ドワーフクエスト
第一章 フェルバールを発って
「初めての戦い」
●ルーヴィン山脈地下トンネル
フンディン: それでは
フンディン: 地下通路を抜けてアドバール城砦へ向かいましょう!
*旅の準備は整った。一行は近道になる地下トンネルの入り口へと向かう。
フンディン: こんばんは
ドワーフ : お
スキールニル : やあ
ドワーフ: 来たな、坊主ども
ドワーフ: こんな時間まで待たせて
ドワーフ: どうなっとるんだ
*準備をしている間に、だいぶ遅くなってしまったようだ。地下トンネルの入り口付近には道具を置いておくための小屋や、作業に必要なものが置かれており、まだ工事中といった雰囲気だ。
スキールニル : どいつもこいつも坊主坊主って・・・
ドワーフ: 坊主にかわりなかろ?
フンディン: 実は故あってアドバール砦へと向かわねばならず
フンディン: この地下道を使わせていただきたいのです
ドワーフ: うむ、話は聞いている
エル: 坊主が4人
アル: そんで買物してたら遅くなりましたとさ
ドワーフ: それじゃ、軽く説明だけしておく
アル: 坊主頭はそっちの親父〜
フンディン: よろしくおねがいします
ドワーフ: アドバールまではルーヴィン山脈を越えなければならない
ドワーフ: あるいは大きく迂回になる
ドワーフ: それをトンネルで突き抜けちまおうってのがここが作られている目的なんだが
フンディン: 確かにサンダバール経由で行くよりもずっと早いですね
ドワーフ: ルーヴィン山脈は鉱脈とか、硬い岩盤も多くてな
ドワーフ: まだ完成しとらん
フンディン: えっ?
ドワーフ: だが、ルービン山脈の向こう側に出るところまではできとる
スキールニル : じゃあ問題ないじゃないか
ドワーフ: 地上に出る出口もあるから、そこからは地上を歩いていくことになるだろう
フンディン: わかりました
ドワーフ: まあ、中にはまだ働いているやつもいるから
ドワーフ: 何かあったらそいつらに聞いておくれ
フンディン: はい!
ドワーフ: しかし…訓練しかしたことのないひよっこをいきなり旅に出すんだから
ドワーフ: あんたのオヤジさんも酷な人だね
フンディン: 訓練なら積んでおります
ドワーフ: まあ、気をつけていっておいで
スキールニル : 充分訓練をつんだし
フンディン: ありがとうございます
スキールニル : 何も問題ない
フンディン: それでは行ってまいります
スキールニル : 女神よ我に武運をもたらしたまえ!
*一行は、入り口の責任者に地下トンネルの入り口の鍵を開けてもらうと、トンネルへと入った。しばらくは細いわき道もあるものの、ほぼ真っ直ぐ進んでおり、一行はそのまま数時間、トンネルを歩き続けた。
フンディン: ふう
フンディン: だいぶ来ましたね
エル: 結構歩いたな
ドワーフ : ん
*と、前方の工夫がフンディンたちに気がついた。
スキールニル : たいして歩いてないぞ
フンディン: ごきげんよう
ドワーフ: おう、フンディン、オヤジさんは元気かね
フンディン: はい、壮健でおります
スキールニル : (食ってばっかりいるから息が切れるんだよ
ドワーフ: いい鎧だな
フンディン: ええ、これは… お師匠様に頂きました
フンディン: あなたは鉱夫の方ですか?
ドワーフ: ふーん…(じろじろ
ドワーフ: そうだ。ここではけっこう任されている
フンディン: ??
フンディン: 何かまずいことでもおありでしょうか?
ドワーフ: いやいや、なにもないさ
ドワーフ: ただ若造にはもったいないと思ってな
ドワーフ: 外でこれみよがしに着て歩くと
ドワーフ: やっかいな問題になるかもしれんよ
ドワーフ: 注意することだな
フンディン: それはわたしも重々承知しております
スキールニル : 俺もそう思うよ
アル: (狙ってるのか?)
フンディン: そうかも知れませんね
フンディン: ご忠告ありがたく頂きます
ドワーフ: それじゃあ、あんたのオヤジさんとの約束どおり
ドワーフ: 軽く仕事をしてもらおうかね
スキールニル : だからって素直に脱ぐこともないだろうに
フンディン: ??
アル: はぁ?
ドワーフ: ん、なんだ
ドワーフ: 聞いてないのか?
フンディン: 存じ上げておりません
アル: 聞いてない、聞いてない、聞いてないよぉ
スキールニル : 全然聞いてない
フンディン: 何か問題でもあるのでしょうか?
ドワーフ: …
ドワーフ: 問題というほどじゃない
ドワーフ: 実は最近、どこからかネズミが大量に入り込んできてな
アル: いや、こいつ何でも問題にしちゃうから…
フンディン: ??
ドワーフ: 俺達は忙しくて、そんなのにいちいちかまっちゃいられない
スキールニル : ・・・・
ドワーフ: そこでお前さんらがここを抜けるって話なんで
ドワーフ: ついでに退治してもらおうと
ドワーフ: そういう話だ
アル: ネズミ退治ね
フンディン: かしこまりました!
