サヴェッジ・フロンティアDR1235
第二章 カヴァードホームの戦い
「地下にあるもの」


●発動

深夜に牢屋で起こった出来事のため起され、その後も朝まで捜索していた一行。
早朝に宿に戻って皆そのまま眠ってしまい、起きた時は夜になっていた。

ダーマン: む…もう外が暗いな…
ダーマン: 下で何か食べよう

イノーラ: はぁ…
イノーラ: (夜中に起きたからかな、すごくだるい…

ダーマン: おやじさん、一応聞くけど…コーヒーある?

ヤドリギ亭 主人 : エッ、コーヒー?
ヤドリギ亭 主人 : ねえよ

ダーマン: いや、無いよね
ダーマン: じゃ、何か食べるものを

ウルテン: おはよう

ダーマン: もうすっかり遅いですけどね


他のメンバーたちも適当に一階へ下りて来て、テーブルに座り食事を取っていると、宿の入り口がゆっくりと開いた。
何気なくそちらを見たウルテンは驚いた。

ウルテン: !!?

ヤドリギ亭 主人 : わあ
ヤドリギ亭 主人 : な、ななななんだ

イノーラ: む…


それもそうである。
宿の入り口から入ってきたのは、スケルトンが三体であった。

ウルテン: あぶない、さがれ!

ヤドリギ亭 主人 : うちの客じゃねえぞ!

ハンベイ: あたりまえだ

ダーマン: 見りゃわかります

ヤドリギ亭 主人 : なんとかしてくれ


戦闘能力のない一般市民たちはイスを手に防御の構えである。
戦える一行と、近くにいた冒険者数人が武器を手に立ち上がる。
武器を部屋に置いてきた者は手近なものを棍棒代わりにした。
短い戦闘の後、スケルトンは全てばらばらになって床に散らばった。

イノーラ: (鎧…きてたほうがよかったのか

ダーマン: ふん

ヤドリギ亭 主人 : えーっと
ヤドリギ亭 主人 : これは?

ハンベイ: 骨だな

ダーマン: アンデッドですね

ヤドリギ亭 主人 : なに?
ヤドリギ亭 主人 : なんでうちに

ダーマン: このところ戦があるからこういう事もおきます


と、ダーマンは嘘をつく。

ダーマン: (ぼそ)やはりアレでしょうね…

ハンベイ: (悪い方向にいったらしいな

イノーラ: 外の様子は?

ウルテン: 被害は大丈夫かな?

ハンベイ: 外は?

ダーマン: 用心のために見回ってきます

イノーラ: ダーマン、鎧着てこなくていいのか


一行は外に出て、宿の周囲を見回す。

グロック: ほね、どこでよういした?

ウルテン: いまの連中、

ハンベイ: ドコから沸いたか


ウルテンか入り口の痕跡を調べていると、暗闇の中からスケルトンが走ってきた。

ウルテン: !
ウルテン: こいつら!


撃退する一行。
しかし一息つく間もなく、宿の中から再び騒ぎの声が上がった。

ウルテン: なか!?

宿の中に飛び込むと、さきほどのスケルトンが再び暴れている。
近くにいた冒険者たちも武器を取ってきており、一部の市民と共に戦っている。

ウルテン: どうなってるんだ?!

とりあえずスケルトンを倒す。

ハンベイ: 血の気の多いご老人だな

老人のNPCのAIを修正し忘れてて、普通に素手でスケルトンに殴りかかってしまっていた(笑)

ダーマン: こいつらどこから

冒険者 : よみがえったんだ
冒険者 : 骨を片付けていたら突然……
冒険者 : なにかへんだ。普通のアンデットじゃない

ダーマン: …

グロック: あいつをたおすしかないか?

