ドワーフクエスト
第六章 それぞれの道行き
「その名は"王殺し"」
●フェルバールへ向かう二人
*フンディンとエルの二人は、スキールニル、アルと別れてミラバールを後にしてから、最低限の休息だけでフェルバールへの道を急いできた。地図だけを頼りに大トンネルを進み、そろそろフェルバールに一番近い出口付近までやってきていた。
エル: ふうふう
エル: 出口だ
フンディン: ここから出るしかないようですね
エル: うん
フンディン: いきましょう、エルドリックさん
エル: ああ、急ごう
*二人は緩やかに地上へと向うトンネルを登りきると、出口になっている隠し扉から隠し通路へと出る。そのままさらに別の洞窟へと抜けられるようになっている。洞窟まで出ると、トンネル内とは空気が違う。まだ外に出たわけではないが、二人にとっては"外に出た"という感覚である。もうすぐフェルバールという安心感もあって、二人は洞窟から外に向うが…
フンディン: えっ?!
フンディン: オーク!!
エル: オーク!?
*洞窟の出口付近で、突然オークと遭遇した!オーク側も、外からならともかく内側からドワーフが現れるとは思っていなかったため両者とも不意を打たれた格好だが…
フンディン: この!
*そのまま戦闘に突入。大きな被害はなく勝利した。
エル: こんな所にオークがいるとは
フンディン: ・・・
フンディン: 先をいそぎましょう
●二人の追跡者
*さて、ここで少し時間を巻き戻してフンディンが気にしていたフェルバールへのオーク襲来とその後の話。
*オーク襲来は撃退し、勝利。しかし、オークの中にワーラットが紛れ込んでおり、そいつが本陣に侵入、王暗殺を目論んだが、王弟が立ちはだかり失敗。しかしその際に王弟はワーラットの持っていた斧により致命傷を受けて命を落としてしまう。ほぼ即死であったという。王弟殺害の混乱でワーラットは逃走。このため今回は追い払うだけではすまなくなり、また、ワーラットが前回の襲来の生き残りの可能性が高いため、徹底的に残党狩りをすることになった。
ノーラ: 隊長、他には何かいるかしら?
エギル: 矢の数が足りんかもしれんな
*フェルバール第三軍特務小隊の二人は急いで装備を確認していた。この二人が今回のゲストキャラクターである。多くの小隊が残党狩りに出撃している中、この特務小隊はワーラット追跡を主たる任務として出撃する。
ノーラ: ところで隊長
エギル: なんだ
ノーラ: 隊長は弟王の死に際を見たのかしら?
エギル: わしは見た
ノーラ: ワーラットも?
エギル: ああ
エギル: あのまがまがしい斧が
エギル: 彼の体に食い込むのを見た
*また、その前後の戦闘で小隊の一人が重傷を負ってしまった。ゆえに二人で行動する事になってしまっている。
エギル: カイルのやつはわしが戻らせた
エギル: あの怪我では満足に動けまい
ノーラ: 私…頑張ります
ノーラ: カイルの分も
エギル: うむ
エギル: 二人では心もとないがどうにかはなろうよ
ノーラ: そうです…ね
エギル: 山の中であればわしらの領域よ
*二人は斥候および遊撃を得意とするレンジャーである。登場しないけど、戦線離脱しているカイルがファイターらしい。
●出会い
*てがかりのない二人は、ひとまずワーラットの潜伏しそうな洞窟をしらみつぶしに探す事にした。そうしていくつかの洞窟を調べていると…
ノーラ: きゃっ!何か出てきた!
エギル: とまれ
*武器を構える二人。しかし出てきたのは…
フンディン: ?
*フンディン達であった。ちょうどオークを倒して洞窟から出てきたところだ。
ノーラ: 同胞?
エギル: 見たところ同胞のようだが
フンディン: ごきげんよう
ノーラ: こ…こんにちわ
フンディン: 私はフェルバールはムンディン・アイアンビアードの息子フンディン
フンディン: こちらはわたしの友人、エルドリック・ウッズタイガーと申します
フンディン: 故あってフェルバールへの帰路の途中でありました
エギル: フェルバールの者か
ノーラ: *ほっ*
エル: ああ
ノーラ: 良かったわ
エギル: われらはフェルバール軍のものだ
フンディン: !
エギル: ここで何をしているか聞いてもよいかな
フンディン: フェルバール軍の方がこのようなところで何を・・?
フンディン: もしや… オークでありましょうか?
ノーラ: それは…
エギル: オークといえばオークだな
フンディン: いままさに
フンディン: 二匹のオークと遭遇してこれを打ち倒してきた次第であります
エル: いたな
フンディン: はい
ノーラ: あら、凄いわ
エギル: お前たちはフェルバールの者のようだが
エギル: ここ最近はフェルバールにいなかったとみえるな
フンディン: はい
エル: ええ、そうです
エル: 久しぶりに戻ってきたんです
フンディン: 理由あってフェルバールを離れておりました
エギル: よかろう教えてやろう
エギル: フェルバールはオークの襲撃を受けた
フンディン: !!
フンディン: そ、それで
フンディン: 無事なのですか!?
エギル: 無事であるといえば無事だが
エギル: 無事でない者もいたのだよ
ノーラ: そうですわね…
フンディン: …!
エギル: 王の弟君が戦死された
フンディン: !!
エル: なんと
エギル: 陛下をかばっての見事な最期であった
フンディン: やはり… 嫌な予感が…
エル: 相当激しい戦いだったのか・・・
ノーラ: で、でも王は無事ですわ
エギル: まあオークとの戦いは
エギル: 楽なものであったが
エギル: 我らはいわばその下手人を追っておるわけでな
フンディン: …?
フンディン: いま下手人、とおっしゃられましたね
フンディン: 敵はオーク以外にも
エギル: オークどもはネズミ人間と手を組んだようでな
フンディン: !!
フンディン: あのワーラットたちが…!!
ノーラ: あの?
エギル: 「あの」?
フンディン: はい
ノーラ: 貴方たち、見たの!?
エギル: 何かしっておるのか
フンディン: 実は我々がフェルバールを発つ折に
フンディン: 坑道でワーラットに遭遇したのです
フンディン: その時はこともなく討ち果たしましたし
フンディン: また坑道の方にも報告しましたので
エギル: ふむ
フンディン: 大事には至らぬであろうと思っていたのですが…
エギル: あるいはそのときの残党が
エギル: 残っておったのか
ノーラ: そやつらの残党だったのかも知れませんわね
フンディン: うう…
エギル: いずれにしても
エギル: そのネズミ人間の一匹がな
エギル: 本陣にしのんできて
エギル: 王に斧で切りかかったのだよ
フンディン: !
エル: ふむふむ
フンディン: まさかこんなことになろうとは…
エギル: 陛下の危ういところを弟君がかばったおかげで
エギル: 陛下は今もなおご存命だ
フンディン: あのとき… 全て討ち果たしたか確認してから発つべきでした…
エル: 今言っても仕方ない
エギル: 戦には勝利したが
エギル: 結局下手人には逃げられてしまってな
エギル: いまこうして我らが「狩」をしているわけだ
フンディン: ひとつ伺いたいのですが
エギル: なんだね
フンディン: 戦闘指南役のムンディン・アイアンビアードは…
フンディン: 無事でありましょうか?
