サヴェッジ・フロンティアDR1235
第二章 カヴァードホームの戦い
「カヴァードホーム」
●カヴァードホームの一行
"名も無き村"の人々がカヴァードホームに避難して数ヶ月が経った。
村人たちはそれぞれに新しい生活を始めているが、カヴァードホームもオークの脅威にさらされている事に変わりはない。
ある者は死んだ友人の仇を取るため傭兵団に入り、またある者は大切な人を守るために市民兵として戦っている。
戦いと逃避行の傷跡がまだ癒えぬ者もいる。
カヴァードホームは元々が開拓団の街である。
開拓団はそれぞれ、小さなグループの集まったものだ。
そのグループとは、流れ者であったり、住むところのない者であったり、開拓地に希望を抱く者であったり、逃亡者であったり、冒険者であったりする。
現在もカヴァードホームはこのグループを単位とした統治形態を取っており、市民はほとんどがグループを形成し代表者を選出している。
その代表者たちが議会を開いて、重要事項の決定を行っていた。
"村"からの逃避行でチームを組んでいた一行は、そのまま冒険者パーティーという形でこのグループの一つとなった。
リーダーとしてダーマンを選出し、現在はカヴァードホームのために働いて報酬を得ている。
任務のほとんどがオーク絡みである事にうんざりしつつも。
そして今日は珍しく、ダーマンだけでなく他のパーティーメンバーもシティホールの会議室に来ていた。
全員で来るように呼び出されたからだ。
かなり長い時間待たされて疲れ始めた頃、会議室の扉が開く。
クロウィン ケルベン: やあ
クロウィン ケルベン: すまない、待たせてしまって
現れたのはクロウィン=ケルベンである。
カヴァードホームの政治形態は、各グループリーダーは全員平等の権力を持っている事になっているが、クロウィンはその中でも実力と実績で一目置かれる存在になっている。
言ってしまえば、現在最もカヴァードホームのトップに近い存在と言えよう。
ダーマン: ダーマン=アマーディアス以下4名集合しています
クロウィン ケルベン: 今日は君たちのパーティーに頼みたいことがあって、来てもらったんだが
クロウィン ケルベン: いつも出ている偵察任務、今回は
クロウィン ケルベン: 少し遠出してもらいたいんだ
ダーマン: どこへでしょう?
クロウィン ケルベン: デリンビーア河を上って、ネイルの下流付近を探索してもらいたい
グロック: どこだ・・・・?
クロウィン ケルベン: いまここに
と言ってクロウィンは机上の地図を指差した。
クロウィン ケルベン: オークたちの配置図を作っているところなんだが
クロウィン ケルベン: ネイル下流付近がまだ空白でね
クロウィン ケルベン: 敵の部族がいるのかどうか、ほかに危険な生き物はいないか
クロウィン ケルベン: 一通り調べて欲しいんだ
グロック: おー
グロック: ちずのこのへんだな・・・たぶん
ダーマン: そうですね
クロウィン ケルベン: 東門から出て、北に向かえばいいから迷う事は無いと思う
ゲーム的に(笑)
クロウィン ケルベン: 報酬はいつもより多く出そう
グロック: なにをさがす?
クロウィン ケルベン: オークの部族が拠点を築いていた場合
クロウィン ケルベン: 君たちの判断に任せるが……無理はせず情報を持ち帰るのを優先してくれ
ダーマン: わかりました
イノーラ: わかった
クロウィン ケルベン: 今回は遠出になるので、
クロウィン ケルベン: 私から、馬をプレゼントするよ
イノーラ: 馬?
ダーマン: それはずいぶんと高額な報酬ですね
グロック: いざとなったら食べればいいぞ
イノーラ: それはいい使い道だな
ダーマン: まあ確かにそう言う例もありますが
グロック: ばさしくいたい
クロウィン ケルベン: 好きなものを取ってくれ
クロウィン ケルベン: 報酬の前払いと思ってくれていい
馬はHAKを使っていて、アイテムを使用すると出現するようになっている。
その召喚アイテムには馬の色など詳細も書かれている。
グロック: おれ、くろ
ダーマン: (ぼそ)金属鎧の上に今度は騎馬ですか
ハンベイ: (転職したほうがいいんじゃないのか?
クロウィン ケルベン: それと今回から、君たちを信用してカヴァードホームの鍵を渡そうと思う
クロウィン ケルベン: もちろん、重要なものだから気をつけてくれよ
ダーマン: お預かりします
クロウィン ケルベン: それじゃあ、頼む。
クロウィン ケルベン: ちょっとした手かがりも見逃さないようにな
ダーマン: 了解です
ダーマン: では行きましょうか
ハンベイ: うむ
という事で一行はシティホールを出て東門に向かう。
途中の厩で、選んだ馬を受領した。
この厩で馬の世話をしているのは、一緒に逃げてきたジグニードである。
一行はジグニードに馬の扱い方を(ゲーム的な意味で)教わると、偵察任務に出発した。
グロック: いいうまだ
グロック: くろきちとなづけるぞ
●ネイル
カヴァードホームを出発した一行は、馬のおかげもあってスピーディーに進み、目的のエリア付近までやってきた。
ハンベイ: 意外に近かったな
グロック: うまだからだ
ダーマン: 馬があると違いますね
春になって野生動物たちもちらほらと見受けられる中、一行が進んでいると突然オークの部隊と遭遇した。
以前に村で戦った相手は違い、しっかりとした装備を身につけており集団で行動している。
かなり手ごわい相手だったが、一行はなんとか撃退に成功する。
イノーラ: やはりいたか
グロック: くろきちしんだからにくにする・・・
しかも先に進むにつれてまた別の部隊とも遭遇する。
オーク達は複数の部隊に分かれてこの地域内をウロウロしているようだ。
手ごわい相手に、一行はかなり疲弊した。
イノーラ: それで、まだ進むか?
