ドワーフクエスト
第三章 ミスリルホールの英雄
「さらばミスリルホール」
●夢の誘い
*スキールニルはまた夢を見ている…。夢の中で、スキールニルはまた洞窟に立っていた。
スキールニル : ここか・・・
*金を求めるスキールニルは洞窟を進んでいく、やがて少し広くなっているところから明かりが漏れているのが見えた。
スキールニル : お・・・!
*覗いてみると、そこはゴブリンの住処のようだ。ゴブリンは金貨の山に座り込んでいて、それはゴブリンのものだとなぜかわかる。そして、もし近づけば容赦なく襲ってくるだろうこともなぜかわかった。夢の中で、スキールニルには二つの選択肢しかない。ゴブリンを殺して金貨を奪うか、金貨(力)をあきらめてこの洞窟から去るか、だ。
*スキールニルは悩んだ末に答えを出した。スキールニルは一撃でゴブリンを斬り殺す。ゴブリンの持っていた金貨はすべてスキールニルのものだ…。
●朝
スキールニル : んー
スキールニル : なんか夢を見てたきがするが
スキールニル : なんだっけな
*夢の内容はよく思い出せないが、何かいい夢だったような気がする。
フンディン: あっ
フンディン: おはよう、スキーニー
*フンディンは先に起きていたらしい。椅子に腰掛けテーブルについていた。
スキールニル : おう
エル: ふいー
フンディン: おはようございます
エル: おはよう
アル: もう…食べれ…ぐすん (寝言)
エル: お腹すいた
フンディン: 食べましょう
スキールニル : あ
エル: でも保存食ばかりで飽きたな
スキールニル : 寝る前の素振りを忘れちまった
*テーブルについたフンディンとエルは、食べ物を広げる。保存食を取り出したエルに、フンディンはホールの食堂で買ったパイを差し出す。その間にスキールニルは稽古を始めた。
アル: あっ…
アル: 朝か…
フンディン: おはようございます
アル: おはよう…
スキールニル : おりゃ!
エル: うまい
*スキールニルも稽古を切り上げて食卓につく。
フンディン: スキーニー
フンディン: *もぐもぐ*
スキールニル : ああ?
フンディン: 食べる時くらい剣は置いておきなよ
フンディン: *もぐもぐ
*と、食事をしていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。フンディンは食事を中断して扉を開ける。
フンディン: はい
フンディン: おお、アシモどの
フンディン: おはようございます
アシモ: おはようございます
アル: おはようございます
スキールニル : (あーきたきた)
アシモ: 良く眠れましたか
フンディン: おかげさまで昨晩もゆっくり休ませて頂きました
アシモ: それはよかった
フンディン: それにつけても
フンディン: その、、、
フンディン: 昨晩はとんだご無礼を
フンディン: ひらにご容赦ください
アシモ: いえ、いいのです
アシモ: あなた方はミスリルホールの客人であって
アシモ: 囚人ではありません
*勝手にドリッズト探しに出かけた件についてだろう。
アル: くっ…くくく
フンディン: 恐れ多いお言葉…
アル: ぬふふふふふ
フンディン: ?
スキールニル : どうした?
フンディン: どうなさったのです、アルドリックさん?
アル: いや、あの2人…本当に気が合いそうだと思って
スキールニル : あーなるほど
スキールニル : 似てるなあいつら
スキールニル : 話が普通の会話の14倍くらいながくなる
アル: ホント、ホント
*昨日のブルーノーとの会話を思い出しているのだろう。
アシモ: ところで
アシモ: ブルーノー王があなた方をお連れしろと
フンディン: おお
アシモ: 支度なさってください
フンディン: では正装いたしますので
フンディン: しばしお待ち願えますでしょうか
アシモ: わたしはここで待っています
*アシモは部屋の外に出た。
フンディン: すみません
フンディン: みなさん
フンディン: 聞いた通りです
フンディン: これよりブルーノー・バトルハンマー王にお目通りすることになりましたので
スキールニル : よしじゃあいくか
フンディン: くれぐれも
フンディン: 失礼のないように!!
アル: はいはい
*フンディンはじろりとスキールニルを見る。
スキールニル : ブルーノーは戦士だ
フンディン: 正装していったほうが良いですね
スキールニル : 戦士の礼ならわきまえてるさ
フンディン: あっ、こら、スキーニー!
*スキールニルは鎧のまま部屋から出てしまった。ちょうど、部屋の外で待っていたアシモと目が合う。アシモの視線はスキールニルの服装へと下りていく…
アシモ: …
スキールニル : ?
アシモ: 失礼ですが、正装がないのであればお貸ししますが
スキールニル : コレが正装
フンディン: …
アシモ: …
アシモ: わかりました…
フンディン: すみません…
スキールニル : 俺は戦士だからな
フンディン: お恥ずかしいのですが
*フンディンは無理やりスキールニルを部屋に引き戻す。
フンディン: 四着ほどお貸し願えませんでしょうか…
アシモ: はい。
*アシモは少し安心した様子だ。
フンディン: いまアシモどのが服を持ってきてくださるから
フンディン: 皆さん部屋へ戻ってください!!
スキールニル : 急がないと王が怒るぞ
フンディン: フェルバールは礼も知らぬ田舎だと思われては
フンディン: 大変です
エル: あの人ならそんなこと気にしないさ
*しばらくして、アシモが四着の服を持ってきた。
フンディン: 恐れ入ります
スキールニル : 俺は礼も知らない田舎ものだけどな
スキールニル : ダサそうな服だな
フンディン: す
フンディン: スキーニー!!
*フンディンの怒り爆発。一通り騒いだ後、着替えた一行はアシモに案内されて謁見の間へと向かう。
エル: アシモさんは、名前の由来はなにかあるの?