ウルテン: !
ウルテン: ちょっと… 装備をとってくる

ダーマン: 骨は砕いて燃やしてしまって下さい

冒険者 : わかった。
冒険者 : みんな、素早く行動しろ


冒険者が仲間に声をかける。

ハンベイ: だれか司令部に連絡を

ダーマン: そうですね

冒険者 : いま何が起こってるのかわからんが
冒険者 : 一人で行くのはよくない。かといって我々はここを守らなくては……
冒険者 : 君たちで行ってくれないか

ウルテン: わかった

ハンベイ: あちこちで同じ状況なら、収拾するためにも動いてもらわねば

ダーマン: 戸口も少ないし、こもっていればある程度は安全でしょう
ダーマン: 私たちはホールへ


一行は持てる装備だけ取って、宿を出た。
市内には所々にスケルトンやゾンビが歩いていて、一般市民が襲われていたり、戦ったりしている。
守備兵も走り回っているが、手が足りていないらしく逃げ惑う市民もいる。
一行は市民を救助しながらシティホールを目指す。

グロック: ここあいてた?

ウルテン: あいてる?

ハンベイ: いや、しまってただろう

ダーマン: いや、ここは鍵までかかってました


というのは、先日、怪物を捜索していたときに最後に辿りついた地下への入り口である。
鉄格子が閉まっていたはずだが何故か開いている。

ウルテン: 何か関係があるのかな

ダーマン: 無いという方が不自然ですね

グロック: あのへんにがいこついたから
グロック: あやしいおもった

ハンベイ: あとはあそこで途切れていたしな


(痕跡が)途切れていた、の意。
一行がシティホールに到達して中に入ると、シティホールの中にまでアンデットが侵入している。

ダーマン: ここにまで

ウルテン: もしかして…
ウルテン: 内部撹乱が目的…?

ダーマン: おそらくは


作戦室に向かう途中に、クロウィンがいた。

クロウィン ケルベン: はあはあ
クロウィン ケルベン: なんだこいつらは

ダーマン: 町もこんな感じです

ウルテン: とつぜん町中に出たんだ

クロウィン ケルベン: 外もか…

グロック: これでなかから
グロック: もんがあいたら
グロック: どうする
グロック: おぐろくならかんがえるかも

クロウィン ケルベン: 誰か情報を持ってないか

ダーマン: 恐らく逃がしたアレと関係あるのでしょう

ウルテン: そういえば…
ウルテン: 南東の一角の、

ハンベイ: 宿屋近くの鉄格子だが、アレはどこに?

ダーマン: 例のあとのとぎれていたあたり、防風壁の扉が開いていました

クロウィン ケルベン: ん
クロウィン ケルベン: あれは地下への入り口だよ

ダーマン: 何があるんです?

クロウィン ケルベン: ここが要塞の遺跡なのは知ってると思うが
クロウィン ケルベン: 昔からあったんだ

ダーマン: 聞いた事はあるけど…

クロウィン ケルベン: 今は…
クロウィン ケルベン: あ……

ウルテン: ?

ダーマン: なん…です?

クロウィン ケルベン: 外に……墓を作るわけにはいかない。城壁までオークが来ているから
クロウィン ケルベン: だから地下を一時的に
クロウィン ケルベン: 墓所にしている

ハンベイ: ……なんてこった

ウルテン: !

ダーマン: なるほど。そこに死体があるのか

クロウィン ケルベン: そこか?

ウルテン: まずい、それじゃあこうしている間にも

クロウィン ケルベン: …くそっ、だとしたら
クロウィン ケルベン: このアンデットは……
クロウィン ケルベン: くそっ


街にいるアンデットはつまりかつて身内だった者たち、という事になる。
クロウィンはこれを仕組んだ者への暴言を心の中で叫んだ。

ダーマン: 増えてしまいますね

イノーラ: じゃあさっさと行こう

ダーマン: 急ぎましょう。各寺院にも連絡を

クロウィン ケルベン: なんてやつらだ

ウルテン: 急いで埋葬所へむかおう!

クロウィン ケルベン: 地下にいくのか?