スキールニル : かしこまりました・・・って
ドワーフ: いいか、トンネルはここまでまっすぐだったが
ドワーフ: ここからさきに硬い岩盤があって、すこし回り道している
アル: エルの歌を聞かせれば逃げてくよ
フンディン: ?
フンディン: どうしたの、スキーニー?
エル: 歌は兄者の担当だ
スキールニル : ・・・なんでもない
フンディン: スキーニー、もしかして…
アル: 俺が歌うと寄ってきちゃうだろ?
フンディン: ねずみが好きだったの??
スキールニル : ・・・・
アル: へぇ
フンディン: 退治といっても別に殺さなくても
フンディン: 追い払えばいいだけだよ
フンディン: なんだったらスキーニーが家に連れ帰ってもいいと思う
ドワーフ: いいか、とりあえずこのエリアを全部回って、いるやつだけでいいから全部退治してくれよ
フンディン: はっ!
フンディン: 謹んでお受けいたします
スキールニル : 害獣駆除が戦士の仕事か?
アル: 相変わらず固いねぇ
アル: 言い回しが
ドワーフ: (まあ英雄の息子にはくだらん仕事だけどな…)
フンディン: ??
フンディン: 何か仰いましたか?
ドワーフ: なにも
フンディン: そうですか、それは失礼を…
ドワーフ: さあ、さっさと頼むよ
フンディン: では直ちに
ドワーフ: ああ、それと
ドワーフ: そこらへんにある物には勝手に触るなよ
ドワーフ: 道具とか
スキールニル : 仕事っていったら報酬がつきものじゃないのか?
アル: 報酬はここを通らせてもらうこと…じゃないかな?
フンディン: もちろんです
スキールニル : そんなの無視して勝手に通れば・・・
フンディン: それにねずみを2、3匹報酬として捕まえても
フンディン: きっと怒られたりはしないよ、スキーニー
アル: 世の中そこまで甘くないさ
スキールニル : ネズミなんかいらん
*まさに「聞いてない」仕事を任された一行は、ねずみを探しながらトンネルを進む事になってしまった…。
フンディン: うわあ
アル: ?
フンディン: なんだか黒いものが
エル: ネズミかい?もしかして?
スキールニル : 随分いるな
フンディン: 地面にいっぱいカサカサと動いているのが見えました
エル: ゴキブリかい?
アル: ゴキブリ?
スキールニル : ただのネズミだろうが・・・・
*ただのネズミだが、ここのは一味違うらしい。群れをなして襲ってくるネズミをひとまず蹴散らした。
フンディン: うわあ!
*ネズミに遭遇するたびに驚くフンディンだが、一行は順調にネズミを退治していく。油断すると鋭い牙にかまれることもあるが、ちょっとした傷になるだけだ。
フンディン: ふう…
フンディン: びっくりしました
フンディン: スキーニーはやっぱりすごいなあ
スキールニル : 何が?
フンディン: 武術の腕だよ!
スキールニル : 訓練しろよ
フンディン: わたしも訓練はしていたけど
フンディン: やっぱり突然目の前に
フンディン: うわあ!
エル: 襲ってきたぞー
*驚くくらいなら注意してみていればいいものを…。話しながら進んでいるところにネズミの大群が襲ってきた。しかし通常ネズミが攻撃してくるものだろうか…。
フンディン: ううう
スキールニル : ネズミぐらいでびびるんじゃない!
エル: 好戦的なネズミだな、兄者
スキールニル : (いらいら)
アル: 頑張れ、英雄…の卵
フンディン: なにかこう… 背筋がぞくぞくとします
アル: そうだな
フンディン: アルドリックさんは
フンディン: 平気なのですか?
フンディン: うう
エル: それどこじゃないぞ
アル: うしろうしろ
エル: む
*スキールニルとフンディンが前衛、双子が後衛という隊列で後ろからネズミに襲われたが、所詮ネズミだ。双子は問題なく退治した。
スキールニル : 随分発生したな
アル: ねずみは増えるからなぁ
スキールニル : ここらの岩盤は固いから・・・
スキールニル : 大型のネズミはデカイ穴が掘りにくくてすみにくいはずだがな
アル: きっとさっきの親父がエサでもやってるんだ
フンディン: うわ!
*またもやネズミの群れと遭遇、しかし今度は群れの中にかなり大きなものが混じっている。猫くらいの大きさはあるだろう。
アル: いてて
アル: 薬薬
フンディン: ううう
スキールニル : だいじょうぶか
アル: 大丈夫
スキールニル : コレだけ数がいると
フンディン: いったいどこから…
スキールニル : 結構厄介だな
アル: 油断大敵だなぁ
フンディン: ね、ねずみが…
スキールニル : どこだ
エル: どこだどこだ
アル: お〜い
フンディン: ただの岩でした…
アル: 幻覚でも見ちゃった?