アシモ: さあ
アル: アイザックなんだろ?
*ちなみにそれは元ネタではない。
アシモ: 名付け親はブルーノー陛下です
アシモ: ちなみに、
アシモ: 双子の弟はマシモです。二層で店をやっています
フンディン: おお
フンディン: 昨晩お会いしたかも知れません
アル: 兄はモシモだったり?
スキールニル : じゃあアシモどのの口利きで安くならんかなあ
フンディン: ……
*アシモもフンディンも無視した。
●謁見
*一行はらせん状の階段をぐるぐると降り、3層ほど下までやってきた。さすがに謁見の間が作られた場所だけあって、あまりにも美しい…
フンディン: うわあ…
スキールニル : すげえ
スキールニル : 見ろ・・・この岩盤
スキールニル : 美しいじゃないか
フンディン: *ぽー…*
エル: ああ
アル: うんうん
スキールニル : 詩人なら歌わずにいられないだろうな
エル: 僕らはコメディが専門だから
スキールニル : コメディは難しいんだぜ
スキールニル : 高度な芸だな
*きょろきょろしながら進み、そしてミスリル製の大きな扉の前に立つ一行。
アシモ: 少しここでお待ちを
フンディン: はっ
フンディン: *どきどき*
*ほんの少し待たされたあと、扉が開かれる。
アシモ: どうぞお通りを
アシモ: 王がお待ちです
フンディン: し、しししし、
フンディン: 失礼します
*謁見の間は豪華絢爛というわけではないが、しかしそこはミスリルホールの財力と力を象徴した作りになっている。一行は王座に座るブルーノー王の前に進み出た。
フンディン: !
フンディン: ふぇ、ふぇふぇ
エル: おほー
スキールニル : 来ました
フンディン: *ごほん*
エル: 神話の英雄だ
エル: すごいな兄者
アル: ホントだな
ブルーノー バトルハンマー: やっと来たか
フンディン: フェルバール城砦はムンディン・アイアンビアードの息子フンディンと
ブルーノー バトルハンマー: それは昨日聞いた
スキールニル : 遅くなってすいません陛下
フンディン: 並びにその仲間スキーニー、アルドリック、エルドリック
フンディン: 一同参りました
スキールニル : それも昨日言ったな・・・
フンディン: ブルーノー陛下におかれましてはご機嫌うるわしゅう…
ブルーノー バトルハンマー: 昨日はその、エルフが迷惑をかけた
ブルーノー バトルハンマー: 伝言を届けてくれて感謝しとる
*昨日はイラついて対応したことを多少気にしているのか…?
スキールニル : いえ・・・
フンディン: エルフ?
スキールニル : ドゥアーデンだ
フンディン: ?
フンディン: なに言ってるんだい、スキーニー
フンディン: ドリッズトどのはドロウだよ
ブルーノー バトルハンマー: ドロウもエルフに変わりない
フンディン: !
フンディン: し、失礼を申しました
ブルーノー バトルハンマー: 昨日は、やつがまた頑固なことを言い出したので
ブルーノー バトルハンマー: 少々頭にきた
フンディン: 私なにぶん若輩者ゆえ早とちりをいたしまして
アル: *くっくっく*
スキールニル : (少し黙ってたほうがいいぞ
フンディン: (どうしてさ?
スキールニル : (王はまだるっこしいことが嫌いなんだ
ブルーノー バトルハンマー: そんなわけで、何も礼をしとらんかったからな
フンディン: は、はっ?
アル: 一生噛み合わないな会話
フンディン: とんでもございません
フンディン: もとより私どもが勝手に為したこと
フンディン: おとがめを受けることこそあれ、礼などと
ブルーノー バトルハンマー: 遠慮はするな。働きには報酬が必要だ
ブルーノー バトルハンマー: で、何が欲しいんだ?
フンディン: …
ブルーノー バトルハンマー: 遠慮なく言って見ろ
スキールニル : *ひじでフンディンをつつく*
フンディン: 陛下
フンディン: 私どもの求めるものは
ブルーノー バトルハンマー: うむ
フンディン: 形あるものにあらず
ブルーノー バトルハンマー: なんだ?
フンディン: 陛下のお治めのミスリルホールが
フンディン: この北方において類稀なるミスリル鉱石の産地であるとお聞きして
ブルーノー バトルハンマー: …
フンディン: 遠路はるばるここまで参った次第であります
ブルーノー バトルハンマー: それで?
フンディン: ことのおこりは我が父、ムンディン・アイアンビアードより
フンディン: その父、つまり私の祖父上であるところの大フンディンの足跡を求め
スキールニル : (ヤベえ・・・寝そうになってきた)
フンディン: 遠くフェルバールより旅は始まったのであります
ブルーノー バトルハンマー: …
フンディン: 我が祖父大フンディンはかつて
フンディン: これはまだ我が父ムンディンが物心つかぬ幼少の時分のことであるのですが
ブルーノー バトルハンマー: ……
アル: *くっくっく*
フンディン: その頃父は弟ミョルニル…つまり私の叔父上にあたる方なのですが
フンディン: ミョルニルどのと共に、父ムンディン、そしてその父大フンディンと共に
ブルーノー バトルハンマー: ………
フンディン: アドバールの近郊の山中にお住まいになっていたそうなのです
ブルーノー バトルハンマー: それで?
フンディン: はい
フンディン: ある時、我が祖父大ムンディンの身に何かが起きたようで
フンディン: どうも祖父上はその時に亡くなられたとのこと
フンディン: 我が父ムンディンは祖父上の仕事場より
ブルーノー バトルハンマー: もっと短くできんのか、その話は
フンディン: は、は?
