サヴェッジ・フロンティアDR1235
第一章 オーク、来る
「名も無き村」
●承前
さて、新しいキャンペーンの始まりということで集まったプレイヤー一同。
以下、セリフの頭に\や*や#が付いていた場合はプレイヤー発言という扱い。
DM: えーと、それでは特になければ、これから始めますー
ダーマン: ¥了解
イノーラ: #はーい
DM: 今日は、集会があるってことで今、みなさんはここに集まってます
DM: もしキャラクター同士の関係で、今のうちにはっきりしておきたいことがあればいまのうちにどうぞ
すでにある程度クラスについては話し合ってあるけれど、実際に作成したキャラクターで会うのは初めてとなる。
プレイヤーにとってはそうであっても、キャラクターとしては顔見知りな設定なのでお互いの関係などを決めておく。
こういった場合、単なる知り合いよりはもう少し絡みやすい設定を作っておくとロールプレイしやすい。
グロック : ¥じゃあわしを拾った人は挙手!
リック: ¥リックは生まれも育ちもここ
リック: ¥それじゃリックが拾おうかな
リック: ¥イノーラはたまにここへ来るという感じですか?
イノーラ: #そんな感じかな?
リック: ¥それじゃ、十五歳のリックが村へ来たイノーラを見て
リック: ¥ひとめぼれした…とかいう設定を作っても良いですか?
イノーラ: #どうぞー
リック: ¥リックは不器用な若者なので、もちろんそんな思いを口に出すことはできませんが
リック: ¥まあそんな淡い思いを胸に秘めているということで
グロック : りっく、あの女うまそうか
グロック : りっくいつもみてる
リック: へ?
リック: な、なにいってるんだよ、やぶから棒に
グロック : りっくあのこいつもみてる
リック: 見てないよ
グロック : おれしってる
ダーマン: …青春だねえ
グロック : ・・・そうか
グロック : きのせいだたみたい
リック: も、もう、よせよな、グロック
グロック : おれよくまちがう
リック: 彼女に悪いだろう
グロック : そう、おれすまない
グロック : さりーなのごはんみてるときと、おなじ目、みえた
グロック : おれ、さりーなのごはんすきダ
リック: そ、そうか
リック: 俺も好きだよ
グロック : きょう、ごはんまだか
リック: しっ
グロック : おお?
リック: そろそろ始めるよ
というわけで早速出来た設定で遊んでもらっているところだけど、以下、本編の始まり〜。
●名も無き村
サヴェッジ・フロンティアにやってきた開拓団が、古い遺跡を一掃して『カヴァードホーム』と名付けてから三年。
未だ未知の脅威は存在するものの、安定した生活基盤が築かれてきた。
カヴァードホームの壁の外にもいくつかの農場が作られ、それら農場の中心に村と呼べる場所が出来つつある。
村人たちと、周辺の農場を営む人々は現在ここを『名も無き村』と呼んでいた。
しかし今度の冬を問題なく乗り切れたなら、次の春には『村』に名前を付けようと話し合っている。
そして厳しい冬が過ぎて、その春が近づいてきたある日の事。
『村』の中心的立場に立っているザクが集会を呼びかけた。
集会自体は珍しい事ではなく、ある程度定期的に行っているものだ。
特に今は『村』にレンジャーのテリウスが戻ってきている事は、村人ならたいてい知っており、テリウスからの報告を聞くための集会であることは想像に難くない。
ザクの経営する村で唯一の酒場に、村人たちがだいたい集まった頃合いを見てザクは集会を始めた。
●集会
PC達は全員、大きな括りでは開拓団の一員という事になるが、カヴァードホームから来た『村』の住人であったり、周辺で農場を営む者であったり、狩人であったりする。
なお、ここに登場するPC以外のキャラクターは全て村人(NPC)だ。
ザク : …ということで、テリウスの警告通り
ザク: デリンビーアの増水に備えた対策をしなければならないんだが…
ここまでのテリウスの話で一番重要なのは、今年のネザー山脈の積雪量が去年よりも多く、そのため雪解け水によって下流のデリンピーア河が増水するだろうということだ。
ダーマン: 話としては珍しくもないけど、ここに住んでいるってことを考えるとまずいね
ハンベイ: 今から堤を築くというわけにもいかんのじゃないか?
グロック : まずい、か
リック: うーん…
グロック : うまいものたべる、いいな
イノーラ: (狩場を移すべきかな…
ザク: しかし今回は、それよりも面倒な問題がある
リック: ?