ノーラ: えっ?
ノーラ: 貴方…ご親族の方?
フンディン: はい
フンディン: 先も申し上げた通り、わたしはムンディン・アイアンビアードの長男フンディンと申します
ノーラ: それはそれは
エギル: ほう
エギル: ムンディン殿なら無事でおられるぞ
フンディン: !
フンディン: *へなへな*
フンディン: そ、そうでしたか…
ノーラ: 私としたことが聞き逃していたようですわ
フンディン: よか…よかった…
エギル: あのムンディンどのの・・・
*と、一瞬フンディンを頼もしく思ったエギルだったが…
フンディン: *グスン*
エル: おい、しっかりしろ
フンディン: す、すみません
フンディン: *グスッ*
エギル: まあ父上は無事だとも・・・安心するがいい
*駄目みたい…
ノーラ: 余程心配していらっしゃったのね
フンディン: あ、ありがとう…ございます・…
フンディン: *ちーん*
エギル: それよりもネズミをなんとかせねばいかんな・・・
エギル: しかしノーラよ
ノーラ: はい、隊長
エギル: ネズミも武器を使うのだな
ノーラ: 斧と聞きました
エギル: あんな斧ははじめてみたわい
フンディン: ?
エギル: いや・・・わしは弟君が落命されたときに
エギル: たまたまそこにおってな
エギル: あの忌まわしいネズミ人間が・・・奇妙な斧を持っておったのよ
フンディン: どこが奇妙なのです?
エギル: 美しくもあり・・・禍々しくもあり
エギル: なんとも言えぬが
エギル: さぞかし腕のいい者の作であろうな
ノーラ: 私はラットマンの手から離れ飛び回っていたと聞きましたわ
エギル: そういえばオークに出会ったといったな?
フンディン: はい
フンディン: 二匹でした
エギル: 今回の襲撃に関わった連中は
エギル: 残らず狩り出すのが我らの使命
エギル: 死体を確認したい
フンディン: そちらの洞穴の中に
フンディン: 二つ転がっているはずです
エギル: ふむ
エル: 行ってみましょうか
フンディン: こちらへ
*4人は洞窟に戻る。オークの死体はそのまま二つ転がっている。
エギル: これか
フンディン: はい
エギル: 見事な腕だな
ノーラ: 本当に
エギル: お前たちが倒したのか
エル: 見事に首がちぎれてるでしょ
エル: 我らが英雄、フンディンの一撃さ
ノーラ: 流石ムンディン様のお子息ですわ
フンディン: こ、光栄であります…
フンディン: *少し照れる*
エギル: ネズミはいなかったのだな?
フンディン: はい
フンディン: ワーラットの姿はありませんでした
エギル: ふむ・・・
*と、エギルはフンディンの持っている一見古びた斧に目を留めた。
エギル: 見事な斧を持っておるな
フンディン: 父ムンディンより譲り受けた品です
エギル: 父上のそのまた父上は鍛冶師であったと聞くが
エギル: ふむやはりそうであったか
エギル: ・・・それにしても・・・
エギル: ・・・いやまさかな
フンディン: ?
エギル: 気のせいであろうが・・・
エギル: その斧
エギル: 似ておるよ
フンディン: ?
フンディン: 似ている?
エギル: 王のお命を奪うところであった
エギル: あの忌まわしき斧とな・・・
エル: ほう
フンディン: えっ?
エギル: どことなくではあるが・・・
エギル: いや・・・老いぼれの気のせいかも知れぬのだが
フンディン: この斧は
フンディン: この斧はフェルバールを発って以来、四十日あまりの間
フンディン: ずっと肌身離さずわたしと共にありました
エギル: その斧が件の斧といっているわけではないが
エギル: 雰囲気というかな
エギル: 空気・・・
エギル: あるいは「意思」のようなものが似ておる
フンディン: 意思…?
エギル: わからぬが・・・斧じたいが陛下を狙っていたような・・・
エギル: 奇妙だがそう感じたのだよ
フンディン: ……
ノーラ: きっと優れた武器には魂がこもっているのですね
エギル: その斧も名工の手によるものゆえ
エギル: 魂が宿っておるようだが
エギル: あの斧にも
エギル: そのようなものを感じたということよ
ノーラ: それにしても何故ネズミ共がその様な物を…
フンディン: 御仁
フンディン: そういえばまだお名前をお伺いしていませんでした
エギル: うむ?
エギル: うむ、わしはエギル
エギル: 長いこと軍で斥候を勤めておる
エル: お姉さんは?
ノーラ: 私は部下のノーラです
エル: よろしく、ノーラ
ノーラ: よろしくエルドリックさん
エル: あ、エギルさんも
エギル: うむ
*すごく、ついでっぽいなぁ…
フンディン: エルドリックさん
エル: なんだい
フンディン: その…
フンディン: おつかれのところ大変、言い難いのですが…
エル: ?
*フンディンはエギルたちに向き直り…
フンディン: エギルどの、ノーラどの
フンディン: ぶしつけな申し出であることは重々承知の上なのですが
フンディン: もしよろしければ私をその狩にご同行させてはいただけませんでしょうか…?
ノーラ: まぁ!
エル: うへぇ
エル: そういうことか
エル: まあ、日にちはまだ十分にあるよな
フンディン: すみません、エルドリックさん
フンディン: でもなんだか… 気になるのです
フンディン: そうしなくてはならないような、そんな気持ちがして
エギル: ふむ・・・
エル: いや、それはいいんだ
フンディン: お疲れでしたら先にフェルバールへ向かわれていても構わないです
エル: フェルバールによる理由も無いんだ
フンディン: !
フンディン: そ、そうでしたね…
フンディン: 私のわがままにお付き合せしてしまって
ノーラ: 隊長、手伝っていただきましょうよ
エギル: 腕は確かなようだし
エギル: あのムンディン殿の子息とあれば
エギル: わしはかまわぬよ
フンディン: おお!
ノーラ: 正直カイルさんのように接近戦の出来る方がきないのは不安ですもの
エギル: 実は部下が一人負傷しておってな
エル: ただ、おじさん
エギル: うむ?
ノーラ: おじさんではありません、隊長です
エル: あ、ごめんよ、ノーラ
エギル: おじさんでもかまわぬぞ
エギル: 軍に所属しておらんのだしな
ノーラ: 私は困ります
エル: 俺たちは仲間と約束してて
ノーラ: えぇ
エル: フンディン、それには間に合うように戻らないと
フンディン: それは重々承知しております
エル: それなら、俺は構わないよ
エル: 英雄の活躍が増えるのはこっちも楽しい
エギル: なに・・・逃げたオークとネズミを退治するのが任務
エギル: うまくいけば2-3日ですむかも知れぬ
フンディン: それではよろしくお願いいたします
エギル: こちらこそ頼む
ノーラ: 人出は多いほど助かります
エギル: わしら二人は斥候ゆえ
エギル: 殴り合いにはあまり長けておらんのだ
エル: そうそう、俺は吟遊詩人でさ、フンディンが英雄になるのを夢見てんだ
ノーラ: まぁ
ノーラ: きっと素晴らしい活躍をされているのですね
ノーラ: 頼もしいですわ
エギル: ほう
エギル: さすがにムンディン殿の息子だけあるな
フンディン: と、とんでもございません
フンディン: *ごほん*
エル: 英雄のの喜劇・・・プ
エル: まあ、頼りにしてくれよ
フンディン: それよりも
エギル: うむ
フンディン: 何か手がかりなどはあるのでしょうか?
