クリスマス休暇
クリスマス前夜、窓の外には色とりどりのイルミネーションが通りや店前を極彩色豊かに彩っている、その中にあって小さなツリーさえ無い9課のオフィスで素子はデスクに山積みになっている書類を睨み付け「ハァ・・」と溜め息をついた。
「何なのよコノ量は!」
オフィスに素子の怒声が響き渡る
「しゃーねーだろ、明日・明後日と、非番にする代わりにソレやるってオヤジに申し出たのお前じゃねーか」
通路を挟み、背中合わせの形でパソコンに向かっていたバトーが座ったまま振り返って素子も既に承知の事実を述べる
「仕事が書類とは聞いて無い」
「情報処理だったらソノ分だけイシカワかボーマに任せて帰る気だったろ」
「・・・」
「そんなにオヤジは甘かねーよ、諦めな、ついでに言っておくが俺は手伝ねーぞ、新人研修のプログラム組んでるからな」
「当てにしてないわよ」
「そりゃ良かった」
「・・・よし」
そう呟くと素子は、今正に書類仕事が終わったかの様に立ち上がり、帰り支度を始めた
「おいおい、放棄する気かよ?俺はやらねーぞ」
バトーが半ば慌てた様に、扉に向かって歩いていく素子に声を掛ける
「今から約30分後に私のパスで『クロマ』が入ってくる、彼女の頭に私の戦闘記録から手掛けた仕事内容は全部入ってるから、報告書位任せても問題ないでしょう?守衛に確認を求められるかもしれないからソレだけお願い、じゃあね」
そう言って手をヒラヒラさせ出て行った
「・・・素子、それは九課禁止事項第45項の情報の個人保管に著しく違反しないか?」
つぶやいてみたものの、ソレも良いなと思いつつバトーは仕事の続きに戻った。
「さてと、時間も出来たし久しぶりにあの子達と会えるかしら?」
“今から会える?”と電通を送ろうとしたその時
「アッレ〜、素子じゃない!」
後ろから聞き間違える筈も無い、二人いる彼女の内の一人、ランちゃんの声がした、振り返ると其処にはいつもながらのボーイッシュな格好の彼女が手を振りながらこっちに向かってくる所だった。
「やっぱり素子だー、久しぶり、ねぇ、どうしたの?今日は仕事って言ってなかたっけ、ソレとも勤務中?あ、私、今日から明後日にかけて有休取ったんだけど都合付くかなー?」
答える間も置かずに次々と出てくる質問に圧倒され「落ち着いて」と言うのが精一杯だった。
「ごめんごめん、久しぶりだったからつい、で、どうなの?」
期待半分諦め半分の表情で聞いてくる、その表情に少し笑いながら
「今日はもう終わり、私も明後日まで非番をもらったから、都合が付けば貴女やくるたんに会いたいと思ってた所」
「そうなの、嬉しー、じゃあ行きましょう!」
そう言うなり手を取って何処かへ連れて行こうとする
「行くって何処へ?」
急に手を引かれたのでバランスを崩したがそんな事はお構い無しにズンズン先へ行くランちゃんの背中に問いかける
「え?」
急に立ち止まり振り向く、歩きながらバランスを立て直そうとしていた素子は危うくランちゃんの胸に顔を埋めそうになった
「くるたんが上の人から有休が溜まってるから使ってくれって言われて三日間休みになったんだって、で、私が電通で呼ばれて、ちょうどココの直ぐ近くに居たから、素子が大丈夫な様だったら連れてきてって言われたんだけど〜・・言ってなかったけ?」
「聞いてないわよ」
「そうだっけ?う〜ん、まあ、良いじゃない行きましょ♪」
又先程と同等の唐突さで踵を返す、どうやら素子を“連れて行く”のが楽しいらしい、仲良く肩を並べてと言う訳には行かないようだ。
「それで、くるたんは何処に居るの?私のハウス?それとも別の所?」
「えっとねー、私が電通もらった時はまだ仕事場で『今から帰って、場所が決まったら電通送るから何処かで待ってて』って言われたからー、あ、くるたんから電通来たよ・・・え?素子?うん居るよ〜♪え?何?どう言う意味よコレ?チョットくるたん!?」
「どうしたの?」
答える代わりにランちゃんは一行の文を電通で送ってきた
“桃を取ってコレに乗せて、半に裏の巣2て”
「一方的に送ってきて切られちゃった、自閉モードに入ってるから電通出来ないし、何だと思う?」
「くるたんが意味も無くコレを送ってくる筈も無いわね、“にて”が“2て”になってるって事は暗号かしら?」
答えを求めないような質問、それに答えないランちゃんも暗号と言う考えに異存は無いようだ、二人は場所をベンチに変え暗号解読に掛かった。
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この暗号解けますか?挑戦してみて下さい、答えは24日
考え込む二人の可愛い事、somaさんありがとう御座います(^^)