ザクが目で促すと、テリウスが一歩前に出てきた。その表情は深刻だ。
テリウス: …注意して聞いて欲しい
テリウス: 毎年、私がこの時期にネザー山脈まで足を伸ばしているのは皆さん知ってのとおりだが
テリウス: 今回の増水の件もそれでわかったわけだ
リック: …
グロック : zzz
寝息を立て始めたグロックをちらりと見るリック。
気を使ってそのままにしておくリックだが、実はグロックは寝たふりをしているだけだ。
ハンベイ: それについてはありがたい限りだが
テリウス: 私はネザー山脈を見回るときに必ずターンストーンパスも見回ってきているのは
テリウス: 皆さんも知っていよう
テリウス: あの峠が、サンダバールと我々をつなぐ唯一の道
テリウス: つまり北とこの地をつなぐ唯一の道ということだ
テリウス: 一年のほとんどの時期は雪に埋もれて通行不可能だが
テリウス: この時期に、あの峠を通ってきたものがいるらしい…
テリウス: 大量の痕跡を発見したんだが…
ハンベイ: ?
リック: ??
ダーマン: オークかなにかかい?
テリウス: うむ…オークだ
グロック : (オークといわれてびくりとする
グロック : ・・・
イノーラ: (半分寝てる
イノーラのほうは本当に居眠りのようだ。
テリウス: だが、この時期にあの峠を越えるのは自殺行為
テリウス: 現に、かなりのオークが沢や崖に落ちて死んだり
テリウス: 凍えて死んでいるのを見つけた
ハンベイ: 確かに正気の沙汰じゃないな
テリウス: うむ…こんな事は今までにないことだ
リック: ふーん・・・
ダーマン: つまり、犠牲を出してでも移動するなにかがあるって事ですか
テリウス: …だと思う
リック: でも…オークが死んだなら問題はないんじゃないの?
テリウス: いや、恐らく死んでいたのは移動したものの
テリウス: 半分…もっと少ないかもしれない
ハンベイ: 元々どのあたりに住んでた連中なのかわかるか?
テリウス: できればジャランサーまで足を伸ばして情報収集してきたいところだが
テリウス: あの峠をこの時期に越えるのは自殺行為だ
テリウス: これが何を意味するのか…はっきりしたことはわからないが
テリウス: 最大の注意を持って対応すべきと…私は思う
テリウス: 以上だ…
リック: うーん…
ハンベイ: 変事が起こり、詳細は不明、と
グロック : ・・・はなし、おわり?
リック: まだだよ
ダーマン: ターンストーン経由となると森の方じゃないわけですね
この地域の西に広がるハイ・フォレストの事。
通常の陸路で侵入しようとした場合、北のネザー山脈を越えるか、ハイ・フォレストを通ってくるかしかない。
しかしハイ・フォレストは普通に通行できるような森ではなく、独特の文化や価値観を持った魔法の生物も多くいる。
ザク: テリウスの警告は今まで我々を守ってきてくれた
ザク: そこで…わしはこの話を重要なものと認識している
ハンベイ: なにがあったのやら……オークが減って別の脅威が出てきたとかなけりゃいいが
グロック : りっく、みて
グロック : あのこ、ねてるぞ
グロック : たったままだ
グロック : すごいなあ
リック: ?
イノーラ: (はっ
イノーラ: (ちょっと寝てた…
リック: し、静かに…ザクが話してるだろ
グロック : お・・・そうか
ザク: そこで、オークの襲撃に備えて
ザク: 警戒態勢にしようと思うのだが
ザク: みなはどう思うだろうか
サリーナ: わたしたちはここにすんでるからいいけど…
ラーク: リックたちはこの村の中心に住んでいるわけではないし、彼らの意見を聞いてみたらどうだろう
ザク: お前さんらはどうかね
ザク: お前さんらは少し離れたところに住んでいるだろう
ザク: 警戒態勢となれば、荷物その他をもって
ザク: しばらくこっちに来てもらう事になる
ザクはPCたちに問いかける。
ちなみにNPCではあるが、ロウランの家族も森に住んでいる。
イノーラ: (何の話?
