ドワーフクエスト
第六章 それぞれの道行き
「大フンディンの大鎌と強盗団」


●初めての仕事。新しい仲間。

*フンディン、エルドリックと別れ、ギブノーを見送った二人はその足で傭兵募集の件を詳しく聞くために外市街にある赤銅亭へとやってきた。

スキールニル: というわけで酒場に着いたけど
スキールニル: どこで募集してんだろ
スキールニル: 聞いてみよう

*スキールニルは酒場の主人に声をかける。

スキールニル: 傭兵の募集があるって聞いたんだけど
スキールニル: どうすりゃいいんだろ

主人: すぐそこに、役人の方が来てますよ

アル: そうですか
アル: ありがとうございます

スキールニル: ああ、あの浮いた服装の?

*見ると奥のテーブルに整った服装をしたドワーフが一人、座っている。スキールニルの言葉に酒場の主人がうなずいた。二人はその人物へと近づく。

役人: なんでしょう?

スキールニル: 傭兵募集してるそうじゃないか
スキールニル: 話を聞きたい

役人: ああ…立て札を見て来たのですね
役人: まずは姓名を教えてください
役人: それから素性も知りたいですね

スキールニル: スキールニルだ
スキールニル: フェルバールから来た

アル: アルドリック・ウッズタイガーです
アル: 彼と一緒に旅をしています

*というような感じで色々と話して信用されたということで…(笑)

役人: それで、今回の仕事の内容はご存知ですね?

スキールニル: 詳しいことは知らないよ
スキールニル: 立て札にあること以外はね

役人: 今回の仕事は流通にも多少影響していて
役人: なるべく早く解決したいのです
役人: また、正式にミラバールから派遣することになりますので
役人: そのつもりで行動できますか?

スキールニル: 指揮官の命令には従うよ

役人: よろしい
役人: では詳しい話をしましょう

スキールニル: 了解

役人: 内容はほとんど、立て札にあったとおりです
役人: ミラバールの南の街道に向かうと
役人: 途中、分かれ道になっているところがあります
役人: そこをわき道に入るとダンヒルという小さな人間の村があるのですが
役人: その分かれ道の付近で、最近強盗がよく出るのです

アル: ふむ

役人: 強盗団によって殺された人はまだいないのですが
役人: 皆さん、荷物を奪われてしまっています
役人: ほとんどの人が、恐慌に襲われて荷物を差し出してしまったということで

スキールニル: 強盗ってのは人間なのかい?

役人: どんな人相かと聞いても、慌てていたせいかよく覚えていないのです
役人: おそらく、背格好から人間かエルフかハーフオークかそんなところでしょう

アル: 精神操作系の魔法を使う可能性も考えた方が良さそうですね

スキールニル: なるほど

役人: ダンヒルの村の村長に、協力してもらうように頼んでありますので
役人: そこを拠点にして、捜査してほしいのです

スキールニル: 仕事の中身は大体わかった
スキールニル: 強盗団見つけたら退治しちゃっていいのかな

役人: 基本的に、強盗団の退治が仕事になります。
役人: あるいは、もうそんなことができないような状態にしてもらえればいいです

スキールニル: 規模とかはわかってないんだっけ?

役人: そうですね、人数などはよくわかっていません

スキールニル: よし大体わかった
スキールニル: 報酬とか必要経費はどうなってる?

役人: 報酬は、金貨で200払いましょう。成功報酬です
役人: 必要経費はそこに含まれると思ってください

アル: 指揮官はいらっしゃるのでしょうか、ダンヒルに?

役人: 指揮官はいません。ミラバールの兵士はいま定期市の関係で派遣されませんので

スキールニル: こっちは何人なんだい

役人: みなさんと、他に3人の方に行ってもらいます

スキールニル: 全部で5人だけか

役人: もし、手に負えないようなら、戻って調べたことを報告してください
役人: その時は、こちらの兵士の派遣も検討します

アル: ふむ…解決したかどうかはどうやって判断するのでしょう?

フィオール: そんなの
フィオール: 敵が全部いなくなったかどうかでわかるじゃん


*突然、隣のテーブルに座っていたドワーフの女性が話に割り込んできた。

ゴイシン: そちらの姉さんの言うとおりだな

*同じテーブルに腰掛けていた初老のドワーフもうんうんと同意する。

役人: そうですね、被害が止まればいいのです

スキールニル: ほとぼりが冷めるまで隠れてたりってことだってあるだろう

フィオール: そうかな?

役人: あるいは証拠になるようなものを持ってきてください

フィオール: むこうはさ、これまでずっと仕事がうまくいってて
フィオール: 図に乗ってるよ
フィオール: 味をしめてる、ともいうかな

スキールニル: ほう

フィオール: 確かにミラバールから何らかの抑止力がくることも予測はしてるかもしれないけど
フィオール: 目先の巧い話を見逃すってことはしないだろうさ
フィオール: そういうものだよ

役人: そうそう、紹介しておきますが、この二人はみなさんと組んでもらう傭兵です


*話に割り込んできた二人を、役人が紹介する。

フィオール: おっと、紹介がおくれちゃったね
フィオール: あたしフィオール
フィオール: フィオール・ストーンフットってんだ
フィオール: よろしくね

アル: よろしく

スキールニル: 慣れてそうだなこういう仕事に
スキールニル: よろしくな

フィオール: そういうあんたは?

スキールニル: あまり軍隊経験はない

フィオール: 「大剣の兄ちゃん」って呼べばいいの?
フィオール: 名前だよ、な ま え

スキールニル: 聞いてたんだろ話を
スキールニル: だったら名前くらい聞いただろう

フィオール: そりゃそうだね
フィオール: 一本取られたよ
フィオール: よろしく、スキールニル

スキールニル: おう、フィオール

フィオール: それにそっちの太いほうは… アルドリックか
フィオール: アルってよんでもいいかな?

アル: えぇ

フィオール: よろしくね、アル


*微妙に視線を逸らし、なぜか顔を赤くするアル。

アル: よろしくフィオール

スキールニル: そっちの人は?

ゴイシン: こっちはゴイシン、戦士だよ

スキールニル: なんか古強者って感じだな
スキールニル: 頼りがいありそうだ

ゴイシン: どうかね
ゴイシン: ま、精一杯やるがね

アル: よろしくゴイシン

役人: あとお一人が、こちらに宿を取られているのですがあとで降りてくると思います

スキールニル: ああ
スキールニル: もう一人はどんなやつだろうって思ってたとこだ

フィオール: そういやあたしたちもまだ会ってないんだよね

ゴイシン: 5人だってことをさっき知ったくらいだからな


*まあ、今2人が決まって5人になったわけだから(笑)ちなみにフィオールとゴイシンはNPCではなく、フンディンとエルのプレイヤーがやっている。ただしある程度GMとの打ち合わせはあるので半PCといったところか。

役人: ところで最後に報酬の件なのですが
役人: 200は約束しますが、仕事の進み具合によっては
役人: 多少、上乗せも考えています

スキールニル: 戦利品は俺たちで山分けしていいのかな

役人: 構いません

フィオール: 話せるね

スキールニル: よし

役人: ただ、もし調査だけで戦士団の派遣を要請された場合
役人: 最低報酬になると思ってください

スキールニル: わかった

フィオール: OK

スキールニル: 出発はいつだ?
スキールニル: これからすぐ出るのかな

役人: いつでも構いませんが早めにお願いします
役人: 仕事を終えたらここに戻ってきてください
役人: 酒場の主人に連絡がつくようにしておきましょう

スキールニル: じゃあちょっと補給に行ってくる
スキールニル: すぐ戻る

アル: では包帯を補充してこよう

フィオール: あたしもちょっと糧食をかい出してくるよ


*三人は酒場を出て、広場の食料売り場に向かった。

フィオール: ふーん
フィオール: 二人とも旅なれしてるんだ?

アル: そうですねぇ

フィオール: 迷わずさ、携帯食の売り場に向かったから
フィオール: そう思ったんだ
フィオール: アルとスキールニルは知り合いなの?

アル: 同じ街から来たのです

スキールニル: 結構古い付き合いだね

フィオール: へえ、二人ともフェルバールからか

アル: えぇ

スキールニル: 君らはこのへんの出かい?

フィオール: いや、コアミアのほうからね
フィオール: いろいろあってさ

スキールニル: コアミアっていうと人間の街だよな

フィオール: おっと
フィオール: そろそろ戻ろう


*突然フィオールは話を打ち切り、酒場へと歩き出した。アルとスキールニルはその背中を追う。

●黒い戦士

*一方その頃、酒場に残っていたゴイシン。二階から一人のドワーフが降りてきてテーブルにやってきた。

ゴイシン: お
ゴイシン: あんたが最後の一人かな

ギルフォス: そうだ。よろしくたのむ

ゴイシン: おう、よろしく頼むぜ


*と、そこへちょうど、三人が戻ってきた。ドワーフは振り向き、名乗る。

ギルフォス: おれはギルフォス。よろしく頼む

フィオール: ギルフォスか

アル: こちらこそよろしく

フィオール: あたしフィオール・ストーンフット
フィオール: よろしくね

スキールニル: 俺はフェルバールのスキールニル

アル: アルドリックです

ゴイシン: おりゃあゴイシンだ

ギルフォス: …


*名乗る面々を、ギルフォスは一瞥するのみである。もっとも、フルフェイスのホーンドヘルムを被ったままなので表情はわからないが。一行が興味深そうにギルフォスを観察していると。

ギルフォス: そろそろ出発しないか?

スキールニル: 用意はできてる

ギルフォス: …

アル: (すごいな、ブッラク・スキールニルって感じだ)


*ギルフォスは黒いフルプレートを着込み、スキールニル同様に大剣を背負っている。鎧も武器も普通のものではなさそうな雰囲気だ。

フィオール: 用意がいいなら行こう

スキールニル: すげェ具足だな


*話しかけるスキールニルを無視して、ギルフォスは酒場を出て行ってしまった。

フィオール: ……

スキールニル: (なんか愛想ないね

アル: そうですねぇ


*なにはともあれ、こうして揃った5人はミラバールを出発することとなった。

●村への旅

*ダンヒル村までは半日程度の短い旅だが、今までと違い地上を旅する事になる。ミラバールを出るとすぐにスキールニルは大剣の留め具を外してすぐに抜刀できるようにした。

フィオール: ははっ
フィオール: スキールニル

スキールニル: ん?

フィオール: 気張りすぎだって
フィオール: まだ敵は出ないよ

スキールニル: 俺はいつもこうだよ

フィオール: こんなとこから張り詰めてると
フィオール: いざ敵に出くわしたときにはくたくただよ

スキールニル: そういうのは慣れてる
スキールニル: ミスリルホールへ行くまでの旅に比べれば

フィオール: ミスリルホール!?

スキールニル: ああ

フィオール: すごいね

スキールニル: 信じないだろうけど王様にも会ったぜ

フィオール: さてと
フィオール: とりあえず
フィオール: ダンヒルまで行こう

アル: それがいいですね

スキールニル: 分かれ道があるって話だったな

フィオール: うん

スキールニル: まずそこを見てみるか

フィオール: そこで状況を確認したほうがいいな


*一行は街道を旅して強盗団が出るという分かれ道まで進んだ。

スキールニル: あそこででるのか?

*一行はそれぞれ視認、捜索判定で調べてみる。結果はあまりよろしくなく、特になにも見つけることはできなかった。

フィオール: ・・・

スキールニル: 結構ひらけてるんだな
スキールニル: 案外待ち伏せしにくくないか?

アル: こんなところで強盗とはね


*大きな街道の分かれ道にあたり、周囲は緩やかな丘陵地帯となっている。右前方のほうが多少山のようになっている。

フィオール: 特に何も見えないね
フィオール: まあさすがにこの白昼堂々と襲うってことはないみたい

スキールニル: ふーん

アル: やはり夜なのでしょうかねぇ?

スキールニル: 夜襲か
スキールニル: でも夜ココを通るもんか?

アル: じゃあ夕方?

スキールニル: 日暮れ直前とかなら通るのかな

フィオール: そうかも知れないね

アル: 視界が落ちてきた頃が狙いドキかな?

スキールニル: もっと隠れる場所があるのかと思ったから意外だな

フィオール: もう四時か…
フィオール: 村へ行くなら急いだほうが良さそうだね
フィオール: ゴイシンはまだ用足し中?


*ゴイシンのプレイヤーが席を外しているため。トイレという事にされているけど(笑)

スキールニル: ミイラ取りが・・・なんてことになるのは面白くないな

フィオール: それで…
フィオール: スキールニルとアルは
フィオール: ずっと二人で一緒に旅してきたの?
フィオール: フェルバールくんだりから?

スキールニル: いや
スキールニル: もう二人いたんだよ
スキールニル: アルの双子の兄弟と

フィオール: !

フィオール: もしかして…
フィオール: ご、ごめん!
フィオール: そういうつもりじゃなかったんだ

スキールニル: あと一人うるさいのがね
スキールニル: いや・・・生きてるから

アル: 死んでないよ

フィオール: えっ?
フィオール: なーんだ

スキールニル: 事情があって一時分かれたのさ

フィオール: そうだったのか

スキールニル: この仕事で路銀を稼いで
スキールニル: ラスカンに向かう

フィオール: へえー

スキールニル: そこで目的を果たしたらココでまた落ち合うのさ

フィオール: なるほどね!

スキールニル: そうそれで
スキールニル: ラスカンに言ったことあるかい?

ギルフォス: …

フィオール: いや・・… ないよ

スキールニル: (なんか間があったような・・・)
スキールニル: そうか

フィオール: おいおい、ゴイシン
フィオール: いつまでやってんのさ
フィオール: 本当に日がくれちゃうよ

アル: フィロールも路銀稼ぎにこの仕事を?

フィオール: フィ「オ」−ル
フィオール: だよ

アル: あっごめん

フィオール: あはっ、気にしないで

スキールニル: フェルバール訛りってやつさ

フィオール: まあね
フィオール: なんだかんだいってもお金は必要だし
フィオール: それに野伏としての修行にもなるから

アル: へぇ
アル: どおりで身のこなしが軽いと思った

フィオール: でも一番の理由は退屈したくないからってことかな

アル: う〜ん、退屈しのぎにしては危険な仕事かもね

フィオール: かもね
フィオール: でもいろいろあってさ、
フィオール: こう…
フィオール: 困難な、危険な状況をなんとか突破してこそ
フィオール: 自分の成長ってやつがあると思うんだ
フィオール: ちょっと真面目すぎたかな

スキールニル: そのとおりだな


*と、そこへゴイシン(のプレイヤー)が戻ってきた。

フィオール: それじゃ、行こう

ギルフォス: …無駄話は済んだのか?