エギル : 今のところあまりないな
ノーラ: あっ手を怪我されておいでですね
ノーラ: ちょっと失礼します
フンディン: い、いえ、
フンディン: ほんのかすり傷です
*ノーラは治療道具を取り出すとフンディンの傷を手当てする。
フンディン: か、かたじけない…
ノーラ: 傷をそのままにするのは良くありませんから
エギル : ちょうどオークの足跡を見つけておっていたところ
エギル : この洞窟からおぬしらが出てきたのでな
エギル : あまり良い手ではないが
エギル : ここらをしらみつぶしにさがすしかない
フンディン: 足跡はいくつあったのでしょうか?
エギル : ここに転がっている分だな
フンディン: なるほど…
エギル : ここらには洞窟が数多くあるから
エギル : そのどこに逃げ込んでいるやら
ノーラ: どこから出てきても不思議ではないのです
ノーラ: *ぶる*
エギル : うむ
フンディン: それでは早速参りましょう
エギル : ひとまずここを出て・・・あたりを探ろう
ノーラ: はい、隊長
●捜索
*4人になった一行は、洞窟を出た。
エギル : ここから北へ行ってみるか
ノーラ: はい、隊長
エル: よーそろ
エギル : 猟犬に手伝ってもらうとするかな
*エギルは動物の仲間を呼び出した。
エギル : よろしく頼むぞ
フンディン: *ぽかーん*
ノーラ: 流石隊長ですわ
エギル : うむこやつは古いなじみでな
エギル : 怒らせない限りなにもせんよ
フンディン: へえ…
ノーラ: カイルさんは何度も噛みつかれたと…
エル: ふむふむ
エル: これは兄者にも教えてやろう・・・
*一行は足跡や、他の何か痕跡を探しながら山道を行く。
エギル : フムここらにはおらぬか
ノーラ: そのようですね
エギル : うむではこの道を登ることにする
ノーラ: はい、隊長
エギル : 手負いの獣は危険だから気をつけるのだぞ
フンディン: はっ
ノーラ: は、はい、気をつけます
エギル : 逃げ場を失った獣が
エギル : 一番怖いのだ
ノーラ: はい!
エル: (フンディンと気が合いそうだ
フンディン: なにか言いましたか、エルドリックさん?
エル: いや
エル: 警戒警戒
*一行は山の中を捜索していく。特に危険な遭遇もなく歩いていると…
ノーラ: 足跡が
エギル : ふうむ
エギル : オークでもネズミでもないな
エギル : 狼か
*山道から谷側の林の中に狼の群れを発見した一行。狼のほうもこちらに気が付いて、山道を駆け上がってくる…
フンディン: ?
エル: うへ
エル: 噛み付かれた
*走り回り距離をとる狼と戦っているうちに仲間がやってきて増えていく。だが戦闘自体はそれほど危なげなく終了した。
ノーラ: あぅエルドリックさんお怪我を
エギル : 平気か
*というわけで、治療して捜索再開。狼のいた林のほうに下りていく事にした。少し進むと林の合間に、何かがいるのが見えてくる…
ノーラ: コボルドが
ノーラ: コボルドがいますわ!
フンディン: あれは…
フンディン: ええ、コボルドです
フンディン: 一匹だけのように見えますが…
ノーラ: 何かを見張っているように見えますね
エギル : コボルドか・・・
エギル : ひとつ忍び寄ってみるかノーラよ
ノーラ: はい、隊長
エギル : よしいい機会だ、ノーラよこっそり近づいてみるぞ
ノーラ: はい
*ノーラを先頭に少し離れたエギルと二人が忍び寄っていく…
フンディン: へえー…
*フンディンとエルは離れた林の中からその様子を観察している。二人があと少しで手が届く距離まで近づいた所で、コボルドはそれに気が付いて声を上げた。
コボルド: 助けて!敵じゃないよ!
エギル : (静かにしろ
*コボルドは武器を投げ捨て、慌てた様子で声を張り上げる。
コボルド: 助けて!敵じゃないよ!
コボルド: 殺さないで!あなたたちの髭にいたずらしないと誓うよ!
ノーラ: 敵じゃないとはどういう意味かしら?
*エギルはフンディンとエルに、こちらに来るように合図した。二人はそれに気が付いて歩いてくる。
エギル : どうも敵ではないようだ
フンディン: どうしたのです?
ノーラ: 敵じゃないと言っているのです
エギル : うむ、どうやら敵ではないようだ
エギル : 話を聞いてみようとおもってな
エギル: 何者だ?
コボルド: マーボの家族、この先の洞窟住んでたよ。だけどオークやってきてみんな殺されてしまった!
エギル: そのオークたちについて教えてくれ。
コボルド: オークたくさん。オークと一緒に人間いたよ!…人間?たぶん人間ね。
エギル : 人間・・・どうやらやつらのようだ
コボルド: この先、洞窟まで道ひとつ。人間?ワナたくさん置いてたよ。
コボルド: マーボは逃げる事に決めたの。だから、行ってもいい?
エギル: もっと聞きたいことがある。
コボルド: …なに?マーボあまりここにいたくないよ。
エギル: オークの数は?
コボルド: わからない。マーボは1.2.3…6から先を知らないの。
エギル: どんな人間だった?
コボルド: ニンゲンあまり知らないよ。だけどすごく早かったよ。
エギル: ありがとう。もう行っていい。
*コボルドは武器を拾うとそのまま走り去って行った。
ノーラ: どうやらネズミに間違いなさそうですね
エギル : 二人とも今なら引き返せるぞ
エル: いいや
フンディン: ご心配にはおよびません
ノーラ: *ほっ*
エギル : 罠を仕掛けておるようだし非常に危険だ
エギル : 二人とも腕は立つようだが・・・こういう戦いの経験はおありか
エル: あまり無いかな
フンディン: うーん…
フンディン: スキーニーなら経験があったかも知れないけど…
エル: 大体俺は戦士じゃないし・・・
エギル : とはいえわしらだけでは苦しいからな
エギル : 本音は一緒に戦って欲しいところだ
フンディン: ともかくそこに敵がいることがわかっている以上
フンディン: 退く事はできませぬ
エギル : ふむそういってくれるか!
ノーラ: そうですよね、そうですよね
エル: ああ、それはもちろん
エギル : さすがはムンディン殿・・・良い息子をお持ちになられた
エギル : では洞窟のそばで待機していてくれぬか
エル: (ますますもってフンディンと気が合いそうだ
*一行はコボルドの示した方向にある洞窟までやってきた。かなり大きなアーチを描いている。奥のほうからも明かりが見える事からどうもトンネルになっているようだ。天然の門と行ったところか。
エギル : 中にこっそり入ってみる
フンディン: わかりました
ノーラ: やん
フンディン: あっ
*と、ノーラが転んだ。
エル: ・・・
フンディン: だ、大丈夫ですか、ノーラどの?