スキールニル : ・・・・
フンディン: 確かに何か動いたように見えたのですが…
*ネズミ退治は続く。
フンディン: はあ…はあ…
アル: 大袈裟だなぁ
フンディン: ス、スキーニーは怖くはないの?
エル: ネズミが怖いもんか
スキールニル : ネズミだぜ相手は
フンディン: だって動く相手が
フンディン: 向かって来るんだよ
フンディン: ちょろちょろと…
アル: 動かなきゃ向かってはこない
スキールニル : でかけりゃいいのか?
フンディン: うう、気持ちが悪い…
フンディン: はっ
フンディン: こんにちは
*少し広い場所に出た。道具が置かれていて、工夫が一人作業していた。
ドワーフ: 西の奥のほうにバカでかいネズミがいたぞ。
フンディン: ??!?
*フンディンたちがネズミ退治しているのは伝わっているのだろう。工夫はさっさと退治しろとでも言いたけだ。
スキールニル : 親玉かな
アル: でかいのだってさ
フンディン: 親玉?!
フンディン: 何の?
スキールニル : ネズミ
アル: 望みがかなったな
フンディン: …
スキールニル : でかきゃ怖くないんだろ?
フンディン: 誰もそんなことは言ってないよう…
スキールニル : そしたらおまえ
フンディン: うわああ!
*フンディンの悲鳴。だが今度は大げさではない。
スキールニル : なんだありゃ
フンディン: な、な、
スキールニル : ネズミ人間か!
フンディン: 何が起きたのですか?!
ドワーフ: ん?なにかいた?
*工夫は気がつかなかったらしい。
スキールニル : ネズミ人間だったぞ確かに
フンディン: 大きなねずみが…
アル: ヤバいな、獣人だ
フンディン: いたように見えました
ドワーフ: ネズミはネズミだろ、さっさと退治してくれ
フンディン: は、はい
アル: あんたも気をつけろ
アル: あまり近付かない方がいい
スキールニル : ここを見てみよう
*ワーラットに警戒しつつ、奥に進む。
エル: ネズミ人間とはこれまた・・・
アル: どんな病気を持ってるか分からないからな
フンディン: ううわ
フンディン: この!
フンディン: ううう
アル: やべ〜やべ〜
フンディン: *ぞくぞく*
*ネズミに噛まれ、病気に感染したらしい。だがスキールニルは治療道具を取り出すと、手早く治療した。
アル: なんだスキールニルは治療の勉強もしてるのか?
アル: サスガだな
スキールニル : 少しならね
スキールニル : 戦士のたしなみじゃないのか?
フンディン: スキーニーはすごいなあ
アル: 戦士の修行なんて
アル: したことないからなぁ
フンディン: うああ
エル: 兄者とよく訓練してるじゃないか
アル: あれは喧嘩
エル: 殴り合いの
アル: ふう
フンディン: はあ…はあ…
スキールニル : 最前線で動けなくなるとは情けないやつめ・・・
*双子は普通に話しながらネズミ退治しているが、フンディンは相変わらず大騒ぎしている。
フンディン: うわあ!?
アル: どうした!?
フンディン: な、何か来ましたよ!
スキールニル : コレはまずいな
*ワーラットが大きなネズミを引き連れて向かってきた。そのまま戦闘に突入する。ワーラットは魔法生物特有の防御力を持っており、通常武器ではなかなか傷つけられない。初めて1撃では倒せない相手との戦闘になったが、それでも余裕を持って撃退した。
アル: ふう
フンディン: いま、いま、いまのは…
アル: 親玉、結構いるんだな
アル: おいおい
フンディン: 今のはなんだったのですか?!
スキールニル : ネズミ人間だね
アル: 我らが英雄は怖がりだなぁ
フンディン: スキーニー、どうして知っているの?
スキールニル : 養父上にきいた
エル: 見た感じじゃないかな
アル: いや、見れば分かると思うけど
フンディン: ただの怪物にしか見えませんでした
スキールニル : 養父上は旅なれた戦士だから
スキールニル : いろいろとしってるんだ
フンディン: も、もうこれで
フンディン: 終わりですね
スキールニル : まあたぶんね
アル: そう願うよ
フンディン: ふう…
*ひとまず、軽く休憩を取る一行。飲み物を飲んだり腰を下ろしたりしている。それから、トンネルを先に進む。
ドワーフ : おーい
フンディン: ?
ドワーフ : こっちだ
フンディン: は
フンディン: 何か御用でしょうか?
ドワーフ : 出口はこっちだよ
アル: ご親切にどうも
ドワーフ: ネズミは全部片付いたのか?
スキールニル : ネズミ人間がうろうろしてたけど
スキールニル : いいのか
ドワーフ: なに行ってるんだ?
フンディン: 退治いたしました
ドワーフ: ふーむ
ドワーフ: まあ、それは調べておくことにしよう
スキールニル : この通路安全に通れなきゃまずいんだよな
スキールニル : はやく調べたほうがいいよ
ドワーフ: そうだな
*トンネルの出口で一行を待っていた工夫はあまり信じてないようだ。
ドワーフ: いいかい、坊や達
ドワーフ: ここから外に出られるが
ドワーフ: この出入り口は秘密だからな
フンディン: それは何故ですか?