フィオール: ゴイシンに聞いてよ
フィオール: ゴイシンが用足すのを待ってたんだから

アル: あぁそうだね

ギルフォス: …

ゴイシン: すまねえな

フィオール: いこ


*一行は襲撃場所である分かれ道から離れた。少し行くと街道から脇に伸びる小道がある。小道に沿って歩くと、朽ちた建物跡や捨てられた壊れた道具などがある。

スキールニル: むしろこの辺のほうが待ち伏せにはいいなあ

フィオール: 村かな?

アル: そうみたいだね


*やがてくたびれて傾いた門が見えてきた。手前には看板があるにはあるが…

フィオール: なんてかいてあるんだろ
フィオール: ずいぶんくたびれてて読めないよ

ゴイシン: うーむ
ゴイシン: かすれてるな

アル: ダンヒル村へようこそ…かな?

スキールニル: 細かいことはいいじゃないか

フィオール: まあね


*良くないだろう(笑) ともあれ一行は村へと続く門をくぐった…

●ダンヒル村

*村は中心に小さな集会場と井戸があり、その周囲には畑、さらにそれを囲むように家が建っている。東側は山、西側は川になっており、前後を補強された柵と門で守っている。この地域では典型的な農村である。

フィオール: さびれてるな…

スキールニル: 寂れた村だな

アル: 活気が無いねぇ

スキールニル: 鍛冶仕事の音もないよ


*一目でわかるほど、村は寂れている。畑の作物は育ちが悪く、家々は手入れする金もないといった雰囲気。そこへちょうど、水を汲んだ桶を運んでいる老人が通りかかった。

老人: あんたたち…ミラバールから来なすったかね?

フィオール: どうしてミラバールからだと?

老人: どこから来たのかは知らんが、この辺りではドワーフはミラバールに住んでおるし、年に何回かしか出てこんからな。他の地域ほど珍しくはないのかもしれんが、それでも他の村や農場の住人とは思わんよ。

フィオール: なるほどね
フィオール: ええと、村長さんはどこかな?

老人: 村長の家は村の北西にある。すぐにわかる。

フィオール: ありがと
フィオール: それから… 念のため
フィオール: どこか泊まれるところはありませんか?

老人: そうじゃのぅ…すぐそこに村で唯一の宿屋がある。ほとんど旅人は来んし、空いておるじゃろう。


*一行が礼を言うと、老人は軽く頭を下げて行ってしまった。老人が指差した宿らしき建物へと向う一行。

フィオール: そこかな?

スキールニル: 営業してんのこれ・・・?

アル: 看板すらないね


*他の民家に比べると少し横に広いといった感じの家。宿特有の宿泊客の気配もないし、夕食の準備をする気配もない。

スキールニル: 人間てみんなこんな暮らしなのか?

アル: さぁ?

フィオール: そんなこと… ないよ

スキールニル: へえ

フィオール: 場所による、けどね

スキールニル: 人間の住処はじめてみたからな

ゴイシン: ミラバールの何倍もの街もあるぞ

アル: へぇ

スキールニル: ウォーターディープってのはでっかいんだったよな

ゴイシン: こと繁殖にかけては我らドワーフは人間の足元にも及ばん

スキールニル: そうなのか。ミラバールの中に入ったことがあるのか?

ゴイシン: もちろんだ

スキールニル: ほう…ミラバールの出か


*とりあえず宿は素通りして先に村長の家に向うことにする。これ以上遅くなると訪問しにくくなるからだ。村を一望すると、老人の言ったように北西に少しマシな家が建っている。

フィオール: ここね

スキールニル: コレ・・・・?


*扉を叩く。すると中年の男性が出てきた。

アル: お邪魔します

スキールニル: やあ

村長: あの…どちら様でしょうか

フィオール: ええと、
フィオール: ミラバールから来たんだ
フィオール: 強盗退治の依頼を受けてね

スキールニル: 強盗退治に来た傭兵さ

村長: ああ…

スキールニル: 安心しなよ、俺たち強盗じゃないからさ


*村長の微妙な反応を、スキールニルはこちらを疑っていると取ったようだ。

村長: ミラバールのドワーフの方ですか
村長: それで…どのような用件で?

フィオール: だから、強盗退治だってば

スキールニル: 一言で言うと情報が欲しいんだよ
スキールニル: 強盗について

フィオール: そうそう
フィオール: 強盗に襲われた人の話
フィオール: 聞きたいんだ

村長: それとこの村となんの関係が?

スキールニル: 村に被害はないのかい?

村長: さあ…わたしは何も聞いていませんが

フィオール: 襲われるのはだいたいどれくらいの時間だとか
フィオール: どれくらいの頻度で教わるのかとか

スキールニル: 何も聞いてない?

村長: このような村、盗賊が襲うこともないでしょう

アル: (なんだかなぁ)

スキールニル: そこの分かれ道に出て困ってるって話があったんだけど?

村長: そうらしいですね

アル: ここはあんまり人の出入りが多くないようだね

スキールニル: だろうねえ・・・

フィオール: …

村長: ミラバールからドワーフの方々が来るのは聞いていましたが…それだけです

ゴイシン: ほう

スキールニル: (村長ってえらいんじゃないのかなあ・・・すごい家だな


*この"すごい"はたぶん悪い意味のほう。

フィオール: *じー*

*フィオールは村長を観察する。判定の結果は「嘘をついているかどうかはわからない。表情はかげっているので心配事はありそうだ」

フィオール: ……

スキールニル: (人間てあまりであったことなかったな

フィオール: 村はほんとうに
フィオール: 強盗によって被害は受けていないっていうの?

村長: ええ…それよりも今年の収穫のほうが心配ですよ

フィオール: うーん…
フィオール: (嘘を言ってる… ようにも見えないか

アル: 取り敢えず宿に行ってみた方が良さそうだね

フィオール: うん

村長: 宿は村の入り口にあります。

フィオール: それじゃ村長、どれくらいになるかどうかはわからないけど
フィオール: とりあえず宿にいるから
フィオール: もし何かあったら教えて欲しいな

村長: 村の中なら、ご自由に。ただしあまり仕事の邪魔はしないでください。

フィオール: ミラバールでつかんだ情報によると
フィオール: 強盗団が近いうちにこの村の襲撃を予定してるって話もあるらしいんだ

アル: ?

スキールニル: そういえばそんな話もあったな


*フィオールは"はったり"で嘘をついている。アルは「?」だが、スキールニルは気が付いたらしく援護する。

フィオール: どんなささいなことでもいいから、思い当たることがあったら
フィオール: 宿まで来てくれればいいよ

村長: そうですか…何も取るものもないようなこの村を襲うとも思えませんがね


*と即答。この村長のせりふは本心。村が強盗団に襲われる事はない確信があるからだ。

フィオール: それじゃいこ、スキールニル、アル、ゴイシン、それにギルフォス

スキールニル: んじゃまあお邪魔様

アル: では


*一行は村長の家を後にし、宿へと向かう。

フィオール: どうやら
フィオール: ほんとに何もしらないみたいだ

スキールニル: そうかもな
スキールニル: なんもなさそうだし

アル: ただだだっぴろいだけの村か…


*風景が開けているので広く感じるかもしれないが、規模としては小さい方。村自体の大きさは小さくないが、加えて周囲にいくつか農場をもっているのが標準的な村である。

アル: こんにちは

主人: いらっしゃいませ。


*宿というよりは村人の集まる酒場という雰囲気。いままでの様子からすると来客は珍しそうだが、一行が来ている事を知っていたのか、普通の反応だ。

アル: 食事をしたい。

主人: 娘のミリンダに申し付けてください。ただ…今は村全体が苦しくてあまりお譲りできませんが…

アル: …

ゴイシン: 苦しい?

スキールニル: そういうことなら食い物は持ってきてあるぜ

アル: 食事は期待できそうにないな


*言いながらどやどやとテーブルに付く。ミリンダらしき女性が給仕しているので、呼び止める。

ミリンダ: いらっしゃい…

フィオール: …食事を頼みたいの。


*ミリンダという若い女性は明らかにフィオールを敵視している。それは個人的なものでなくて一行に対してのもののように感じる。

ミリンダ: 今、この村はすごく厳しいの…。大したものは譲れないわ。

スキールニル: 食糧難なのか?

アル: 保存食で我慢しよう…

フィオール: 村長も収穫が心配っていってたね

スキールニル: いつものことだ問題ないぜ

フィオール: まああたしたちじゃどうしようもないさ

ゴイシン: 若いの、パイなら持ってきたぞ
ゴイシン: 食べるか?

アル: おっうまそ〜
アル: 食べる食べる

ゴイシン: 食え


*というわけで食事開始。余裕をもって食料を用意していた一行は各自荷物からそれを取り出して食べる事になってしまった。フィオールは台所を借りて保存食を多少なりとも満足の行くものにしようと努力している。

アル: ウマイ
アル: ありがとう

ゴイシン: しかしお前さん、少しばかり太りすぎのようだ

フィオール: …

アル: そ…そういうゴイシンだって…

ゴイシン: これは筋肉だ

アル: 僕のは脂肪だ

ゴイシン: そりゃ食べすぎだな


*食事が終わり、部屋を借りるために主人を呼ぶフィオール。

主人: …そうですか。申し訳ありませんが…いま大変苦しくて…おひとり、一晩10gp頂きたいのですが…

フィオール: 10ゴールド!

アル: へっ?

スキールニル: そんなに苦しいのは何でだろう

アル: 野宿の方がマシだね…

ゴイシン: 別にカマワンだろ、野宿で

スキールニル: 今年は不作なのかな?

ギルフォス: 勝手に村の中で野宿なんかしてもいいのか?

スキールニル: まあ迷惑にならなきゃいいんじゃないの?

フィオール: 野宿するならさ、
フィオール: 村の中より外がいいと思うね

アル: そうだね
アル: 強盗団とあう可能性も外の方が高そうだし

フィオール: 何しろ結局何もわかってないわけだし
フィオール: 街道から少し離れた位置で
フィオール: 潜伏してあちらさんの出現を待ってみるのも手だと思うよ

ギルフォス: …

スキールニル: (案外ココがアジトだったりしてな

ゴイシン: さすがに村の中で野宿したら悪いだろうな

アル: 怒られそうだね

スキールニル: こっそり納屋で寝れば?


*それは不法侵入じゃない?(笑)

ギルフォス: …おれはここに宿を取ることにする

フィオール: ふーん…

スキールニル: 金あるんだな


*といってギルフォスはさっさと手続きを済ます。

ゴイシン: 一晩10Gpはちょっと払えんな
ゴイシン: ・・・、一晩だよな?10って

アル: そうだろうねぇ
アル: 部屋も大して広くなさそうなのにね

ゴイシン: ここに何泊するかわからんし
ゴイシン: そもそも一晩10
ゴイシン: なんて法外な値段、
ゴイシン: 泊まるなって暗に言ってるんだろな


*そのとおり。

スキールニル: まあ落ち着けよ
スキールニル: どこでもよそ者はあまり歓迎されないモンだよ

ゴイシン: 人間てのは結構すぐ余所者を信用したりするんだ
ゴイシン: まあ、皆が皆じゃないが

スキールニル: そうなのか?

アル: それは同族同士の話じゃないのかな?

スキールニル: まあ野宿しようぜ

アル: そうしよう

ゴイシン: それじゃ邪魔したね

フィオール: しょうがいなー


*来た時と同じようにどやどやと出て行く一行。外はすっかり日も暮れてしまったが、8月ともなればさすがにこのあたりでも野宿に苦労するほど気温は下がらない。

アル: すっかり夜だね

フィオール: ゴイシンどうする?

ゴイシン: ギルフォス、なんかわかったらお互いに連絡取り合おう
ゴイシン: 俺も野宿だ

ギルフォス: …わかった

ゴイシン: あの若いのらと一緒するよ


*ギルフォスは宿に戻った。

フィオール: やれやれ
フィオール: あたしはまあ平気だけどさ


*と、スキールニルは農具を担いで家路に急ぐ村人を見つけ、追いかけて声をかける。

スキールニル: 最近この付近に出る強盗団について聞きたいんだが。

村人: …なにも話す事はない。

スキールニル: 恐ろしくないのか?

村人: こんな貧しい村を襲うと思うのか?

スキールニル: もし来たら?

村人: …来るわけがない。もういいだろ。家に帰るんだ。


*一方、宿の前では。

アル: フィオール
アル: 反対側の出口の方は安全そうだった?

フィオール: うーん
フィオール: どうだろ
フィオール: ちょっと見ただけなんだけど
フィオール: でも強盗団が出るのってさ
フィオール: 分かれ道の側なんだろ?
フィオール: だから反対側は特に
フィオール: 危険はないと思うけど

アル: 安全面なら反対側…かな?


*そこへスキールニルが戻ってくる。

スキールニル: 村が一番危険だったりして

アル: 何かあったの?

スキールニル: さっき話した農夫の反応がちょっと気になるな
スキールニル: いやたいしたことじゃないんだけど

フィオール: ?

スキールニル: 強盗団について聞いたら
スキールニル: 不機嫌になっちゃってね
スキールニル: 気のせいかな

アル: この村の人間たちが強盗だと?(小声で)

フィオール: ええ?!

スキールニル: (そうはいってないけどさ
スキールニル: (でも考えられなくはないんじゃないか
スキールニル: (村は貧しいようだ
スキールニル: (それとあまり非道なことはしてないようだ

アル: そう言えば殺されたりはしてないようだね

スキールニル: でもまあたぶん考えすぎだよ

フィオール: でもさ、スキールニル
フィオール: それなら村が貧しいのはおかしいんじゃないか?