ダーマン: もちろん

クロウィン ケルベン: じゃあ鍵を渡しておく
クロウィン ケルベン: 確かに地下が元凶の可能性はある。君たちにいってもらえば安心だな
クロウィン ケルベン: たのんだぞ


●臨時地下墓地

一行は鎧だけ取りに宿に戻ってから、地下への入り口までやってきた。
そして入り口を潜ろうとした時、街に警報が鳴り響く。
それはオーク軍の襲撃を告げていた。

ダーマン: ふうむ。まあ敵としては当然の選択か…

ウルテン: もともとこれを狙っていたのか

ダーマン: 外はそうそう負ける事もないでしょう。こちらを優先しましょう

イノーラ: そうだな


一行は地下に足を踏み入れる。
地下は真っ暗で灯りがなく、静まり返っている。

ウルテン: …
ウルテン: しずかだ


突然、遠くからガシャンと何かが倒れた音がする。

ウルテン: !?
ウルテン: いまのおとは…

イノーラ: 見てくるか?

ダーマン: ですね

ウルテン: !

イノーラ: ゾンビだ


気配もなく、ゾンビが階段の入り口まで来ていた。
一行はそれを撃退する。

ダーマン: しかし、想像していたより広い…

グロック: こんぼうほしいひと、いるか?
グロック: おれ13ほんもってる

ダーマン: それはまた…

ウルテン: どうしてそんなに・・・

グロック: がいこつもってたのかな

ハンベイ: このあいだ拾ってそのままだ

グロック: まきものかう

ダーマン: 厄介ですね。この分だと相当アンデッドがいる

ウルテン: どこかにこの事態を引き起こした奴がいるということかな

ダーマン: 慎重に探索しましょう

グロック: おれ、くものいと、くらやみ、このへんのまほうもつかえるけど
グロック: みんなこまるか
グロック: いまはおぼえてないけど

ダーマン: ゾンビは足が遅いですから接敵前に足止めとして使って下さい

ウルテン: ともかくあまりのんびりしている暇はないね
ウルテン: 上も心配だ

グロック: でもいまはおぼえてない

ウルテン: 先へ進もう


臨時地下墓地は予想通りアンデットが大量にいる。
そしてそれらは倒してもすぐに復活してしまうのだ。
むろん復活できないほどに破壊してしまうことも可能だが、時間がない事と、その作業のむごたらしさに一行は先に進むことを選択した。
臨時地下墓地は入り口の鍵では開かない扉があり、それらは別の部屋にあるレバーを操作する事で開く仕組みになっている。
恐らく、このキャンペーンでは初めてのダンジョンらしいダンジョンである(笑)

ダーマン: 他を回りましょう

また、墓のある部屋ではそれを調べることで、埋葬されている人がアンデット化していないかどうか分かる。
アンデット化していた場合は、当然戦う事になる。

グロック: つよいぞんびだ

ウルテン: いきなり飛び出した

ハンベイ: いいものもってるな、副葬品か?

ダーマン: 魔法の品です。詳細は不明ですが

ウルテン: あまり気は進まないけれど
ウルテン: とりあえず借りておこうかな

ダーマン: 本来は少々まずい事ですが、今は町の危機ですし大目に見てもらいましょう

ウルテン: のんびりしていられない
ウルテン: いこう

グロック: がいこついっぱいだな

ウルテン: いったいどうなってるんだ

そうこうして進むうちに、一行はリックが埋葬されている部屋までやってきた。

ダーマン: リックの遺体はここのはず

グロック: りっくひさしぶりだな

グロック: いのーら、りっくだよ


一行は恐る恐る墓を調べた。

ハンベイ: まだ無事のようだな

イノーラ: よかった
イノーラ: さすがに射掛けたくないからな

ダーマン: 大丈夫のようです


ひとまず安心した一行だが、のんびりしている暇はない。
さらに探索を続ける。

ウルテン: あとはここだけか
ウルテン: 鍵が壊されてる

ダーマン: そして下行きですか

ウルテン: どうやらこの下でまちがいなさそうだ

グロック: あたらしいまほうがつかえそうなきがする!
グロック: やすめるかな
グロック: おれ、ひがだせるようになった

イノーラ: ドラゴンみたいだな?

