2003年9月・11月


萩 2003.9.16. 秋のいろ

今年は夏が来なかった。
それでも森には秋が来る。
萩の花はそこここに愛らしい薄紅の顔を見せ
山の小さな栗もころんとまあるい実をつける。
今に森じゅう、萩の色。
今に栗の実はじけて落ちる。
そうして、木々は色づき、葉を落とし、
いつもの冬へと向かうのだ。
小さな実りを急いで結び。
栗
2003.11.3.  飛べない白鳥

この堤には旅立てなかった白鳥がいる
春・夏・秋とじっとこらえ、
ひたすら友を待ちわびた
寒い国に思いを馳せながら、
見るはずのなかった季節を越えて
ついに友の姿を見つけたとき、
彼はいったいどんな声をあげただろう
この夏の冷たさは
彼にだけは救いだったのだなと
少しだけほっとする思いがした


2003.11.4.  森の秋

豪華絢爛な紅葉はないけれど
この小さな森の木々だって
静かに色づき、葉を落とす
毎年毎年決まったときに
最後の輝きをどの木も放つ
そうしてはらはらと落とした葉を踏みしめ
冬へのカウントが始まる
遠くに見える海も
気がついたらススキの遠景となっていた