スキールニル : (きたー)
ブルーノー バトルハンマー: 目的を話せばいい
フンディン: は、はい
エル: 王様は忙しいんだから
ブルーノー バトルハンマー: 旅の目的、ミスリルホールに来た目的
ブルーノー バトルハンマー: そして何が欲しいか、だ
*今日はいきなり怒鳴られたりはしないし、ブルーノーもイライラした様子は見せていないが話が長そうだと思ったのだろう。
フンディン: *ごほん*
フンディン: 我々が探し求めているのは祖父大フンディンが鍛冶仕事を行っていたという
フンディン: 秘密の作業場です
ブルーノー バトルハンマー: ほう
フンディン: 大フンディンはその生涯においてミスリル金属を用いた仕事をのみ残したとのこと
フンディン: つまり作業場の近くにミスリル鉱脈があるか、あるいは何者かが大フンディンにミスリル鉱石を供給していたか
フンディン: そのどちらかであると思えるのです
ブルーノー バトルハンマー: なるほど
フンディン: そこで、陛下のご在位の間に
フンディン: そのような記録などはないものか
フンディン: お聞かせ願えればと思います
ブルーノー バトルハンマー: 知っての通り、ミスリルホールはバトルハンマー氏族に伝わる土地だが
ブルーノー バトルハンマー: 数十年前まで、くそったれの黒いトカゲと灰色のひげもじゃに
ブルーノー バトルハンマー: 乗っ取られておった
フンディン: (トカゲとひげもじゃ??)
ブルーノー バトルハンマー: まあどちらも叩き潰してやったが
スキールニル : ふあーあ (あくび)
フンディン: ??
スキールニル : 有名な話だよな
ブルーノー バトルハンマー: そんなわけで、その間に記録やらなんやらが
ブルーノー バトルハンマー: 荒らされてしまっておる
ブルーノー バトルハンマー: 残っていたものは一まとめにしてあるが
ブルーノー バトルハンマー: その整理もなかなかつかん
フンディン: …
フンディン: さ、左様でありますか…
ブルーノー バトルハンマー: まあ、だが、調べるのはかまわん
フンディン: 是非とも
ブルーノー バトルハンマー: アシモに案内させよう
フンディン: ありがたき幸せに存じます
ブルーノー バトルハンマー: お前さんの気持ちはわしもわかる、フンディン
フンディン: !
ブルーノー バトルハンマー: わしも失われた祖父の土地に焦がれておった
フンディン: …
フンディン: 陛下…
ブルーノー バトルハンマー: 死地に赴くと知っていながら、仲間を誘って旅に出たこと
ブルーノー バトルハンマー: 後悔したこともある
ブルーノー バトルハンマー: だが、わし一人では成しえなかったし
ブルーノー バトルハンマー: それでもなお、わしはこの地を求めたのだ
フンディン: …
フンディン: そして陛下は見事成し遂げられました
ブルーノー バトルハンマー: お前さんもそうだろう?
フンディン: …はい!
ブルーノー バトルハンマー: では、行け。好きなだけ調べていい
フンディン: はっ
フンディン: ではこれにて失礼致します
エル: またゆっくり
*一行は、礼をして王の前から下がった。少し離れたところにアシモが控えている。
フンディン: アシモどの、よろしくお願いいたします
アシモ: 話は聞いていました
アシモ: こちらです
*一行は再びアシモに案内され、謁見の間を後にした。
●てがかり
スキールニル : あーこの服窮屈だな
エル: 鎧よりは楽だろ
フンディン: ここで脱ぎ出したら
フンディン: 許さないからね!
*などと話しながら、一行は書庫にやってきた。謁見の間と同じ階層にあってそう遠くはない。部屋の中は広く、本棚が並んでいるがまだ床に積み上げられたままになっている本が山とある。その本の山の中に一人のドワーフが座っていた。
フンディン: 失礼します
アシモ: 書記官
*アシモは書記官に声をかけ、手早く事情を説明する。
アシモ: というわけで
アシモ: 探し物をしたいのだが
アシモ: 書記官も協力してくれ
スキールニル : すげえ埃だ
書記官: わかりました
アシモ: では、任せた
スキールニル : アシモ殿
アシモ: はい
スキールニル : 服返すよ
スキールニル : よごしちゃわるいしな
アシモ: いえ、差し上げます
フンディン: !
アル: 助かります
フンディン: お恥ずかしい話ですが正装のひとつも持ち合わせておらず…
アル: ありがとうございます
フンディン: お言葉に甘えさせていただきます
アシモ: また後ほど、様子を見に来ます
アシモ: では、詳しい話は書記官に
*アシモはなんとなく機嫌が悪そうだ。そう告げると部屋をあとにした。
フンディン: よろしくお願いします、書記官どの
書記官: して、どのような記録をお探しか?
書記官: 見ての通り、まだ整理はついておりませんが
フンディン: 300年ほど前の記録で
フンディン: ミスリル鉱石をホールの外へと出したものがないかどうか
フンディン: 調べたいのです
書記官: つまりミスリル取引の記録ということですな
書記官: それでしたら、最初に整理してあります
フンディン: おお!
書記官: ですが、失われた部分も多く
書記官: 正確ではありません
フンディン: それでも
フンディン: ともかく残ったものだけでもお見せ願えますか?
書記官: わかりました
書記官: 少しお待ちを
フンディン: よろしくお願いします
*少し、とか言いながら3時間もまたされる一行(笑)適当にそこらへんの本に触れると、書記官が睨んでくるため何もできない(笑)手持ち無沙汰にぶらぶらと部屋をうろついたり雑談をするくらいだ。
フンディン: …
書記官 : ああ…これですね
フンディン: !
書記官: 全部見るのは骨が折れるでしょうから
書記官: 私が説明しましょう
フンディン: よろしくお願いします
*書記官は本をペラペラとめくりながら話し始める。だいたいの内容は覚えているらしい。
書記官: 基本的に、当時ミスリルホールが取引していたのは
書記官: アドバール城砦とミラバールです
書記官: 個人との取引となりますと
書記官: 記録にはほとんどありません
アル: 人間…マーダックという名で記録はありませんか?