ノーラ: すみません隊長
エギル : 落ち着け
ノーラ: えぇ…だだだ、大丈夫です
エル: ノーラって結構どじなのかな
ノーラ: こここ、こう見えても訓練では
エギル : ノーラはこの戦がいわば初陣でな
エギル : 射撃の腕は良いのだが・・・
ノーラ: *しゅん*
ノーラ: すみません、頼りにならない部下で
エギル : まあ落ち着くことだな
フンディン: 我々も
フンディン: ご同行したほうが良くはありませんか?
エギル : いや少し中の様子をみるだけだ
エギル : すぐに戻る
ノーラ: ととと、取り敢えずは…ここにいてくだください
フンディン: わ、わかりました
フンディン: お気をつけて…
エギル : 教えたとおりに身を隠して動くぞ
ノーラ: ははは、はい
*二人は身を隠しながらトンネルへと入っていった。トンネルはすぐに抜けて向こう側に出る。両側を崖に挟まれた細い道が続いている。古い川の後か、地震で出来た断崖か、ともかく待ち伏せには最適なところだ。
エギル : ふむ
ノーラ: いきなり…ですね
*敵の姿は見えないが、いきなり罠が仕掛けられていた。ひとまず二人はトンネルを戻る。
エル: だいじょぶかな
フンディン: !
エル: どうでした?
エギル : トンネルになっておって
エギル : 谷間のようなところに出る
エギル : 罠があるから注意せねばな
ノーラ: いきなり罠がありました
エギル : とりあえずは我らの後についてきてくれ
フンディン: はっ
フンディン: わかりました
*二人を連れて再びトンネルをくぐる。
ノーラ: そこ、罠です
エギル : わしの目の前に
エギル : 仕掛けがある
フンディン: !
*罠は一つだけでなく、いくつか重ねて仕掛けられているようだ。ノーラの誘導に従ってフンディンとエルは慎重に進む。
エギル : もう少し左を歩いたほうがいい
エギル : よしそのまままっすぐ
ノーラ: そこ、罠です
フンディン: ?
フンディン: どこですか?
ノーラ: そこより先は危険です
ノーラ: こちらへ
エギル : 少し先を見てくる
ノーラ: はい、隊長
*エギルは一人先行した。
ノーラ: エルドリックさん
ノーラ: 左には行かないで
エル: うん
エル: はーい
*ノーラの誘導に従って罠だらけの道を抜けると、前方で戦闘の音がした。慌てて駆けつける三人。見ると崖の上、両側に潜んでいたオークが弓で谷底のエギルを狙い撃ちにしている。エギルは必死に防御しているものの、すでに矢を受けているようだ。
フンディン: !
ノーラ: あっ
フンディン: オーク!
ノーラ: えい
ノーラ: えい
*崖の上に回る道もわからないし、回り込む時間もない。ノーラは弓を連射した。矢は的確にオークを捕らえる。エルもクロスボウを取り出すとノーラを援護した。
フンディン: エギルどの!
フンディン: 大丈夫ですか!?
エギル : わしも焼きが回ったか
*フンディンが近寄って盾の下にエギルを庇った頃、すでにオークは倒されていた。
ノーラ: やりました!
*ノーラとエルも近寄ってきた。
エギル : あそこを罠がふさいでおるな
*エギルが前方を指差す。フンディンにはどこに罠があるのかわからないが、その向こうに洞窟の入り口があるのは見える。今度はトンネルではなく、地下に潜る洞窟のようだ。
フンディン: ?
ノーラ: あ〜
フンディン: ??
ノーラ: 道いっぱいに罠が
ノーラ: そこ、罠です
ノーラ: どうしましょう?隊長
エギル : ふむ
エギル : 少し周辺を調べてみる
ノーラ: 左ギリギリを行ってみますか?
ノーラ: あっ
*ノーラが罠を調べようと近づいた時、洞窟から1体のオークが現れた。
フンディン: !
フンディン: ノーラどの、おさがりください!
*フンディンはノーラを庇おうと前に出ようとするが、ノーラに腕を掴まれる。
ノーラ: いえ
ノーラ: この先には罠があります
ノーラ: 進めませんわ
エル: にっちもさっちも行かないね
*オークは一行の姿を確認すると、洞窟に引き返して行った。
フンディン: この先にオークどもが潜んでいるということははっきりしましたね
*ノーラは壁に体を押し付けて、なんとか罠を避けて通れるか挑戦してみる…
ノーラ: あっ
ノーラ: とおれました
フンディン: …ふう…
ノーラ: ドキドキですね
*ノーラに習って、一行は罠を避けて洞窟の前までやってきた。
エギル : この先も罠があるかも知れん
ノーラ: 入ってみます
エギル : うむ行ってみろ
フンディン: お気をつけて
*ノーラはすぐに戻ってきた。
ノーラ: 見える範囲にはおりませんでした
エギル : では皆で行く
フンディン: *ごくり*
*そうして一行は洞窟へと足を踏み入れた。
●その名は…
*洞窟の中はゴミ(コボルドにとっては生活用品なのかもしれないが)が落ちていたり扉が取り付けられたりしており、生活臭がある。オークの残党一味にとっては都合が良かったろう。
ノーラ: 扉があります
エギル : 右側を調べる
ノーラ: はい
ノーラ: 罠はないようですね
エギル : フンディン、ノーラの後ろに
フンディン: はっ
エギル : では突入準備
ノーラ: あ、開けます
フンディン: *ごくり*
*扉の両側にエギルとノーラ、その後ろにエルとフンディンがそれぞれ分かれて待機する形で、ノーラが扉を開けた。すぐに弓を構えようとしたが、すでにオークが目の前で両手斧を振り上げている!こちらの侵入は、入り口の下りですでに相手の知る所となっていたのだ。
ノーラ: きゃ
*驚くノーラに両手斧の一撃。
ノーラ: ああっ
フンディン: ノーラどの
フンディン: さがって!
フンディン: 近いです!
エギル : ノーラ危険だ
*驚いたノーラが扉の入り口で立ち尽くしたためにフンディンが前に出る事が出来ず、一瞬の混乱があったもののフンディンが前衛に立つ事で問題なく倒すことができた。
エギル : 真っ二つか
フンディン: ふう…
エギル : すごいものだ
ノーラ: すみませんでした
ノーラ: わたし…
*ノーラはフンディンの傷を治療する。
フンディン: ありがとうございます
ノーラ: ごめんなさい
フンディン: ?
ノーラ: びっくりしてしまって
エル: 仕方ないさ
フンディン: 初陣は誰にでも…あるものですよ
エギル : む
エギル : 宝石なんぞたくわえておった
エギル : 咳き込み粉とまきびしか
*部屋の中には宝石の入った袋と使われたら少し邪魔だったかもしれない道具があった。オークが持ち込んだものか、元々コボルドの持ち物かはわからない。
ノーラ: 教官にも敵との距離を考えろと言われてたのに
ノーラ: *がっくり*
フンディン: 我々はオークを倒して
フンディン: こうして皆生き残ったのです
ノーラ: はい
ノーラ: お二人のおかげです
フンディン: 気を落とすことなど何もありません
エギル : 運もまた・・・重要な要素
エギル : 生き残ったのだ、恥じることはない
ノーラ: はい、隊長
ノーラ: あの
ノーラ: ありがとうございます
エル: 俺か?