ゴイシン: まあ貧しいからってそうそう強盗などしないだろう

スキールニル: 村が脅されて協力してるのかもしれない
スキールニル: どっちにしろ根拠はないぜ

アル: う〜ん

スキールニル: どっちかというとアルの作る歌みたいな話だよ

フィオール: へえ、アルは歌歌いなんだ

アル: あるぅ日村の中、強盗に…♪

スキールニル: 最高

フィオール: って
フィオール: そんな場合じゃないって

スキールニル: おう
スキールニル: 寝床さがさなきゃ


*というわけで、ひとまず一行は村を後にした

●野営

*一行は分かれ道付近で強盗団を見張りつつ野宿することにし、場所を探している。

フィオール: あたし一人ならどうとでもなるけど
フィオール: 四人もいるからなぁ…

ゴイシン: だな

スキールニル: 野宿なら慣れてるさ

アル: そうだねぇ

フィオール: 「人目につかないで」寝ることをいってるんだってば

スキールニル: 狩もしたことあるんだぜ

アル: でっかい猪ね

スキールニル: ああ
スキールニル: 毛皮まだ持ってる

アル: この上に昇れればなぁ


*削り取られたような絶壁をアルは見上げる。上からなら分かれ道を見渡せるだろうが、手ががりも道具もなく登るのは相当慣れた者でないと無理だろう。

フィオール: 足場がないとちょっと無理だね

スキールニル: アルを支えられるかなこのロープで・・・

アル: というより引っ張ってもらわなきゃ無理…


*諦めて、川沿いの木の下あたりに移動する。

フィオール: この辺ならまあいいかな
フィオール: 見通しは悪くはないし…

ゴイシン: よしきた

スキールニル: ここならぶん捕った品を船で運ぶこともできそうだな

ゴイシン: 確かに

フィオール: …
フィオール: 場所が場所だし
フィオール: 時節が時節だ
フィオール: 二人ずつ交代で見張ろう

アル: そうだねぇ

ゴイシン: 最初は俺が立とう

スキールニル: じゃ俺も立つよ

ゴイシン: ああ

フィオール: それじゃ休ませてもらおうかな

アル: じゃ宜しく〜


*アルは鎧を外してローブに着替える。フィオールは革鎧のまま横になると、すぐに静かになってしまった。

アル: 天井が無いと寝にくいなぁ…

スキールニル: そういやそうだな

アル: しばらく坑道の中ばかりだったよね

スキールニル: ああ

アル: 綺麗な月だなぁ


*拡張パックで空が追加されたあと、最初のセッションだったので満月の夜は始めて。

ゴイシン: 早いとこ寝たがいい
ゴイシン: 交代で見張るんだ、朝までは寝られんぞ

アル: そうするよ

スキールニル: あいつらはうまいことやってるかな

アル: だといいけど…

スキールニル: ・・・なわけないか

ゴイシン: あいつらってなんだ

アル: 友達

ゴイシン: ほう

アル: (こっくりこっくり)


*アルも眠りについて、数時間が経過した。

スキールニル: そろそろ時間か?

フィオール: ん…

ゴイシン: 交代してもらうか


*と、起こす前にフィオールが起き上がった。

フィオール: そろそろ時間かな?

ゴイシン: お、さすがだな

スキールニル: アル・・・


*熟睡中。ある意味、野宿で熟睡できるのもすごいけど。

アル: もう…食べれないってば…

フィオール: 子供みたい

スキールニル: 飯だぞー

アル: ん?

スキールニル: お

アル: ご飯?

スキールニル: 起きた
スキールニル: 見張りの交代

フィオール: だよ

アル: あっそっか…
アル: 強盗退治に来てたんだったね

フィオール: それじゃ朝まで
フィオール: ぐっすり休むといいよ

スキールニル: んじゃおやすみ

ゴイシン: それじゃ頼んだ

アル: おやすみぃ


*交代して、スキールニルとゴイシンが横になる。そのまま数時間が経過し朝になる。

フィオール: …
フィオール: アルの双子って
フィオール: なんて名前なの?

アル: エルドリック

フィオール: へえ

アル: うわ
アル: 雨だ


*と、突然バラバラと雨が降り出した。

スキールニル: うお・・・つめて

アル: 風邪ひくよ

ゴイシン: うう、冷える

フィオール: 村に戻ろう

ゴイシン: ああ

アル: その方が良さそうだね…

フィオール: ギルフォスと合流しないとね

アル: へくちっ!
アル: *ズズ*

スキールニル: 風邪引いたか?

フィオール: ほら


*といって、フィオールはアルに外套をかぶせてやる。

アル: ありがとう

フィオール: かぜひくよ

スキールニル: あ
スキールニル: 晴れた

フィオール: 通り雨だね

アル: とにかく身体を拭きたいな


*通り雨が過ぎて朝日が周囲を照らし始める中、一行は村へと戻った。

●強盗団の捜索

スキールニル: ちょっと村見てまわってくる

アル: うん

フィオール: あたしも行くよ


*二人はアルとゴイシンを宿の前に残して村を歩く。

スキールニル: おもしれえな
スキールニル: コレが人間の村なんだなあ

フィオール: こういうの、珍しい?

スキールニル: 珍しい

フィオール: ふーん
フィオール: そんなにどこも変わらないもんだけどね

スキールニル: 俺はドワーフの街しか知らないからね

フィオール: てっきりさ
フィオール: 剣を振ることにしか
フィオール: 興味ないと思ってたよ

スキールニル: いろんなことに興味はあるぜ
スキールニル: ウォーターディープ
スキールニル: いずれあそこにいってみたい

フィオール: シティー・オブ・スプレンダーズだね

スキールニル: なんだそりゃ

フィオール: 「輝きの街」って呼ばれてるんだよ
フィオール: ウォーターディープ

スキールニル: なんかでかくて面白い街らしいってことしか
スキールニル: 知らないんだよな

フィオール: あそこへ行けばどんなことでも
フィオール: どんなものでも、少しずつそろってるって言われてる

スキールニル: 詳しいね

フィオール: まあ旅してると
フィオール: いろいろ話聞くからね
フィオール: ふーん…
フィオール: あれ?
フィオール: あそこにいるの
フィオール: アルじゃない?


*というわけで少し時間を戻し、宿の前。

アル: おはようギルフォス

ギルフォス: …

アル: こっちは何もなかった?

ギルフォス: 何も

アル: そう…外も別になかったよ

ギルフォス: 一通り村を調べてくる

ゴイシン: これじゃ何しに来たんだか

アル: フィオールとスキールニルも行ってるよ

ギルフォス: どうせ無駄話してるのだろう


*といってギルフォスは歩いていってしまった。なんとなく手持ち無沙汰なアルは適当に近くの畑を眺めて歩く。

アル: なんだか発育が悪いみたいだ
アル: ここも…

ゴイシン: どうした、若いの

アル: なんかさ


*と、そこへアルを見つけたフィオールとスキールニルがやってきた。

フィオール: 二人ともなにやってるの?

スキールニル: おう

フィオール: ギルフォスは?

アル: やあ
アル: 家に入っていったよ

フィオール: 家?

スキールニル: ギルが?

アル: 彼なりに調べているみたい

フィオール: どこの家?

スキールニル: なんか得体の知れないやつだよな

アル: 宿屋の前

スキールニル: コレじゃ確かに
スキールニル: 苦しそうだなあ

アル: なんでこんなに育ってないんだろう?

スキールニル: さあ
スキールニル: 農業のことはわからない

アル: 世話をしてないわけじゃないようなのに

ゴイシン: しかし村を調べてても埒があかんね
ゴイシン: 全く情報が無いのだものな


*スキールニルは畑仕事をしている農夫を探して聞いてみることにした。

農夫: …なにか?

スキールニル: 作物の育ちが悪いようだけど。

農夫: この辺は土地が痩せているからだ。今年は特に天候が悪くて、収穫はあまり望めないかもな…

スキールニル: 最近この付近に出る強盗団について何かしらないか?

農夫: …なにも話す事はない。


*農夫は行ってしまった…

フィオール: …

スキールニル: ほらな
スキールニル: なんか不機嫌そうだよな?

アル: そうだね…

フィオール: うーん…

アル: 何か隠し事でもあるのか…それともドワーフを信用していないのか…

ゴイシン: かもしれないな

スキールニル: (気になるなやっぱり

フィオール: それにしてもスキールニル
フィオール: ギルフォス見なかった?

スキールニル: いいや

フィオール: なんかいないんだよね

スキールニル: 今朝はまだ見てない
スキールニル: アレは何者なんだろうな

ゴイシン: どちらにしても我らはする事が無いな


*たくさんあると思うけど(笑)

アル: ギルフォス探して街道を警備したいね

スキールニル: まあそうだね

アル: 村にいても仕方ないし


*と、ギルフォスが歩いているのをアルが見つけて呼びかける。

アル: こっちこっち

*気が付いて、ギルフォスは歩いてくる。

アル: 来た来た
アル: 何か分かった?

フィオール: どこ行ってたのさ

ギルフォス: …村を調べていた

フィオール: なにか見つかった?

ギルフォス: いや、何もない村だが…

アル: 何か気になることでも?

ギルフォス: どうも住民の反応が怪しく思う。お前らはどうだ?

アル: スキールニルは同意見だね

スキールニル: 怪しい気は確かにするけど証拠がないぜ

ゴイシン: 怪しいってか
ゴイシン: 我らが疎ましく思われてるのか

フィオール: 確かにね
フィオール: 何か証拠を突きつける、くらいはしないと

スキールニル: 俺たちが気に食わないだけかもよ

フィオール: 仮に何かがあったとしても口を割りそうにないよ
フィオール: とりあえず分かれ道まで行こうよ

ゴイシン: ああ、そうだな

フィオール: もう少しよく痕跡を捜してみる


*村にいても進展しないと判断し、一行は再び村を出て分かれ道までやってきた。

フィオール: 襲われるのはこのあたりだってことだけか
フィオール: わかってるのは…


*フィオールとゴイシンの二人は周囲を捜索してみる。というわけで捜索判定。

アル: (フィオールを見ている)

フィオール: …ん?
フィオール: なに、アル?
フィオール: どうかした?

アル: いや、何を探しているのかな?って

ゴイシン: 若いの、女性の体を捜索してどうする

アル: いや…別にそう言うわけじゃ

スキールニル: おやじギャグかいゴイシン
スキールニル: なんかわかった?


*捜索判定にゴイシンは失敗。フィオールの結果は成功。「周囲には入り乱れた足跡の痕跡があるが4日ほど前のものだ。激しい戦闘の後などはないので強盗団のものとは確信がもてない」

ゴイシン: 何も見つからないな

フィオール: (うーん…
フィオール: 足跡の痕跡があるみたい
フィオール: 4日くらい前かな

ゴイシン: ほう

ギルフォス : 4日か…

フィオール: でも争った後には見えない
フィオール: だから強盗団のものじゃなくて… ただの旅人のものかもね

ゴイシン: ただの旅人かもな

アル: う〜ん

スキールニル: 争いがあったわけじゃないんだろ
スキールニル: 脅してただけみたいだし
スキールニル: 他に手がかりがないんだしたどってみてもいいんじゃないか?

フィオール: いや、どこかへ向かって続いてるわけじゃないんだ
フィオール: まばらにあるだけだからね

ギルフォス: ここは定期市の影響で人通りが多いが、一方に進むだけだろう。入り乱れているのはおかしくないか

スキールニル: それもそうだな

フィオール: ん、確かにそうかな・・?

アル: そうだね
アル: いいこと言うなぁ

ギルフォス: それが強盗団のものだと仮定した場合、最近現れたのは4日前ということだな

フィオール: うーーーん
フィオール: そうなるね

アル: しかし本当に見晴らしいいなぁ

フィオール: 仮定すれば、だけど

スキールニル: ミラバールに向かう足跡以外でなにかないかな
スキールニル: 入り乱れてるってのはどういうことなんだろうか

ゴイシン: ふむぅ

アル: 慌ててたってことじゃない?
アル: 脅かされて人相どころか種族も分からないってんだから

スキールニル: 旅人は村には行かないだろうし
スキールニル: こっちから来るよな


*言いながら、スキールニルは街道からミラバール方面を指差し、そのまま逆方向に指を進める。

スキールニル: でこっちに向かう
スキールニル: あるいはその逆か
スキールニル: そういう足跡は除外できるかな
スキールニル: 俺にはドレがドレだかわかんないや


*フィオールは再び注意深く調べてみる。条件を限定したのでもう一度捜索判定。

フィオール: ちょっと自信がないんだけど
フィオール: たぶんこの足跡
フィオール: 南の…
フィオール: 丘のほうに進んでると思う

スキールニル: こっちか

アル: 丘ね
アル: 行ってみようよ

フィオール: 他に手がかりらしい手がかりも… ないしね

ゴイシン: ああ

スキールニル: じゃあ案内頼む
スキールニル: (俺には痕跡なんてぜんぜん見えねえな


*フィオールは足跡を辿って進む。一行がその後を付いていくと、切り立った崖のところで足跡が途絶えた。

フィオール: あれえ…
フィオール: おっかしいなあ

スキールニル: どうした?

フィオール: この辺で
フィオール: 足跡が途絶えてる

アル: おかしいよね? それ
アル: 昇れそうな場所がないねぇ

フィオール: 上かな…?
フィオール: でもちょっとそのままじゃ昇れそうにないけど
フィオール: うーん……

アル: 何か道具を使って昇るのかな?

ゴイシン: ロープがあれば簡単だろうな

フィオール: そうでもないよ
フィオール: 人一人の重さをささえるだけでも
フィオール: ロープをまずどこかにしっかり結び付けなきゃいけない
フィオール: でもそれっぽいものはなにも見当たらないよ

アル: 例えばボルトが届くようなら
アル: 昇るならあの岩の方が昇りやすそうだね

スキールニル: だとすると隠し通路でもあるんじゃないか

アル: 隠し通路ねぇ

フィオール: うん、それも考えたんだけど…

アル: 無さそうだなぁ

フィオール: 見つからないんだよね…
フィオール: ギルフォス、何か考えない?

ギルフォス: …

スキールニル: この木使って上がれないこともないかもしれないけど
スキールニル: ちょっと細いな

フィオール: 手がかりが見つかったと思ったんだけど

アル: まいったね

ゴイシン: 別の場所を探すか?

アル: 待ちに徹するしかないのかな?

スキールニル: ここで待ってても向こうにばればれじゃないか?

