11月3日

 飛べない白鳥


この堤には
旅立てなかった白鳥がいる

春・夏・秋とじっとこらえ、
ひたすら友を待ちわびた
寒い国に思いを馳せながら、
見るはずのなかった季節を越えて
ついに友の姿を見つけたとき、
彼はいったいどんな声をあげただろう

この夏の冷たさは
彼にだけは救いだったのだなと
少しだけほっとする思いがした