2004年3月・4月・5月

2004.3.21.  小さな花畑

一番先にいつも群れをなして咲く
薄青色の小さな花
一番暖かな場所をちゃんと知っていて
枯れ色ばかりの野の中で
ひときわ明るく春を歌う
このときばかりは
雑草と嫌われることもなく
待ち焦がれた春を
ともに喜ぶ友となる
それは小さな小さな満開の花畑
2004.4.21. 今年の花は

暖かい早春で今年はきっと桜が早い
皆が楽しみに待ち そして開く花
それなのに空は意地悪で
花が咲いたら雨
それから風
雨に降られても強い風に煽られても
黙って耐えて生命を全うする
その美しい強さ
それがニッポンの桜
2004.4.30. カタクリ

森のそこここに
今年もちゃんとその姿をあらわす
小さな控えめな花
毎年毎年見つけては
ほっとため息をつく
この花が咲く限り
今年もちゃんと春が来たのだと
この花が咲く限り
この森は大丈夫だと
2004.5.6.  盛春の歌

森を歩く楽しみは
日々変わりゆくさまを眺めること
花壇を彩る鮮やかな花はないけれど
新しい芽吹きがあり
小さな蕾が小さな花に変わる

キイチゴだってヘビイチゴだって
その実を結ぶために
精一杯装った花を咲かせ
パンジーの華やかさはなくても
しっかりと根を張る野のスミレは
広い草地でのびのびと生きる
短命のソメイヨシノが散っても
可憐な花で目を楽しませてくれる山桜

緑濃い森の目覚め
それを一人で抱きしめる
贅沢な時間がゆっくりと流れる