ギルフォス : 丘の上からはしごでも降ろせば誰でも上れそうだがな

アル: なるほど
アル: それじゃ昇る方法を考えよう

スキールニル: あのヘンからなら登れないかな

アル: 上の木にロープを結びつけたボルトを刺せないかなぁ?

フィオール: ボルトじゃ持たないよ、アル
フィオール: ヨコならいざしらず、上はね

ゴイシン: アルは特にな

アル: ………

フィオール: 身のこなしは悪いほうじゃないんだけど
フィオール: さすがに何もなくちゃ無理だなぁ

スキールニル: 雨のあとだし
スキールニル: あぶねえよ

フィオール: 少し
フィオール: ここに張ってみようかな
フィオール: どれくらいかかるかはわからないけど

スキールニル: 他にすることもないし

フィオール: もしかすると何か姿を現すかもしれない


*というわけで、少し離れたところに隠れられそうな茂みを見つけて一行はそこで隠れて見張る事にした。

フィオール: ラスカンか…
フィオール: ラスカンに何しにいくの?

スキールニル: ちょっとした人探しかな

アル: ブタブタ子豚、お腹が空いた〜♪(小声で)

フィオール: しょうがないなあ
フィオール: ほらっ


*フィオールはアルに保存食を差し出す。

アル: いただきま〜す♪

スキールニル: (よく食うなあ

フィオール: アルは本当にうまそうに食べるね

アル: 結構おいしいよ

フィオール: 人探し、か

ゴイシン: 静かに静かに

フィオール: わかってるって


*そのまま数時間が経過し、日も暮れて辺りは薄暗くなってきた。

アル: 夜になっちゃったね…

フィオール: (だいぶ暗くなったな…

スキールニル: 日が暮れちまった

ギルフォス: どうするんだ?

ゴイシン: うーむ

フィオール: あたしはこのままここで張ってるよ

アル: ここで焚き火したらまずいよなぁ

フィオール: あたりまえだってば!

ギルフォス: …
ギルフォス: 俺は宿に戻る

フィオール: うん
フィオール: 戻りたいなら戻っていいよ
フィオール: 焚き火なしで夜の寒さは慣れてないときついだろうしね

スキールニル: 村ではったりかましてみるか

アル: どうやって?

スキールニル: 重要な手がかりをつかんだ、これなら軍も動くだろう、とかさ
スキールニル: ちとわざとらしいな

ゴイシン: 村のそばへ戻るか
ゴイシン: どちらにしろ

スキールニル: アルはどうする?

アル: フィオール1人を残していくのはねぇ
アル: 俺も残るよ

スキールニル: いざって時は一人のほうが動きやすいかもしれないぜ
スキールニル: アル残すのもな

アル: そうかもしれないけど

スキールニル: 俺もココでいいや

フィオール: あたしはどちらでもかまわないよ

スキールニル: 少しこっち側の目立たない場所にいるよ

アル: ギリギリ見えるトコにいよう


*立ち去るギルフォスについてゴイシンも帰ったが、しばらくして大回りに隠れながら戻ってきた。

フィオール: ゴイシンまで
フィオール: 無理しないで宿へ戻っていいのに

ゴイシン: 見張られてるかもしれないと思ったものでね
ゴイシン: 帰った振りさ

スキールニル: なるほど

フィオール: 見張られてる?
フィオール: 誰に?
フィオール: ああ、あちらさんにか

ゴイシン: 可能性の話だ


*そして数時間経過…

フィオール: …

アル: (こっくりこっくり)

スキールニル: 空振りかな・・・

アル: zzz

スキールニル: アル寝ちまってるし

フィオール: いいよ
フィオール: 寝かせといて

スキールニル: 毛布かけといてやるか

フィオール: スキールニルも
フィオール: 寝てて構わないよ

スキールニル: そうしよう

フィオール: 何かあったら起こすからさ

ゴイシン: 交代で休もう
ゴイシン: スキールニル、あんた休め

スキールニル: 悪いね
スキールニル: 適当な時間に起こしてくれ


*そうして更に数時間が経過した。やがて西の空が白み、朝日が昇ってくる。

アル: ?
アル: 朝?

フィオール: *ふわ〜あ*

アル: いつの間にか寝ちゃったのか…

ゴイシン: ふぅ・・・

スキールニル: なんだ結局からぶりか

ゴイシン: 参ったな
ゴイシン: 少し寝ねぇと・・・

フィオール: そう毎日毎日出るとも限らないしね
フィオール: まあ
フィオール: 仕方ないよ

アル: 囮作戦とかした方がいいのかな?

スキールニル: ソレも悪くない

フィオール: 考えてみたら
フィオール: 旅人を襲う強盗団なんだから
フィオール: 夜に出るわけなかったよね…
フィオール: かえろ
フィオール: もう眠くて眠くて

アル: ずっと起きてたの?

フィオール: 二人ともぐっすり寝ちゃったからね

アル: すごいなぁ

スキールニル: 俺は兵隊だからね
スキールニル: 仕事は殴り合いさ

ゴイシン: 眠いわな


*空振りに終わり、一行は仕方なく村へと戻ることにした。

●秘密の影

フィオール: ?

*村に戻る途中の道で、ギルフォスが待っている。

ゴイシン: よう

アル: おはよう

ギルフォス : ちょっとこっちに


*そう言ってギルフォスは一行を道のはずれに誘った。

スキールニル: ?

フィオール: ??

アル: どうかしたの?

フィオール: なに?
フィオール: なにかあったの?

ギルフォス: 昨日の夜、村の様子を見張っていたんだが
ギルフォス: 深夜に宿屋の娘が村の裏手の門から出て行くのを見た

フィオール: ?

スキールニル: ほう

アル: 裏手から…

ギルフォス: 隠れるのは得意じゃないからそこまでしか見てないが

スキールニル: 逢引・・・じゃないよなあ

ギルフォス: 夜中に出掛けるのは妙だと思わんか

スキールニル: 確かに

フィオール: タシカニそうだね

アル: 思う思う

ギルフォス: 村の外で話したかったので、待っていた

スキールニル: また夜中に動きがあるかな

アル: 夕方まで寝て裏門を見張ってみようか?

フィオール: いまは
フィオール: 娘は戻ってるの?

ギルフォス: 朝には戻ってきていた

アル: 脅かされているのかもしれないし
アル: 内通しているのかもしれないし
アル: 全然別の理由かもしれないし

ギルフォス: 見張るにしても、うまく隠れられるやつが見張るのがいいだろう

スキールニル: 俺は無理だなあ

ギルフォス: 残念ながら、おれには向かない

アル: 俺も隠れ身は得意ではないけど
アル: スキールニルよりはマシかな?

ゴイシン: 俺はそこそこ得意だな

ギルフォス: 確かめるのに損はない。手詰まりなんだろう。その様子だと

スキールニル: 見張ってたが空振りだったからな

アル: その通り…悔しいけどね

スキールニル: 村を張るってのもいいかもな

ゴイシン: ただ疲れて集中力が・・・

スキールニル: 今のうちに休んどきなよ

アル: とにかく夕方まで寝たら?

ゴイシン: そうしたいな

フィオール: そうしよっかな…
フィオール: *ふわ〜あ*

ゴイシン: さすがに疲れた、金払って宿で休ませてもらうよ

ギルフォス: おれは宿にいる。いきなりいなくなるのも怪しいからな

フィオール: うん
フィオール: あたしもそうしよっかな
フィオール: 疲れて動けなくなっちゃしょうがないし


*ギルフォス、フィオール、ゴイシンの三人は宿に戻り、ギルフォス以外の二人はそのまますぐに寝てしまった。

ゴイシン: おやじさん
ゴイシン: 体調が悪いんだ、一部屋借りるぜ


*一方、アルとスキールニルは裏手の門を見に行く。

スキールニル: コレか

アル: あれ、鍵が


*門にはしっかりした鍵が掛かっている。

スキールニル: 俺たちが来たばかりのときは開いたよな

アル: うん


*不審に思いつつ、とりあえずその場を離れる。そして数時間が過ぎて…

フィオール: も、もう四時か…
フィオール: ゴイシン
フィオール: おきてる?

ゴイシン: うーん
ゴイシン: 今何時だ?

フィオール: *はあ*
フィオール: 四時
フィオール: 眠かったら寝てていいよ

ゴイシン: いや、起きる

フィオール: それじゃ、ちょっとでかけてこようかな

ゴイシン: 俺もだ


*三人が宿を出ると、スキールニルがいた。

フィオール: スキールニル
フィオール: おはよ

スキールニル: ん?

フィオール: アルは?

スキールニル: そのへんふらふらしてるよ

ゴイシン: 見張りは俺がやろう

フィオール: それじゃみんな
フィオール: 今日も分かれ道で張り込み
フィオール: はりきっていこ!

フィオール: アル
フィオール: いくよ

アル: ん?
アル: 呼んだ?

フィオール: はりこみいくよ

アル: ほ〜い


*一行はそのまま村を出て少し離れたところまで歩く。

フィオール: ここまでくれば平気…かな
フィオール: じゃ、あたしが張ってくるよ

ゴイシン: 大丈夫か?

フィオール: 村人は… とりあえずこっちが全員村の外へいったって思ってるだろうしね

ゴイシン: 俺のが上手くやれそうだが

フィオール: 本当?


ゴイシン: 多分な
ゴイシン: 大きな声じゃいえないが、盗賊をしてた事がある

フィオール: へえ…
フィオール: それじゃ
フィオール: 二人でやろうか

ゴイシン: そうするか

スキールニル: それがいいんだろうね

アル: 頼りにしてます

フィオール: ギルフォス
フィオール: 昨日人の動きがあったのって
フィオール: どっちの門?

スキールニル: 奥のほうだろ?

ギルフォス: 裏の門だ

フィオール: 北側?

ギルフォス:逆側の門だ

アル: 今日は鍵がかかっていたよ

フィオール: 西側か

スキールニル: ああ

フィオール: OK
フィオール: それじゃあたしは宿の裏手を見張るから
フィオール: ゴイシンは門の側を頼むよ

ゴイシン: わかった

フィオール: アルとスキールニル、ギルフォスは
フィオール: この近くで待機してて

アル: 無理しないでね

フィオール: 平気だって

アル: うん

フィオール: 自分でできることくらいはわかってるよ

アル: (にっこり)

フィオール: じゃ、いってくる
フィオール: あ
フィオール: ゴイシン
フィオール: 合図を決めておこう

ゴイシン: ああ


*というわけで二人で合図を決める。

フィオール: それじゃなんとか気配を消して
フィオール: 合図するよ
フィオール: 無理しないで
フィオール: やばくなったらケツまくってね
フィオール: それじゃ

ゴイシン: 行こう

アル: 頑張って〜

フィオール: 匍匐前進で気配消していくよ


*"ほふくぜんしん"

アル: 大丈夫かなぁ?

スキールニル: 大丈夫さ


*二人は隠れて村に向った。

アル: まぁあの人間の女は強盗って感じじゃなかったけどね

スキールニル: 強盗かあ
スキールニル: 武装した戦士と殴りあえるほどの強盗じゃないのかね
スキールニル: 暴力沙汰は起きてないっていうし

アル: 商人だけ狙っているのならそうなのかもねぇ

スキールニル: 思ったより面倒な仕事になってきたな

アル: うん
アル: 僕らに適した仕事ではなかったね

スキールニル: まあいろんな経験をつむのも修行だ


*一方ゴイシンとフィオールの二人は隠れ身のまま村に向う。判定値はゴイシン26、フィオール18で微妙なところだが、たかが一般人にはめったに見つかる事はないだろう。

フィオール: (うん、ここならOKかな

*フィオールは宿の裏手に場所を見つけて、ゴイシンに合図を送る。ゴイシンも門の傍に潜んでおり、合図を返してくる。そのまま1時間ほど経過した…

フィオール: (まだ動きはなし、か

*と、そのとき。

フィオール: (!

*宿の裏口から、宿屋の娘ミリンダが顔を覗かせ、周囲をきょろきょろと見ている。

フィオール: (人目を気にしてる…

*フィオールはゴイシンに合図を送るべく位置を変えて合図する。ちなみにこのシーン、DMはミリンダに憑依して普通に周囲をキョロキョロしながら移動している。二人のどちらかが見えたら失敗なのだが、本当に二人とも見えなかった!

フィオール: (見えてるかな…?

*ゴイシンはそれに答えた。

フィオール: (よし

*二人とも位置を変えながら(DM=ミリンダの目からは見えないのでプレイヤー会話からの推測だが)ミリンダを監視する。

フィオール: (警戒してる…
フィオール: (あやしいな

フィオール: (!


*ミリンダは村の裏門まで辿りつくと、もう一度辺りを見回してから鍵を外し、外に出て行った。

ゴイシン: (ただの逢引かも知れんけど
ゴイシン: (あとをつけよう

フィオール: (うん


*村の裏手は林になっており、そこから村の北側にある山へと登る道がある。ミリンダは村を出てからは周囲を気にする様子もなく、普通にその道を歩いていく。山道はあまりしっかりしたものではなく、山肌に沿って"歩ける"程度のものだ。ミリンダは特に躊躇する様子もないのでこの山道に慣れているのだろう。

フィオール: どする、ゴイシン?
フィオール: 一度戻る?

ゴイシン: あとをつけるさ

フィオール: 少し雨で崩れやすくなってるよ
フィオール: 危ないかも

ゴイシン: それは向こうも同じだ
ゴイシン: これなら大丈夫だろう

フィオール: ばれたら困るって話だよ
フィオール: とりあえずさ、あの女が
フィオール: 門の鍵を持ってるってことはわかったから
フィオール: 明日出直してもいいと思うんだけど

ゴイシン: いや、毎日行くとは限らない

フィオール: こう見えても
フィオール: 人様の懐からさ
フィオール: ものを拝借するのは得意なんだよ

ゴイシン: この先ったって、まだどのくらい先かわからないんだぞ

フィオール: この丘
フィオール: もしかすると村を迂回して
フィオール: あの街道沿いに通じてるのかも知れない

ゴイシン: その可能性はあるな
ゴイシン: とにかくもう少しつけよう
ゴイシン: まだ何もわかってないんだぞ

フィオール: うーん…
フィオール: でもさ、仮にも旅人を捕まえるくらいなんだから
フィオール: むこうもそれなりの備えがあると思うけど

ゴイシン: 本当にただの逢引かもしれない
ゴイシン: 村を出ただけで、怪しいと決め付けても仕方ないだろ

フィオール: 逢引にしてはちょっと
フィオール: 会う場所に問題がないかな…
フィオール: ちぇっ、ともかくこうして話している間にも
フィオール: どんどん先へいっちゃうよ
フィオール: 仕方ないな

ゴイシン: ああ


*というわけで追跡続行。

フィオール: (やっぱりだ

*予想通り、山道を辿っていくと先日足跡が消えていた崖の、ちょうど上のあたりに出られそうな感じだ。

フィオール: (前に出すぎだって
フィオール: (あれ…

ゴイシン: (どうした?

