林檎の木

林檎がたくさん

南に育ったせいで、
リンゴが実るところは見たことがなかった。
道端の林檎園を見つけ思わず見上げる。
ほとんど収穫は終わっていたけれど、
まだたわわに実をつけ、
明るい陽の中で輝く木もある。
おひさまと仲良くしたしるしに真っ赤な頬をして
誇らしげに胸をはる。
摘み取られるのを待つばかりの、
手の中にすっぽりとおさまりそうな
赤い宝石にしばし見とれながら、
なぜか古里のみかん山に思いを馳せた。