サヴェッジ・フロンティアDR1235
第三章 北へ
「北への旅立ち」
●ネザー山脈へ
サンダバールに出発する一行は、まずカヴァードホーム東門に集合する。
ダーマン: とりあえずは東門からターンストーンパスに乗らないと
ウルテン: ふむ
イノーラ: ターンストーンパス?
グロック: ちょっとかいわすれたものある
グロック: かってきていいか
ダーマン: ネザー山脈を抜ける道ですね
ハンベイ: いまのうちか……
ダーマン: 時間が余りないですから急いで下さい
グロック: かってくるよ
ウルテン: それじゃ、俺も
ウルテン: 包帯は買っておいたほうがよさそうだ
ダーマン: ああ鎧と盾が重い…
ハンベイ: とはいえ、着ないわけにもいくまい?
ダーマン: そうですが…これでネザー山脈を越えるなど馬鹿げてる気がします
イノーラ: 雪に埋まりそうだな
イノーラ: 山のほうは積もってるだろうし
ウルテン: こんなものでいいかな
ハンベイ: こっちは凍死しそうだがな
ウルテン: ん、グロックがまだか
グロック: おわった
イノーラ: ようやく出発できるな
ダーマン: 行きましょうか
一行は東門を出て、旅立った。
ウルテン: そういえば…
ウルテン: どこかで馬を調達するべきだっただろうか
グロック: だいじょうぶ、おれもうまいない
グロック: にくになった
ダーマン: ああ、そういえば
ウルテン: 肉に??
ウルテン: ふーむ
グロック: おーくがころした
ウルテン: ああ、なるほど
ダーマン: 戦闘で死亡したんで食べちゃったんですよ
グロック: にくはうまかった
グロック: うるてん、ひろうまえかな
イノーラ: 前だな
グロック: うるてんもくったはずだ
ウルテン: ん…そうだったかな?
ウルテン: あまり覚えていないよ
グロック: あのときは、いしきもうろー
グロック: おぼえてないのもとうぜんだ
ウルテン: ああ、道理で
ダーマン: 先の事を考えると馬より徒歩のほうが良いかも知れませんねえ
ウルテン: ええと
ウルテン: まずはネイル川に向かうのか
ウルテン: ともかく
ウルテン: 川に突き当たるまで進むんだね
ハンベイ: そうなるか
●ネザー山脈南側
特に遭遇もなく、一行はネイル周辺までやってきた。
グロック: このへんだったか
グロック: うるてんうまってたのって
イノーラ: そういえばそうだな
ハンベイ: どっちが上流だ?
ウルテン: そうだったのか…
グロック: うん
ダーマン: 妙な縁ですね
グロック: ゆびもげなくて、よかった
ウルテン: …
ウルテン: あれ?
ウルテン: ちょっと待った
グロック: ?
ウルテン: このままネイル川に沿って進んでも良いけど
ウルテン: 東側から山にはいったほうが
ウルテン: 早いんじゃあないのかい?
グロック: じゃあそっちいこう
ダーマン: ふうむ
ウルテン: グロックは前に南に来たときに通ってこなかったのかい?
グロック: まっすぐここきたわけじゃない
イノーラ: もうこの辺にオークはいないのかな?
ウルテン: ああ、なるほど
ウルテン: でもなんで怒るんだい??
グロック: ・・・
ウルテン: ?
ダーマン: 前にあったのは捜索隊ですからあまりいないでしょう
ウルテン: あっ!
ウルテン: 言ってる側からこれだ
山をうろついているオークの集団と遭遇。
そのまま戦闘に入るが、特に問題なく勝利。
ウルテン: これ
ウルテン: いちおう始末しておいたほうがいいんじゃあないかな
ダーマン: どうあってものんびりした道行きにならないのですねえ
イノーラ: たまには景色を楽しみたいものだ
ウルテン: ん
ウルテン: 縄張りにはいってしまったようだ
狼の集団に遭遇。撃退する。
ウルテン: なんとか追い払えたら良かったんだけど…
ウルテン: ここから上れそうだ
そうこう進んでいると……。
グロック: かわだ
ウルテン: (この辺りは…)
ウルテンには見覚えのある景色である。
アルテンと最後に別れた場所だ。
ウルテンは何か手がかりになるものがないかと、周囲を調べてまわるが、何も痕跡は残っていなかった。
ハンベイ: どうした?