フィオール: (洞窟がある

ゴイシン: (あそこに入っていったのかな

フィオール: (そうみたい
フィオール: (ここまで来れば
フィオール: (もう十分じゃないかな

ゴイシン: (だな

フィオール: (もどろ

ゴイシン: (OK


*二人は念のため隠れながらそのまま引き返し、村の外にいる仲間の元へと向った。

フィオール: ただいま

ゴイシン: よいしょ

アル: おかえり

フィオール: みんなまだ起きてたの?

スキールニル: どうだった

アル: どうだった?

フィオール: ああ、ビンゴ
フィオール: 村の裏門からね

アル: うん

フィオール: あそこの丘の上へぐるっと
フィオール: まわりこんでたよ

アル: 間違いないね

スキールニル: そうだな

ゴイシン: いや、確定はしてないけどな
ゴイシン: かなり怪しい事は確かだ

フィオール: 洞窟があった
フィオール: とりあえず明日になったら
フィオール: 調べてみよう

アル: そうしよう

フィオール: それでさ、
フィオール: とりあえずあたしがあの女から鍵をするから
フィオール: 問題はそのあとなんだ
フィオール: あたしたちが門を通るところを
フィオール: 村人に見られるとまずい
フィオール: だから誰か一人… 村に残って
フィオール: 騒いで村人の気を引いて欲しいんだ

アル: それじゃ歌でも歌うかねぇ

フィオール: 適当にさ、「豊作祈願」とか言って
フィオール: みんなの気を引いてくれればいいよ
フィオール: その間に洞窟を調べてくる
フィオール: って計画でOK?

アル: うん、頑張ろう

ゴイシン: フィオールが上手く向こうから回り込んだら

スキールニル: なんとか上がれるようにしといてくれよ

ゴイシン: ロープでもたらしてくれりゃ、アル以外はここから登れるんじゃないか?
ゴイシン: アルは村で騒いでもらってな

フィオール: それじゃアルだけ後で引き上げればいいんじゃないかな?

ゴイシン: それでもOKだ

フィオール: ロープがどれくらい持つかもわからないし
フィオール: 上でささえるのも一苦労だしね

アル: うっ…

フィオール: それじゃそういう手はずで

ゴイシン: 今の計画で
ゴイシン: 今夜は休もうか

アル: おぅけぃ

フィオール: そうしよ

ゴイシン: ギルフォス、あんたも寝てくれ
ゴイシン: 宿には戻らないんだろ

ギルフォス : …心配はいらない


*一行はそのままさらに離れたところまで行き、そこで野営する事にした。

●アルの歌作戦

アル: あ〜あ〜
アル: ホンジツハセイテンノヘキレキ
アル: ナマムギナマゴメナマママママ

スキールニル: かんどる

フィオール: 朝っぱらからうるさいなー

ゴイシン: おはよう

フィオール: なに?
フィオール: なんかあったの?

アル: いや
アル: 歌の練習

スキールニル: 発声練習

フィオール: ああ、そういうの。

アル: アエイウエオアオ、アオ!
アル: ポウ!

スキールニル: あえいうえおあおかきくこけこかこ

ゴイシン: 何を言ってるんだ

スキールニル: だから発声練習

アル: そうそう

スキールニル: 冗談だよ

フィオール: まあ今回の作戦のかなめは
フィオール: アルにあるといっても過言じゃないからね
フィオール: しっかりやってもらうよ

アル: うっプレッシャーかけないでくれる?

フィオール: へえ、緊張することなんかあるんだ?
フィオール: あんたみたいな気楽そうな奴でもさ

スキールニル: いつもどおりにやればいいんだよ

アル: う〜ん

スキールニル: 豚の腸捻転は?

アル: そう言われると
アル: ぶぶぶぶ・豚の〜腸捻転〜〜♪

フィオール: なんだい、その歌?

スキールニル: アルの最高傑作にひとつ

アル: 豚の兄弟の歌だよ

フィオール: それ最高傑作なの?!

スキールニル: 笑えるだろ?

フィオール: …なんか不安になってきたなあ

アル: 兄貴豚は最高に頭がいいんだ
アル: 弟豚は体が丈夫
アル: お気楽極楽、腸捻転〜♪

フィオール: その兄弟ってさ
フィオール: もしかしてあんたたち双子がモデルなの?
フィオール: なーんてね

アル: う〜ん、内緒

ゴイシン: そろそろ行くか

フィオール: うん
フィオール: それじゃもう一度
フィオール: 確認しとくよ

ゴイシン: ああ

フィオール: まずは村に入ったら
フィオール: 普段どおりに適当にふるまうんだ
フィオール: あたしはその隙に
フィオール: 宿の娘から鍵をする
フィオール: すんだら合図するから
フィオール: そうしたらアルが歌でもなんでも歌って
フィオール: 村人の気を引くんだ
フィオール: その間に裏門を抜けて
フィオール: 丘へ上がる
フィオール: アル以外の全員が丘へあがったら
フィオール: アルは村の外へ… なんでもいいから、理由をつけて出てきてくれれば良い
フィオール: 一昨日張ったあの崖
フィオール: あそこのところでアルをみんなで引き上げる

アル: 確か地下水脈を渡ったときのロープがまだあったよね?
スキールニル: まだまだ持つはず

スキールニル: ああ
スキールニル: あるよ

アル: で

フィオール: ?

アル: 崖はこの辺?

フィオール: ちがうって!

アル: 違うの?

フィオール: 一昨日の夜
フィオール: 張ってた場所があるじゃないか
フィオール: あそこだって

アル: あぁ
アル: 了解

フィオール: この辺じゃ、村人にうっかり見られたりする可能性だってあるからね

ゴイシン: 分かれ道の先だ

アル: 地面がはげてるところだね

フィオール: そうそう
フィオール: じゃ、いこ


*一行は野営地を片付けると、何気ない様子で村に戻る。

アル: ふう今日も収穫なしかぁ

フィオール: もうあきらめて帰ろうかな・・

スキールニル: ホントにいるのか強盗なんて

フィオール: ね、いないみたいだし…

アル: 噂だけだったリね

スキールニル: かもな
スキールニル: でなきゃ俺らに恐れをなしたな

フィオール: (アル

アル: (ん?


*フィオールが耳元まで顔を近づけてくる。

フィオール: (あんたが一番話うまそうだからさ、
フィオール: (あたしが宿の娘から
フィオール: (鍵をする間
フィオール: (話をして気を引いて欲しいんだ

アル: わわわ、分かったよ

フィオール: …
フィオール: たのんだよ

スキールニル: アル顔が赤い

アル: お〜け〜


*宿に入る。朝方でちょうど宿の主人は食堂におらず、娘のミリンダだけがテーブルを拭いている。

スキールニル: あーあ
スキールニル: ぜんぜん駄目だな・・・

アル: ねぇねぇ大きなお姉さん

ミリンダ: …なんでしょう

アル: この村の作物ってなんで不作なの?

ミリンダ: 私に聞くより
ミリンダ: 畑で働いている人に聞いたほうが早いんじゃないの

アル: 聞いても答えてくれないんだよねぇ

ミリンダ: そうなの

アル: 貧乏だぁ!ってばっかり
アル: そんなに貧乏なのが自慢なのかな?
アル: 人間ってそんなもの?

フィオール: (意外とガード固いな…
フィオール: おっと
フィオール: ごめん、ちょっとひっかけた!


*フィオールのスリ判定。結果的に鍵は取れたものの、娘に気がつかれてしまった!

ミリンダ: !
ミリンダ: 私のポケットに手を突っ込んだわ!


*気付かれたフィオールは一目散に逃げ出す。

アル: えぇ〜!
アル: そういう趣味があるのかな?

ミリンダ: あんたたちも一味ね!

アル: なんの?

ミリンダ: 出て行って!

アル: こわいなぁ

ミリンダ: 早く出て行って!!

アル: わかったよ〜
アル: じゃあね〜

ミリンダ: あんたたちもよ!


ゴイシン: おいおい

スキールニル: なんで俺が?


*とかなんとか言いながらとりあえず宿を出る。村の外に出ると、フィオールが待っていた。

スキールニル: ばれてたみたいだけどいいのか

フィオール: ドンマイ

スキールニル: 仕事が終わったら村長と話しをしなきゃいけなかったんだけど・・・まいったな

フィオール: 状況がかわったからね


*娘が騒ぎ出す前に、作戦を実行しなければならなくなったため、アルはすぐに村に戻ると中心の広場で声を上げる。

アル: さぁてお立ち会い
アル: 旅芸人アルドリックの

フィオール: (まだだよ!
フィオール: (門を通るのはもうちょっと盛り上がってからじゃないと!

アル: 豚の兄弟
アル: ご用とお急ぎでない方は
アル: ごゆるりとどうぞ〜

スキールニル: (しかし物事解決するのにもいろいろあるな

アル: 昔パパと弟と〜♪
アル: 兄貴の豚が腸捻転〜♪
アル: 痛くて痛くてコロコロリ〜♪


*アルの芸能判定は出目19でかなりの結果。判定結果に免じて娘の登場を遅らせ、村人を集める。ほぼ全員が集まったのを見て残りのメンバーは(各自出来る限り)隠れながら裏門へと向う。そして誰にも気が付かれずに裏門にたどり着いた。

フィオール: やってるやってる
フィオール: 意外とうまいもんだね
フィオール: ちょっと驚いたかな

スキールニル: だからいっただろ最高傑作だって

フィオール: 歌詞がね…
フィオール: 微妙じゃない?

アル: 母さん豚は薬屋へ〜♪

スキールニル: いやアレがいいんだよ

フィオール: ふーん、そういうもんかな

スキールニル: まあフェルバール風味ってとこかなあ

アル: 父さん豚は屠殺ばへ〜♪
アル: 肝臓売って薬買い〜♪
アル: 弟豚はコロコロリ〜


フィオール: フェルバールかぁ…
フィオール: いいね、友達って

スキールニル: まるで友達いないみたいだな

フィオール: まあ、いろいろわけありでね

ゴイシン: あんたはずっと一人旅か

フィオール: まあ何度も命助けたり助けられたり
フィオール: あんたたちみたいなさ、いいやつさ
フィオール: 餓鬼の頃からの友達っていないんだ

アル: とっても元気な豚だけど〜
アル: 腸捻転でゆらゆらり〜


ゴイシン: そうか

フィオール: 自分が生きるだけで精一杯だったからね

ゴイシン: 俺も昔はそうだったよ

フィオール: ま、昔話はこのくらいにして
フィオール: 今は門をくぐろ

アル: ある日お空を見上げたら〜
アル: 羽が生えてきたんだよ〜


*アル以外の4人は門を抜けて林を通り、丘に抜ける。

スキールニル: こんなところにでるんだ

フィオール: うん

ゴイシン: 気をつけろ、雨で崩れやすくなってる

アル: 雲の間をぶらぶらり〜
アル: 散歩をしてたら羽根とれた〜

フィオール: ここまで聞こえてくるけど…
フィオール: なんか無茶苦茶歌ってるね
フィオール: 暴動とか起こらないかな…

スキールニル: だいじょうぶ
スキールニル: みんな笑っちゃって無理さ

フィオール: まあそれならそれで気を引いてくれれば好都合なんだけどさ

アル: 落ちる、落ちるよ、くらくらり〜
アル: 腸捻転もぐりぐりり〜
アル: さしこみさしこみいたたった〜
アル: あんまり痛みが非道いので〜
アル: ついに転落ぽろぽろり〜
アル: 落ちた先には海があり〜


フィオール: ギルフォスは?
フィオール: ついてきてる?

ゴイシン: どした
ゴイシン: いないな


*ギルフォスは少し離れて付いて来ている。

スキールニル: あそこだな

ゴイシン: いた

フィオール: ああ、OK

スキールニル: 何考え込んでるんだか


アル: 沈んで浮かんでごぼごぼり〜
アル: まいったまいったへろへろり〜
アル: 嫌いな食べ物せろせろり〜
アル: 好きな食べ物きゅりきゅうり〜
アル: 豚の兄弟、腸捻転〜♪
アル: 今でも仲良く腸捻転〜♪
アル: おそまつ!


フィオール: あそこの洞窟
フィオール: 昨日あの女はあそこに入っていったみたいなんだ

スキールニル: 中にはまだ入ってないんだな?

フィオール: うん

ゴイシン: ああ

スキールニル: アルを待つか

ゴイシン: ああ

フィオール: あたしとゴイシンだけだと何かあったら危険だと思ったんでね

スキールニル: 確かに

ゴイシン: ここのまん前にいたら何かあるかもしれない
ゴイシン: 少し離れようか

スキールニル: まああんたらならうまくやるとは思うけどね

フィオール: OK
フィオール: あとはこの辺から
フィオール: 一段降りてアルを引き上げるだけだ


*その頃、村では…

アル: これにてアルドリックの『豚の腸捻転』第一幕終了でござ〜い
アル: おやお姉さん
アル: 残念、終わっちゃった

ミリンダ: みんな気をつけて!こいつら何かたくらんでいる!
ミリンダ: わたしの荷物を盗もうとしたのよ!

アル: えぇ?
アル: 僕はそんなことしませんよ〜
アル: でも仕方ありませんね…

農夫A : なんですって

農夫B : こいつら盗賊か

アル: まさか〜
アル: 強盗だったら今頃家の中の物ないですよ

農夫C : 俺達の村からなけなしのものを盗む気だ!

アル: さぁ大変
アル: みなさん家の中で盗まれた物が無いか
アル: すぐに確認!

ミリンダ : 皆、いまはこいつ一人だわ!追い出しましょう!