ドワーフ: このトンネルの存在自体が、俺達ドワーフだけの秘密だ
スキールニル : そのわりにはネズミ人間に入り込まれてるけど・・・
スキールニル : 大丈夫なのか?
ドワーフ: 北方のドワーフ都市に住んでいるもの、その関係者だけの秘密ってことだ
フンディン: わかりました、そういったものなのですね
ドワーフ: そうだな。それについては調べておく
フンディン: どうもありがとうございました
スキールニル : とりあえず秘密にするって事には同意するよ
ドワーフ: 出入り口は巧妙に隠されていて、おそらく外に出たらそれとわからないだろう
フンディン: ?!
フンディン: そ、それでは家までの帰り道は…
スキールニル : 地上を通ればいいじゃないか
ドワーフ: そうしてくれ
フンディン: わかりました
ドワーフ: 本来の出入り口ではないんだからな
エル: ふーむ
ドワーフ: あくまで非常用だ
フンディン: そのようなものをわたしの如き者のために使用を許してくださり
フンディン: 本当にありがとうございます
ドワーフ: それと、荒野は危険だからな
ドワーフ: ネズミ程度じゃない
ドワーフ: ここで休んでからいくといい
ドワーフ: もう夜も遅いしな
アル: ほんじゃ休もう
フンディン: それではお言葉に甘えさせていただきます
スキールニル : じゃあ寝るか
ドワーフ: 出るときは行ってくれ。開けるから
フンディン: はっ!
*一行は、少し広くなっている通路に戻り、荷物を降ろしたり鎧を脱いだりしてくつろぐ事にした。
フンディン: ふう…
エル: おや
フンディン: すーすー
エル: 床に寝てるぞ
フンディン: ううん…
エル: 敷き布持ってないのかい?
アル: そんなんじゃゆっくり眠れないぞ
エル: あんじゃんか
スキールニル : 休むのも戦士の仕事だ
フンディン: つい、緊張のあまり
スキールニル : 困ったやつだなあ・・・
フンディン: スキーニーは落ち着いているね
スキールニル : 自分でも驚いてるよ
スキールニル : 訓練どおりの成果だ
スキールニル : さすがは養父上だ
フンディン: やっぱりスキーニーはすごいなあ
スキールニル : おまえの父上は確かにすごい戦士だったが
アル: さぁ我らが勇者もスキールニルを見習って
スキールニル : 教官としてはそれほどでもないのかもな
フンディン: ??
スキールニル : 意味わかるかい
フンディン: あいかわらずスキーニーは変なことばかり言うなあ
アル: 単にフンディンがサボってたのかもしれないぜ
スキールニル : あーそれはあるね
フンディン: そ、そのようなことはありません
スキールニル : まあ鍛冶師も立派な仕事だが
アル: その慌てブリが怪しい
エル: 才能かな・・・?
スキールニル : やるなら一本に絞れといいたい
フンディン: ……
アル: まぁそれは難しいだろうな
スキールニル : 俺は戦士になるべく養父上に引き取られたからな・・・
アル: あの家柄じゃ
スキールニル : 他に道がないってこともあるが
アル: いいじゃないか
アル: 若い内は色々とやってみるのもさ
アル: って神様も言ってるし
スキールニル : 俺が英雄の息子で裕福だったら・・・戦士になったかどうかわからないけどな
フンディン: なんだかまだちっとも休んだ気がしないですね
スキールニル : ・・・まあともかく
スキールニル : 女神は俺たちに微笑んだようだ
スキールニル : ネズミごときとはいえ戦に勝利した
スキールニル : 運がよかったといえるな
*などと話しながら休息し、やがて朝になった。
フンディン: ふう…
フンディン: それでは先へ進みましょう
アル: そうすべぇ
*荷物をまとめて出口に向かう一行。
スキールニル : おはよう
フンディン: おはようございます
ドワーフ : 良く眠れたか?
スキールニル : おじさん通してくれ
ドワーフ: わかった
スキールニル : ネズミと戯れる夢を見れたよ
ドワーフ: お前らが通ったら
ドワーフ: すぐに閉めてしまうからな
フンディン: 突然押しかけたにもかかわらず快く休息を許していただき
フンディン: 感謝の言葉もありません
フンディン: はい、よろしくおねがいします
*出口が開くと、冷たい風が流れ込んでくる。一行は出口を抜けると外へ出た。
●アドバール城砦へ
フンディン: うわあ
スキールニル : 荒野か
*ルーヴィン山脈北側の山裾に出た。6月とは言え北方ではまだ雪が降ることもある季節であり、辺りには雪が残っている。少し高い位置に出たため、遠くまで見渡すことが出来た。フェルバールを初めて出たフンディンにとっては、このような広がりのある景色を見るのは初めてだったろう。スキールニルでさえ、感激しているように見える。景色を見渡す一行の後ろで、大岩が音も無く動き、トンネルの出入り口は完全に隠された。
アル: トンネルを抜けると
アル: そこは雪国だった…
フンディン: 歌ですか?