ノーラ: はい
エギル : さて少し先をみてくる
ノーラ: はい
ノーラ: お気をつけて
*エギルが部屋を出て通路の奥を偵察に出る。が、すぐに戻ってきた。
ノーラ: おかえりなさい
エギル : ひとまず2匹を確認したが
エギル : 配置が厄介だ
フンディン: ?
エギル : この先まっすぐ進むと
エギル : オークの射手2匹にはさまれる形になる
エギル : もっといるかもしれんがな
ノーラ: それは厄介ですねぇ
ノーラ: 罠があるかもしれませんし
エギル : うむ
エギル : だがひとまず進むしかあるまい
エギル : では行こう
ノーラ: フンディンさんは飛び道具はお持ちでないのですか?
フンディン: 実は…
フンディン: あまり得意ではないのです
ノーラ: それではこれを
フンディン: あ、ありがとうございます
フンディン: お借りしておきます
エギル : 罠があるかもしれんから注意を
ノーラ: はい。隊長
エギル : 特に不用意な突撃は避ける
フンディン: はっ
ノーラ: はい
*というわけで先に進む。通路が少し広くなっているところの両側に弓を構えたオークが見張っている。フンディンとエルは隠密できないのですぐ敵に感づかれて弓を撃たれてしまった。フンディンは敵に向って駆け出す。
フンディン: う!
フンディン: か、からだが…
*通路に仕掛けられていた"絡みつきの罠"にフンディンが引っかかり身動きできなくなってしまった。オークはフンディンを狙い撃ちするものの、鎧を着込んだフンディンにはなかなか致命傷を与えられない。そうこうしているうちにエギルたちの弓によってオーク達は倒された。
ノーラ: 大丈夫ですか?
フンディン: ふう…
フンディン: すみません
フンディン: 注意を頂いたばかりだというのに
エギル : いや
エギル : わしも罠を見抜けなかった
ノーラ: 今のは仕方ありませんわ
エギル : 気にするな
エギル : 南側を確保するか
フンディン: あちらに
フンディン: 焚き火が見えますが…
*フンディンは北のほうを指差す。通路はそのまま広くなっていて、離れたところに焚き火の明かりが見えた。
エギル : うむ
エル: ほんとだ
エギル : しかしいかにも罠がありそうだな
ノーラ: 妖しいですね
フンディン: 私の目ではそれ以上は見えません
エギル : とりあえず南側を確保しよう
フンディン: はい
ノーラ: はい、隊長
*というわけで一行は南側方面を確認したが、そちらには特にオークはいないようだったので焚き火らしき明かりのほうを確認する事となった。
エギル : 洞窟では隠密のワザも上手くいかんな
ノーラ: 足音が消せませんね
エギル : いるかもしれん
フンディン: この反響音…
フンディン: ノーラどの!
ノーラ: います
ノーラ: 二匹
エギル : ではフンディン・・・援護するので頼めるかな
フンディン: はい
フンディン: まいります!
*今度はこちらから先制する番と、フンディンは通路に飛び込む。オークを初撃で斬り倒し、返す斧でもう1匹をも倒した。
エル: ひょう
エギル : 見事
フンディン: ふう…
ノーラ: 流石ですね
ノーラ: 電光石火
*通路を抜けると、水の音と水分を含んでじっとりとした空気を感じる。見ると地下水が湧きでて泉になっている。
ノーラ: 罠は無いようですが
ノーラ: いえ
エギル : いや
エギル : 仕掛けがある
エギル : やむを得んな
エギル : あの細い岩だなを
エギル : 行く
ノーラ: はい
*泉は思ったより大きく、奥に焚き火が見える。恐らく地面が出ている場所があるのだろう。水に入らずにそこに向う道は罠やバリケードで塞がれていて、一本の細い岩だなを進む以外にない。
エギル : ふむ
フンディン: !
ノーラ: います
ノーラ: シャーマンのようですね
エギル : ひとつ戦利品を使ってみるか
*すでにフンディンは焚き火を取り囲む敵の集団に突撃している。オークの集団には杖を掲げ、ごてごてとした飾りを身につけたものがいる。フンディンはそいつを指揮官と見て突撃するものの、両手斧を構えたオーク数匹に行く手を阻まれてしまう。そしてオークシャーマンは呪文を唱え始めたが…
フンディン: う…
フンディン: ごほごほ
*エギルの投げた咳き込み粉が炸裂。フンディンだけでなく、吸い込んでしまったオークたちも咳き込みながらの戦闘となってしまった。だがシャーマンの呪文は封じることが出来た。
ノーラ: えい
ノーラ: えい
フンディン: この!
フンディン: げほっ、げほ…
エギル : やれやれ危なかった
ノーラ: 隊長お怪我を
フンディン: のどが… ひりひりする…
エギル : いやスマン
エギル : とっさのことで警告する暇がなかった
エギル : すぐ治る
*一行はそのまま焚き火でしばしの休憩をとる。エルはキュアライトウーンズで一行の怪我を治療する。
ノーラ: まぁ
ノーラ: エルドリックさんは治療の魔法が使えるのですね
エル: ああ
ノーラ: 素晴らしいですわ
エル: 幻惑の呪文も使えるし
エル: 歌も歌うぞ
ノーラ: まぁ
ノーラ: それで先程から時々力が
ノーラ: 素晴らしい歌声でした
エル: そいから斧も使うし
*周囲を探索したエギルが戻ってくる。
エギル : ネズミがおらんな
エギル : ネズミはひどく硬いというから
エギル : 我らの矢はとおらぬかもしれない
エル: 何故?
エル: 堅すぎて?
エギル : わからぬがそうらしい
エル: むぅ
*魔法生物なので、その毛皮も魔法のものだから。
エギル : 獣人はみなそうらしい
エギル : なにやら魔法なのかもしれん
フンディン: そういえば…
フンディン: (スキーニーもそんなことを言っていたかも知れない…
エル: そいじゃ、フンディンの斧が唸るよ
ノーラ: 私の弓で通用するかしら
フンディン: なんとかやってみます
エギル : 二人の斧でなんとか倒せるかだな
フンディン: 倒さなければ
フンディン: なりません
ノーラ: そうですね
エギル : なんとかあのドアを通らねばいかんが
エギル : 遠くから壊してみるか
*エギルの言っていてるドアとは、探索の途中に発見していたもので、洞窟の岩の隙間の向こうに隠れるようにあった小さな扉のこと。凶悪な罠に守られてしっかりと施錠されていた(のが見え見え)だったので、ひとまず放置したのだが洞窟内で探索していないのはそのドアの向こうくらいしかない。
ノーラ: 矢が通るでしょうか?
エギル : わからん
*一行はとりあえず、その扉のところに向った。
ノーラ: あのドアを
ノーラ: 壊せれば
ノーラ: えい
*近づくと危ないので弓で壊せないか試してみる。弓を撃ち込むと亀裂が走った。どうやら壊せそうなので、全員で弓を撃ちまくっていると扉はぼろぼろになってしまった。
フンディン: !