*当たり前だけど、アルの言い分なんて村人には通用しない。ミリンダの様子からウソではないのはわかるしミリンダがそんなウソをつく理由がないことも村人たちは知っている。歌を聴いていた村人たちもそれぞれ鎌やら鋤やらを構える。

アル: う〜ん

*村人はそれぞれ武器を手にアルににじり寄る。アルの能力を知らない村人は、一斉に襲い掛かる機会を狙っているのだ。アルもさすがに空気を察して逃げ出すことにした。

アル: 自分から出ていきますよ〜
アル: さよなら〜!


*一目散に逃げ出したアル。チャンスとばかりに追いかける村人たち。一方、崖の上で待っているスキールニルたちは…

フィオール: あのアルって
フィオール: いざとなったらどうなの?
フィオール: やれる人?

スキールニル: さあ

フィオール: さあって…

スキールニル: いつも兄弟そろってたからね
スキールニル: だがヤツに何かあったら俺は何が何でも助けに行く

ゴイシン: 大事な友人なんだな

スキールニル: 村で袋叩きなんてことになってないといいなあ


*なりかけてた。

フィオール: …
フィオール: …
フィオール: 村人を…
フィオール: 殺してでも?

スキールニル: そんなあほなことやるわけないだろ

ゴイシン: しかし何故弟と別れたんだ

スキールニル: 話せば長いんだけど・・・

アル: つけられてはいないかな?

フィオール: しっ!
フィオール: 誰かがきた

スキールニル: (誰だ?


*崖から下を覗いていると、後ろを気にしながらアルがやってきた。

フィオール: なんだ、アルじゃん

アル: おお〜い

フィオール: アル
フィオール: ここだよ

アル: うわ
アル: 随分高いところに
アル: 昇れるのかなぁ?

フィオール: いまいくよ

スキールニル: ロープがある
スキールニル: 一応洞窟のほうみてることにする

アル: 引っ張ってね

フィオール: だれかもう一人
フィオール: アルの引き上げを手伝ってよ

ゴイシン: よしきた

スキールニル: ゴイシンなら身軽だからいいんじゃない?

フィオール: それじゃ引き上げるよ


*全員で協力してアルを引き上げた。

アル: ふう
アル: ありがとう

スキールニル: どうだった

フィオール: で、首尾は?

アル: 腕が痛いよ…
アル: 参ったよ

フィオール: ?

アル: あのお姉さんに疑われちゃって
アル: 下手すりゃ強盗団にされるトコだった

フィオール: !

ゴイシン: まあ確かにいきなりあんな事始めりゃ怪しいわな

フィオール: ごめん…
フィオール: あたしのせいで

スキールニル: まあ考えられる話だけどな

ゴイシン: 無事だったから良しとしようじゃないか

アル: いやいや
アル: でも逆に言えば
アル: 他の村人は
アル: 無関係なのかもね

フィオール: どゆこと?

アル: 僕達を本気で強盗だと思ったのなら
アル: 何も知らないだろうってこと

フィオール: うーん・…
フィオール: どうだろね

アル: 少なくとも僕には演技には見えなかったかな?

スキールニル: それはこれからわかるだろうよ
スキールニル: 洞窟へ行くぞ

ゴイシン: まあ、洞窟の調査だな


●ギルフォスの目的

*フィオールが洞窟の中に聞き耳を立ててみると、数人の人の気配が感じられる。

フィオール: …!…
フィオール: 誰かいるみたい

スキールニル: お邪魔しよう

フィオール: ちょっとまって
フィオール: ここに罠をはっとくよ
フィオール: 逃げられないようにね


*フィオールは洞窟の出入り口に罠を仕掛けた。

フィオール: OK

アル: 器用だねぇ

フィオール: それじゃ行こうか
フィオール: スキールニルが先頭で頼むよ

スキールニル: よし行くぜ!


*中に入ると人間の若者が数人立っていた。そのうちの一人が手に持った大鎌を構えた瞬間、一行は突如恐慌に駆られて身動きできなくなってしまった。

フィオール: !

ゴイシン: うへ

フィオール: (う…!
フィオール: !

アル: あれ

フィオール: ぐ…


*だが、それも1分程度の時間で一行はそれぞれ魔力を打ち破った。一行は一気に人間たちに襲い掛かる。

ゴイシン: ちくしょう
ゴイシン: いきなりだ

フィオール: くっそ…
フィオール: ちっ
フィオール: そこ!


*数人があっという間に殺され、大鎌を持った若者は洞窟の奥に逃げていく。

フィオール: にがすか!

*しかし洞窟はさして広くもなく、すぐに奥で行き止まりになっていた。追い詰められた若者は大鎌を構えようとしたが…

フィオール: 待ったスキールニル
フィオール: 殺さないで!
フィオール: 聞き出すんだ!


*スキールニルはまた大鎌に"やられる"前に若者を倒した。

ゴイシン: ほう、やるもんだ

アル: ふう

スキールニル: まだまだだな

フィオール: ちぇっ


*一行は、小さな洞窟の中にまだ敵が潜んでいないか警戒している。

スキールニル: (アル
スキールニル: (ちょっと来てくれ

アル: うん

スキールニル: (アル・・・フンディンの作った鎌の話し覚えてるか?
スキールニル: (爺さんのほうな

アル: う〜ん
アル: これがそうなのかな?


*アルが大鎌を持ち上げる。と、そこへギルフォスがやってきた。

ギルフォス: 片付いたか

フィオール: ギルフォス?

ゴイシン: 遅かったな

フィオール: どこにいたのさ?!

ギルフォス: 外を見張っていた


*と、ギルフォスはアルが持ち上げた大鎌に目が行った。

ギルフォス: …

フィオール: どしたの?

ギルフォス: なるほど


*フィオールには答えず、一人ごちた。

ゴイシン: あきらかにこいつらが強盗団だが
ゴイシン: 証拠を探そう

スキールニル: ああ

ギルフォス: こいつは村の人間だろう、この鎌を持っているということは

フィオール: ?

スキールニル: 実を言うとこの鎌
スキールニル: 俺が探してたものさ

ギルフォス: …

フィオール: ええ?!
フィオール: なんか話が見えないよ

スキールニル: ホントは村長のもののはずで

ゴイシン: 村長ってどこのだ?

スキールニル: ダンヒルの村長
スキールニル: だいぶ前のだけど
スキールニル、そのサイズはもともとダンヒルの村長の物だが

ギルフォス: 作り手はわれらの同胞だ

スキールニル: ・・・・あんたも何か知ってそうだよな?
スキールニル: 何者だ?

ギルフォス: おれはギルフォス、そう言っただろう

スキールニル: まあそういうことにしておこう

ゴイシン: まあこの見事な意匠、我らの作品だろう

アル: ミスリルだしね

ギルフォス: そのサイズ、おれも探していたものだ

スキールニル: なぜあんたがコレを?

ギルフォス: 元々、強盗団なんてどうでもいいんだ。それを取り戻せればな

アル: 取り戻す?

スキールニル: どういうことか教えてくれ

ギルフォス: そうだ。そのサイズを良く見てみろ
ギルフォス: そんな見事な品物が、こんな村の人間の手にあって
ギルフォス: こんな使われ方をしている。嘆かわしいとは思わないか?

スキールニル: ああ・・・
スキールニル: それはそうだがそういうことはいつだっておきるだろう

ギルフォス: だから俺は、わが同胞の宝を取り戻す旅をしている

アル: なんだか最初から全て知ってたような口振りだね

スキールニル: あんたは強盗がこれを持ってるってどこで知ったんだ?

ギルフォス: そこまでは知らなかった

スキールニル: そうか

ギルフォス: ダンヒルに、それがある可能性は知っていたが
ギルフォス: 近くで強盗が起こり、その話を聞いて
ギルフォス: もしや、と思った
ギルフォス: この仕事の話がなくても、どちらにしろここに来るつもりだった

アル: なるほどね
アル: 名推理だ

スキールニル: 村を守るためだったんだろう・・・本来は
スキールニル: コレはフンディン・アイアンビアードという鍛冶師が
スキールニル: 村のために作ったものだ

アル: それが何でこんな使われ方に…

ギルフォス: だが、今はわれらが同胞の手に戻ったわけだな

スキールニル: まあ・・・そうなるのかな

スキールニル: 俺としては別にコレを手に入れようと思ってたわけじゃない
スキールニル: 手がかりが欲しかっただけさ
スキールニル: フンディンのな

ギルフォス: そいつをどうするつもりだ?

スキールニル: まだわからない

ギルフォス: 売り払うつもりがあるならおれが買い取ろう

スキールニル: 売る気はないな・・

ギルフォス: なら、お前が保管するか?

スキールニル: それを考えてる
スキールニル: フンディンの孫に渡すかもしれない

ギルフォス: またどこか行方がわからなくなるのは困る

スキールニル: 作ったやつの孫だ

ギルフォス: そいつがどうするか、俺にはわからん。なら今おれに渡してくれ

スキールニル: あんたが何者かわからないからそれは出来ない

ゴイシン: 戦利品なら俺やフィオールにも権利があるんじゃないか?

フィオール: なんか話がよくわからないんだけど…
フィオール: つまりこの強盗団の長が持ってた鎌
フィオール: そいつを誰が持ち帰るかって話?

ゴイシン: そのようだ

スキールニル: ま、そういうことになるかな

アル: うん、この鎌
アル: 俺とスキールニルの友達のお爺さんが作ったものなんだ

スキールニル: だけどこの鎌・・・とても人を殺せる代物じゃないぜ


*話題が大鎌になったことで改めて大鎌を良く見てみる。

【ピースメーカー】
フンディン・アイアンビアードが作ったと言われている武器で、やはりミスリル製である。
「戦う力のないものでも、敵を追い払うことができるように」という目的で作られたもので、その刃は触れずとも
敵を真っ二つに切り裂き、まとう邪悪な雰囲気は今までたくさんの敵を屠ってきた証に見えるが、実は攻撃力は全くない。
しかし確実に敵に対して恐怖を与える武器であり、戦いを避けるための武器である。

フィオール: ちょっと待ってよ
フィオール: つまりこの
フィオール: この男はなんだったわけ?
フィオール: ただの強盗団?

スキールニル: そいつがわからない

ゴイシン: じゃないかね

フィオール: それとも村人?

スキールニル: 村人かも知れない
スキールニル: 食うに困ってこうなったのかもしれない

アル: 聞いてみないとね

ゴイシン: まあ、どちらにしても強盗な訳だがね

スキールニル: ギル・・・少し時間をくれないか
スキールニル: もう少しココを調べてみよう

ギルフォス: いいだろう。

ゴイシン: それには賛成だ

アル: まぁ聞かなくてもこれで強盗騒ぎが収まれば
アル: それでいいのかも

ギルフォス: 一つ、言っておくが
ギルフォス: 洞窟の外に村人が集まってくるのが見えた
ギルフォス: 出るときは、気をつけることだ

フィオール: ええ?!
フィオール: あのさ、そういうことはもうちょっとだけ早く言ってよ

アル: まいったねぇ
アル: 結局グルだったのかねぇ


*洞窟の奥には鉄格子を据え付けた部屋があり、鍵がかかっている。死体を調べると…

スキールニル: 鍵を持ってるな

ゴイシン: ああ

スキールニル: そうか
スキールニル: ココの鍵か?


*そのようだ。鍵を開けて中に入ると、部屋の隅に隠すように箱が置いてある。

フィオール: 宝箱だ

スキールニル: 戦利品・・・といえるかなあ

フィオール: すごいね
フィオール: 700ゴールドも入ってる

ゴイシン: ほう
ゴイシン: 結構な大金だな

フィオール: きっと旅人を襲って
フィオール: せしめたお金だろうね

ゴイシン: だろうな

アル: 何のために…


*そのとき、入り口を見張っていたギルフォスが声をかけてくる。

ギルフォス: 洞窟の外に村人達がいるようだな

スキールニル: 村人をどうするかだな

ゴイシン: 人数によるな
ゴイシン: グルだったらちょっと面倒だ

スキールニル: このままだと俺たちが強盗になってしまわないとも限らない
スキールニル: 一応ミラバールの名誉に関わることだし・・・

アル: それは嫌だなぁ
アル: 感謝されるならまだしも…
アル: *ごくり*

フィオール: やれやれ

スキールニル: まあやっちゃったものは仕方ないか・・・
スキールニル: なんとか話し合いですむといいな

アル: あっちから襲ってきたしね

スキールニル: ああ

フィオール: そのへんで死んでるのが
フィオール: 村人だって決まったわけじゃないと思うんだけど…

ゴイシン: まあな

スキールニル: とりあえず
スキールニル: ココでこうしてても仕方ない
スキールニル: 出よう

アル: とにかくまずは話し合い…かな?

スキールニル: いざとなったら逃げよう


●強盗団の真実

*一行が村の外に出ると、村人たちが集まっている。一定の距離を取って取り囲むような感じだ。手には鋤やくわ、鎌など武器になりそうな農具を持って、物々しい雰囲気だ。村長はアルが手に持っている大鎌を見ると一瞬、驚いたように目を見開き、少しの間があってから諦めたように話し始める。

村長: その鎌は…

スキールニル: 強盗がもってた

村長: ……あなたたちは…この中の者達はどうなりましたか

フィオール: ああ
フィオール: 強盗ね
フィオール: 皆死んだよ

スキールニル: これで旅人を脅してたんだな

村長: …

フィオール: 「あれは強盗だから」
フィオール: 「殺しても仕方ない」
フィオール: だよね?
フィオール: 何か問題あったかな?

スキールニル: 入ったとたん攻撃してきたんで仕方なかった

ゴイシン: 我々も初めは危なかった

村長: その鎌は私の家に伝わるもの…

ゴイシン: 同じように攻撃されてな

スキールニル: 強盗に盗まれたんだな?

フィオール: へえ、それじゃ「強盗が村長さんの家から鎌を盗んだ」のかな?

村長: そしてその鎌を持っていたのは私の息子です!

アル: はぁ?

ゴイシン: 息子が襲われたのか

フィオール: かわいそーーーに

ゴイシン: どこかへ鎌を売りにでも行って
ゴイシン: 途中で襲われたのだろうな


*一行はわかってて惚けているようにも見えるが、お互いのため、フィオールの言うように「あれは強盗団だった」で片付けたいのだろう。だがその態度は村人たちにとって快いものではない。

村長: あなたたちも見たでしょう…村の様子を
村長: 仕方なく…家に伝わるそれを使って、村のために私の息子は…

スキールニル: 村長
スキールニル: つまり息子が強盗だったんだな

ゴイシン: 息子が売りにいったんだろ?家宝を
ゴイシン: 辛かったろうな、代々の家宝を売るなんて

アル: そういう事じゃないみたいだね

村長: 息子は、戦いの出来るものではなかった
村長: だから、それで追い払おうとはしたでしょうが攻撃はしなかったはず!

