない。
地図はどこかの広間のようで、その広間には扉が4つ、東西南北にあり、それぞれの扉の上には、

北:銀が貼り付けられている。
西:おそらく緑の塗料が付けられている。
南:紋章のようなものが書かれている。
東:何かの宝石が付けられている。

これらが何を表すのかはどこにも書かれていない。


エル: ほえー

スキールニル: 地図か

フンディン: うん


*続いて机を調べるが、やはり鍵がかかっている。

スキールニル: 鍵か

フンディン: 引き出し… 鍵がかかってる

スキールニル: 壊しちまおう

フンディン: なんだか気が引けるけど…

スキールニル: こんな邪悪な場所にあるんだから悪人の持ち物さ
スキールニル: 壊したってかまうモンか

エル: それもそーだ

フンディン: ……


*スキールニルが机を叩き壊す。残骸の中には…

エル: 跡形も無くなったね

フンディン: あっ

スキールニル: 鍵が合ったよ

フンディン: とりあえず持っておくよ

スキールニル: ああ

フンディン: この地図も… きっと必要になるだろうから


*一行は地図と鍵を手に入れて部屋を後にした。ちなみにこの部屋がなんなのかについてPCたちは話し合っていないが、プレイヤーの予想通り、現在のギルフォスが使っている部屋である。

●入り口

*一行は神殿の探索を続け、奥に鍵のかかった立派な扉を見つけた。フンディンが手持ちの鍵を試すと、先ほどの部屋で見つけた鍵が合うようだ。

フンディン: 開いた
フンディン: さっきの鍵だ

スキールニル: 行こう
スキールニル: 他に道はない


*扉の先は階段になっている。階段を下りていくと、途中から石組みの壁ではなくなり、やがて階段もなくなってしまった。

スキールニル: 雰囲気が違うな

フンディン: *ごくり*

スキールニル: まるで坑道だ

エル: なんだろうね


*スキールニルの言うように、通路はやがて坑道あるいはトンネルのような雰囲気になって下っていく。一行がそのまま進んでいくと、少し広い場所に出た。さらに下へと向かう螺旋状の通路があり、その前には石碑がある。そこには…

フンディン: !!
フンディン: ここ…が…

スキールニル: バーミル・スラルレオ


*「バーミル・スラルレオ」と刻まれていた。

アル: そうらしいな

スキールニル: みろよ
スキールニル: トンネルがある


*スキールニルが通路を調べて戻ってきた。広間の中心にある螺旋状の通路の先はそのままトンネルのようになっている。

フンディン: この下がそう…だと思う
フンディン: 少し休んでから降りよう

スキールニル: そうだな
スキールニル: 先に休め

アル: じゃお先に


*ついに到着したバーミル・スラルレオ。一行はここで野営してから進む事にした。フンディンは荷物から焚き火の準備をする。

スキールニル: ふう

フンディン: ……

スキールニル: フンディンも休めよ

フンディン: うん
フンディン: ……

アル: どうかしたのか?

フンディン: いや… 考え事をしていただけです

スキールニル: 俺も少し仮眠を取ろう

エル: 遂にここまでたどり着いたのに
エル: 感動が薄そうだな

アル: まぁここで探し物が見つかるかもしれないんだもんな

フンディン: それじゃアルドリックさんと見張っているよ
フンディン: エルドリックさんとスキーニーは休んで

スキールニル: お前も休めよな


*疲れ果てた一行は、そのまま数時間休息を取った。休息を終え、再び装備を身につけて荷物を担ぐ。

フンディン: スキーニーってさ、

スキールニル: あ?

フンディン: 前も聞いたかもしれないけど
フンディン: 何で剣の修行をしてるの?

スキールニル: 俺にもわからなくなってきた
スキールニル: ただいえるのは
スキールニル: コレが俺の命なんだ

フンディン: …

スキールニル: なんで生きてるのかなんて
スキールニル: わかんないだろ?

フンディン: 強くなるために生きてるってこと?

スキールニル: だからそれでいいのかもしれない
スキールニル: もともとはいろいろあったんだけど
スキールニル: 今は昔ほど細かいことは気にならなくなった
スキールニル: たぶん誰かのおかげだな

フンディン: ?

スキールニル: いや・・・もしかすると複数の「誰か」かもしれない
スキールニル: また何か悩んでるのかお前

フンディン: いや、そういうわけじゃない

スキールニル: へえ

フンディン: ただ…
フンディン: スキーニーはどうなのかと思っただけだよ

スキールニル: 俺にもわからんけど
スキールニル: わかる必要はないんじゃないか
スキールニル: だけど俺の剣が必要になることもあるしな
スキールニル: お前はどうなんだ

フンディン: ?
フンディン: なにが?

スキールニル: 鍛冶に関していろいろ悩んでたんじゃないのか

フンディン: ああ…
フンディン: でもスキーニーに似ていると思う

スキールニル: そうか

フンディン: …
フンディン: ………
フンディン: そろそろ行こう

スキールニル: お前変わったな

フンディン: 昨日も聞いたよ、それ


*そして一行はついにバーミル・スラルレオに足を踏み入れる。ここに一行を旅の終着地へと導く手がかりはあるのだろうか…。期待と不安を胸に、一行は歩き出した。


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