スキールニル : 知らないのか
フンディン: そういうスキーニーは知っているの?
スキールニル : ヤース・リヴァーサイド
スキールニル : 優れた詩人だ
アル: 良く知ってるな
フンディン: へえ…
エル: 古い歌さ、僕らとは関係ない
スキールニル : 雪国、イーズーの踊り子・・・
フンディン: スキーニーは意外と物知りなんだねえ
スキールニル : イーズーってのは架空の土地だがモデルがあるらしいね
アル: なんでも温泉の出るところだとか
*…
スキールニル : 戦士たるもの兵法その他いろいろ覚えないとな
アル: わ〜お
アル: いい景色
エル: だなあ、兄者
*フンディンが地図を眺めている間、双子は高い位置に上り辺りを見回している。
フンディン: 静かだなあ
アル: そうだなあ
スキールニル : 静かすぎるのもよくないね
アル: ?
フンディン: そうかな?
*道を確認したので、一行は山裾を降りていく。
エル: イノシシだな
スキールニル : まあ警戒しないとな
フンディン: それじゃアルドリックさん
フンディン: エルドリックさん
フンディン: 何か歌でも歌ってもらえませんか?
アル: ん?
エル: 歌で獣を寄せ付けないと
エル: そういうことかい?
フンディン: スキーニーが静かなのが嫌だと駄々をこねるので
エル: ああ、そっちか
エル: 子豚の歌でも歌うか
スキールニル : あきれてものも言えない・・・
*途中、イノシシなどの動物も見かけるが襲ってくるようなものに遭遇することもなく、山を降りた。正面には森が迫ってくる。その木々の間に、何かが動いていた。
フンディン: ん?
エル: おっと
フンディン: あれは犬ですね
スキールニル : 狼だ
スキールニル : 野生の狼は危険だな
フンディン: かみついたり
フンディン: しないですよね?
アル: 気が立っているようだ
アル: するする
スキールニル : する!
エル: どうだろね
フンディン: 意外と人懐っこいようですね
フンディン: こっちに来ました
*狼が4匹、フンディンたちに気がついて向かってくる。
アル: 馬鹿
スキールニル : 早く武器構えろ馬鹿!
フンディン: ??
エル: エサが欲しいのかな?
アル: 襲ってきてるんだよ!
フンディン: うわあ
*狼は一気に距離を詰めると、先頭のフンディンに飛び掛ってきた。爪と牙で怪我を負ったものの、すぐにスキールニルがカバーに入り、撃退することが出来た。
アル: 大丈夫か? 英雄
フンディン: び、びっくりしました…
フンディン: なにがなにやら
スキールニル : たいした英雄だよまったく・・・
フンディン: 何か悪いことでもしたのでしょうか?
フンディン: わたしは
スキールニル : (助けちまった・・・ )
スキールニル : (養父上は怒るだろうな)
フンディン: どうして襲ってきたのか…
アル: 誰だって寝起きは機嫌が悪いのさ
エル: 強き身体に間抜けな心〜
スキールニル : 野生動物だぞ
アル: 腹も減ってるだろうしな
スキールニル : 腹が減ってたら襲ってくるに決まってるだろう
*森に沿って東に進む。このまま進めば街道に出られるはずだ。そこから北に進めばアドバールがある。
アル: げっ
エル: あ
フンディン: あれは…?
フンディン: 追いかけっこをしているのでしょうか?
*少し離れたところで、熊がイノシシを追いかけているのが見える。冬眠から目覚めて、野生動物は攻撃的になっているのだ。
アル: ヤバいな
スキールニル : 今のうちにやり過ごそう
エル: クマがイノシシに求愛を
フンディン: !?
スキールニル : エモノに夢中になってる
フンディン: きゅ、求愛?
アル: んなわけねえだろ!
フンディン: ???
エル: 前世は恋人同士だったんだろう
スキールニル : 箱入り息子めが・・・
アル: エルなんかひとたまりもないぞ
エル: そっとしておいてやろうか、なあ兄者
アル: (俺もだけど)
フンディン: よくわからないのですが
フンディン: つまりこのまま立ち去ると言うことなのでしょうか?
スキールニル : そうだよ
アル: その方がいいね
フンディン: わかりました
フンディン: ではそのようにしましょう
スキールニル : 立ち去るというより一目散に逃げる
フンディン: ??
スキールニル : やれやれ
アル: ふう
フンディン: 何かまずいことでもあったのですか??
スキールニル : フンディン・・・危険って言葉知ってるか
フンディン: スキーニーは知らないの?
スキールニル : お前ほどにはしらないね!
アル: おっ道だ
スキールニル : この音は!
*前方に街道が見えてきた。だが何か騒動が起こっているようだ。
フンディン: あれ?
フンディン: 何か聞こえてくるのですが
アル: どうした?
アル: 俺にはまだ聞こえないぞ
スキールニル : 弓弦の音かな
アル: うわ
アル: エル!
フンディン: ああっ?!