ダーマン: 一度ある程度戻って態勢を建て直しますか
ダーマン: 馬逃げちゃったし
イノーラ: わかった
グロック: どっちにしてもかねない
ダーマン: ふうむ
ダーマン: じゃあ、仕方ない。無理でも続けるか、事情を話して別の隊に任せるか、ですね
ハンベイ: そうだな
グロック: おーくころす
ダーマン: 他に意見は?
ダーマン: なければ任務を続けます
ハンベイ: 交戦は避けて行くだけ行って逃げ帰るくらいしか手がなさそうだが
ダーマン: そうですね
グロック: ・・・
ダーマン: 可能な限り戦闘は避けましょう。先の騒ぎで敵が集まってない事を祈りましょうか
イノーラ: …グロック、こっちに乗るか?
イノーラ: 私は歩いてもいいんだけど
馬のこと。
戦闘中、馬が逃げてしまったり死んでしまったりしている。
グロック: (何か考えている
グロック: たたかわないか・・・
グロック: じゃあ・・・
ダーマン: 戦わないと言うより戦えない、ですね
ダーマン: 以前戦った連中よりも数段上の敵ですから
グロック: じゃいこう
ダーマン: 考えてみたらこの辺も調査対象なんですかねえ?
一行は川に沿って移動しつつ、周囲を調査する。
グロック: おーつめたい
グロック: はいる、しぬ
入る(川に)
どのくらいの寒さなのかはイメージするしかないが、凍った池があったりするから落ちたら死ぬほどなのかも。
ダーマン: 凍り付いた魚が…
ダーマン: 何かがいたと言う事でしょうかね
川岸に魚が落ちているのを発見。
グロック: おー
グロック: くまだ!
イノーラ: 食えるな
グロック: みぎてがうまいんだぞ
ダーマン: さっきの魚もクマかな?
一行はさらに川の上流へ向かう。
グロック: ふうむ
グロック: いるぞおーくが
イノーラ: 北だな
グロック: ころす?
ダーマン: やめておきましょう
ハンベイ: 数しだいだな
グロック: つかまえる、なにしてるかきく
グロック: だめか?
ダーマン: 何か生け捕る手があればそれも良いですが
敵を殺さずに生け捕りにする、という場面はTRPGなんかで良くある事だが、NWNには"手加減モード"みたいなものがない。
行動不能にする呪文などで動けなくしたあとに「生け捕りにした」という事にする等の工夫が必要である。
今回は敵に止めを刺した人物がWISで判定し、成功したら"殺してない"という事にする。
グロック: あ
グロック: こおった
という事でスタートした戦闘だったが、グロックが呪文で止めを刺してしまった。
ダーマン: うーん?これはダメか?
ダーマン: 顔に霜降りてる
グロック: かちこちだ
冷気の光線を放つ呪文なので"殺してない"事にするのもありか?
と考えたりもしたが、手加減できてないという事で失敗にした。
グロック: すべるな
さらに調査を続ける一行だが……
ハンベイ: ん?
イノーラ: …あっちに
イノーラ: 死体があるな
ダーマン: どこです?
グロック: りっく・・・
グロック: のようにみえた
一行は川岸に倒れている人物に近づく。
グロック: でも、どわーふだ
イノーラ: 全然違うだろう
倒れているドワーフの状態を確認する。
ほとんど死に掛けていて、いますぐに何か処置しないと死んでしまうのは間違いない。
ハンベイ: 危ないな……
ハンベイ: かろうじて息はあるが
ダーマン: 遺品を見る限りかなりの良家の出のようですが
ダーマン: とりあえずは血止めを
イノーラ: とりあえずさっさと運ぶべきじゃないのか?
ハンベイ: いや、血止めだけでもしないと、動かせん
グロック: うごかす、しぬ
ダーマン: あとは町まで運ぶしかないですか
グロック: おれもてあてできる
グロック: おーくのまじないし、ならった
一行は手持ちの道具で治療を試みる。
おかげでドワーフは何とか一命を取り留めたようだ。
ハンベイ: 何とか動かせる程度にはなったか
グロック: あたためるなら、ひのたまがいいか
ダーマン: たき火でしょう
グロック: おー
ダーマン: しかしこんな敵地の真ん中ではまずい…
イノーラ: 運ぶしかないか?
ダーマン: そうですね
グロック: いのーら、こういうとき
グロック: のじゅくどこでする?
グロック: ゆきやまとざんだぞ
イノーラ: 木のうろとか…
イノーラ: 洞窟の中だな
イノーラ: 雪のない場所だ
ダーマン: 一応、身元の確認用--あるいは遺品--にそのあたりの物も運んでおきましょう
散らばっているドワーフの荷物(と思われるもの)を集める。
ハンベイ: 上から寝袋で覆ってしまおう
ダーマン: イノーラ、このあたりで安全そうな場所を探して下さい
イノーラ: わかった
一行はイノーラが見つけてきた野営地になりそうな場所へドワーフを運ぶ事にした。
このドワーフこそ、ウルテンである。
ウルテンが川に流されるところはオークたちも確認していたので、この付近に展開していたオーク部隊はこのウルテンを捜索していたのだ。
もちろん一行はそんな事を知る由もなく、今はただ、見捨てるのも忍びない程度の気持ちでウルテンを助けようとしていた。