書記官: 人間と取引を?
*一瞬びっくりしてから、書記官は声を出して笑った。
書記官: フフン なにをバカな
フンディン: アルドリックさん
アル: ん?
フンディン: マーダックというのはおそらく
フンディン: ミスリル鉱石の取引をした相手ではないですよ
アル: そのようだね
フンディン: たぶん村で
フンディン: 必要なものを買出した相手でしょう
フンディン: しかし
フンディン: 記録は…ないですか…
書記官: 失われた部分については、あったかどうか確認もできないのですが
書記官: いま現存するもので
書記官: 個人の名前が出てくるのは一つしかありませんね
フンディン: !
フンディン: その名前とは…?
書記官: バーミル・スラルレオ
フンディン: バーミル・スラルレオ…
書記官: ミラバールに住んでいる商人となっています
フンディン: !
書記官: 基本的に、国家間の取引は個人の名前は書かないようですが
書記官: これが唯一の例外ですね
スキールニル : なぜそいつは例外なんだ?
書記官: そんなこと、知りませんよ
スキールニル : そうか
スキールニル : 何者なんだろう
アル: 気になるね
フンディン: …
フンディン: 取り扱ったミスリル鉱石の量…については
フンディン: 記述はありますか?
書記官: 200年前までは残っていますから、今も子孫はいるかもしれません
書記官: 量はあまり多くありませんね
書記官: しかし定期的に取引していた…と思います
書記官: 一部、記録が飛び飛びでしてね
フンディン: なるほど…
フンディン: 取引は…その、
フンディン: 二百年前ごろまで続いていたのですか?
書記官: わかりません
フンディン: そ、そうですか…
書記官: 記録が失われているのかもしれないし
書記官: そこで終わったのかもしれない
書記官: 判断はできません
フンディン: …
書記官: わたしは整理で手一杯で内容をくわしく調べるまでは到っていないのです
フンディン: いえ、お忙しいところ
フンディン: ご迷惑をおかけいたしました
書記官: お役に立てましたか?
エル: あまり
書記官: …
スキールニル : 手がかりなしに等しいといったところか
フンディン: はい、大変助かりました
フンディン: ともかく
フンディン: ミラバールへ行ってみればいいということがわかっただけでも
フンディン: 収穫はありましたよ
アル: そうそう
フンディン: もしかするとそのバーミル・スラルレオという人が
フンディン: 祖父上にもミスリル鉱石を回していたかも知れないのですから
アル: 何もないよりゃ百倍いいよね
スキールニル : そうでないかもしれないけどな
フンディン: それじゃスキーニーは他に考えがあるのかい?
アル: しかしアドバールに手掛かりが見付からない以上は
アル: それを頼るほか無い
スキールニル : あるわけないだろ
フンディン: まったく、文句だけは言うんだから
書記官: 5年かけて整理した記録から見つけ出したのですから、感謝してもらいたいものですな
*書記官はかなり怒ってる…
フンディン: は、はい
フンディン: 申し訳ございません
エル: ミラバール行くのは楽しみだ
アル: 勿論感謝してます
フンディン: 本当に礼儀知らずばかりでして…
フンディン: なにぶん田舎者のやること
フンディン: どうかお見逃しを…
書記官: ま、いいでしょう…では、私は仕事に戻りますよ
フンディン: 彼らに代わりまして感謝致します
アル: ありがとうございました
フンディン: *ギロリ*
フンディン: *スキールニルとエルドリックをにらむ*
エル: あわわ
スキールニル : ん?
スキールニル : どうかしたのかエル
フンディン: では失礼いたします
*フンディンは深く一礼すると、先に部屋を出た二人を追って書庫を立ち去った。
●ミスリルホールの夜は更けて…
*書庫の外。時刻は夕方になりつつある。謁見と調べ物でだいぶ時間は過ぎていたようだ。
フンディン: *はあー*
フンディン: お先に
フンディン: 部屋へ戻っていてください
フンディン: 私はアシモどのにご挨拶をしてきます
アル: はいよ
エル: ほい
*一行はフンディンを残して部屋のある階層へと戻っていった。
フンディン: 失礼します
フンディン: お尋ねしたいことが
*フンディンが衛兵にアシモの居場所を尋ねようとすると…
アシモ: フンディンどの
フンディン: おお
フンディン: アシモどの
アシモ: どうなりましたか
フンディン: よかった、ちょうどご挨拶に伺おうと思っていたところです
フンディン: おかげさまで
フンディン: 手がかりを得ることができました
アシモ: それはなにより
フンディン: しかし…
フンディン: その、大変申し上げにくいことなのですが…
アシモ: はい
フンディン: 私の連れめがまたとんだ粗相を
フンディン: 書記官どのもご立腹のようすでした…
アシモ: そうですか…
フンディン: どうかアシモどのの方からもひとつ
フンディン: フンディン・アイアンビアードは感謝しておりました、と
フンディン: 書記官どのにお伝え願えませんでしょうか
アシモ: 私はあなたまで、礼儀を知らぬ人でなかったことを神に感謝しておりました
フンディン: はっ、きょ、恐縮であります…
フンディン: 本当にもう…何度言っても聞かぬ者たちでありまして
アシモ: 書記官には私から伝えておきましょう
フンディン: よろしくお願いいたします
フンディン: *はあー*
アシモ: では、手かがりも得たようですし
フンディン: はい
アシモ: 出発なさるので?