ゴイシン: ??

アル: 弓で撃たれたよ
アル: もう少しで死ぬトコだった

フィオール: お仲間ではあったけどね

村長: それはあなたたちが先に攻撃したのでしょう…あるいはあなたたちにその鎌が通用しなかった

ゴイシン: おいおい
ゴイシン: 鎌を持ってた奴は、その魔力を使っただけで、直接武器は振るわなかったが
ゴイシン: その魔力は、俺たちを無力にする
ゴイシン: そうしたらお仲間に簡単にやられるだろ
ゴイシン: 攻撃したのと何らかわらんさ


*もし正確に事態を把握するなら、洞窟に踏み込んだ一行が先に攻撃目標としてターゲットして攻撃動作に入ってはいる。ただ現実にはどちらが先に攻撃したかは微妙だろうし、大鎌を使われた事を"攻撃"と取るのも当たり前ではある。

スキールニル: 面倒な話はよそう
スキールニル: これからどうする気だ、村長

アル: そうだね、終わっちゃったことだし

フィオール: うんうん

村長: …強盗を働いていたのは事実です…
村長: ですが村のためにと立ち上がった息子を
村長: 汚名を着せたままにするのはできません!

アル: 立ち上がり方がまずかったねぇ

ゴイシン: だって強盗じゃないか・・・

スキールニル: 強盗に殺されたことにしたらどうだ

アル: それいいね


*村の大事な働き手、いや、実際に身内が殺されている村人に対してこの態度はちょっと問題がある。村人は反感を強めた。

村長: その鎌を返してください。そしてこのことは他言しないと誓ってください。あなたたちの神に!

スキールニル: それで強盗は俺たちが倒したと

ゴイシン: つま先までずっぽり汚名とやらを被ってるよ

スキールニル: 鎌がこんな使われ方をするのは俺たちの名誉を汚すことだから
スキールニル: 返して欲しいってのが正直なところだが

村長: それはずっと昔に村長が資財をなげうって手に入れたと聞きます。私のものです

フィオール: それじゃ聞くけどさ
フィオール: あんたが鎌使って
フィオール: びっくらかして荷物を奪った旅人の中には
フィオール: 何年も家族から離れて
フィオール: 一人一生懸命家族のために遠い町で出稼ぎをして
フィオール: ようやく稼いだ金を持って故郷へ帰るところ…だった者がいない
フィオール: って言えるのかな?

村長: それは私達も同じこと

フィオール: あんたちに荷物を奪われて
フィオール: その家族は飢え死にだよ

村長: 生き延びるためにしたことです

フィオール: ふーん
フィオール: なら名誉がどうしたとか
フィオール: 口にする資格はないね

村長: わたしたちも息子の稼ぎがなければ飢えていたはずです


*フィオールの言うような見方が、現実的には不可能であることは彼女自身わかっている。身内の者が、行動として間違った事をしていたとしてもそれが自分たちのためなら庇うのが家族というものである。

ゴイシン: その通り、あんたらは理由はどうあれ強盗だ
ゴイシン: いまここで全員殺してもいいんだぞ

スキールニル: ・・・
スキールニル: それはやめとけ

フィオール: そ、それはちょっとまずいけどさ…

村長: …


*村人たちは恐れ、そして手にした武器を持ち上げる。

ギルフォス: 面倒だ。鎌は渡さん。
ギルフォス: これは我ら同胞の宝だ。お前ら人間のくだらん理由で使うものじゃない

村長: くだらないだって!?
村長: 息子の死が…く、くだらないだと!??

ギルフォス: くだらんな

スキールニル: どうしてこうなったんだ
スキールニル: なんでそう生活が苦しいんだ

フィオール: そんなの
フィオール: 土地とか天気とか
フィオール: 原因はなんだってあるだろうさ

スキールニル: じゃあそれはいいや
スキールニル: 鎌はわたせないが
スキールニル: ギルは
スキールニル: 買い取る金はあるといってる
スキールニル: それでどうだ
スキールニル: それで駄目なら仕方ないな

ゴイシン: 俺もそうするべきだと思う

村長: …このことが漏れたら、それでも私達の村は終わりだ…

スキールニル: 俺は別に村が不幸になるのは望まない

アル: *はぁ*

スキールニル: だから黙ってるのにやぶさかではない
スキールニル: だが鎌が悪事に使われるのはやはり許せんな

フィオール: なんだかなー

村長: あなたたちが黙っている保証はどこに?

スキールニル: ないよ
スキールニル: 信じるも信じないも勝手だ
スキールニル: 飲まないならこのまま帰る
スキールニル: 強盗を退治したといって金を貰ってオワリさ

アル: そもそも全員ミラバールの住人でもないしね

ミリンダ: …わたしはこのドワーフたちは信じられないわ
ミリンダ: 私の鍵を盗み取るような連中よ


*ミリンダが言い、村人たちはお互いにひそひそと話し合う。

スキールニル: あまり選択の余地はないんじゃないのか?

ギルフォス: 金で解決するならそれでもいいが

ゴイシン: そうだな、これは大幅にそちらのためになるぞ
ゴイシン: ミラバールの正規兵が派遣されてたらこんなものじゃ済まない

ギルフォス: もしどうしても鎌は渡せんというのなら、おれはためらわん

スキールニル: 飲むか飲まないかしかないんだぜ結局

村長: …

スキールニル: 飲まない場合俺たち全員皆殺しにしないといけなくなるかもな
スキールニル: どっちにしろ秘密はばれるかもしれない
スキールニル: 俺はしゃべらないといつでも誓う用意はあるけどな

アル: この一件はお互いに忘れる事にした方がいいと思うよ、人間

村長: …

スキールニル: どうだ、金を受け取って鎌を渡して
スキールニル: 丸く治める気はないか?

アル: それをお勧めするよ

村長: わたしが息子の死を…この気持ちを金で飲み込んで終わりにしろと?


*フィオールが弓の弦をびんびんと弾き始め、数人の村人はその音にビクっと身体を振るわせた。ギルフォスは腕を組んでいるものの、いつでも剣を抜けるぞという雰囲気である。ゴイシンに至ってはすでに「皆殺しにしてもいい」と言っている。スキールニルは特に凄んだ様子は見せずに淡々と話しており、アルも特に表面上同情的ではない。村人たちにとっては、明らかに脅しとしか取れない。

スキールニル: いやなら俺たちを皆殺しにするくらいしか手はないぜ
スキールニル: 黙って殺されるつもりもないしね

アル: 鎌が戻っても息子は帰ってこないしね

スキールニル: 事情を知ってたらもっと違った結末になったんだろうけど・・・


*村人たちはお互いにひそひそと話し合っていたが、結局、村長の決断に従うといった雰囲気で村長の発言を待っている。村人たちに最初の気迫は残っておらず、今は戦う事に恐怖している。そして10分少々の時間が経過して…

村長: ……
村長: みんな…村に戻ってください

スキールニル: (ふう・・・

村長: 戦っても私達に勝ち目はありません…
村長: ここはこの人たちを信じて…金を受け取る事にします…

スキールニル: 俺だって戦いたくないんだぜ

ミリンダ: 村長がそういうのなら…

農夫: そうね…

農夫: 村長…

農夫: うう…

アル: あのさ
アル: お姉さんってもしかして村長の息子と仲よかったのかな?


*アルの一言に、村長はアルを睨みつけた。

アル: …

*ギルフォスが金貨の入った袋を村長に渡す。村長はうつむいたままそれを受け取った。村人たちはぞろぞろと丘を降りていく。

スキールニル: 村長、ひとつだけ頼みがあるんだが

村長: …

スキールニル: この鎌を買ったときのことを知りたいんだ
スキールニル: これはフンディンという鍛冶師がつくったものなんだが

村長: 知りません。何百年も昔のことなんて

スキールニル: 記録とかそういうものもなし?


*村長はそれだけ言うと、もうスキールニルには答えずに村人たちの後に続いた。

スキールニル: (まあ教えてくれんかな

●苦い解決

*村人たちが全員丘を降りるのを見送る一行。

アル: 村を守る為のものだったろうにねぇ

ギルフォス: まあ、ある意味、村を護るために使っていたともいえるがな

アル: そうかな?

フィオール: やれやれ

スキールニル: こういうことになったよ
スキールニル: あんたのモンだ


*スキールニルは金を出したギルフォスに渡すべきと思ったのだろう。大鎌をギルフォスに渡す。ギルフォスは特に何も言わずに受け取った。

スキールニル: ギル
スキールニル: あんたはフンディンについて何か知っているのか?

アル: 実は王殺しがどこにあるのか見当ついてたりね

ギルフォス: フンディンについて知るものは少ないが
ギルフォス: 少なくとも、その方が優れた鍛冶師だったということは知っている
ギルフォス: だが、作品に銘を刻まないからな

スキールニル: あまり表に出ない人だったようだな

フィオール: さっきから同胞同胞っていってるけど
フィオール: 何の同胞なの??
フィオール: ドワーフって意味?
フィオール: それとも他に何か意味があるの?

ギルフォス: ほかにどんな意味があるんだ?

フィオール: ふーん… ま、ないならいいけどさ

ギルフォス: 我らドワーフはみな同胞だ


*と、ギルフォスは信じているものの、それはより狭義の意味で。

スキールニル: その鎌のこと頼むぜ
スキールニル: 妙なことに使われないようにな

ギルフォス: もはや、同胞以外の手に渡ることはないと約束する

スキールニル: ・・・わかった

アル: かえろっか…腹減ったよ

スキールニル: ・・・帰るか

フィオール: (なんか釈然としないなー…

ギルフォス: それでは、おれはもう行く。ミラバールの報酬はお前達で受け取れ

ゴイシン: わかった

アル: 元気でね

スキールニル: いいのか?

ギルフォス: 途中で降りたと、言っておけばいい

スキールニル: わかった
スキールニル: また会おう

アル: もしかしたらまた会うかもね


*ギルフォスは軽く手を挙げて挨拶らしきものをすると、そのまま立ち去って行った…

フィオール: あのさ

スキールニル: ん?

フィオール: あたしには関係ないから別にどうでもいんだけど
フィオール: あんたたち二人はあの武器を探してたんじゃないわけ?

スキールニル: まあ探してたといえば
スキールニル: そうだな

フィオール: で、あれでいいの??

アル: だけど別に欲しかったわけじゃないかな

スキールニル: まあ、あのうるさいやつがなんていうか知らないけど

フィオール: 武器の起源とかにしたって
フィオール: 何もわかってないんじゃないの??

スキールニル: 俺はコレでよかったと思ってるよ

フィオール: まあいいけどさ

スキールニル: 村の人間も少しは楽になんだろ

フィオール: 結局あのギルフォスの素性だって、わかってないのに
フィオール: そう簡単にあげちゃっていいのかね?

スキールニル: 他にどうしようもない

フィオール: 少し簡単に信用しすぎじゃないの?

スキールニル: 信じたわけじゃないがね

アル: 別に全部集めたら願いが叶うってもんでもないだろうしね

フィオール: なんかよくわかんないなー

ゴイシン: まあいい
ゴイシン: 戻るか

フィオール: 結局あんたたちは何がしたいわけ??

スキールニル: さあね
スキールニル: 俺もよくワカンネえや

アル: 路銀の確保
アル: ところで証拠…ないね

スキールニル: まあそれならそれでいいだろ

アル: どう言えば報酬貰えるかな?

フィオール: 頭の皮でも切り落としてくれば良かったかな
フィオール: 野盗退治の証拠は頭皮って相場が決まってるからね


*バルダーズゲートとか、D&D系のゲームだと必ずそう(笑)

アル: 取り敢えず奴等が使ってたショートソードは持ってきたけど
アル: 返り血付で

スキールニル: そうだったのか

フィオール: いいんじゃない?

スキールニル: 野盗と戦うのは初めてだったなそういえば
スキールニル: いこうか

アル: 人間と戦ったのもね


*そして一行は村を後にした。

●初めての報酬

*場面は飛んで、ミラバールの赤銅亭。主人に頼むと、取り決めどおり役人と連絡を取ってくれた。

役人: どうでしたか

スキールニル: 強盗は全員死んだよ
スキールニル: 強盗の持ち物の一部がそれだ

役人: 少し時間がかかりましたね。アジトを見つけるのに手間取りましたか?

スキールニル: 少しね

フィオール: なかなか尻尾をつかめなくてさ

役人: 連中のアジトはどこでした?

スキールニル: 村の近くに洞窟があってね
スキールニル: そこに潜んでた
スキールニル: 村人が協力してくれたおかげでどうにかやれたぜ

アル: 協力…ねぇ

スキールニル: してくれたじゃないか

アル: 宿代ぼったくられたけど
アル: 人間の宿は高いよね

役人: ふむ…詳しい場所を教えてください。あとで誰か調べにやるかもしれませんので
役人: この武器と血を見れば、これを証拠として受け取る事はできますが
役人: 確実な調査が必要と判断されるかもしれません


*スキールニルはわざと適当な場所を言う。

フィオール: (ちょっと、スキールニル
フィオール: (それ場所違うんじゃない?

スキールニル: (いいんだよ

フィオール: (でも証拠が見つからなかったって言ったら
フィオール: (じゃなくて、証拠がその場所で見つからなかったってなったら
フィオール: (こっちが疑われるんじゃないの?

スキールニル: (それだって証拠がないだろ

フィオール: (本当の場所教えればいいと思うけど

スキールニル: (村が探られるかもしれない

フィオール: (村の連中だって事態についてはわかってるよ
フィオール: (ちゃんと後始末だってするだろうし

アル: (俺もあの村長なら平気だと思うな)

フィオール: (後始末をしてなくて本当のことがばれたとしたって、それはあっちの責任だってば
フィオール: うっ…
フィオール: うう、戦いで受けた傷が…
フィオール: ちょ、ちょっと待って、お役人さん

役人: ?

