クリスマス休暇・解決編
 
「今何時?」
 
いきなり素子が現実的な質問をしたのでランちゃんは戸惑ったようだ
 
「え?あ、う〜んと、22:02ジャスト」
「コレが届いたのは?」
「えっと、20:00ジャスト」
「と言うことは“半に裏の巣にて”が時間と場所ね」
「“半”って事は22:30に“裏の巣にて”って事?“巣”が家だとすると、“裏”は・・・山の裏?」
「フフ、中々鋭いわね“半に裏の巣にて”は“22:30に山の裏の家にて”って事ね」
「じゃあ“桃を取ってコレに乗せて”は?」
「ココから山の裏にある私のハウスとくるたんのハウスは丁度同じ距離」
「でも、方向は別だったよね?って、ココから30分で着くなんて不可能だよ〜」
「でも、くるたんは私達が22;30に着くと確信してる、コレが解ければね、と言うことは?」
「・・・移動手段・・車を用意してある?」
「ビンゴ!」
「でも、車は何処に在るの?」
「桃の他の言い方は?」
「え〜と、ピーチ?あ!パーキングPeach!」
「御名答、この暗号の答えは“パーキングPeachに置いてある車に乗って、22:30に山の裏の家にて”よ」
「すごーい、私一人だったら判ら無かったよー!」
「私はヒントを出しただけ、解いたのはランちゃんよ」
 
暗号を解くのに10分、残り時間20分車を飛ばせばハウスまでは10分、だが車を取りに行く時間を考えると時間が無い、二人は急いでパーキングまで行きソコに止めてあった桃色の車に乗る、素子は直ぐエンジンを掛けるとランちゃんは思った、しかし、素子は車に乗ると日差し避けを下ろしたり、ダッシュボードを開けたり、遂には座席の下まで見て回った。
 
「ねぇ、何やってるの?早く行こうよ、くるたん待ってるよ!」
「場所が判らないのよ」
「え?あ、そうか、暗号では時間と二箇所の場所は書いてあったけど『ココ』って言うのは書いてなかったもんね、それに当てずっぽうで行った場合当ってても・・・」
「そう、あの子の性格からして開けてくれないわ、そして、時間に遅れてもね、だからこの車の中に第二の暗号が在ると思ったんだけれど」
「無いの?」
「ええ」
「って事は、さっきの暗号の中に書いてある?」
「そう考えるのが自然ね」
 
暫く黙り込む二人、時間は刻々と過ぎて行く、とココでランちゃんは少し口篭りながら素子に声をかける
 
「ねぇ、変な事言うかも知れ無いけど」
「何?」
「くるたんは何で“にて”を“2て”って書いたのかなー?」
「?、どう言う事?」
「だって、イキナリこんな文を送ってきて自閉モードになるって事はコレが暗号だって言ってる様なモノじゃない?ソレなのにワザと変えてあるって事は、コレって場所を知る為のヒントじゃないのかなーって思ったり・・・しない?」
 
素子はランちゃんの顔をまじまじと見つめ、そしていきなり抱き付きキスをした
 
「ランちゃん、貴女すごいわ!九課に欲しい位!!」
「え、そ、そう?」
 
素子にキスされたのと、絶賛された事で少し上ずった声になっている
 
「で、でもどう読むの?2って事は偶数文字を読むか抜くかするのかな?」
「「もとてれのてんうのに」・「もをっこにせはにらすて」どっちも意味を成さないわね、初めの文字から2文字開けて読むとどうかしら?」
「ちょっと待ってね、ん〜「もとこのはうす」・・素子のハウス!」
「決まりね」
「やったー、あ!後9分しかない!」
「フフフ、少し急がなきゃね、ノン・ストップで行くからしっかり掴まっててね」
「え?でも、しん・・キャア!」
 
