2002年1月・2月
snow・snow・snow...


いつまでも降る雪に 1月18日  無限大の静けさに

一体どこからこんなにたくさんの粒が落ちてくる
一体どれくらいの時を経てこんなに真っ白く染められる
見上げれば限りなくどこまでも吸い込まれていく
そのあまりにも音のない世界に
限りない静寂に恐ろしくなって
でもその場を動けないでいる
雪―それは天が創りし最高の宝石
白い森 2月4日   白い森から

重たい湿った雪が降り、
木々はまた一つ強くなる
年輪にその記録を残し、春を待つ
天を仰ぎ、上へ上へ
負けないで、伸びていく
まっすぐに、背筋を伸ばし
姿勢をただし、
今は優しくなった空に向かい、
すっくと立ち上がる
雪と闘い、そして勝ったものだけの誇り
まるで白樺のように 2月4日  木々の囁き

すべての幹に、みな同じように、
片側だけに雪を張り付かせて、
吹雪の後の青空に胸を張る。
頑張ったね。
うん頑張った。
ささやきあって空を見上げ、
みんなお日様に褒めてもらいたがっている。
金浜海岸のウミネコたち 2月4日  冬の海

雪より白い波が砕ける
飽きることなく、迷うことなく、
止まることなく、裏切ることなく
ぐいっと立ち上がり、一瞬の後に崩れ落ちる
一日じゅう、寄せてきては砕け散る、
ただそれだけのくり返しを、
寒そうに縮こまった海鳥たちも、
また飽きもせずに眺めて暮らす
ここは北の海
雪の種差海岸で 2月4日  種差によせて

海にも雪は降るのだろうか
波の間に音なく沈み、
深い深い水底に、小さな光を灯すのか
岸壁まで続く雪の原は、
そのまま海に溶け込んで、
海の底にも白い白い世界を広げているのか
荒くれた波さえも、
その白い静けさを際立たせるだけで、
音をみな掻き消してゆく、雪の魔法
2月19日  明日へ

いつから踊り継がれてきたのだろう
親から子へ 祖父から孫へ
鉦や太鼓を子守唄に育った子らは
歩けるやいなや藁沓にその小さな足を包み
町の辻つじを巡るのだろうか
冷たい雪も風も仲間とともなら我慢するだろう
そうして来る秋の実りを祈る
明日の幸せを祈る 
無心に舞う子らのために

music by Sora Aonami