第20章 「Freeportの影」


 さて、前回のOrcの城、Crushboneでの戦いの後、Givu一行はAntonica大陸の玄関でもある人間の街Freeportに戻ってきました。

 ここでパーティーは一度解散し、それぞれの旅に戻る事になりました。

 Taku 「私はしばらく神殿にいるつもりです。また旅に出るかわからないのですが、その時は声をかけますよ」(注1)

 Huttenfreak 「俺は一度、故郷のほうに戻らないといけないんだ。いつ戻ってくるかはわからない」(注1)

 Kirine 「私は南のジャングルに行くつもり。そこは恐怖の神の神殿があるって話だから、行って見てみたい」(注2)

 そしてGivuはというと…

 Givu 「この街は鍛冶をするにはもってこいじゃな。今までの冒険で元手もできたし、いっちょ、やってみるか」

 ということで、Freeportに留まる事にしました。いつものように皆に別れを告げ、宿の床につきました…。

 そして次の日。

 いつもと同じ朝ですが、今日からは一人。少しさびしい気もしますが旅を続けていればいつかまた再会できると信じましょう。

 まずは街の銀行へ。そこで重い鎧を外して預けます。しばらく街で鍛冶修行をするなら、武器や鎧は必要ありませんからね。それから貯めていたお金と箱にまとめて預けておいた鍛冶道具一式を引き取ります。

 そして本格的に鍛冶開始。日々着実に腕を上げていきました。

 Freeportには誰でも利用できる炉が3箇所にあり、そのうち2箇所は材料を売っている店に設置されている関係でいつも混みあっています。そんな状況なので、多少顔なじみもできます。

 「ランタンのベースってどうやって作るの?」 「ああ…それはな」 「胴鎧が上手く造れないよ」 「まだ腕が足りないんじゃないの」

 みたいな会話をしていたある日。革鎧の男がGivuに声をかけてきました。

 男 「やあ、君、鋲は作れるかい?」

 Givu 「うむ? ああ…簡単なもんだ」

 男 「本当! じゃあ、作ってくれない?」

 Givu 「ええけど…あんなもん、なんに使うんだ?」

 男 「へへ、実は俺、裁縫の心得があるんだよ。それで今度、革鎧に鋲を打って補強したやつを作ってみようとおもってさ」

 Givu 「ほう、やるじゃないか。よし、作っておくよ。代金は材料費でいい。そのかわり、その鎧が完成したら見せてくれ」

 男 「OK!」

 という事で鋲を作って売ったんですが…ここで気づきました。もうGivuは鍛冶で商売ができる! と(笑)

 そしてたまに注文を取りつつ、数ヶ月(注3)が過ぎました。

 そんなある日、Givuがいつものように鍛冶の材料を買いに歩いている時、ふと、気がつきました。

 鍛冶の材料を買いつけている店と、革製品を取り扱う店の間に狭い路地があるんですが、そこに人が入っていくのを見たんです。前から路地があるのは知ってましたが、その奥に何かあるなんて思いもしませんでした。

 Givu (うん? 何かあるのか…?)

 その男の後について、路地に入っていくGivu。冒険心がうずいたのでしょうか、しかし、長い街暮らしで警戒心が薄れていたのです。気配を消す(注4)のも忘れてすたすたと後をつけて行きます。

 男は路地裏にある酒場に入って行きました。

 Givu (こんなところに酒場があったのか…)

 入り口付近の男の視線に、気がつくべきでした。Givuはまったく無警戒に店に入ってしまったのです。

 店の中は何か怪しげな雰囲気。奥には扉があって、部屋でもあるようです。その扉が開いたままなので、さっきの男はその奥に行ったんでしょう。Givuがちょっとした興味から覗いたその時です!

 突然、犬が襲い掛かってきました!

 Givu 「なにっ!」

 護身用の武器も持っていなかったGivuはとりあえず鍛冶に使うハンマーで応戦。すると酒場にいた他の人間達までもが襲い掛かってきました!

 Givu 「うあっ」

 背中から、不意をついた急所への一撃!(注4)

 Givu (こいつら、シーフか! …しまった、ここはシーフギルドの…)

 パラディンであり、ドワーフであるGivuが突然やってきて奥に行こうとしたのだから、考えてみれば当然の反応です。

 とにかく、こんなところで死にたくないので表通りまで逃げ出しました。表通りに出れば、Freeport Militiaの兵士が巡回しているはずです。表通りに出て、見まわすと、すぐそこにMilitiaの兵士がいました。助かった、と思ったときです!

 Militia 「死ね!」

 とMilitiaまでもが斬りかかってきたのです!

 気がつくと、宿屋のベットの上でした。(注5)

 Givu (いったいどういう事だ…? 街を守るMilitiaが公然とローグギルドの手助けをするなんて…。うむ…神殿に行って聞いてみるか…)

 というこでホール・オブ・トゥルース。パラディンの神殿にやってきました。そこで事情を聞いてみると…

 かつて、Freeportはパラディンによって守られていました。ある時、Lucanという青年が騎士を目指してやってきました。彼はあっというまに才覚を発揮し、騎士として力をつけていきました。しかし彼は力に魅せられ、騎士としての誇りや名誉を汚していったのです。当時の騎士長は彼を追放しました。ですが、彼はそのまま、街に留まり、Freeport Militiaを結成。街を守る軍隊として勢力を拡大していったのです。彼の軍隊は横暴で、正義や道徳は歯牙にもかけないものでしたが、その力は確かに街を守っているので、市民も特に逆らうことはせず、いまや、街の半分以上はMilitiaの勢力になっています。そして彼らはパラディンを滅ぼして、街を完全に支配しようと目論んでいたのです。

 しかし、Givuが聞きたかった事については特に知らない様子。

 Givu (こいつは少し…調べてみるか…)

 久しぶりに、武器と鎧を身につけ、今度は慎重に様子を見ながら、Freeportの街中を歩き、情報収集。

 すると、いくつかの事がわかりました。Militiaはどうやら、他の裏系の集団と同盟関係を築いているか、もしくは築こうとしているようです。ダークエルフとの同盟に関してはウォリアーギルドから調査する依頼を受けることができますし(注6)、Lucanとシャドウナイト(注6)が密会しているらしい情報も聞きました。恐らく、ローグギルドとも手を組んでいるはず。なんと何かの密輸が行われているらしいのですが、ゲートを固めるMilitiaがわざと見逃しているらしい。(注6)

 FreeportはEvil系の種族でさえも利用できる自由で活気のある街です。しかし、その裏にはこんなものが隠れていたんですね。

 Givu 「まったく人間てやつは…」

 と一人つぶやくGivuでした。


・Givu…レベル20。この時期はリアルで忙しくて2ヶ月近く、週に1.2日、30分から1時間程度しかプレイできませんでした。

・注1:このセリフは勝手につくりました。二人ともリアルが忙しくなって、ゲームできなくなったんです。

・注2:彼女が南に向かったのは本当です。Cazicと呼ばれてる神殿のダンジョンに行ったようです。

・注3:現実世界では2ヶ月くらい。

・注4:バックスタブです。シーフ=ローグのお約束の攻撃。背後からの痛恨の一撃といえばわかりやすいかな。

・注5:もちろん、一回死んでます(笑) ホームポイントが宿屋の部屋だったんですね。

・注6:全部クエストがらみです。長いので省略しました。


前に戻る TOPに戻る 次に進む