素子はランちゃんが言い終わらない内にエンジンを掛けると同時にアクセルを踏む、タイヤが空回りするが直ぐ地面を掴み急発進する
 
「口開けてると舌噛むわよ、信号の事は大丈夫」
 
既に素子は交通管理局にアクセスしタイミング良く変わる様調整し、ソレが不自然にならない程度に交通量を改ざんする、同時に所轄の各部署には素子の乗っている車は緊急事態により非番を解除された刑事が現場急行中との情報を流す、コノ程度のハッキング行為ならば9課の管轄外なので課長にバレる事はないが、各管理局に網を張っているイシカワならば気付くだろう、だが、こちらには“くるたん”と言う切り札がある以上何も言っては来ないはず、もし言って来たら・・・。
 
「フフ、くるたん、頼りにしてるわよ」
「くるたんがどうしたって?」
 
無意識に口に出してしまった言葉に、車のスピードに慣れ既に楽しんでいるランちゃんが話し掛ける
 
「ココまで手の込んだ事をしてくれたんだから期待してるって事」
「そうね、くるたんの手料理楽しみ♪でも本当にノン・ストップなんて凄い、魔法でも使ったの?」
「ウフフ、ヒ・ミ・ツ」
「ブー」
 
脹れるランちゃんを楽しそうに見ながら車を飛ばす、街は既に抜け後はこのまま一本道、カーブを曲がった所でハウスが見えるが明かりが灯っていない。
 
「アレ〜?」
「明かりが付いてちゃあ暗号を送った意味が無いでしょう?ホントに徹底してるわ、あの子らしいけど、はい到着」
「もう、暗号ないよね?」
 
ココまで来て次の暗号が用意されていれば確実に時間オーバー、と同時にくるたんの脹れた顔と共に料理が冷めていくのを見る羽目になる、それだけは何としても避けたいランちゃんの思いが伝わってくる
 
「どうかしら?謎解きしないと料理を食べれない仕組みかもよ?」
「エ〜」
 
そんな事を話しながら玄関に向かって歩く、するとドアに張り紙がしてある
 
『ココに来た理由をコード24に送ってね』
 
「どうゆう事?」
「暗号の答えをコード24に送れって事でしょう、それであの子は起きるって寸法ね、今送ったわ」
 
次の瞬間、ハウスに明々と明かりが灯りドアからはエプロン姿のくるたんが飛び出して来た、どうやら料理を終え暗号を送った後そのまま自閉モードに入ったらしい、もしかしたら料理を作っている最中に暗号で場所を知らせる事を遊び半分で思い付き両方に悪戦苦闘してたのかもしれない。
 
「おかえりー、時間ギリギリ、暗号どうだった?」
「くるたん、難しすぎ!素子が居なかったら解けなかったのよ」
 
少し怒った様な声でランちゃんが抗議の声を上げる、だがその表情は笑っていてとても怒っているようには見えない、彼女も又暗号解読と言う普段経験しない事に新鮮味を感じ楽しかった様だ
 
「そう?でも解けたんでしょ?じゃあ結果オーライじゃない」

 
そんな事を知ってか知らずか、くるたんはアッケラカンとした声で笑って返す
 
「全く、でもあの二重暗号はスゴイじゃない、自分で考えたの?」
「そうなの、いっつも素子「暗号が、暗号が」って言ってるから造る側はどんなのかなーって思って、ケッコー難しいのね、私肩凝っちゃった」
「ねー、こんな所でなくて中で話そーよ、暖かい所で話したってバチ当んないよー」
 
既に日は落ち、空にはオリオン座がその巨躯を見せ付けるかのように浮かんでいる、二人はランちゃんの提案に賛成し、くるたんの手料理と美酒、そしてその後のお楽しみに心躍らせながらハウスの中に消えていった

暗号はどうでしたでしょうか?
soamさんから御題を貰った時は、恋愛話にしようかと思ったのですが何故か「暗号」の方を先に思い付いてしまい、自分を苦
める結果に(爆)
しかし、こんなクリスマスの楽しみ方も良いんじゃないかと思います、somaさん楽しい御題有難う御座いました(^^)