グロック: ここでうまるか?
ウルテン: うまる??
グロック: うん
グロック: うまるのきらいか
ウルテン: 凍えてしまうよ
ダーマン: あまりぞっとしませんね
ウルテン: それはさておき、
ウルテン: ターンストーンパスは
ウルテン: ノールの氏族が住み着いているから
ウルテン: あまり夜は入らない方がいいかも知れない
ウルテン: 彼らは夜行性だからね
イノーラ: じゃあ、今夜はこの辺で寝るのか
ウルテン: ひとまずここで野営して
ウルテン: 明日、明るいうちに超えた方がいいと思う
ダーマン: 敵に有利な条件で行く必要はないですね
グロック: ここでへいきか
グロック: かまくらつくるか
ウルテン: かまくら??
ダーマン: 時間に余裕があれば是非そうしたいですね
グロック: ゆきをつみあげた、てんとみたいなやつ
イノーラ: できれば平らなところで寝たかったな・・・
ダーマン: 雪で作る天蓋です
ハンベイ: 風が避けられるだけでもずいぶん違うからな
ウルテン: ああ、なるほど
一行は野営の準備を進める。
グロック: ひがしのくにのことばだ
ウルテン: グロックは意外と物知りなんだね
グロック: おれすごいあたまいいよ
グロック: おーくはみんなばか
イノーラ: 少し寝るかな
ダーマン: 気のせいか、ウルテンさんを介抱した場所と似てる気がします
ウルテン: …
グロック: ここで
グロック: ここじゃないけど
グロック: うまをくった
ウルテン: うまかったかい?
グロック: いいうまだったけど、たんめいだった
グロック: にくにできてまだよかった
ウルテン: しずかだな
ダーマン: さて、とりあえず休息は取れましたから私が見張り変わりましょう
グロック: てきにきづくのが、らくだろ
ハンベイ: 早々騒ぎばかり起きても困る
ウルテン: それじゃ少し休ませてもらおうかな
グロック: zzz
イノーラ: グロック、そこで寝るなよ
グロック: ん・・・
グロック: おれねてない
グロック: いしきなかっただけ
ダーマン: 火があるとはいえ、風邪を引きますよ
最初の見張りはダーマンとハンベイの二人である。
グロック: ・・・
グロック: zzz
ウルテン: …
しばらくして、ダーマンは何かの気配に気が付いた。
ダーマン: 狼が来ますよ!起きて
ダーマン: 東です!
ウルテン: ん
狼の集団が一行に襲い掛かってきた。
春のこの時期、肉食の野生動物たちは攻撃的である。
一行は武器を手に起き上がると、狼たちを追い払った。
ウルテン: いてて
イノーラ: またでかいのがきたな
ハンベイ: 大きいのがいたか
ウルテン: 火をたいているのに襲ってくるなんて
ウルテン: 何かに怯えていたのかな
ダーマン: そうですね
ウルテン: まだ二時間くらいか
イノーラ: 見張りをかわろう
ダーマン: お願いできますか
ウルテン: それじゃもう少し寝させてもらうよ
イノーラ: ハンベイは大丈夫なのか?
ハンベイ: じゃ、少し休む
イノーラが見張りに立ち、さらに数時間が経過した。
そろそろ空が白み始める時間になる。
ウルテン: ん…
ウルテン: そろそろ交替の時間かな
イノーラ: そろそろ夜が明けるな…
イノーラ: すまないけど、少し休みたいから誰か代わってくれないか?
ウルテン: それじゃ朝まで見張るよ
イノーラ: ありがとう
見張りをウルテンが交代してさらに数時間。
空はすっかり明るくなり、木々の長い影が一行の上にかぶさる。
ウルテン: すっかり明るくなった
一行は朝食を済ませて野営地を片付ける。
ダーマン: さあ、行きましょうか
そして再び、ターンストーンパスを目指すのであった。