*驚きの声を上げた二人だが、それぞれ対象が違った。アルは後ろから迫ってくる熊を見ていた。フンディンは、前方の街道でオークに囲まれるドワーフの戦士を見ていた。ドワーフの戦士は足を怪我しているらしく、足を引きずりながら後退しているが、オークはすでに包囲する位置に移動しつつあった。
スキールニル : 下がれ
アル: うしろ!
エル: いてえ
フンディン: そんなことより
フンディン: 道にオークが!
アル: 走れ!
フンディン: ううう
スキールニル : 熊が襲ってきた
スキールニル : フンディン手伝え
フンディン: ど、どうしてですか??
*パーティーは一気に大混乱に陥った。熊が襲ってきた理由を考えている暇はないし、前方ではドワーフがピンチに陥っている。また、熊は実戦経験のほとんどない一行にとっては脅威の敵なのだ。いきなり連携を取るのは難しく、スキールニルの指示も誰に対してのものかはっきりしない。
エル: 妙案が
スキールニル : 食い足りなかったんだろう
フンディン: クマはイノシシに夢中だったのでは?
アル: きっと猪に逃げられたんだ
エル: オークのところまで逃げよう
フンディン: それでエルドリックさんと恋仲に??
アル: あほぉ
アル: 漁夫の利になればいいけどな
フンディン: ??
フンディン: わけのわからないことだらけです…
アル: そんなこと言ってる場合かぁ
スキールニル : その手もあるけどうまくいくかどうか
スキールニル : まあそれでいくか
スキールニル : とりあえずはしれ!
フンディン: ううう
*ともかく、一行は前方の戦いの中に飛び込んだ!
フンディン: 行きます!
フンディン: アイアンビアードの斧!
*フンディンはドワーフ戦士を助けようとオークに斬りかかる!
アル: うわああああ
*熊の強力な前足での一撃に、アルは跳ね飛ばされてそのまま動かなくなった。
スキールニル : ちい
スキールニル : 敵は討ってやる!
*戦闘は完全な混乱のまま乱戦へと突入した。飛び込んできた熊を攻撃するオークもいればドワーフ戦士を狙う者、フンディンを狙う者もいる。熊はまとわりつく敵を跳ね飛ばそうとオークだろうがドワーフだろうがなぎ払う。スキールニルは熊を狙って戦う。エルは倒れている兄の元に駆けつけ、急いで手当てをしている。気絶しただけでまだ息はある。
フンディン: うう、う
*乱戦の中、生き残っているオークをフンディンが倒した頃、スキールニルが傷ついた熊に止めを刺した。
アル: ふう
*乱戦が終了したころ、アルは意識を取り戻した。
スキールニル : 熊を倒した・・・
フンディン: 危ないところでした
スキールニル : 流石に今のは俺もびびったぜ
エル: クマ殺しのスキルニル
ドワーフの戦士 : 助けられたようだな
アル: ちびったぜ
フンディン: わたしはフェルバール城砦はムンディン・アイアンビアードの息子
フンディン: フンディンと申します
フンディン: お力になれて光栄です
ドワーフの戦士: だがのんびり話している暇はないんだ。残念ながらな
スキールニル : へえ
スキールニル : 何かあったのかい
*ドワーフの戦士は足を引きずっている。どうやらまともに動かないほどの大怪我をしているらしい。一行の回復手段ではここで治すことはできなさそうだ。
フンディン: どうかなさったのですか、御仁?
ドワーフの戦士: 小僧ども
ドワーフの戦士: どこのやつらかしらんが
エル: おや、足をどうしたんだい?
フンディン: いえ、ですから
ドワーフの戦士: はやくアドバールへ向けて走れ!
フンディン: わたしはフェルバール城砦はムンディン・アイアンビアードの息子
フンディン: フンディンと申します
ドワーフの戦士: オークが追ってくる
フンディン: 以後お見知りおきを
フンディン: ??!
*フンディンの口上を聞いている余裕はないようだ。荒く息をし、怪我した足を握り締めながらドワーフの戦士は一行を怒鳴りつける。
スキールニル : 何!
アル: あんたをおいてはいけないだろ
エル: 別に走らんでもいいでしょ
ドワーフの戦士: おれは走れん
フンディン: いったい何があったのですか??
ドワーフの戦士: 早くいけ
フンディン: そういうわけにはいきません
フンディン: 見知らぬ方とはいえ
スキールニル : とはいえ担いで走るわけにも
フンディン: モラディンの子たる
フンディン: 兄弟を見捨てることはできません
アル: そうそう、そういうこと
*そんな話をしている間にも、森の影からオークが姿を現す。すでにこちらを確認していて、声を上げながら向かってくる!
スキールニル : やばいぜ来たぞ
フンディン: ああっ!
ドワーフの戦士 : 早く行け!
フンディン: そうはいきません
ドワーフの戦士: アドバールで
ドワーフの戦士: 遊撃隊長に
ドワーフの戦士: ナクルはしくじったと
ドワーフの戦士: 伝えてくれればわかる
スキールニル : ・・・わかった伝える
フンディン: ???