グロック: どらごんちょっとちがう
グロック: あしのおそいてきは、やくこともできる
グロック: どかーん!
グロック: むりにとつげきするな
グロック: にかいしかつかえないけど

ダーマン: なるほど。それなら待ちの戦術のほうが良いですね

グロック: にんげんとか、どわーふ、やいてもしかたない

ウルテン: いそごう
ウルテン: 時間を置くとそれだけこっちが不利だ

イノーラ: だな

一行はさらに下の階層へと進んだ。

●遺跡

一番下の階層は、それまでと明らかに様子が違っている。
通路の床から天井へ、熱もニオイもない様々な色をした灯りが柱のようになって通っている。
それらは等間隔であるわけでもなく、しかし無作為にあるという感じでもない。
また、光のかわりに煙のようなものが吹き出ている箇所もある。
こちらの煙も自然のものではない。

ウルテン: ?
ウルテン: なんだこれは?

ダーマン: あっちにはなにやら光が

イノーラ: 避けたほうがいいんじゃないか?

ダーマン: なんでしょうね…

グロック: さあ

ウルテン: ここはいったい
ウルテン: どういう場所なんだ?
ウルテン: ただのお墓の地下には見えないけれど

ダーマン: 元々遺跡ですからね

ウルテン: 遺跡?

グロック: なにかあるな

ハンベイ: そういう話もあったな、そうえば

ダーマン: ええ。丁度水だのの都合でここに町が出来てますが、元は遺跡です

ウルテン: なるほど、


一行は念のため光の柱は避けつつ、進んでいく。

ダーマン: 魔法陣のあと

グロック: あるくのあぶないかもな

イノーラ: いかにもなぞめいた感じだな

ダーマン: こんな物作るとしたら、ここらなら普通エルフですが…

ウルテン: ここが遺跡だったとすると…

グロック: いまはあのまもの
グロック: たおすんだ
グロック: あとで、しらべろ

ウルテン: 例の生き物は
ウルテン: ここで何かをして、死者をよみがえらせたということかな

ダーマン: ん?

ウルテン: ここにも魔方陣だ

イノーラ: 行き止まり


部屋の中は今で言う神殿のような作りになっていて、魔法陣を描いた跡などある。
北側の壁に水を溜めて作った水場がある。
ウルテンが覗き込むと、水の底で壁に穴が開いていて、壁の向こう側に行けそうだ。
水中の穴を塞いでいたらしい鉄格子は外れて沈んでいる。

ウルテン: あっちへ行けそうだ

イノーラ: 潜るのか? 鎧で?

ダーマン: 向こう側にいけますね

ウルテン: 深さはそれほどなさそうだから、脱いで持っていけば大丈夫じゃあないかな

ダーマン: 深さはないですが…足取られると厄介かも

イノーラ: わかった、やればいいんだろ
イノーラ: 一人で戻るほうが大変そうだ

グロック: どうせいくんだ
グロック: みんないこう

イノーラ: (ため息


水中の穴は一人ずつしか通れそうにないので、一行は順番に通る事にする。

ウルテン: それじゃ最初にいくよ

ハンベイ: 次で

ダーマン: 夜目の利く人間か、明かりのある人間で

グロック: どわーふ、めがみえる

ダーマン: じゃ、3番で

イノーラ: 最後、だな

ウルテン: それじゃおさきに

ダーマン: さすがに盾は背中にくくらないとダメか
ダーマン: …亀みたいだな

イノーラ: マントはしまわないと

ハンベイ: いたしかたあるまい


水中を潜って反対側に出たウルテン。
その彼を何者かが襲う!

ウルテン: !
ウルテン: こいつか?!