フンディン: さがってください!
ノーラ: あっ!
ノーラ: はい
エギル : くるぞ!
*もはや役に立たなくなった扉は"内側から"破壊された。飛び出してきたのはワーラットである。手には不釣合いな斧を持っている。
ワーラット : む
ワーラット: お前はあのときの双子の片割れか
ノーラ: あの時の?
エル: あ、俺か?
ワーラット: もう一人はどうした?
フンディン: ??
ノーラ: お知り合い…なのですか?
フンディン: エルドリックさん??
エル: お前のせいで死んだんだ!
ノーラ: まさか…
エル: 兄者の仇!
エギル : なに・・・?
ワーラット: うははは
フンディン: へっ??
フンディン: エルドリックさん???
エギル : そのようなことがあったのか!
ノーラ: 許せませんわ!
エギル : 同胞の敵だ、死んでもらうぞ!
ワーラット: ならばお前も死ぬがいい
*実はこのワーラット、侵入者(フンディン達)がフェルバールでの事件関連で来ているのなら相当な猛者を送り込んできたはずと予想して、この部屋に隠れていたのだ。万一、ここまで来ても入り口の罠で混乱している隙に不意を突いて逃げようと思っていた。ところが飛び出してみるとまだ若いドワーフが二人。見たところそのうち戦士は一人だけで、あとは後ろにいるドワーフ二人の持っている弓が脅威でなければ倒せると考えたのだ。しかもちょうどアドバールでの戦いで見逃してやった(と思っている)ドワーフもいたので、これはラッキーと、それを確かめる時間を稼ぐために話しかけてきたわけだ。さらにワーラットにとっては理由が不明だが、フンディンはワーラットとエルの会話によって非常に混乱している(笑)一行が脅威でないと判断したワーラットは自らの幸運に感謝しつつ、襲い掛かってきた!
ノーラ: えい
エギル : 効かぬな
*ワーラットは混乱しているフンディンを放っておいて、エルに向って突撃する。一撃で倒すつもりだったが(実際アドバール戦時の実力ならそれもできた)エルの防御をなかなか崩せない。エギルたちは弓を撃つが、やはり通用しない。ここでエルを瞬殺できなかったのがワーラットの誤算であった。混乱から立ち直ったフンディンが戦闘に復帰してくると、徐々に追い詰められてしまう。ワーラットは最後に致命的な判断ミスをしたと自らの不運を呪った。フンディンの古びた斧には自分を傷つける力がある…!
フンディン: フェルバールの一の斧!
*フンディンの必殺の一撃を受け、ワーラットは死んだ。
フンディン: や、やった…
エギル : ふう
エギル : 皆無事か
ノーラ: はい
エル: 討ち取ったり〜!
フンディン: それにしてもエルドリックさん
フンディン: いったいどういうことです??
フンディン: 兄者の仇とは…??
エル: ああ
エル: 話を盛り上げるためさ
エル: (内緒だぞ
フンディン: 話??
エル: (しっ
フンディン: エルドリックさんにはアルドリックさんのほかにも兄上が??
エル: いいんだいいんだ
*フンディンには話が通じないと思ったのか、エルは話を切り上げてしまった。
エギル : む!
エギル : コレがあの斧だ
ノーラ: えっ?
ノーラ: これが
エギル : 見よ
フンディン: …!…
ノーラ: 確かに普通の品ではないようですね
エギル : わしのいったことがわかるはずだ
エギル : 作り手の魂というのか・・・
フンディン: (なにか… 吸い込まれる…ような…
エル: こりゃ、すごいものかも
エギル : 何か感じぬか?
エル: 俺は結構武具にも詳しいんだけど
エル: こんなの見たこと無い
*鑑定失敗という事。エルが無理なら他のメンバーは無理(笑)
フンディン: この斧
フンディン: フェルバールのお師匠様のもとへ
フンディン: 持ち帰ってもよろしいでしょうか?
フンディン: きっとお師匠様なら何かご存知かもしれない
ノーラ: 証拠品として一度持ち帰らなくては
エギル : 上官には報告することになるが
エギル : ムンディン殿の息子とあらば
エギル : 問題はないと思う
ノーラ: それもそうですね
エギル : それに手伝ってもらった礼があるしな
ノーラ: 討ち取ったのはお二人の力ですし
フンディン: ガーリン・ファイアフォージ様に、故あって私鍛冶の師事をしています
ノーラ: まぁ
エギル : ほう
フンディン: きっとお師匠様ならば
ノーラ: それではきっとこの斧がどんなものか分かりますね
フンディン: ええ
ノーラ: *にこ*
フンディン: お二人もよろしければご同行してください
ノーラ: 是非
エギル : とりあえずこの宝石は
エギル : 二人でとってくれ
エギル : 戦利品よ
エル: ほっほう
エル: それじゃ遠慮なく
フンディン: えっ
フンディン: しかし…
エル: フンディン、でかい方取れよ
*エルは遠慮なく取った。
エギル : 上官にも報告しておこう
エギル : 仕事への報酬は支払われるべきもの
エギル : 少ないが・・・わしにできるのはそのくらいだ
ノーラ: 本当にお2人がいなかったらどうなっていたか
ノーラ: 有り難うございます
フンディン: しかしこたびの戦果はお二人の働きがあってこそのこと
フンディン: 私ばかりがそのように益を受け取る訳にはいきません
エル: 二人は給料もらえるんだから
ノーラ: そうですわ
ノーラ: ご心配なく
エル: 俺たちはボランティアだろ?
フンディン: (仕方ない、とりあえず持っておくかな…
エギル : まあそれはともかく
エギル : もう少し付き合ってもらえぬか
フンディン: ?
エギル : まだこのあたり一帯を
エギル : すべて捜索したわけではない
フンディン: 残党がいるかも知れないということですね
エギル : 一匹ももらすなというのが命令だからな
エギル : 他にも逃げたやつがいるかもしれん
エギル : 洞窟を出て追跡を続行する
ノーラ: はい、隊長
*フンディンは斧を担ぎ上げて荷物にしまい込んだ。その不思議な魅力が気になって仕方なかったが、今はそれを忘れる事にした。
●残党狩り
*一行はそのまま、山中を探索。途中、残党と思われるオークとの遭遇がありつつもこれを撃退していく。
フンディン: (なんだろう…
フンディン: (一瞬視線を感じたような…
エギル : ・・・?どうかしたかな
フンディン: いえ
フンディン: どこからか
フンディン: 見られているような気がしたもので
フンディン: たぶん気のせいでしょう
エギル : いま弓弦の音がしたような・・・?
ノーラ: いえ
ノーラ: いますよ
ノーラ: 上です
*崖の上からの射撃。盾を上に構えて登れる道を探す。高低差のある場所での実戦はフンディンにとって初めての経験である。
ノーラ: 左
フンディン: !
フンディン: ノーラどの!
フンディン: さがって
フンディン: 崖の下に
フンディン: !!
フンディン: 右手にも?!