フンディン: その、
フンディン: ご迷惑でなければ、今日はもう一晩こちらに滞在をさせて頂き支度を整えて
フンディン: 明日の朝、ブルーノー陛下にご挨拶をしてミラバールへと出立しようと考えています
アシモ: それがいいでしょう
フンディン: はっ、ありがたき幸せ
アシモ: あとで部屋にお届け物があります
フンディン: ?
アシモ: それと、今晩は私の部屋で語り合いませんか?
フンディン: おお
フンディン: それは願ってもないことです
アシモ: よかった
フンディン: このミスリルホールでの暮らしなど
フンディン: 伺いたいことがたくさんあります
アシモ: フェルバールは地上にも街があるそうですね。私も興味がありました。
アシモ: では後ほど部屋に参ります
フンディン: はっ
フンディン: それではひとまず失礼致します
アシモ: それでは
フンディン: はい
*一方その頃…
スキールニル : すごい場所だな
アル: そうだねぇ
スキールニル : あのブルーノーが執着したのもわかるな
*3人はミスリルホールを見学しつつ、部屋のある2層まで戻ってきた。そのまま食堂に向かい、エールを飲んで一息つく。
スキールニル : やっぱここはいいなあ
スキールニル : ミスリルホールでのこの一杯
スキールニル : わすれられないなあ
アル: だねぇ
*と、アルが席を立つ。
エル: どこいくんだい
アル: 飯
*食事を注文しに行くのだろう。この時間、給仕はまだ調理場のほうにいた。
エル: おれもー
スキールニル : 戦利品売ってくるかな
*二人も席を立つ。スキールニルは戦利品を売りに食堂から出て行った。
アル: 頼むね
*双子はそのまま食事を取って、部屋へと戻る。部屋にはまだスキールニルもフンディンも戻っていなかった。二人はテーブルにつく。
エル: ふいー
エル: さすがに英雄は貫禄あるな
アル: ブルーノー王のことかい?
エル: フンディンには笑わしてもらった
エル: うん
アル: そうだねぇ
アル: スキールニルもあんな感じになるのかなぁ?
エル: なるといいな
アル: うんうん
エル: フンディンはちょっとタイプが違うな
エル: ちょっとてか、かなり
アル: かなりねぇ
*と、そこへフンディンが戻ってきた。双子は気にしなかったようだが、テーブルの上には袋がおいてある。
フンディン: 戻りました
フンディン: ??
*テーブルの袋が気になって、フンディンは中を見る。中には金貨が入っていた。
アル: お帰り
フンディン: なんです、このお金?
アル: さぁ?
フンディン: ま、まさか…
フンディン: 皆さん
フンディン: 目をつぶってください
フンディン: 私はとても悲しいです
アル: つむったよ
フンディン: いいですか
フンディン: このお金を盗ってきた人は
エル: うん
フンディン: 黙ったまま手を上げてください
*反応なし…
スキールニル : アホか
*いつの間にか戻ってきてドアのところで様子を見ていたスキールニルがつぶやく。
アル: *殴る*
フンディン: いたい!
スキールニル : 盗んだんならこんなところ置くかよ
フンディン: 何をするんですか
フンディン: …
アル: お前が信じてないからだよ
フンディン: そういうわけではありません
スキールニル : 信じなくてもいいからもう少し頭を働かせてくれ頼むから
フンディン: 問題なのは悪いことだと思わずに
フンディン: 悪いことをしているということなのですから
フンディン: 皆さんが悪いことをする人だとは思いません
スキールニル : おい俺たち馬鹿にされてるぞ?
フンディン: この金貨
フンディン: 持ってきたのは誰なのです?
アル: まぁ俺はもう殴っちゃったから
スキールニル : あほらしい
スキールニル : もう一杯やってくるよ
*スキールニルは部屋を出て行った。
アル: ほいよ
フンディン: ・・・・・・
フンディン: 困りましたね
エル: 酒飲みに行こうか
フンディン: 本当にこの金貨
フンディン: どうしたのです?
エル: 兄者
アル: 俺も行くよ
アル: アシモさんにでも聞くんだね
フンディン: ・・・・
*双子も部屋から出て行った…。ちょうど、入り口でアシモとすれ違う。
アル: こんばんは
アシモ : こんばんわ
アル: ちょっと夕食に行ってきます
アル: フンディンなら部屋におりますので
アル: では
*双子はさっさと行ってしまった…
アシモ: こんばんは
フンディン: おお、アシモどの
アシモ: 何かありましたか?
フンディン: その、
フンディン: ひとつ伺いたいのですが
アシモ: ええ
フンディン: この金貨
フンディン: アシモどのは何かお心当たりは…
アシモ: それは陛下が、旅の路銀にと届けさせたものでしょう
フンディン: !!
フンディン: そ、そうでしたか…
フンディン: はっ!
フンディン: こ、これはまた
フンディン: とんだお心遣いを
フンディン: ご厚意痛み入ります
アシモ: 遠慮なくお納めを
アシモ: ところで食事などどうですか
フンディン: は、はい
フンディン: 是非
フンディン: ご一緒しましょう
アシモ: ええ
アシモ: 行きましょう
*一方その頃食堂では…
スキールニル : まったく困ったやつもいたもんだ
エル: ミスリルホールの英雄と、未来の英雄に乾杯!
アル: 美味いなぁ
アル: ふぅ…
スキールニル : パイがうまい
エル: 焼肉も悪くない
アル: 俺は焼き肉専門!
スキールニル : へえ
スキールニル : ちょっとくれ焼肉
*スキールニルはアルの皿から焼肉を一切れ奪う。
スキールニル : お
スキールニル : うまい
アル: あっ…まぁいいか(笑う)
*フンディンとアシモも食堂へとやってきた。3人とは別のテーブルにつく。
フンディン: ふう
アシモ: では注文を
フンディン: はい
フンディン: 女将どの
*フンディンたちが来ると、アルは席を立った。
アル: 俺は部屋に戻るよ
*注文しているフンディンたちを横目に、アルは食堂を出て行った。
スキールニル : なんか変だなあいつ
スキールニル : いつもより食欲がないんじゃないか?
