4月21日


蝶々の木


殺風景な山の中に、決して群生しない一本の木。
遠くからでも目を引く木。
だって木いっぱいに真っ白な蝶々が止まっている。
無数の白い羽が幻のようで、
ずっと「蝶々の木」と呼んできた。
それが「辛夷の花」だと知ったのはまだ最近のこと。
ああ、これが辛夷なのか、と今更ながらうなずき、
でも、やっぱりこれは「蝶々の木」。
ひらひらと純白の羽根をはためかせ、
幻の蝶が集まる木。