アル: 隊長の名前は?
スキールニル : ブライトアックスの炎の剣にかけて誓う
フンディン: 何を言ってるんだ、スキーニー
フンディン: 見捨ててなんか行けないよ!
スキールニル : やってくるオークはアレだけじゃなさそうだぞ
スキールニル : アドバールへ警告しないといけない
アル: そういうこった
エル: その通り
スキールニル : 俺たち全員死ねばそれで終わりだ
フンディン: それじゃスキーニーだけ行ってよ
エル: 僕らも行くよ
フンディン: わた、わたしは戦う!
アル: 英雄、無理は禁物だ
スキールニル : 足手まといになりたいなら止めないぞ
ドワーフの戦士: …バカな
アル: ここは引け!
ドワーフの戦士: お前など助けにならん…
スキールニル : 名前は知らんがあんたは真の戦士だ
スキールニル : 俺は生涯忘れない!
フンディン: 助けにならなくても
フンディン: オークの腕の一本くらいは切り落として見せます!!
ドワーフの戦士: そんなピカピカな鎧を着せられてるだけの小僧め!
アル: 足手まといになるっつうの!
ドワーフの戦士: 俺が逃げないと…お前も逃げないのか…
アル: あ〜もう!
*そんな事を話している間にも、オークは迫ってくるのだ。すでに逃げ切れる距離ではなくなったため、先頭のオーク2匹を倒す。
スキールニル : 仕方のないヤツだ
フンディン: ぜえ…ぜえ…
アル: 話すなら早くしろって!
スキールニル : おい今のは先発隊だろうぜ
ドワーフの戦士: …
フンディン: 御仁! 今のうちです!
スキールニル : この戦士のいうとおりはやく行くべきだ
フンディン: 我らと共にアドバール城砦まで
ドワーフの戦士: むう…頑固なやつめ
フンディン: 死を恐れるのは臆病者
フンディン: されど死に急ぐものは愚か者であると父に聞きました
フンディン: 我らの命はソウルフォージャーより賜りし預かりもの
フンディン: それを使う機会を見誤ってはならぬとも
ドワーフの戦士: 俺が踏みとどまればお前が死にそうだな…
アル: そういう事だね、勇敢な戦士さん
スキールニル : バカが・・・
ドワーフの戦士: 俺も死に急ぐつもりはない
フンディン: では急ぎましょう!
*フンディンの頑固さに、戦士は負け、黙ってフンディンの肩を借りる。
フンディン: スキーニーも手伝ってよ!
スキールニル : 俺はしんがりを守る
アル: 頼むぜ
ドワーフの戦士: すまんな…
スキールニル : 急げ
スキールニル : 急げってば
フンディン: う、う
*鎧を着た大人のドワーフ戦士を担ぐのは重く、歩く以上のスピードでは移動できそうも無い。遅々とした歩みは、簡単にオークに追いつかれてしまった。
スキールニル : だからいわんこっちゃない
ドワーフの戦士: 怖いのか?…なら逃げてもいいんだぞ
フンディン: 逃げません!
*追いついてきたオーク3匹とスキールニルが戦闘に突入する。双子はクロスボウで援護し、なんとか撃退した。
スキールニル : 一匹しとめた
ドワーフの戦士: くう
ドワーフの戦士: だいじょうぶか、小僧
フンディン: スキーニーは勇敢な戦士です
ドワーフの戦士: もうすぐだ…
スキールニル : たいした傷じゃない
フンディン: ご心配には及びません
*一行の目の前、アドバールへの南を流れる川に架かる橋の手前の茂みに、オークが6匹ほど隠れていた。一斉に矢を射掛けてくる。オーク6匹では、パーティーの実力から勝つのは難しい…。
アル: ああ…
ドワーフの戦士: 敵だ
ドワーフの戦士: 待ち伏せされたか…
アル: (が〜ん)
エル: うへぇ
フンディン: !?
フンディン: う、う、
スキールニル : フンディン死ぬ覚悟はいいか
フンディン: ええ?
エル: ちょっとさがってみ
スキールニル : お前の選んだ道だ
アル: エルに任せろ
スキールニル : 呪文か?
エル: いや、まかせられても
スキールニル : それはいい
ドワーフの戦士: 放って行けば良かったものを!
エル: コショウのたっぷり詰まった袋があるんだ
フンディン: ??
アル: それが出来ないのが我らの英雄なのさ
エル: 投げつけてみよう
スキールニル : とりあえず飛び道具で攻撃しよう
ドワーフの戦士: いいか、俺は死んでもお前ら小僧を死なせやしない!
*フンディンを払いのけ、斧を手にオークに向かっていく。
フンディン: その傷では無理です!
スキールニル : 戦士・・・一緒に生き残るしかないぜもう
フンディン: ここ、こ、ここは我らにおま、おま、お任せを!
ドワーフの戦士: 黙れ!最後まで…オークを道連れにしてやるぞ!
*ドワーフの戦士は完全に火がついたようだ。すさまじい迫力で両手を広げる。
スキールニル : いいか全員でやつらを殺す!