武器を抜いて戦うウルテン。
その間にも一人ずつ仲間がこちら側に抜けてきて加勢する。
全員揃った所で、一行は骨で出来たガーゴイルのような怪物を倒した。

ウルテン: グロック、
ウルテン: こいつか?
ウルテン: きみが遭遇したのは

ダーマン: 大きさとしては丁度ですが…

グロック: しらべよう

骨の山となった怪物の死体(?)を調べてみると、黒水晶の破片のようなものが出てきた。

イノーラ: まだ先があるな

イノーラの言葉で一行は一本道の通路を進む。
通路は徐々に上へ向かっている。

ウルテン: 風だ
ウルテン: 外・・・かな?

ダーマン: 傾斜してますか?

ウルテン: 少し上っているようだけど

ハンベイ: みたいだな

イノーラ: 上に出れそうだな

ダーマン: 地表からどのくらいでしょう?

ウルテン: もうすぐ地上に出そうだ
ウルテン: 感じる

グロック: 今の破片
グロック: だれかもってるか

ウルテン: もっていないよ

ハンベイ: これか?


ハンベイはさきほど拾った破片を取り出した。
グロックが何か思い出したようだ。

ダーマン: これが核になる物ですかね?

グロック: むむむ
グロック: もうじゃを、うみだす、まほうのしなだな

ダーマン: ふうむ

グロック: はへんだから、ちからは、よわいぞ
グロック: おれのせんせい、いってたな
グロック: ほっぽうのいせき、みつかることあるしなだけど
グロック: しょうたいわからない

ウルテン: こわしておいたほうがいいのかな
ウルテン: それとも占術でなにかわかるだろうか?

グロック: いちおうもっていこう

ウルテン: いそごう、地上が心配だ

ダーマン: ええ


●将軍アーガイル

ウルテン: 鬨の声?

地上に出た一行はあたりを見回した。
北のほうから戦闘の声や音が聞こえてくる。
どうやら小さな丘の斜面の、空洞化した木のウロが地下通路に繋がっていたようだ。(実際には通路の上に木が生えたのだろうが)

ウルテン: っと…!

ウルテンが顔を出すと、丘の反対側にオーク軍の陣が見える。
その前方は戦場になっており、さらにその向こうにはカヴァードホームの城壁が見えた。
すなわち今いる場所は、カヴァードホームから南の丘で、カヴァードホーム南門を攻めている敵の後ろということだ。

グロック: オークならおれがやいてやる!

ダーマン: これは…まあ、今は好機か

グロック: ひのたまうつぞ!
グロック: おーくはころす

ダーマン: あとで何か対策を立てないといけないが…

グロック: あのいせき
グロック: つかわれるとまずいかも

ダーマン: ええ

ウルテン: 確かにいい侵入口だ

グロック: つうろせまいから、とおさなければなんとか

ダーマン: 最終手段としては崩してしまうと言う手もありますしね

イノーラ: それこそ火の玉でドーンとやればいい

ウルテン: 敵の虚をつけるなら
ウルテン: 一気に襲ってかくらんしよう

グロック: やるか


一行は丘を回りこむようにして敵の陣に近づく。
それから一気に見張りを倒す。
しかしその音に気が付いた重装備のオークがタワーシールドを構えて向かってきた。
他のオークも奇襲に気付いて弓を取りに走り回る。

ウルテン: このっ!


一気に損害を与えて逃げ出したいところだが、重装備オークは非常に防御が堅い。
なかなか決定打を与えられない。

ウルテン: くっ
ウルテン: はやいとここいつらを片付けないと


そのとき、一際身体の大きなオークが大型テントからのっそりと姿を現した。

アーガイル : さわがしいなぁ
アーガイル : おっ

ウルテン: まずい
ウルテン: なにかきたぞ!