エル: 大丈夫
スキールニル : そうかな
スキールニル : お前がそういうんならそうなんだろうな
スキールニル : それじゃ俺も戻ろう
*スキールニルもアルを追って部屋を出る。一人残ったエルはジョッキを持ったままフンディンたちのテーブルへやってきた。
エル: やあやあアシモどの
フンディン: …
エル: ご機嫌麗しゅう
フンディン: エルドリックさん
エル: うん
フンディン: 酔っていらっしゃるのですか?
エル: いいや、君じゃあるまいし
フンディン: …
フンディン: ともかく乾杯と致しましょう
アシモ: はい
アシモ: では、我々の出会いに
フンディン: そしてミスリルホールとブルーノー王の御世の永久なる繁栄を願って
アシモ: 乾杯
*3人がジョッキをかかげている頃、部屋に戻ったアルを追ってスキールニルも部屋に戻っていた。
アル: お帰り
アル: 早かったね
スキールニル : いつもより食欲がないんじゃないのか?
アル: そう…かもね
スキールニル : なんかあったのか?
アル: いや、フンディンに疑われたのがショックだったなんて言えないよ
スキールニル : ああ・・・
アル: 言ってるけど…
スキールニル : あいつはホラ
スキールニル : なんていうかな
スキールニル : そう、馬鹿なんだ
アル: 馬鹿だから…信じてくれてると思ってた…
スキールニル : あいつが信じてるものなんてあるのかねそもそも
スキールニル : 奇麗事ばかり言ってるけどな
アル: うん
スキールニル : だけどホラ
スキールニル : 気にしてたら疲れるだろ
アル: 綺麗事って本人は意識してないだろうけどね
スキールニル : 親の顔が見てみたいもんだね
アル: 何度か見てるけどね(笑う)
*さて食堂では、ひとまず乾杯したものの、なんとなく居心地が悪いエル。
フンディン: ふう
エル: それじゃ俺もそろそろ戻るよ
フンディン: はい
フンディン: 明日は
フンディン: 朝ブルーノー王にご挨拶をして
フンディン: それから出発です
エル: うん
フンディン: 支度は早めに整えて置いてくださいね
エル: そいじゃ、アシモどの、おやすみ
*エルは食堂を出ると、気分を変えようと歌を歌いながら部屋へと戻ってきた。部屋にはスキールニルとアルがいる。
スキールニル : おーい下品な歌やめろよ
スキールニル : 俺も歌っちゃうぞ!
エル: 子豚の歌のがいいかい?
スキールニル : いやなんでもいいな
アル: 子豚の歌、いいね
エル: 可愛らしい子豚
スキールニル : 下手だけど俺も歌っちゃうぞ!
エル: 名前はフンディン
*いまにして思えば、まるで未来を予見しているかのようなセリフだ(笑)
アル: 歌っちゃえ〜
*歌を歌って盛り上がる3人。フンディンとアシモはその頃?
フンディン: まったくあの人たちと来たら…クドクド…
フンディン: アシモどのには本当にお恥ずかしい限りです
フンディン: あれで本当に大人とは思えません
フンディン: *クドクド
アシモ: 礼儀を知らない人が多すぎてクドクド
フンディン: 本当にまったくこちらの気苦労というものも考えて欲しいものですいったいどのような教えをこれまでに受けてきたのか…(以下略
アシモ: まったく若者はみな無作法だと思われてしまうのは私には耐えられませんよしかし(以下略)
*(笑)
スキールニル : いやーいつもながら
スキールニル : アルとエルの歌はすかっとするなあ
エル: アシモ殿の金貨はどうする
エル: フンディンに預けとくか
スキールニル : この金貨はアシモがくれたのか?
アル: そうなの?
エル: うん
スキールニル : そんなことだろうと思ってたよ
スキールニル : だったら山分けにしてしまおう
アル: おいときなよ
アル: また変な言いがかり付けられるのは嫌だ
スキールニル : おいといたほうがいいのか
スキールニル : まあそういうこともあるか
スキールニル : ヤツには悪気ってもんがないのがな
スキールニル : それがかえって人を傷つけることもあるんだが
アル: そうなんだよねぇ…
スキールニル : 俺に言えた義理じゃないかもしれないけどな
スキールニル : 飯も食ったし飲んだし
スキールニル : あとは素振りして寝るかな
アル: もう夜中だね
エル: 明日ははやいらしい
スキールニル : 昨日サボっちまったから
アル: じゃ先に寝るよ
スキールニル : 今日は少し多めに振ろう
アル: ほどほどにね
エル: 王様に挨拶したらすぐ出かけるってよ
アル: はいよ
エル: 準備はしてから寝たほうが良いな
スキールニル : ほう・・・そう・・・か! てい!
*フンディンを待たずに、3人は眠りについた。
●さらばホールよ
アル: ふわぁ
スキールニル : ふー
アル: あれ?
スキールニル : 眠いけど素振りだ!
アル: フンディンは?
*フンディンは部屋にいない。戻ってきた様子もない。
スキールニル : 珍しく酔いつぶれたかな
エル: もう起きて何かしてるのかな
スキールニル : 珍しくはないか
スキールニル : 飲むのが珍しいけど必ずつぶれる
エル: ・・・探しに行くか
アル: 頼むよ
アル: 俺は飯喰ってくる
スキールニル : 俺も飯
エル: 酔いつぶれたなら食堂にいるかも
スキールニル : たぶんいるよ
*と、部屋を出たところで、ふらふらと歩いてくるフンディンを発見。
エル: お
フンディン: はれ?