スキールニル : それしかないんだ!
フンディン: エルドリックさん
フンディン: 何かあるなら投げてください!
スキールニル : いそげ
ドワーフの戦士 : 戦いだ!アドバールのドワーフの力を見せてやる!
*フンディンは戦士を行かせまいと止めようと試みる。
エル: 橋げたの向こうに投げられるかなぁ
アル: いいから投げろ〜
スキールニル : フェルバールの「若造」の力を見せてやるぞ
*エルの投げた「咳き込み粉」は弧を描いてオークの集団の中に落ちた。4匹のオークはそれを深く吸い込んでしまったようで、一気に行動不能な状態になる。
アル: やったね!
*まだ動ける敵にスキールニルが突撃し戦闘に突入。さらに戦闘開始から1分ほどした時、アドバール兵の援軍が駆けつけてきた。ここはすでにアドバールの領域なのだ。これで一気に形勢は逆転し、オークは全滅した。
スキールニル : 助かった
フンディン: げほ、げほ
アドバール兵: さあ早く
フンディン: ハーックショイ!
アル: ありがとう
アドバール兵: アドバールはすぐそこだ!
フンディン: ハクショイ!
アル: さぁナクルも
フンディン: *ズルッ
フンディン: は、はなが…
ドワーフの戦士: 助かったのか…
スキールニル : おふくろさんに拭いてもらえよ
アル: 思いっ切り吸い込んじゃったのね
アル: 分かっていながら
フンディン: なにいってるんだいスキーニー
ドワーフの戦士: はあはあ…
フンディン: 母上はフェルバールだよ
スキールニル : 皮肉の通じないやつは嫌いだ・・・・
●アドバール城砦
ドワーフ : ナクルどのが戻られたぞ!
*アドバール城砦の二つの門を抜け、中に入ると待ち構えていたドワーフたちが走り寄ってくる。
アル: 有名人?
スキールニル : ナクル「どの」?
ドワーフの戦士(ナクル) : 助かった、小僧ども
スキールニル : エライのか
フンディン: よ、よかった…
*フンディンは気が抜けたのか、その場にへたりこんだ。
ナクル: お前達のおかげでまた生き延びた…
スキールニル : 例ならそこのお坊ちゃんに
ナクル: ゆっくり挨拶したいところだが、急ぎの用がある
ナクル: お前さんらはどこに滞在する予定なんだ?
アル: 何処がいいと思います?
スキールニル : まだ決まってないんだ
フンディン: あ、
フンディン: そ、そうでした
フンディン: 御仁、もしや
フンディン: イランディル・バングスティールという者をご存知ないでしょうか?
ナクル: 知らんわけないだろう
フンディン: !
ナクル: うちの鍛冶長じゃないか
フンディン: !!
ナクル: イランディルどのを尋ねてきたのか
フンディン: はい
アル: へぇフンディンの師匠の弟子が鍛冶長ねぇ
ナクル: まあ…あのお方はあまり戦いは好まないからな
ナクル: 変わったお人だ
スキールニル : 俺だって無駄な争いは嫌いだよ・・・
フンディン: イランディルどのには何処にいらっしゃるのでしょうか?
ナクル: この夜分に尋ねては無作法というものだろう
フンディン: はっ!
フンディン: わ、わたしとしたことが
フンディン: とんだご無礼を…!
フンディン: ひらにご容赦ください
ナクル: 城門を抜けると、すぐに
ナクル: 憩いの泡ジョッキ亭という宿屋がある
スキールニル : 泡ジョッキかあ・・・
ナクル: そこで宿を取ってくれ
アル: いいね!
ナクル: 明日誰かそこにやる
フンディン: そうさせて頂きます
エル: はやいとこ行こう
フンディン: お心遣い感謝いたします
スキールニル : ところであのオークだけど
スキールニル : どこの部族のものかな
スキールニル : まだまだいるのか?
フンディン: なんでそんなことが気になるの、スキーニー?
ナクル: ああ…まあそれはお前達には関係ない
スキールニル : 気にならないわけがない
フンディン: どうして?
アル: 帰り道で襲われるかもしれないしね
フンディン: !
スキールニル : フェルバールにいたやつらの生き残りかもしれないし
フンディン: あっ!
ドワーフ: おい、あまりナクルどのをお留するなよ
スキールニル : あーわかったよ
フンディン: そうだよ、スキーニー!
ドワーフ: いきましょう。どうぞ肩を
ナクル: …すまんな
*迎えのドワーフに担がれるナクル。
ナクル: また明日、時間があればいいのだが
アル: それじゃあお大事に〜
ナクル: 必ず礼はする。さらばだ、勇敢な若者たち
フンディン: それでは失礼いたします!
スキールニル : ・・・愛想のないヤツだけど
スキールニル : アレは戦士だな
アル: さて、酒酒
*一つの戦いを潜り抜け、一人のドワーフの命を救ったフンディンたち。すでに日も落ち暗くなったアドバールで、明かりのもれる”憩いの泡ジョッキ亭”へと向かうのであった。