*また、崖下に潜んでいた敵が崖の両側から登ってきて挟み撃ちの格好になってしまう。こういった地形を活かした待ち伏せもフンディンを混乱させたものの、なんとか撃退する事ができた。
フンディン: あ、危なかった…
エル: フンディン、だいじょぶかい?
フンディン: 私は平気です
エギル : まんまと待ち伏せを受けてしまったか
フンディン: 皆さんのほうこそ
フンディン: 大丈夫ですか?
エギル : 上からの射撃はなかなか防げぬな
エギル : ノーラ、上にはおらんな?
ノーラ: おりません
エギル : 北を探す
ノーラ: はい
*一行は山道を登りながら捜索を続け、途中の遭遇を撃退しつつ山頂付近まで到達した。
エギル : ふう
エル: ここは山頂かな
フンディン: ずいぶん高いところまで来ましたね
エル: 絶景かな
エギル : うむ
エル: これも兄者に教えてやろう
エギル : ?!
エギル : 亡くなったといっておったような
エル: ああ、その、別の兄
エギル : ほう
エル: はは、これが間抜けなやつでして
エル: 食べてばっかりで
ノーラ: きっとエルドリックさんと同じように逞しいのでしょうね
エル: 兄者は俺より体格はいいけど
エル: ぷよんぷよんだ
ノーラ: あら
エギル : 何か見えるかな
*と、エギルとノーラは周囲を見回す。
ノーラ: 洞窟でしょうか?
エギル : はっきりとはわからぬが・・・
フンディン: 降りてみましょう
エギル : あそこを目指そう
ノーラ: はい
*一行は山道を下り、中腹にある洞窟までやってきた。入り口で足跡を調べてみる。
エギル : やはり洞窟か
エギル : 足跡だな
フンディン: オークのもの…でしょうか?
エギル : オークのものだ
フンディン: !
エギル : 足跡からして
エギル : 6匹はいる
ノーラ: そうですね
エギル : 偵察に行くか
ノーラ: 見て参ります
*ノーラはすぐに戻ってきた。
ノーラ: 見える範囲にはいませんね
ノーラ: 奥にいるのでしょうか?
*ひとまず一行は中に入る。この洞窟は空気の流れから言ってあまり広くはなさそうである。奥のドーム状に広くなっている空間に焚き火の明かりが見えた。
フンディン: 焚き火が
エギル : うむ
エギル : いるな
ノーラ: あっ
ノーラ: シャーマンがいます
エギル : なら一気にしとめねばな
ノーラ: はい…
エル: うひい
エル: ほんと多いね
エギル : ではいいかな
フンディン: いきます
ノーラ: はい
*ということで戦闘開始。シャーマンを含む6体のオークとの戦闘はなかなかの激戦となったが、制したのはフンディン達だ。
エギル : 見事
エル: はあはあ
フンディン: なんとか…
エル: こりゃ今までに経験した事無いほどの激戦だね
エル: あのクマ以来だ
*最初に地上に出た時に遭遇したやつの事だと思う。
フンディン: ともあれ
フンディン: 片付いたのでしょうか?
ノーラ: そのようですね
エギル : この洞窟は片付いたな
エギル : あとは南東の方角を探して・・・
エギル : それで終わりになるかな
ノーラ: はい
フンディン: これほどの数が侵攻してきているなんて…
エギル : うむ・・・
エギル : 初めからこうしてゲリラ戦でもするきだったのかもしれん
フンディン: …
*一行はそのまま洞窟を出て、この地域でまだ足を伸ばしていない南東方面に向う。
エギル : 日が暮れたか・・・・
エル: おなかすいてきたね
ノーラ: もうそんな時間に
エギル : さすがに夜は危険かもしれんな
フンディン: しかしこの辺りで休むわけにもいかないのではありませんか?
エギル : うむ
エギル : もう少し探るか
ノーラ: はい
*と、少し進んだところで突然林の中からオークの矢が飛んできた!
フンディン: !
エル: わひい
*続いて弓を捨てたオークたちは両手斧に持ち替えて林から飛び出してくる!
ノーラ: えい
フンディン: このっ!
*この待ち伏せも撃退。
フンディン: はあ…はあ…
エル: フンディン、本当に頼れるようになってきたな
エギル : うむ・・・フェルバールの戦士として恥ずかしくない腕だ
フンディン: 運が良かっただけです
フンディン: *照れる*
エル: こりゃスキールニルにも報告しないと
フンディン: スキーニーに比べたらわたしなどまだまだ
エギル : どうにか制圧できたようだな
フンディン: そのようですね
エギル : では戻るとしよう
フンディン: はい!
ノーラ: はい!
ノーラ: *ほっ*
エギル : 気は緩めるな
ノーラ: は、はい
*というわけで帰路につく。その途中で…
エギル : 熊がいるな
ノーラ: 熊ですね
エギル : 気が立っているようだ
ノーラ: えぇ
フンディン: !
*避けようとした一行だったが、熊は容赦なく襲ってきた。とはいえ、その強烈な一撃さえ受けなければ問題はない。
フンディン: そういえばフェルバールを発ってすぐの頃にも
フンディン: 熊にこうして襲われたことがありましたね
エギル : ほう?
ノーラ: 気が立っている熊は危険ですね
エル: ありゃひどい目に会った
フンディン: なんだかずいぶん昔のことのように感じます…
エル: みな駆け出しでさ
エル: おおあわてで逃げ惑ったよ
*少し歩いて。
エギル : この道を行けばフェルバールだ
エギル : もう少し歩かねばならんがね
ノーラ: 任務が果たせて良かったですわ
●帰郷
*林を抜けると、広がる穀倉地帯、そしてその向こうにフェルバールの街が見える。
フンディン: (ああ…
*フェルバールは北方ドワーフ都市郡の中で唯一、穀倉地帯を持つ都市である。畦道を進み街道に出てから、フェルバールの城壁を目指して進む。空には月も出て、すっかり夜も更けてしまった。懐かしい道を歩いて、一行は城門にたどり着いた。
フェルバール兵 : 何者だ?
エギル : フェルバール軍のエギルだ
エギル : 今ようやく帰還した
エギル : 開門願いたい
ノーラ: その部下ノーラと協力者のお2人です
*本人か確認したのち、門が開かれる。
フェルバール兵: おかえりなさい
フェルバール兵: 早くお通りを
エギル : うむ・・・
フェルバール兵: 門を閉めます
ノーラ: ありがとう、ご苦労様
フンディン: お役目ごくろうさまです
エル: お腹空いて倒れそうだ
エギル : 指揮官に報告せねば
*巨大な門と城壁を抜けると、フェルバールの街中へ出る。フェルバールは農業が盛んな性格上、他の都市よりも地上部分のほうが発達している。時刻はすでに深夜に近く、街はすっかり寝静まっている。
エル: ・・・
フンディン: *じーん*
エギル : どうかね久しぶりの故郷は・・・
*エギルはひとまず報告のために自分の所属する詰め所に向う…が、フンディンが付いてこない。
ノーラ: フンディンさん?
エギル : 大丈夫か?