ゴイシン: まったく・・・


*ゴイシンは事の顛末を見守る構え。残りの三人は少し離れたところでひそひそ会議。

フィオール: (で、どーするのさ

スキールニル: (すきにしなよ
スキールニル: (俺は義理は果たした
スキールニル: (あんたが何を言おうと関係ない

フィオール: *はあー*
フィオール: (あたしももう何でもいいや


*フィオールは戻って、役人に本当の場所を告げた。

フィオール: ああ、ただ…
フィオール: 村人にさ
フィオール: 洞窟の片づけを頼んじゃったんだよね
フィオール: てっきりこうなるとは思ってなくて…
フィオール: だから証拠とかはもう残ってないかも。

役人: 構いませんよ。洞窟はそこにあるのなら、施設も残っているでしょうし

フィオール: なんだったら村長に聞いてみれば話はわかるんじゃないかな
フィオール: 事の顛末もね

役人: わかりました。ではこの武器は証拠として提出しますので
役人: これであなたたちの仕事は終わりです
役人: 報酬を受け取ってください。
役人: 戦闘報酬も追加しますよ。


*一行は役人から報酬を受け取った。仕事で報酬を得るのはアルとスキールニルにとっては初めての事だ。

スキールニル: 面倒な仕事だったな・・・

アル: そう言えば旅人から奪っただろうお金って持ってきたの?

役人: ほう、そんなものが
役人: あったんですか

フィオール: 持ってないよ


*フィオールはアルを睨みつける。

アル: あれぇ?
アル: 思い違い?

フィオール: (なんで話をややこしくするのさ!


*フィオールはアルの足を踏みつけた。

アル: いてててて

役人: それは、届出のあった方に返却したいと思いますので
役人: 渡してください

フィオール: たぶん洞窟にそのまま
フィオール: 残ってるんじゃないかな

アル: おいてきちゃったみたいですね

フィオール: あたしも持ってないし

アル: 僕は見てすらいないしなぁ

ゴイシン: 俺も見てもいない

アル: 勿体ない…


*役人は一行をじっと見ていたが、嘘は言っていないと判断して

役人: それは取りに行かないといけませんね
役人: 報告感謝します


*とだけ付け加えた。ちなみに持ってきてないのは本当。

役人: それでは、わたしはこれで。

アル: どうも


*役人は頭を下げると酒場を後にした。

スキールニル: コレで旅ができるな
スキールニル: いざラスカンへ・・・

アル: 飯買ってこようっと

フィオール: あたしも
フィオール: おなかすいちゃった
フィオール: せっかくだしさ、
フィオール: その…
フィオール: 先を急いでるならいいんだけど
フィオール: 食事くらいは一緒にしてかない?

スキールニル: 今すぐ行くってわけじゃないよ
スキールニル: 明日にでも

フィオール: ああ、そうなんだ

スキールニル: まあ仕事も・・・成功・・・したわけだしな

アル: 思ったよりも日にちかかっちゃったけどね

スキールニル: 今夜は飲むか


*スキールニル、ゴイシン、フィオールの三人はテーブルに付き、給仕を呼ぶ。カウンター奥から漂う良い匂いに、厨房を覗き見ると焼肉を作っているようだ。

スキールニル: 焼肉うまそうだな

*というわけで焼肉と酒を注文した。

ゴイシン: ほんじゃ若いの、乾杯だ

スキールニル: ああ

フィオール: かんぱーい
フィオール: ふう…

スキールニル: アレ
スキールニル: アルがいない

ゴイシン: 歌い手の兄さんは何処行った

フィオール: ちょっと観てくるよ


*フィオールは席を立って、酒場を出て行った。

スキールニル: なあゴイシン
スキールニル: 俺は間違ってたか?

ゴイシン: そうだな
ゴイシン: 俺はあんたの考えに近かったよ

スキールニル: そうか
スキールニル: 少し気が楽になった
スキールニル: 殴り合いのほうがずっと簡単だな

ゴイシン: まあな
ゴイシン: そのために剣を磨いてるわけだ


*一方、フィオールは酒場を出たところで、ちょうど扉の前にいたアルにぶつかった。

フィオール: おっと
フィオール: アル
フィオール: ごめん、ぶつかったね

アル: う、うん

フィオール: どこいってたのかと思ってさ
フィオール: けがしなかった?

アル: 食べ物買ってた…
アル: 平気だよ

フィオール: そう
フィオール: まあ…
フィオール: あんなことになっちゃったけどさ、

アル: うん

フィオール: うまくいったのはアルのおかげだよ
フィオール: ありがと

アル: そ、そんな事…

フィオール: 歌、よく聞こえてたよ

アル: えへへ
アル: 中、はいろっか?


*というわけで一同揃って、再び乾杯。

フィオール: それじゃ
フィオール: ともかく乾杯

スキールニル: よく食うなあ

ゴイシン: まったくだ

フィオール: ゴイシンはこれからどうするの?

ゴイシン: とりあえずはここに少しばかり滞在するかな

アル: 歌うとね…もごもご

スキールニル: そんなにくって調子悪くなんないの?

アル: お腹減るんだ…もぐもぐ

スキールニル: そういや・・・
スキールニル: あの腸捻転!
スキールニル: おかしかったなあ

フィオール: ほんとね
フィオール: すごかった

アル: あんなに長く歌ったのは久しぶりだったから
アル: 結構大変だったよ〜
アル: エルのコーラスもなかったし

スキールニル: あー

フィオール: エル?

アル: うん、弟

スキールニル: 双子の兄弟

フィオール: ああ
フィオール: スキールニルは兄弟とかはいないの?

スキールニル: いない

フィオール: そっか

スキールニル: いたかもしんないけどね

フィオール: かも?

スキールニル: 親も誰だかわかんねえんだ

フィオール: !
フィオール: ごめん…

スキールニル: いやいいんだ

フィオール: あたしもさ、
フィオール: 小さい頃からずっと一人で
フィオール: 親の顔も知らないんだよね

スキールニル: へえ

ゴイシン: そうか

フィオール: で、それが高じて今じゃこうして旅してる

アル: ふ〜ん

フィオール: なんかあたしたちって似てるかもね、スキールニル

スキールニル: そうだな

フィオール: あたしもさ、
フィオール: その…
フィオール: 迷惑じゃなかったらでいいんだけど

スキールニル: ?

フィオール: ラスカンまで… 一緒にいってもいいかな?
フィオール: 旅は道連れって

スキールニル: 俺はいいけどアルは?

アル: 俺は…いいよ
アル: いいと思う

フィオール: あはっ

スキールニル: (なんかうれしそうだな

アル: すっごく

スキールニル: じゃあ何も問題ないね

フィオール: ありがと

スキールニル: 明日発とう

フィオール: いつでも構わないよ
フィオール: それじゃ… ゴイシンとはここでお別れかな?

ゴイシン: そうなるな
ゴイシン: おれは少しゆっくりしたいよ

スキールニル: 明日門が開くころ出発だ

アル: ちょっと寂しいね

スキールニル: そうだな
スキールニル: ま、いずれまた会うこともあるさ

ゴイシン: まあ、ミラバールに戻るそうじゃないか

スキールニル: ああそうだな

ゴイシン: その弟やら、うるさい友とやらと待ち合わせてるんだろ
ゴイシン: それまでいるかはわからんが、もしかしたら会えるかもな

アル: そうだね

フィオール: そっか


●もう一つの手がかり

*と、見覚えのあるドワーフの若者が酒場に入ってきて、カウンターへと向う。

ギブノー: すみません、ここにスキールニルかアルドリックっていませんか

アル: ?

スキールニル: !
スキールニル: おーい

アル: あれ?
アル: ギブノー

スキールニル: ギブノー!
スキールニル: 戻ってきたのか


*二人は席を立って、呼びかけながらギブノーの元へとやってきた。

ギブノー: ああ…

スキールニル: 後は追えなかったのか・・・?

ギブノー: あのエルフの女…アリベスっていったっけ
ギブノー: 彼女は死んだよ

アル: 死んだ?

スキールニル: !
スキールニル: ほんとか?

ギブノー: 間に合わなかったんだ

スキールニル: ・・・・

アル: それで…兄貴は?

ギブノー: 後始末つけたあとに
ギブノー: またどこかに行くみたいだけど、聞けなかった

スキールニル: そうか・・・

アル: そっか…

ギブノー: あの女の最後の手紙にあった…言葉
ギブノー: たぶん、それをするつもりじゃないかな
ギブノー: 「英雄の助けを待っている街や人」を探しに、たぶん

スキールニル: ・・・・
スキールニル: 寂しくなるな

ギブノー: ところで、スキールニルはもうフンディンのやつとは別れたのか?

スキールニル: またココで落ち合う予定だけどな

ギブノー: そうか、じゃ、これ、お袋から


*ギブノーは無造作に手紙を投げてよこした。

ギブノー: お前らは、ここで何してんだ?

スキールニル: まあいろいろあって強盗を退治したんだよ

アル: 一仕事後の休憩…かな

ギブノー: フンディンにくっついて行かなくていいのか?

アル: 一時的な里帰りだしね

ギブノー: いつもあいつの後ろ、くっついてたじゃないか

アル: そうだんだけどさ

スキールニル: まあフンディンがいないと静かでいいよな

ギブノー: ここでフンディンのお帰りを待ってんの?

スキールニル: いや待ってるわけじゃない

ギブノー: フンディンに言われて、ここに残ったんだろ

スキールニル: まあ結果的にはね

ギブノー: それで、何をどうするとか言われたとおりにやってんだ?

スキールニル: 何が言いたいんだ?

ギブノー: いや、あんな自分勝手なやつによく付いていくなあと思って。


*ギブノーは怒っている様子だ。

スキールニル: だからついていかなかったんだよ

ギブノー: でも、言われたとおりにここで待ってるわけだろ?

スキールニル: 待ってちゃ悪いのか?

ギブノー: お袋がわざわざ調べてくれるってのに、何も言わずにいなくなっちまうんだからな。

スキールニル: あー
スキールニル: そのうちいやというほど
スキールニル: 謝ってくるぜ
スキールニル: 覚悟しとけ

アル: う〜ん、その様子が目に浮かぶなぁ

ギブノー: おれも友達になれると思ったけど、裏切られた
ギブノー: もう会うつもりもないよ
ギブノー: 定期市も今日で終わりだ

スキールニル: そうか・・・
スキールニル: まあその辺は俺がどうこう言うことじゃないな

ギブノー: それじゃ、おれはお袋に言われてそれを届けにきただけだから

スキールニル: まあ・・・届け物ありがとな

アル: ありがとう


*ギブノーは何も言わずに立ち去った。

スキールニル: (怒ってるなあいつ

*ギブノーが立ち去ったあと、二人は手紙を開いてみた。手紙にはこう書かれている。また、印の付いた地図が同封されていた。

「追放者について調べてみました。

追放者の名前はギルフォス。

彼と彼の支持者たちは、かつてミラバールの鉱山の一つであったスパインの山の一つに居を構えたそうです。
その鉱山は、事件のあった時すでに掘りつくされ、放棄されていたので問題にはならなかったようですね。
追放者を追撃するようなこともなかったようです。
追放者の鉱山の場所を記した地図を同封します。
わたしに出来るのはここまででしょう。旅の役に立てばよいのですが。

追伸

もし旅の途中、どこかで私の夫ギブ・アイアンハンマーについて知ることがあれば、生きているかどうかだけで結構ですので知らせてください。お願いします。」


スキールニル: この鉱山てのも調べる価値はあるな
スキールニル: それにしても・・・ギルフォスとはね!

アル: へっ?
アル: あらら
アル: やっぱりまた会う事になりそうだね

スキールニル: 面白くなってきたじゃないか
スキールニル: まあ鍛冶のことなんかわからんから
スキールニル: まずラスカンだな!

ゴイシン: ラスカンか
ゴイシン: あそこは危ないって聞くが

スキールニル: だろうな

ゴイシン: 大丈夫か

スキールニル: 戦のある前からずいぶんと治安がよくなかったって効いたけど
スキールニル: 今はそれ以上かもな

ゴイシン: 何しに行くんだ?

スキールニル: 剣を探しにね

ゴイシン: 剣ね

スキールニル: 護り手バーシルとかいうやつが
スキールニル: フンディン作の剣をもってるらしい

ゴイシン: お前さんが使う剣かい?ドワーフ製のがいいのあるだろうに
ゴイシン: ああ、なるほど

フィオール: そのフンディンって
フィオール: ドワーフなんだろ?

スキールニル: 剣よりも手がかりだな

ゴイシン: 手がかり?

スキールニル: フンディンの工房のありかを探してるのさ
スキールニル: 秘密だったらしくて

ゴイシン: それでさっきの鎌にもいろいろ言ってたのか

スキールニル: そういうこと

ゴイシン: じゃあ、別に手に入れて使おうって訳じゃないんだな

スキールニル: まあ俺はね
スキールニル: フンディンの孫はどうか知らないけどな

フィオール: でも使ってみたいって気はないの?
フィオール: そんなにすごい剣なら

スキールニル: わかんねえ

ゴイシン: 首尾よく見つけたらもって帰るんだろ?そん時は俺にも見せてくれな

スキールニル: どうなるかわかんねえよ

フィオール: ま、そっちのほうが楽しそうだしね

アル: ギルフォスが絡んで来そうだしね

スキールニル: いい武器は欲しいが今は腕を磨くほうが先だな
スキールニル: どんないい武器でも腕が悪けりゃ意味がないからな

ゴイシン: いい事言うじゃないか

アル: ふわあああ

フィオール: それじゃ明日も早いんだろ?

スキールニル: ああ

フィオール: そろそろ寝よ

アル: そうしよう…

ゴイシン: 気をつけていけよな

アル: ありがと

スキールニル: ありがとう

アル: そんじゃ寝よ!

スキールニル: ゴイシンも飲みすぎるなよ

ゴイシン: ああ、もう少し飲ませてくれ

スキールニル: じゃあ明日出発だ

フィオール: それじゃまたね、ゴイシン

ゴイシン: 俺はゆっくり出来るからな
ゴイシン: ああ、おやすみ


*初めての仕事は、苦い結末となって二人の心に影を落とし、二人に旅の目的を問うた。フンディンたちと別れて二人きりになった今、自らそれを見出せるのか。二人の旅はラスカンへと続く…


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