ダーマン: 妥当な所ですね
ハンベイ: 用心に越したことはないな
リック: 備えあれば憂いなしだね
ロウラン: 親父は喜ばないだろうな…
グロック : おやじおこるか
グロック : よろこばない、おこる、いうことか
そのロウランは微妙な反応である。
ハンベイ: どう、といわれてもな……
ダーマン: そうですね。まあ、爪川を越えてくるかどうか、が焦点かなと思います
ネザー山脈から流れ込んでくる川の事。
デリンピーア河の源流でもあり、この川を越えてきた場合実質この地域に侵入されたという認識になる。
イノーラ: 自分の身は自分で守れる
イノーラ: (話はよくわからんけど
まだ現実の脅威に遭遇していないうえ、森や荒野を生活の場としているイノーラには実感がないようだ。
グロック : ここあったかくていいぞ
グロック : りっくの家さむいぞ
リック: みんなで泊まるってこと?
リック: *ちらりとイノーラのほうを見る*
ザク: そういうことだな
ザク: イノーラも、村にとどまったほうが安全だと思うぞ
リック: そ、そうだね…
リック: 森も危ないかも知れない…
リック: イ、いのの
かんだ。
グロック : いのの?
ダーマン: 私としてはこちらの方が奉仕活動もしやすいですし賛成ですよ
イノーラ: 狩場を遠くに移動するだけさ
ザク: 今までオークの襲撃は何度も撃退してきているが
ザク: 今回はマズイ…とテリウスのカンが働くならそれに従うほうがいいと思う
ハンベイ: この状況だと、追い返してそれまで、ともいかんようだな
リック: ザク、泊まるとしたらどこを使うんだい?
グロック : おーく、コワイな
ザク: イノーラ、お前さんも村に残って、オークに備えてくれんかね?
イノーラ: …まあ、仕方ないだろうな
イノーラ: 他人を見捨てるのは楽しくない
ザク: …よかった。少しでも戦力はいるからな
ザク: 泊まるのはここでもいいし、ジグニードのところでもロンのところでもいい
グロック : りっく、うれしそうだな
リック: へ?
リック: な、なななな何言ってるんだよ、グロック
グロック : いまうれしそーだったぞ
リック: 気のせいだよ
グロック : ・・・そうか?
ハンベイ: 差料を研ぎに出してるせいで落ち着かん……
ザク: …というわけだ。皆の衆、それでは警戒態勢を取るということでよろしく頼むぞ
ザク: それじゃあお前さんらも荷物をまとめて
ザク: 村に下りてきてもらおう
リック: わかったよ
イノーラ: わかってるよ
ハンベイ: まぁ、肝心なときにここにいなけりゃ働けんしな
グロック : なべだ
グロック : なべがだいじだ
ザク: そうだな…明日には家を出でこちらに向かってくれ
ザク: 頼んだぞ
というわけで話がまとまり、集会は解散となった。
それぞれ家路につく村人たち。
この場に残って今回の事を話し合う者たちもいる。
リック: それじゃ行こう、グロック
と、PCたちも立ち去ろうとするが……
ザク: あ
ザク: あーと
ザク: ついでに一つ頼んでもいいかな
リック: ?
ダーマン: なんでしょう?
ザク: 途中、ミルズの農場に寄って
ザク: こちらに来るのを手伝ってやってほしいんだ
ザク: 自分達の荷物をまとめてからでいいんだが
ザク: ミルズのうちはまだ小さい子供がいるから大変だと思うんだ
ザク: できたらみんなで一緒に行ってくれると助かる
リック: ああ…
ダーマン: なるほどね
ハンベイ: 家財もある程度運ばねばならんか……
ミルズ農場はプレイヤーにとって初めて出る名前なので解説しておく。
都合よくリックの家と村との間にあるという設定にもしておく(笑)
ザク: じゃあ頼んだよ
イノーラ: 確かに頼まれた。さて…もう話がないなら行くぞ
リック: あ、う、うん…
リック: それじゃまたあとで
グロック : おれもちものほとんどないから
グロック : らくできるな
いつもと少し違う話の出た集会は終わりを告げて、PCたちは各自の家に戻り荷物をまとめることになった。
今回は1回目のセッションなのでPCたちはほとんど初期装備しか持っていない。
そのため各自に必要なものをこのパートでDMが用意して渡す。
現金を渡して自分で買い物をしてもらうための準備部屋などを用意しておくのもいいが、手作業のほうが楽だったりもする(笑)
さて、準備の出来たPCたち。
次回からが本格的なキャンペーンスタートとなる。