エル: なにしてんだ
フンディン: は、はい…
フンディン: *ぐすっ*
エル: いちいち涙ぐむからなぁ
エギル : 詰め所まで一応一緒に来てもらえるかな
フンディン: はい
*というわけで一行は詰め所までやってきた。
エギル : 指揮官に報告がある
エギル : はいるぞ
ノーラ: はい
*詰め所の中には大きな暖炉やテーブルがあり、ようやく二人も緊張を解くことができる。
エギル : ふう
ノーラ: *ほっ*
エル: 大きな損害は無いみたいで良かった
フンディン: そうですね
フンディン: ほんとうに…
エル: な
ノーラ: えぇ街自体は無事ですわ
*エギルが副官に確認したところ、すでに指揮官は自宅に戻っているとの事。一通りの報告は副官に行ったが、斧の件もあり重要な報告なので明日改めて指揮官に報告する事となった。もちろん緊急なら自宅にまで出向いて報告する事もできるが、そこまでの必要はないという判断である。
フンディン: もうお休みになられているようですね
エギル : (ふん・・・もっと真面目にやらんか・・・
エギル : わしが若いころは・・・ぶつぶつ
ノーラ: とにかくお2人に暖かいお食事を
フンディン: 今日は一度…
フンディン: 家に、戻ろうかと思います
エギル : うむそうするか
エギル : 長くつき合わせて悪かったな
フンディン: こちらこそ、お役に立てて光栄でした
フンディン: 明日の朝
フンディン: こちらに
エギル : 父上によろしく
ノーラ: あら、お帰りですか
ノーラ: 残念ですわ
ノーラ: それではまた明日
ノーラ: お会いいたしましょう
エル: 何か食って、軽くいっぱいやって寝よう
フンディン: ではおやすみなさい
エル: おやすみノーラ
ノーラ: 本当に有り難うございました
エル: また明日ね
ノーラ: おやすみなさい
フンディン: 失礼します
エル: おやすみ、おじさん
エル: おっと隊長
エギル : ああ
*フンディンとエルは詰め所を後にした。
エギル : やれやれ
ノーラ: お二人がいてくださって本当によかったですね
エギル : うむ
エギル : あのような若者が育てば・・・フェルバールも安泰だな
ノーラ: えぇ本当に
ノーラ: カイルさん、具合どうかしら?
エギル : そうだったな
エギル : ヤツは家か
ノーラ: そう聞いております
エギル : ではたずねるのは明日だ
ノーラ: そうですね
エギル : 今日は休め
ノーラ: はい
ノーラ: そうさせていただきます
エギル : 指揮官殿もグーグー寝ておられる時間よ
ノーラ: そう…ですね
エギル : わしも老骨を休めるとするか
ノーラ: あら
ノーラ: そんなことありませんわ
エギル : どうかね
●ウッズタイガー家
*フンディン達は寝静まった街を歩き、住宅地までやってきた。
フンディン: それでは…
フンディン: エルドリックさん、また明日の朝
フンディン: いや、
エル: 家かー
フンディン: その前に…
フンディン: わたしの家まで
フンディン: 一緒にいらしてください
エル: お、ご馳走してくれるの?
フンディン: よろしければ、ですが
フンディン: 母上がまだおきていらっしゃるかはわかりませんが…
フンディン: もとよりエルドリックさんもこの探索行に同道している事は父上もご存知のところですし
エル: うん
*というわけでアイアンビアード家の前に立つ。
フンディン: *じーん*
フンディン: *のっくのっく*
*ひとしきり感動してからドアをノックするフンディンだが反応はない。(当然)
エル: 寝てるんじゃないか
フンディン: もうお休みになられてしまったのか…
エル: 閉まってるのか?
*もちろん閉まっている。そして、二人とも寝ている。(当然)
フンディン: うう…
*涙ぐむフンディン。しかもフンディンは家の鍵を持たされていないので勝手には入れない(笑)
エル: うち来るか・・・?
フンディン: いえ…
エル: だってはいれないんだろ
エル: うち来いって
フンディン: すみません、エルドリックさん
フンディン: 私はここで
フンディン: 朝までまとうと思います
エル: ・・・
エル: おいおい
エル: 体壊すぞ
エル: ま。今まで野宿なんてたくさんしてきたけど
エル: せっかく泊まれる所があるんだから
フンディン: しかし…
フンディン: もとより私の勝手にエルドリックさんをお付き合いさせてしまった上に
フンディン: これ以上ご迷惑をおかけすることなどは…
エル: いや、どうせうちは誰もいないし
エル: 来てくれたら俺も嬉しいよ
エル: 行こうぜ
*かなり気を使ってるなぁ…(笑)
フンディン: す、すみません・・
フンディン: お邪魔します
エル: うん
*というわけでフンディンを説得して、エルは自分の家に連れてきた。鍵を開けて中に入る。ずっと誰も住人のいない家だったはずだが思ったより埃は溜まっていない。と、テーブルの上に何かが置いてある。
エル: ん?
エル: なんだろこれ
フンディン: ?
フンディン: どうしました?
エル: 親達から置手紙だ
フンディン: !
*一度帰ってきてたらしい。手紙の内容は以下のとおり。
双子の父親からの手紙だ。
「親のいない間に旅に出るとは、さすが俺達の息子だ!
いつも心配かけてすまない。お父さんもお母さんも元気だ。
ムンディンさんに話は聞いた。しばらくは戻ってこないようだから、俺達もまたしばらく出掛けることにする。
二人一緒なら、何も心配はいらないと思うが、どこだかわからない場所で野垂れ死になんかは絶対にしないように。
二人にお土産の楽器を、おいて行くからもし俺達のいない間に戻ってきたら、持っていきなさい。
離れていても、お前達のことはいつも想っているよ。」
エル: フンディン、見てくれよ
エル: 兄者のぶんのハープもある
*早速手にとってみる。
エル: あ
*手に取った瞬間、それが普通の楽器でない事がエルにはわかった。なにかすごいもののような気がする。調音してから試しに演奏してみた。
フンディン: …
フンディン: これは…
フンディン: なんだか…
エル: すごい楽器みたい
フンディン: 体が安らぎます
エル: 弾いてる俺もだ
フンディン: うーん…
*エルの演奏に聞きほれるフンディン。ちなみにこのハープは"ミラーハープ"と言い、演奏者にある程度の技量があれば、その演奏者の心を映すと言われている名器であり世界に二つしかない。が、そんな事まではエルにはわからない。エルがこの楽器を奏でた時、ヒーリングサークルの効果がある。
エル: 何も無いから保存食だ
*ハープを置き、食事をする。
エル: 上で寝よう
フンディン: は、はい
*というわけで2階へ。双子の部屋に行く。一応、両親が掃除はしたようだが、どうにもベッドがカビ臭い。まあ仕方ないので寝てしまうが。
フンディン: エルドリックさんのお父上もお母上も
フンディン: お家に戻られてからすぐにまた
フンディン: どこかへ出かけてしまったのですね
エル: 行商人だからね
エル: 慣れてるよ
エル: 兄者と俺も、吟遊詩人でありながら親達みたいに行商もして稼ぐよ
フンディン: ……
エル: 楽しい人生だろ
フンディン: はい
*それから色々な事を考えようとしたフンディンであったが、長旅と今日の戦いの疲れが、あっという間に深い眠りに引き込んでしまったのだった…