ダーマン: ぁ、本物が

ハンベイ: 大物がいたか

アーガイル : こりゃあすげえ、どうやってここにきたんだ


今回の発端となった捕虜ハリムクが偽者にされていたアーガイル将軍の、本物のほうである。

ウルテン: くそっ、これじゃ逆効果だ

一行は全員、駆け出して丘を上がる。

アーガイル : おい、お前ら!楽しそうじゃねえか…ちょっとこっちに来いよ

ウルテン: なにか言ってるけど無視したほうがよさそうだ

アーガイル : 心配すんな、まわりの連中は近寄らせねえ

ハンベイ: あいにく手が離せないんでな、また今度にしてくれ

アーガイル : そうは行くかい、逃げるってんなら追いかけるぞ
アーガイル : あー


と、一行を追いかけようとしたところにグロックの「グリース」の呪文が発動。
アーガイルはそれに滑って転んでしまう。

ウルテン: にげよう

アーガイル : ちっ、正々堂々勝負しねえかってんだ


しかし一行は丘を登って木立の中に逃げ込んだ。

ウルテン: って、
ウルテン: こっちへきたらまずいんじゃあないのかい?
ウルテン: 位置がバレてしまうよ

グロック: かぎしめる
グロック: いずればれる
グロック: ちがうか?

イノーラ: そして崩す

ウルテン: これだけの遺跡を崩してしまうのはもったいないと思うんだけど…

イノーラ: 命より大事なもんなんてないさ


一行が木のウロの近くに身を潜めながら話し合っていると、アーガイルの大きな声が聞こえる。

アーガイル : おーい
アーガイル : あーあ……やっぱり駄目か。人間てやつらはホントになぁ…
アーガイル : 一言謝っておきたかったんだけどなァ……まぁしかたねえか。俺を見たらビビっちまうのは。

ウルテン: なにを言ってるんだろう、あいつは??
ウルテン: あやまる?

グロック: はやくもどろう
グロック: かぎもやぶられるかも、だけど
グロック: そだ
グロック: ちか、わなしかけよう
グロック: どうだ?

ウルテン: それはそれとして、ここから戻るよりも
ウルテン: 迂回して普通に地上からいったほうが早いんじゃあないか?

グロック: こうじょうせんの、さなかにか?

ダーマン: そちらの停戦の申し出を無視した非礼はわびる!しかし、死者の安息を汚すような手を使う輩に無礼をなじられるいわれはない!

ダーマンは叫んで答えた。

アーガイル : だからー それはー ちげーんだって
アーガイル : 俺の作戦じゃねえし、俺も知らなかったんだって!

ウルテン: …?

ハンベイ: 話だけでも聞いてみるか?

アーガイル : しかも俺のニセモノとか勝手に使いやがって

イノーラ: なんかあいつ、頭悪そうだな

グロック: しんじるのか、あいつ
グロック: まよってるじかん、ないぞ

ウルテン: ともかく戻ろう

アーガイル : 俺はホンモノだからな!あんなニセモノみたく弱くねーんだからな!
アーガイル : 覚えとけ!今度は間違えねえようにな!

ダーマン: いずれにせよ、この状況を利用して戦っている時点で同じではないか

ウルテン: はあ…

グロック: まだはなしてるなあ・・・
グロック: かぎ、まだしめられないじゃないか

ウルテン: 声で位置がばれないといいんだけど

アーガイル : うーん、そりゃあまぁそうだけど

グロック: たぶん、ばれてる
グロック: あいつたぶん、しょうめんから
グロック: やるのがすきだ
グロック: それだけ

ウルテン: ・・・

ダーマン: アーガイルよ、お前も部族を束ねる立場なら、そのことをよく考えるのだな。さらばだ

アーガイル : フホンイな戦いをしなきゃいけないのも将軍の務めなの!

グロック: めいよ、せいぎ、そんなのかんけーない

アーガイル : あー、くそっ。どこにいるんだよー

イノーラ: 駄々っ子かよ


なんとか声を頼りに一行を探すアーガイルが近寄ってきたので、見つかる前に一行は通路に逃げ込んだ。

アーガイル : 逃げられた!ちくしょう、今度は問答無用だぞ

怒って地団太を踏むアーガイル。
一行は通路の中で、通路が敵に発見されていないか確認するためしばらく留まったが見つかった気配はない。
通路の入り口を出来る限り通行できないようにしてから、街に帰還すべく遺跡の中へと戻っていった。


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