7月8日

 宝石箱からこぼれて


ずっと前に通りかかった山道で、白い輝く花を見た。
枝いちめんにびっしりと、可憐な花を咲かせてた。
しばらくすると花は枯れ、一度は醜くしぼみ行き、
ある日、オレンジ色の実をつけた。
日に日に鮮やかな色に染まり、
緑色の宝石箱からあふれるように、ころりころ。
手にとって見たら透き通ってきらきら光った。
お母さん、これ甘いよ、食べてごらん。
思い切りよく口に入れる子に、
これが木苺と教わった。