エル: おはよう
フンディン: えるどりっくしゃん
フンディン: おひゃようごじゃいましゅ
フンディン: *ヒック*
エル: ???
エル: おいおい
エル: もしかして今まで飲んでたとか言わないよな
フンディン: むにゃ…
*結局、アシモの部屋に場所をかえて朝まで飲み明かしたらしい…
エル: おおーい
フンディン: にゃ、にゃんです?
フンディン: どならないでくださいよ!
スキールニル : ?
エル: 我らが英雄殿が
フンディン: はれ?
エル: すごく酒臭いんだ
フンディン: みなさんこんなところで
フンディン: にゃーにやってるんです?!
アル: うわ、ホントだ
アル: 最悪
フンディン: *ヒック*
スキールニル : まあいいか
フンディン: むにゃ…
アル: 出発は1日延期か?
スキールニル : しばらく寝かしとこう
エル: まあ、急いでる訳じゃないから
アル: 取り敢えず部屋まで引っ張ろう
フンディン: うーんうーん
エル: よいしょっと
スキールニル : よしベッドに放り込め
*フンディンを部屋まで運び、ベットに寝かせた。
アル: ふう
フンディン: むにゃ…
*仕方ないので、フンディンの様子をみることにした一行。やがて昼になった。
スキールニル : やれやれ
フンディン: うーん…
アル: もうお昼か
フンディン: イタタタ・・
フンディン: あ、あれ?
アル: おや、起きたみたいだね
フンディン: 皆さんここでなにを?
フンディン: いたた…
フンディン: スキーニー
フンディン: スキニー
スキールニル : なんだ英雄殿
フンディン: いま何時だい?
エル: 昼過ぎだよ
スキールニル : 昼時
フンディン: えっ?!
フンディン: あ、いたたた…
フンディン: 急に大声出すから…
フンディン: がんがん響く…
エル: もうミラバールについたところだ
フンディン: ええ?!
エル: しかしフンディンには驚かされたな
フンディン: き、記憶がない…
フンディン: ???
エル: ブルーノー王に喧嘩売るとは
エル: 見直したぜ!
フンディン: ええっ?!!
フンディン: しょ、しょんな…
フンディン: あああ、わたしはなんということを…
スキールニル : (本気にしてるぞあいつ
フンディン: いたた…
エル: 今度そのツラみせたら首を引きちぎるまで言わせたもんな
フンディン: !!!!!
フンディン: うう
フンディン: ふう…
フンディン: *ズキズキ*
フンディン: なんだか
フンディン: 本当にまったく記憶がないのですが
スキールニル : 少し昼寝して訓練続けようかな
フンディン: ここはミラバールなのでしょうか…?
スキールニル : 訓練しなくても腹筋が鍛えられそうなくらい
アル: ………
スキールニル : 笑っちゃうよ
フンディン: ………
アル: はぁ…
フンディン: すぐに出発します!!
フンディン: あ、いたたたた
スキールニル : 今から?
フンディン: これ、以上、遅れては
フンディン: ぐぐ、頭が痛い…
アル: 無理すんなよ
スキールニル : そうだ
フンディン: 行きますよ!
フンディン: あいたたた
フンディン: 大声出すから…
スキールニル : お前引きずって歩くのはいやだぞ
フンディン: だ、だれが
フンディン: いたった
スキールニル : 酒がぬけてないから
フンディン: ちょっと頭がいたいだけでしゅよ
エル: 冷やすといいかもしれない
エル: 兄者は氷の呪文は使えないのだっけ
アル: 無理無理
フンディン: 支度を整えて
フンディン: ご挨拶にいきましょう
エル: ・・・首ちぎられるぞ
フンディン: あいたたた…
スキールニル : 酒臭いままで行く気なら
スキールニル : 一人で行けよ
フンディン: にもつをまとめ
フンディン: て
フンディン: 誰がしゃけ臭いのさ!
フンディン: あいたたた…
フンディン: うーん…買出しを…してきま…す
アル: はぁ…
*フンディンはアシモの弟、マシモの店までやってきた。
フンディン: すみません、、、、
フンディン: ご主人
フンディン: いや、マシモどの
フンディン: 酔い覚ましの薬…のようなものは…
フンディン: 置いてはいないのでしょうか?
マシモ : うーん…
マシモ: 効くのがありますが
フンディン: ほ、本当ですか?!
フンディン: あ、いたたた…
マシモ: ええ、あまりお奨めしませんが
マシモ: 朝、兄も飲んでいました
フンディン: な、なぜです?
フンディン: お勧めしないとは
マシモ: なんというかその
マシモ: 殺人的というか
マシモ: そんな味なのです
フンディン: ??
フンディン: こ、この頭痛が何とかなれば…
フンディン: 味など
フンディン: 構いません
マシモ: いいのですか?
フンディン: いたたた…
フンディン: ええ、ぜひ
フンディン: おいくらでしょう
マシモ: では、これを。5GPです
*フンディンは金を払い、奇妙な色の泡立つ液体を渡された。
フンディン: これですね
フンディン: きゅぽっ
フンディン: ……
*フンディンは一気に飲み干す…。とんでもなく不味い!不味いっていうか痛い!
フンディン: うーん…
フンディン: ひ、ひどい味だった…
マシモ: でも、よくなったでしょう?
フンディン: あっ!
フンディン: 頭が痛くない!
フンディン: ありがとうございました!
マシモ: 兄に頼まれて今朝作ったのですが、余分に作っておいてよかった
フンディン: 助かりました
フンディン: これで無事旅立てます
*フンディンは部屋に戻る。
アル: お帰り
アル: 具合はどうだい?
