愛は会いより出でて、哀より相し

なかなかのいい歳になった管理人ではあるが、どうも恋愛の仕方だけは十代の頃と変わらないらしい。まだ学生だった頃、そこら中に理想の恋愛があった。将来がまだ決まっていない彼ら、我らは、互いの財布の厚みを探ることもなく、いつか訪れる「約束の日」を、今か今かと待ちわびるばかりであった。ただ会って好きになって、付き合うようになって、将来を夢見る。二人の間にそれ以外の何物も存在しない。

しかし、無情にも時は過ぎていく。手の届く場所にあったはずの「約束の日」はいつの間にか遠くに消え、楽しかった日々は失われた日々へと変わる。そして皆、大人になっていく。「大人に子供の気持なんか分からない!そんな大人にはならない!」と叫んでいた子供たちが、いつか大人の言葉を発するように、恋の仕方も変わっていく。またひとり、またひとり…。

ただ一緒にいられるだけで幸せではなかったのか? ただその人のことを考えるだけで楽しかったのではないか? いつの間にか変わっていく、幸せになるための条件。

僕はたぶんそれに戸惑っているのだろう。まだ学生だった頃の自分と瓜二つの自分が、いまここにいることに戸惑っている。そんな戸惑いを感じている人がこの世のどこかにいないものかと思っている。そんな人に出会いたいと願っている。

姿かたちも身なりも職業も、家柄もそのほかありとあらゆるものも、僕は愛する人に求めない。求めるものがあるとするならば、脳の共鳴であり、それは多くの場合言葉という道具によってもたらされる。別にきれいな言葉が好きなわけではない。共鳴できる言葉を発する人が好きなのだ。

僕は探している。そして時に見つけることがある。

しかし現実は残酷だ。あまりにも似た共鳴は、愛だけではなく哀の表現までもがあまりに似ている。分からないはずがない。その胸の痛みまでもがまるで我が心のように感じてしまうことがある。ここにいずともどこにいずとも、不思議と振動は伝わってしまうものだ。

僕は自分と全く異なる人がたぶん好きだ。しかしこの共鳴だけは同じ周波数でなければ、たぶん友人にはなれても、恋をすることはできないだろう。

別れと出会いの季節の春に、思うことをつぶやいてみた。

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