2003年4月・5月
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2003.4.18. 春は野に 殺風景だった野の色が 少しずつ変わってくる 緑が増え、花の色が加わり、 小さな春がやってくる 花屋や公園で もてはやされる花でなくとも 野端の目覚めを告げてくれる この大地の揺るぎない逞しさを教えてくれる |
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2003.4.24. 咲き初めし 北の地に春が来た喜びを爆発させるのは やはりこの華なのだろう 人々がそれだけ待ちわびて 風ひとつ雨ひとつにも心を砕き そうして期待通りの麗しき姿を現す瞬間 まだ全てのつぼみが開ききっていない ほんのりと紅に染まるこの頃のほうが満開よりも美しい 恐れを知らぬ十代の少女のように どんな風にだって花びら一枚散らせはしない強さも持って |
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2003.5.6. 貫禄というもの いつもの山道 ちょっとだけ逸れてみたら 目の前にどーんと それはあった たった一本の木が これほどに圧倒させる力を持つ うっとりと見とれる人の影もなく いつ咲いたかも いつ散ったかも 誰も知ることなしに 何十年も咲き続けてきた 幾日かすれば 緑の木となり 山に溶け込んでしまう たった一本の もの言わぬ 山のさくら |
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2003.5.7. 野の花 まだ他の草が伸びないうちに 精一杯の花を咲かせ 一年分の滋養を浴びる 薄い小さな花びらは野のすみれ すぐに他の草に追い越され 埋もれてしまうから いち早く花を咲かせ また眠りにつくのだろう 今だけは春の陽射しを独り占めして ここはわたしたちの場所と主張する |
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2003.5.8. 恥ずかしがりのキイチゴ どうしてあなたは うつむいているの こんなにも綺麗な花なのに 実が出来たら下を向けばいいのに 蕾のうちから遠慮がちに地面ばかり見つめて 一生 下向いたままなんて つまらない ちょっとだけ周りを見てみれば どんなに森が広いかも 空が青いかもわかるのにね |