フンディン: はい
フンディン: おかげさまですっかりよくなりました
アル: そりゃよかった
フンディン: (まだ口の中に苦味が残っているけど…
*フンディンがまともになったので、一行はもらった金や戦利品の分配、食料の補給など旅の準備を済ませる。
フンディン: 支度が済んだら
フンディン: ブルーノー王へご挨拶に行きましょう
アル: ご挨拶ってもう四時だぜ
アル: 出発するには遅すぎる
エル: 今日は酒飲んでゆっくり休もうか
フンディン: 今日出発です!
フンディン: 昨日そう決めたんですから!
アル: はいはい…
スキールニル : だったら何で決めたとおりにおきてこないんだ
アル: それを遅らせたのはフンディンだけどな
エル: 起きてたよ
エル: いや、寝てなかったと言うべきか
スキールニル : あーそうだったな
*仲間の文句はとりあえず無視して、フンディンは謁見の間に向かったのだが…
フンディン: 失礼します
ミスリルホールの戦士: 何用か?
フンディン: フェルバール城砦より参ったフンディン・アイアンビアードとその一行です
フンディン: 出立にあたりブルーノー王にご挨拶をと思い
フンディン: お目通りを願えますでしょうか
スキールニル : 会ってくれるもんなのかそもそも
ミスリルホールの戦士: 今日はすでに謁見は無理だ
フンディン: そ、そうですか…
スキールニル : じゃあ出発
*スキールニルとアルはさっさと歩いて行ってしまった…
フンディン: ……*はあー*
フンディン: 仕方ありません…
フンディン: 明日の朝発ちましょう…
エル: え?
フンディン: 礼を失するわけにはいきません
エル: いや、まあいいけどさ
エル: フンディン
フンディン: ?
フンディン: なんです?
エル: 兄者がドキドキしてる
エル: もう出発しちゃったのかも
フンディン: えっ?
フンディン: ……
*確かに、スキールニルとアルはいない…。部屋に戻ってみても、そこにはいないようだ。
フンディン: それじゃ少し待っていて下さい
フンディン: 置手紙を残していきます
フンディン: 「このような形でお別れのご挨拶をする間も無く旅立たねばならないことを心苦しく思っております。」
アル: @イライライライライラ@
*スキールニルとアルはミスリルホールの門まで来ていた。なかなか来ないフンディンとエルを待っている…
フンディン: 「これも私の不徳の致すところであります」
エル: やはり出発してるようだ
フンディン: 「拝見を許されたミスリルホールの記憶により、手がかりはミラバールにあることがわかりました。私達はそこへ向かおうと思います。」
エル: 随分イライラしてるとこ見ると、待ちくたびれてるんじゃないかな
エル: 早くしなよ
フンディン: ちょ、ちょっと待ってください
エル: 「お世話になりました。またお会いしたいと思います」
エル: これでいいんだって
フンディン: 「この滞在は本当に楽しいものでした。これも偏に皆様の暖かいお心遣いのおかげです」
フンディン: そうはいきませんよ
フンディン: 「また戻ってきた折にはご挨拶に伺おうと思います。願わくばその時には王の隣にドリッズトどのがおられますように。」
フンディン: 「オール・ファザーの祝福を、陛下とその御世に。 フェルバールはムンディン・アイアンビアードの息子フンディンとその仲間」
フンディン: 「追伸、アシモどの、昨晩は大変楽しいひとときを過ごさせていただきました。ぜひまたご一緒に杯を酌み交わしましょう。
フンディン: かしこ
フンディン: これでよし、と
エル: かしこ・・・ね
アル: @イライライライライラ@
フンディン: では
エル: うん
フンディン: あっ
フンディン: ちょっと水を買ってきます
フンディン: さっきの薬の味を取るために
フンディン: いくつか飲んでしまって…
エル: ・・・先行くぜ
*仲間たちは入ってきた東門で待っていた。
アル: あ〜もう!
スキールニル : 落ち着け
*フンディンがようやく姿を見せた。合流した一行がいざ出発というところでアシモが奥の詰め所からやってくる。東門はアシモが担当している場所だ。
フンディン: あっ
フンディン: アシモどの
アシモ: フンディンどの
アシモ: アドバールに戻られるのですか
フンディン: その、昨晩は大変な失礼を致しました
フンディン: おかげさまで
アシモ: いえ、とても楽しかった
フンディン: とても楽しいひと時を過ごせました
アシモ: こちらこそ
フンディン: 本当は陛下にもご挨拶をと思ったのですが
フンディン: なにぶんこのような時分
フンディン: お目どおりも敵わずこうして礼を失することとなってしまいました
アシモ: 陛下にお会いになるのは難しいし、そのためにあなた達の足止めをすることを陛下は望まないでしょう
フンディン: はい…
フンディン: それで、
フンディン: これより私たちはミラバールへ向かおうと考えています
アシモ: おや、ミラバールに向かうなら、こちらではありませんよ
フンディン: !
エル: あら
スキールニル : なにー!
アシモ: こちらはアドバール、東方面の出口です
アシモ: ミラバールは遥か西
フンディン: そうすると西の出口は
フンディン: どちらに当たりますでしょうか?
アシモ: 案内しましょう。見送りも兼ねて
フンディン: おお、かたじけない
アシモ: 行きましょう
*アシモは一行を案内して、西門までやってきた。
アシモ: こちらです
フンディン: ありがとうございます
アル: お達者で
アシモ: お気をつけて
フンディン: 本当にお心遣い痛み入ります
フンディン: それではこれにて
アシモ: あなた達の目的が無事、果たされることを願っています
フンディン: ありがとうございます
スキールニル : さらばホールよ
フンディン: では!
*手を振るアシモに見送られ、一行はミスリルホールを後にした。かなりバタバタした出発のせいで、一行はこの後困った事になるのだが…ともかく、たった一つのわずかなてかがり”バーミル・スラルレオ”という名の商人だけを頼りにミラバールへと向かうのであった…。